A水槽改造(その1)

 藻のbloomの結果、ミドリイシ等に大打撃を受け(藻のBlooming)、その後も照明を戻すと藻が繁殖し始めるので、思い切って水槽の大改造をすることにしました。

A)準備

 ガラス面の傷も目立つので、水槽ごと取り替えることにしました。94cm(W)×54cm(D)×65cm(H)です。巾と奥行きは診察室ということで変えられなかったのですが、高さは5cmアップしました。この結果ガラスは12mmです。水槽台との整合性もあるので、注文はこれまで使用していた水槽を作ってもらった「マリンフィッシュ・カガヤ」さんにしました。
 底はプレナムにするつもりで、簀の子構造を頼んだのですが、簀の子を作ってくれるメーカーがゼンスイの倒産のあおりを受けて、つぶれてしまいました。簀の子を取り付けできないと聞いたのは、水槽ができたと聞いて店に行ってからです。もうライブロック等は取り寄せ、自宅で準備していますし、何しろ水槽交換の「Xday」は5,6月中は5月22日、23日しか取れません。簀の子を自作する時間はありません。やむを得ず、砂は直にひく事にしました。

 ライブロックはC.P.Farmさんにキャリングライブロックを頼みました。なかなか良いライブロックです。石灰藻、コケムシが良く着いていて、大きさの割に軽く、念のため1週間キャリングしましたが、アンモニアや亜硝酸は全く検出されませんでした。
 ライブサンドはブルーハーバーさんに頼みました。ライブサンドは入手難の中、和田さんが都合してくれました。

                  「有り難うございます、和田さん、本当に助かりました。」


B)Aiptasia根絶計画

  今度の改造には、もう一つ目的があります。この数年莫大な労力を費やしてくれたセイタカイソギンチャク、Aiptasia絶滅計画です。一時はスナギンチャクの間の微少なのも入れると1000個体以上もあったAiptasiaですが、ペパーミントシュリンプを入れてコントロールの目安がつきました。このエビを入れた当初、Aiptasiaは減ったようには見えなかったのですが、2ヶ月ほどすると小さいAiptasiaがぐっと少なくなったのに気づきました。照明を消して、たまたまエビがAiptasiaをアタックしているところを見たのですが、大きいAiptasiaに対しては触手を引っ張っただけでしたが、小さいものは一部引きちぎってくれました。これを毎晩やってくれるので、Aiptasiaの小さいのが水槽からだんだん消えていったようです。大きいAiptasiaはカルシウム注でもマンガン注でも退治できます。人とエビの協力でペパーミントシュリンプを入れてから3ヶ月ほどで見かけ状Aiptasiaは10個以下になりました。後は手の届かないところ、ライブロックの穴の中などです。ここでライブロックを総入れ替えし、ウミアザミなどは移植、ハ ードコーラルはしばらく検閲すればAiptasiaを新水槽に入れずにすみます。

 
C)水槽内容移動(移植)

 先代、妻の父親は外科医だったので今はもう使っていないのですが、手術室があります。ここに衣装ケースを並べ、ライブロックのキュアリング、ハードコーラルの隔離、ソフトコーラルの移植手術兼リハビリをしました。


 ソフトコーラルの移植は気を付けてやればほぼ100パーセント成功します。先ず、切り取るナイフはよく切れ、切除時に組織を挫滅させないものを使用します。私はカッターナイフの刃を外し、これで切っています。切ったソフトコーラルは新鮮な海水に漬けておきます。
 10分ほどで切り口が収縮し、取り扱っても体液が出にくくなります。こうなってから、新しい枝に縫い付けます。針は手術用の針は小さいものしかないので、縫い針で行いました。糸は絹糸です。ナイロンでも良いのですが、ナイロンは慣れないと堅く結べません。
 糸は十文字に二本通します。糸の通ったソフトコーラルを逆さまに置き、その上に枝を乗せ結紮します。この時、1回目の結び目は2回糸をくぐらせて下さい。1回ですと糸を持ち替えたとき緩みます。緩ませず、滑りやすいナイロン糸を引っ張ったまま2回目も結ぶのは外科医の職人ワザです。それ以外の人は絹糸か木綿糸で2回糸をくぐらした方がきちっと結べます。2回目の結び目は、1回の糸くぐらしで充分です。
 もう一本の糸を同様に結紮すれば少しの水流ではびくともせずに枝に固定できます。
 手術後のソフトコーラルは新鮮な海水を満たした衣装ケースに入れ、軽く水流をあててやります。古い海水だと傷口から細菌感染が起こることがあります。また、水流がないと組織の酸素不足で融解壊死する事があります。リハビリは2日ぐらいすると一般水槽に戻しても新たな感染は起こりにくくなります。
 今回はコフキウミアザミとウミアザミSPを移植しました。写真は移植後1時間です。

 旧水槽の内容の移動、移植、水抜き、配管の撤去、器具の新しい取り付けのための掃除など22日土曜は、夜の12時までかかりました。 

D)水槽交換

 翌、23日(日)は水槽搬入・工事です。マリンフィッシュ・カガヤさんの川崎さんが、朝10時から来て夕方までかかって、設置・配管をしてくれました。狭いところにいろんな注文細工があるので大変です。私もモーターをチェーンで吊ったり、小間物のサイズを整えたりです。二人とも手に小さい傷をいくつかこしらえました。川崎さん、ご苦労様でした。

 水槽内水流は一工夫しました。メインはレイシーRMD550で変わらないのですが、RMD300Nを3基取り付けウェーブマスターにつなぎました。300Nからのそれぞれの水流パイプは水槽内で「T字」に分岐させ、水面と下方に2方向取ります。下に向かったパイプはシャワーとします。水面のパイプにはコックを付け、水面の水流と底のシャワーへの水量を調整できるようにしました。
 水面にも水流パイプを作ったのは表面水流が欲しかったのもありますが、より大きな目的は、ポンプが止まったとき、底部のパイプのみだとサイホンが働いてしまって逆流が起きますが、水面に開いている口があると、停止時、ここから空気を吸い込んで、逆流しません。
 300Nが3基×2(口)+550が1基で水流の口は計7つです。(あと別にスキマー用に300N1基)

 (ほとんど、タコか火星人みたいな水槽内配管)

 ポンプを回してみたら、ううううるさい。ウェーブマスターが全てポンプを作動させるとまるで滝壺のそばです。サンプの水受けボックスは泡が水面から20cmも立ち上がり、まるでダウンドラフトのプロテインスキマーのようです。
 診察時間帯は300N3基はoffとすることにしました。昼休みと夕から朝にかけての稼働です。自然界でも潮流の時間変化はあるでしょうから、まあ、良いでしょう。550だけでも結構水槽内水流はありますし。
 ボックスに綿をかませて、550Nのみなら、診察室の水槽音は、許容範囲内です。

 ここまでで、朝10時から夕5時、川崎さん、お疲れさまでした。このあと、淡水を抜き、作り置いた海水を入れ、ライブロック、ライブサンドを入れ、細々とした調整をすますともう夜12時を過ぎていました。心配していた底面シャワーによる砂巻き上げは起こりませんでした。水流の向きと強さを調整できるようにした工夫が生きました。

 一応できあがってみると、ライブロックが少ない。水流のため岩を荒く組んだのですが、前の3分の1ぐらいしか見た目ありません。キュアリングライブロックをM10、L10追加注文です。

 日頃の運動不足のため、翌日は体中の関節が痛みました。しかし、まだ、いろいろとこれから手直ししていかなければならないでしょう。
 しかし、ライブサンドも入れたので水槽は明るくすっきりしています。しかし妻、評して曰く、「色々ゴチャゴチャ入っていないと、愛ちゃんの水槽らしくない」との言葉、あんまりだ。

 5月29日、水槽改造後6日、サンゴを戻して4日の水質は、
NH3:検出されず、NO2:検出されず、NO3-N:0.09ppm、PO4:0.00ppm、pH:8.24、Ca:650ppm、KH:12、Redox:321でした。
硝酸が若干高く、Redoxがやや低いですが、大改造の6日後にしてはまずますのところでしょう。

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