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こだわりの店ベルクから学ぶ

(2009.冬)
JR新宿駅東口改札を出てすぐ左に「ベルク」という小さなお店があります。たまに劇団の帰りや観劇後なんとなくコーヒーをのみたいと入ってはみるのですが、いつも人が一杯。ゴタゴタした不思議なお店と言った印象でした。その経営者・店長である井野朋也さんの著書『新宿駅最後の小さなお店 ベルク』をご紹介します。

なんであんなに繁盛しているのか?それは店長さんの確かな技術と心。メニューの豊富さ・食材へのこだわり・お客様に対する接客・スタッフに対する愛情と教育・・・あげればきりのないほどどこにもまねの出来ないこだわりで経営されている姿勢です。

新宿駅最後の小さなお店 ベルク

現在このお店には8人の社員と、アルバイト20人が働いているそうです。このアルバイトを育てる彼の視点がすばらしい!新人のアルバイトの中には接客業には不向きと思われる人もいます。むろん全くやる気のない人は別として、ベルクでは不器用な人にも、助け人としてとりあえず仕事をしてもらうそうです。そうこうしているうちにその人が器用な人より主要メンバーになっている場合がある。

逆に器用な人はすぐ飽きて辞めるそうです。挫折なくして人間の成長はないように思われるそうですが(私も同感)、器用な人はこの挫折感を避けるために逃げてしまうように感じるそうです。ここぞというところで手を差し伸べてアルバイトを育てる。この姿勢一つにもベルクを愛する人の連鎖が広がる"秘訣"があるように思うのです。

社員が一人でほとんどアルバイトでもっている大手チェーン店では結局人間が育たず、むしろ現場は忙しさのため殺伐となり店の質が落ちていく。これは人を都合よく使い回してきた企業的なやり方のツケなのではとの指摘。現在、人も物も使い捨ての派遣で働くことより、個人経営で働きたいと言う若い人が増えてきているそうです。今の世の中ベルクのような人を大切にするこだわりと心構えを持ったユニークなお店・会社・劇団(?)がこれから生き延びていくのではないかと思うのです。

ベルクのこだわりのコーヒーとパンを味わってみるのが楽しみになりました。みなさんもぜひ。

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