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(平成4年10月7日作成)
近畿大学に薬学部が設置されて、はや40年を迎えようとしています. その間薬学部教職員の方々のご努力により6,000名に近い薬剤師が世に送り出され, 薬局・薬店の開設者又は勤務者をはじめとして病院・診療所の調剤や検査部門, 学問・教育関係,保健所その他行政関係,製薬会社の学術・営業・研究,工場の担当者, 化学工業,医薬品問屋などの流通関係,また代議士の秘書として厚生行政に携わっている者など 非常に多岐にわたる分野で活躍しています. 近畿大学薬学部を人生20年節目説で見ると,最初の20年間は創設期で基礎を固める時期で, 薬学部の教職員の方々には大変なご苦労があったことと思います. 次の20年間は発展期で,新しいスタッフも数多く加わり近畿大学薬学部を不動のものに していただきました. これからの20年間は飛躍期として薬学部関連のスタッフは勿論のこと特に卒業生の方々にも 大いに頑張っていただいて,大きく羽ばたかなければならない時期に来ているのではないでしょうか. 私たちの考えと時を同じくして薬学部卒業生の同窓会の団体である「薬友会」の諸先輩からも 数年前から卒後教育講座を実現してほしいとの強い希望が出ています. そこで薬事制度研究会では,ことの重要性,緊急性を鑑み卒後教育調査班を編成し 各会員から建設的な意見を多数戴き検討することとなりました. 近年の保険医療を取り巻く環境は,人口の高齢化,癌や循環器疾患をはじめとする 慢性疾患の増加など疾病構造の変化に加えて,医学薬学技術の高度・専門化, さらにはコンピューターやニューメディアなどの科学技術の急速な進歩,普及と大きく変化しており, 医療の質を高めるとともに患者のQuality of Lifeの確保などが求められる中,今回改正された 医療法の中で初めて薬剤師の名称が明記され,医療における薬剤師の存在がより大きく, 責任が一段と重さを増してまいりました. これら医学・薬学をはじめとする各界の進歩に伴い新しい知識の吸収と研鑽の必要性も 高まっている環境の中で,少なくとも近畿大学薬学部を卒業した薬剤師に対していち早く 方向付けが出来,更に的確な判断の下に行動できる情報提供場所が必要となってきました. 近畿大学薬学部においても卒業生を対象とした研修の場,即ちこのような医療環境の変革期に 職能を更に発展させる生涯教育を一本化した研修の場が是非望まれるところであります. 今回の調査はあくまでも,実際に薬剤師として活躍している人たちの目から見た卒後教育を 含めた生涯教育の在り方を考え,卒業生の心の糧となるように提言という形式で纏めてみました. 平成4年10月7日 班長 松本克彦 |
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