ゲッラ・デルフィン

水没を免れた山岳地帯に住む杣人は、過去の技術的遺産を有する海市に比べ文明のレベルが低く、荒廃した大地で貧しい生活を送っていた。だがある時、地下に眠っていた伝説のマシンを掘り当てたことから、彼らは世界の支配者として君臨するようになった。それがこの巨大マシン、ゲッラ・デルフィンである。

その2つの巨砲は全世界(この作品内での既知の領域)を射程に収め、従属を拒む海市を一撃で消滅させた(といわれているが、過去の歴史は曖昧で真偽の程ははっきりしない)。

 

この機体は発見時には操縦席が失われており、杣人の技術力では修復することはまず不可能だった。他のマシンの操縦席をつなげてみてもうまくゆかず、窮余の策として、機体各部の制御系部品に普通サイズのマシンの手足を接続して直接操作するという方法がとられた。制御がかなり大雑把になる上に各部をそれぞれ別の人間が操縦するこの方法では、全体として1つの動作を行うのは非常に困難である。

 

そういうわけなので動作の精度は極めて低く、狙った場所に砲弾を命中させられるのかどうか甚だ疑問である。だが時折海へ向かって弾を撃ち込んで見せるだけで、海市の人々を震え上がらせるには充分だった。