石垣島 山編
2000年7月20日(木):海の日(でも本日は移動日兼、山の日) 晴
7月20、21日は当地のお祭りで、医院前の道路が封鎖状態となります。22日は土曜日なので、この日をお休みにすれば、4連休となります。
これは、もうダイビングに行くしかありません。昨年Aquaristsで石垣offを経験して以来、「沖縄病」に取り付かれ始めた私は、本年も石垣島へ行くことにしました。
お願いするDivingShopは「石垣島ダイビングスクール」です。昨年もお願いしましたが、非常に丁寧にガイド、安全指導をしてくれます。
うちら夫婦はまだよちよちダイバーなので、手取り足取り面倒をみていただけるShopは安心です。
羽田から石垣直通便が取れなかったので、秋田→羽田→石垣の行程です。あさ10時の便に乗り、石垣着は夕方4時半です。ほとんど移動だけで1日仕事。
今回は丁度日程が沖縄サミットに重なってしまいましたが、搭乗手続きは秋田にて一括で済ませましたので、あまり面倒なことはありませんでした。
ただ、制服の警備の方、私服でもそれと分かる人がよく目につきます。
今回は、ダイビング用品と昆虫採集道具は前もって送っておいたのですが、もし、手元に金属の補虫網の「柄」があれば、私服の方の背後に回り「シャキーン」と伸ばしたい誘惑に駆られたでしょう。
(いつまでも「ガキ」です。)
羽田から、沖縄へ向かうと南へ行くに従い、海の色がどんどん青くなっていきます。この青さをみる度に「サンゴと亜熱帯の昆虫に会いに行くのだ」という気分がこみ上げてきます。心がハッピーブルーに染め上げられていきます。
石垣島、白保海岸です。深いところは群青色、サンゴに囲まれて浅いところは水色に見えます。コバルトにエメラルドを象眼したような美しさです。
4時半に到着早々、予約のレンタカーを借り、DivingShopに挨拶を済ませ、ホテルに着くと、もう5時半を回っていました。本州ならもう夕暮れ近くのはずですが、石垣はまだまだ十分に明るい。
秋田と石垣では緯度で15度も違いますが、経度でも17度違います。ということは、日暮れが東日本に比べて八重山諸島は1時間以上遅いという言うことになります。
また、太陽は南へ行くほど垂直に沈みますので、夕暮れ時間が短く、日没直前まで明るいということになります。石垣島の5時半は秋田の4時前の感じでした。
早速、補虫網を持ってバンナの方に向かいました。今回は嵩田植物園のそばの道をダムに沿って伸びる道でネットを振りました。
まず、眼につくのはスジグロカバマダラです。蝶は明るいところ暗いところそれぞれ種によって好みがあるのですが、スジグロカバマダラはそんな事に頓着しません。鳥に嫌われる有毒植物を食べているので(幼虫時代)、飛び方もフアフアです。
Salatura genutia スジグロカバマダラ
やはり、ウマノスズクサ科の有毒植物を食べているジャコウアゲハも飛んでいます。体の赤い色は「自分がまずい」ことの宣伝です。
その目で見ると、赤い体は何となく毒々しい。
他の黒いアゲハも羽根に赤い紋を持つ物が多いのですが、これはジャコウアゲハへの擬態だと言われています。飛んでいると羽根の赤さか胴体の赤さか分かりませんので。
あと、蝶の翅の色素って廃物利用なんですよ。動物は全て蛋白質の分解から出た窒素の処理をしなくていけませんが、自由にアンモニアを水中に排出できる魚類と両生類の幼生以外は何らかのアンモニア解毒処理が必要です。
両生類と哺乳類はアンモニアを肝臓で毒性が低い尿素に換えて腎より排泄しますが、爬虫類、蝶類、それに昆虫は卵の時期がありますので毒性は低くても水溶性の尿素はまずい、血液中尿素だらけになってしまいます。
そこで、水に不溶の尿酸を合成する方法を採用しました。水に不溶ならどっかのスペースに尿酸を貯めておくことができますので。鳥のウンチのあの白い部分が尿酸です。不溶性なので他の水溶性排泄物と混じらず、まだらになって出てきます。
ところで、蝶はサナギというやはり自由に排泄ができない時期をもうワンステージ持ちます。彼等はその不要な尿素をサナギの中で様々に化学修飾し、「鱗粉の色素」に作り替えることに成功しました。究極の資源リサイクルです。
Atrophaneura alcinous ジャコウアゲハ
市街地や個人の庭にはハイビスカスやブーゲンビリアなどをはじめとして様々な花が咲いていますが、思ったよりそれに蝶は来ていません。
山道で見かけたホトトギスの仲間と思われる花だけアップしておきます。
ノボタンの仲間?
翌日(21日)も2本のダイブの後、おなじポイントへやってきました。(ハードなスケジュール!年寄りの冷や水?老骨にむち打つ?)
21日は4時過ぎにはネットを振れました。前日よりはやや時間が早いので、ヤエヤマカラスアゲハが飛んでいます。マダラチョウやジャコウアゲハはゆるゆる飛びますが、カラスアゲハの速度だとネットするのが「スポーツ」という感じになります。
ほかにリュウキュウアサギマダラを追加。
北国ではお目にかかれない蝶達ですが、採れたのは全て普通種。迷蝶などはゲットできませんでした。
まあ、せっかく沖縄に来たのに、ついでの時間にネットを振るという虫屋にはあるまじき態度なので仕方ありませんが。
この日の最後にオオゴマダラをネットしました。少々破損がある個体でしたが、自分で得た蝶はまた別格です。標本箱で、完品が並ぶ最後に、威張って入れてあげましょう。
Idea leuconoe オオゴマダラ