まなざし ブログ
 
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職員の政治的行為の制限に関する条例案の廃案を求める声明
2012年6月29日                
 
大阪労働者弁護団
代表幹事 大川 一夫
 
(連絡先)〒530-0047 大阪市北区西天満4-5-8-501
 
 大阪市は、2012年7月議会に、職員の政治的行為の制限に関する条例案を提案しようとしている。本条例案は、「地方公務員法第36条第2項第5号の定める政治的行為を定める」とするものである。
 
 しかし、そもそも政治的行為は民主主義社会において最も基本的かつ最大限尊重されねばならない重要な権利であり、公務員と言えどもその制限は必要最小限に留められねば憲法19条及び21条に違反にするとの謗りを免れない。
 
 そのため、地方公務員法(以下「地公法」という。)第36条も一定の目的をもって行われる限定された政治的行為のみを禁止するにとどめ、かつ、違反に対して何らの罰則も設けていないのである。地公法第36条第5項が、「本条の規定は、職員の政治的中立性を保障することにより、地方公共団体の行政及び特定地方独立行政法人の業務の公正な運営を確保するとともに職員の利益を保護することを目的とするものであるという趣旨において解釈され、及び運用されなければならない。」と規定しているのもその趣旨である。
 
 ところが、本条例案第4条は、「内閣の答弁の趣旨を踏まえ」、地公法第36条に違反した場合、「原則として懲戒処分として免職の処分をする」と明記している。
 
 本条例案の指摘する内閣答弁は、1950(昭和25)年の地公法36条制定当時の提案理由において「職員の政治的行為の制限の違反に対しては、懲戒処分により地方公務員たる地位から排除することをもって足る」と説明されていたと指摘するものにすぎない。しかも、その趣旨は、「罰則を設けることができるか」との質問に対して、罰則を設けることはできないことの理由として言及されたものにすぎず、本条例案は「内閣の答弁の趣旨」を完全に曲解している。さらに、この提案理由説明自体、実に60年以上前のものであり現在の社会情勢に適合していない。
 
 本条例案は、かかる政治的行為の重要性に対する基本的な認識を欠いており、法律の解釈を根本的に誤っているものといわざるをえない。原則として懲戒免職とする本条例案は憲法21条に反し違憲無効との評価を免れない。
 
 また、本条例案第2条が列挙する「政治的行為」は、概ね国家公務員に適用される人事院規則14−7を引き写したものであるが、人事院規則においては「政治的目的のため」に行うことが禁止されると規定されているところ、本条例案はすべての項目において目的による制限を削除している。これは意図的に職員の政治的行為に対する萎縮効果を狙ったものとしか考えられず、この点においても極めて悪質である。
 
 さらに、個別の項目においても、例えば、本条例案第2条第5号は制限される行為として、国家公務員と同様に、「ラジオその他の手段を利用して」公に政治的目的を有する意見を述べることを挙げている。しかし、地方公務員は国家公務員と異なり、自らが属する地方公共団体の区域外においては自由に政治活動を行えるのであり、地公法36条を超える制限を課すものとして違法無効であるといわざるをえない。
 
 以上より、本条例案は、総体として違憲違法である。
 
 当弁護団の見解は以上のとおりであるが、このような民主主義社会における基本的な権利がなし崩し的に規制されていき、いずれ近い将来に一般市民の権利にまで規制が及ぶことをも危惧するものである。
 
 よって、本条例案は、憲法上の重要な基本的権利を侵害するものであり、条例として制定されることがないよう強く求めるものである。
 
以上                         (2012年7月2日)
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大阪市の「職員の政治的行為の制限に関する条例案」   
 
◆政党のビラを読む、デモに参加する、集会で意見を述べる、署名を回す、「政治的な」演劇を見に行く、これらすべて、この条例によれば、市の職員は「クビ」(懲戒免職)です。信じられない? 普通の民主主義の感性なら信じられないですね。 これを条例にしようとし、「言論の自由」という民主主義の基本を破壊し、働く者の生活を「ばしばし」破壊しようとしているのが、大阪市長のハシモト。パワハラ男、社会的犯罪者としか言いようがない。◆
 
大阪市の「職員の政治的行為の制限に関する条例案」全文
(朝日新聞・橋下番のtwitter情報です)
blog.livedoor.jp/woodgate1313-sakaiappeal/archives/9685150.html
   2012/06/22 20:28:16
 
第1条(趣旨)
この条例は、地方公務員法の政治的行為の制限に関し必要な事項を定めるものとする。
第2条(条例で定める政治的行為)
 
(1)職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること
 
(2)賦課金、寄附金、会費又はその他の金品を国家公務員又は本市の公務員に与え支払うこと
 
(3)政党その他の政治的団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し編集し配布し又はこれらの行為を支援すること
 
(4)多数の人の行進その他の示威行動を企画し、組織し、若しくは指導し、又はこれらの行為を援助すること
 
(5)集会その他多数の人に接し得る場所で又は拡声機、ラジオその他の手段を利用して、公に政治的目的を有する意見を述べること
 
(6)政治的目的を有する署名又は無署名の文書、図書、音盤又は形象を発行し、回覧に供し、掲示し、若しくは配布し、若しくは多数の人に対して朗読し、若しくは聴取させ、又はこれらの用に供するために著作し、若しくは編集すること
 
(7)政治的目的を有する演劇を演出し若しくは主宰し又はこれらの行為を援助すること
 
(8)政治上の主義主張又は政党その他の政治的団体の表示に用いられる旗、腕章、記章、えり章、服飾その他これらに類するものを製作し又は配布すること
 
(9)勤務時間中において前号に掲げるものを着用し又は表示
 
(10)何らの名義又は形式をもってするを問わず、前各号の禁止又は制限を免れる行為をすること
 
第3条(本市の区域外から行う政治的行為)
職員が法第36条第2項第1〜3号及び前条各号に掲げる政治的行為を、電話をかけ、又はファクシミリ装置を用いて送信する方法その他の方法により、本市の区域外から本市の区域内にあてて行った場合は、当該政治的行為は本市の区域内において行われたとみなす。
 
第4条(懲戒処分)
任命権者は、職員が法36条第1〜3項の規定に違反して政治的行為を行った場合には、「地方公務員の政治的行為に関する質問趣意書」に対する内閣の答弁の趣旨を踏まえ、当該職員に対し原則として懲戒処分として免職の処分をする等の必要な措置を公正かつ厳格に行うものとする。
 
第5条(施行細目)
条例の施行に関し必要な事項は任命権者が定める。      (2012年7月2日)
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地下鉄民営化は市民にマイナス
(2012年6月28日)                        
 卵をうみ続ける鳥をあなたならどうしますか?コンスタントに卵を生んでもら
うか、それともある時、売却してしまうか?普通の経営者なら前者を選ぶだろう。
 
 市営地下鉄の民営化が議論されている。
 
現在、地下鉄は年に250億円ほどの利益を出し、この利益が様々な市民サービスに回されている。市民にとって地下鉄も市バスも赤バスも一体となった公共交通のインフラだ。
 
地域の赤バスの廃止により浮くお金は約10億7千万、地下鉄の利益の約4%ほどだ。地下鉄民営化を考えなければ、赤バスや市バスの維持は難しくない。
 
 民営化で実際どんな問題がおこるか。地下鉄は、6000億円以上の借金を抱えている。現行法では民営化されればこの借金は引き継いだ民間企業ではなく、市が債務を背負う。すなわち民営化すれば地下鉄から市への収入はなくなり、残した借金は市民に残る。
 
一方、民営化された地下鉄では現在免除されている固定資産税が課され、市からの便宜供与も止まり、収益が悪化する可能性がある。そこでなにが起こるか。
 
利益を出すことが目的の民間企業になった地下鉄は、当然、運賃引き上げを考える。
 
 市民にとり地下鉄民営化はマイナスが極めて大きい。
 
 府市統合本部(ハシモト氏の私的審議会)の交通事業関係の特別参与は13名もいる。そのうち12名が関西の私鉄関係の部長・課長などである(「橋下徹論、山本健治著、2012年5月)。ハシモトは、市民の共有財産を、関西の私鉄にさし出そうとしている。
 
ここでも、ハシモトが「財界」の使い走りということがわかる。
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マスコミの『ハシモトよいしょ』に対して、こんなこと どうですか?」

 (2012年6月17日)                 

 
ハシモト氏の「人気のもと」のjひとつにマスコミの「よいしょ」があると思います。
 
マスコミの受け手の一人ひとりに、次のような行動が求められていると思います。
 
なお、「記事」とあるところは、テレビでは「番組」とご理解ください。
 
1、いい記事(番組)は「よかった」と伝える。
 
  特に、ハシモト氏への批判記事、歴史認識に関係する記事は大切。
 
 例:6月4日、朝日新聞の朝刊、文化欄「刺青 長く深く浸透」という記事について、6月×日夜×時ごろ、電話で「いい記事だ」と言ったら、受けた担当の人は「いいと言ったのはあなたが初めて。今まですべて批判の電話だった」と教えてくれた。
 
 ハシモト応援団が、大挙して抗議の電話をしたようだ。
 
2、問題がある記事はその問題点を指摘する。
 
 例:ハシモト氏の一方的な垂れ流し記事には、「当事者の反論も読みたい、これでは一方的なハシモト氏の垂れ流しだ」と指摘する。
 
3、市長としての範囲を超えるテーマでのハシモト氏の言動の紹介は、特定政党への便宜供与と指摘する。
 
 例:「その問題は他の政党はどう考えているのか知りたい。維新だけを紹介するのは公平さに欠け、維新への選挙の便宜供与だ」、と指摘する。
 
これからは、選挙への便宜供与という視点での働きかけが重要だと思います。
 
なお、ご存知と思いますが、電話で、最初に184、次に先方の電話番号で、自
分の電話番号は「非通知」になります。 
 
参考になればうれしいです!!
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6・2大内裕和講演会 から」@神戸          

・・・「橋下当選 支持した大衆 橋下なら「何かを変えてくれそうだ」 →これを生み出す基礎は大阪の貧困都市化 長期にわたる閉塞感が生み出す意識 →「誰かが自分より得・楽してるっぽい」問題(雨宮) 自分より恵まれている人間を引きずりおろそうとい意識の広がり →橋下政治はここにつけ込む

 これへの対抗として(1)新自由主義のもたらす悪影響を明確に示すこと 「底辺への競争」 →多くの人々の社会的諸権利を脅かし、将来への展望を何も生み出さない 社会全体の貧困化が進む  (2)「分断支配」を乗り越え「連帯」を構築するための運動  労働組合による反貧困運動の必要性  官製ワーキングプア問題への取り組み 最低賃金の抜本的上昇 低家賃住宅の増設 授業料値下げ(特に大学授業料) 有利子奨学金の無利子化 (3)反独裁を軸に諸運動をつなげていく 「民主か独裁(新自由主義独裁)か」がテーマ 新自由主義政策によって利益を得るグローバル資本と超富裕層への批判

 以上、一部を抜粋しました。 若者の貧困化を食い止めることがハシズムへの支持を崩していくことにつながるという現実的な指摘が大事だ。  (2012年6月3日)

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価格破壊の犠牲になっているのは誰?」(DAYS JAPAN 2012年6月号、斎藤美奈子さんのコラム OUTLOOK から)

・・・「7人の犠牲を出した関越自動車道、高速ツアーバスの事故。・・・こうした無理な運行管理の背景には2002年の規制緩和(道路運送法の改定)があった。・・・/規制緩和とは何だったのかという疑問が改めてわく。規制緩和の目的は自由競争を促して経済を活性化させることだったはずである。だけど全然活性化していないじゃん。競争の結果、・・・実際は価格競争がエスカレートし、中小の倒産が増えただけ。・・・/最近の自治体では、過剰なダンピングを防ぐため、公共事業の入札の際に、あらかじめ最低限の価格を設定し、それ以下で落札した業者を失格とする「最低制限価格制度」を、設けるところが増えている。あまりにも安い価格は、公正な取り引きを阻害し、下請け業者への締めつけや労働条件の悪化につながり、安全対策の不徹底を招く、などの理由である。・・・安すぎる商品も「眉にツバ」なのだ。/コストの削減とは働く側からいえば「失業か労働強化か」の選択でしかない。「お客様は神様」というけど、じゃあ「労働者は奴隷」でいいわけ?」

 商品やサービスを買う時に、働く人の条件を考ることが必要だ。そうしないと99%の人の労働条件の悪化が止まらない。 (2012年6月3日)           

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100万人あたりの衆院議員数 主要国の中では少なく」(日経新聞、2012年5月27日)                            

・・・国民を代表する役割を担うとされる衆院(下院)議員が人口100万人当たり何人いるかを主な国と比べると、日本は3.8人でそれほど多いとはいえない。国立国会図書館が主要8カ国(G8)を調べたところ、日本は米国、ロシアに次いで少なかった。・・・日本でも地方議会は市町村合併や財政難から議員の数を大幅に減らしている。/定数削減は経費を減らせる一方で、人それぞれの多様な意見を反映しにくくなるとの立場から慎重論も根強い。

 

 表の数字は、100万人当たり、米国1.4人、ロシア3.1人、日本3.8人、ドイツ7.6人、カナダ9人、フランス9.2人、英国とイタリアが10.4人 である。
 
2012年1月21日の朝日新聞、声欄に「国民主権損ねる議員定数減」という投書が載った。いくつか重要な指摘をしている。
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橋下市長人権感覚ない 社民・福島氏、入れ墨調査批判」(朝日新聞2012年5月24日)                               

・・・「入れ墨調査は巨大なるパワハラだ」。社民党の福島瑞穂党首は23日の記者会見で、橋下大阪市長が進める市職員の「入れ墨調査」を痛烈に批判した。/福島氏は、橋下氏の「入れ墨をしたいなら民間にいけばいい」との姿勢について「普通の企業で『いやなら出ていけ』と言ったら解雇権の乱用だ」と指摘。/そのうえで「入れ墨がある人を配置転換するというのは過去に対する制裁。弁護士としての人権感覚がない。放置するとエスカレートするのでは」と述べ、同じ弁護士としての立場から疑問を突きつけた。

 

 こんな当たり前の指摘が、大阪の橋下を取材している朝日新聞の記者はできない。「いやなら出ていけ(やめろ)」は、働く者への最大のパワハラだ。橋下のいう「民間」はワンマン社長が威張りくさるブラック企業だ。橋下は、ブラック企業のやり方を、すべての労働現場に浸透させようとしている。橋下は、働く者すべての敵だ。1%の財界や大資本家は「橋下ガンバレ」と応援しているだろう。    (2012年5月27日)

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橋下徹論」(山本健治、2012年5月第2刷、第三書館、900円+税)

・・・最後の章に「維新八策」の批判もあります。(2012年5月21日) 

橋下前知事は、大阪府の財政を「健全化」などしていない。むしろ赤字を増やした。「新規に府債を発行しない」という公約はまったく反故にされた。知事就任前(07年度)、一般会計府債残高は5兆8288億円、それが10年度には、約2000億円増え、6兆739億円になっている(P45,46)。
 
大阪府が抱えている財政赤字は、岸知事時代に大型公共事業を推進した結果である。それを推進したのは、「大阪維新の会」の幹部、松井知事の父、浅田幹事長の父ら(当時自民党)である。大阪維新の会は、このツケを、府職員や教員の削減、賃金カットで乗り切ろうとしている(P140~143)。
 
2012年3月、維新の会は次期選挙公約となるべき「維新八策」を発表した。しかしあまりの内容の無さと不完全さのため、ハシモト氏は必死で「たんなるレジュメ」と主張し、この「八策」がきちんとマスコミで取り上げられるのを防ごうとしている。8章にこの「八策」がそのまま、示されている。確かに「レジュメ」だ。「レクチャー」とか「議論」とか⇒、*などがそのまま列挙されている。
 一部をあげる。「年金、生活保護、失業保険(対策)などの社会保障を「最低生活保障」へ一本化。最低生活保障6万円から7万円の現金給付と仮定。」年金生活者、生活保護受給者、失業保険受給者は6万円から7万円で生活だって?維新の先生、6万円から7万円で生活してお手本を見せてください。他にも「積み立て健康保険」、「掛け捨て年金」、「預貯金は全部使い切れ」、「超簡素な税制=フラットタックス」(要するに金持ちと貧乏人と同じ税率)。金持ちだけが笑う「八策」だ。
 維新の「八策」を見れば、維新を支持することは「ハンドルもブレーキもない車」に乗るようなものだと言える。(P192~222)
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橋下『大阪維新』の嘘」(一ノ宮美成ら、2012年5月第2刷、宝島社、657円+税)・・・前から、朝日新聞はハシモトよいしょだったんだな。(2012年5月20日)

                             

ハシモト氏の子ども観、教育観、人柄がわかる。⇒「まっとう勝負」(小学館、06年)から・・「『日の丸』『君が代』が国旗や国歌にふさわしいかどうかは大人になってから考えればいいんだ!・・思想や良心だなんて、クソガキが考える必要はゼロ。・・何が歌わない自由だ!それなら・・・「チ×ポを出す」自由まであるかっていうの。」(P86,87)
 
ハシモト氏は平気でウソを言う。知事選での吹田市での演説では府民に次のように公言した。「先日の全国学力テストで、大阪は45位になった。・・僕は45位の順位、まったく悲観していない。・・なんでこんなことに一喜一憂しなければならないのか。」しかし、ご存知のように知事になったとたん、大阪の公教育への不信を煽り、学力テストの成績公開をめぐり「クソ教育委員会野郎」と罵倒し、市町村教育委員会の学力テスト成績公開を迫った。(P197〜208)
 
ハシモト氏は事実に基づかない自画自賛が得意だ。⇒「知事は『財政再建プログラム案』を『障害と命、治安に配慮』と自画自賛しましたが、これも嘘です。・・障害児教育に関して言えば、・・実際の支援学校施策を見ると、軒並み5割カット、8割カットです。いじめ・不登校も重点政策になっていますが、実際は2億円減額で、公立関係の教育費全体で5億6800万円も削っているんです(P212,213)。
 
ハシモト氏のプランはもともと関西財界が言っていたことだ。⇒「関経連は03年・・『道州制を将来像と位置づけ、その第1歩として関西広域連合制度を活用」。『公務員も、議員もバッサリ減らせ』(06年)、『関西州と大坂都をつくり、現代版教育勅語など』(07年)(P291~293)。
 
第7章は「踊るメディアと翼賛報道」です。残念だが、朝日新聞も「ハシモトよいしょ」の一つだとわかる(P244~ 286)。 
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そうだったのか!「職員基本条例案」
〜大阪市の行政を“1%”の財界に奪わせないために!! 〜  (2012年5月20日)
 
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/9af3076456fba2f334b9d3a5680da08d
 
5月17日(木)の市民学習会のレジメがupされていました。
以下、その引用です。
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職員基本条例は、自治体乗っ取り条例だ!
 
5/15からの大阪市議会で継続審議される橋下徹・維新による職員基本条例(案)は、
職員の処遇に対する酷さもありますが、本当の狙いは、財界による地方自治体の乗っ取りです。
 
大阪市職員基本条例(案)第11条は、「特定幹部職」の公募を規定していて、特定幹部職は極めて広く、交通局長、水道局長、病院局長、など、局長クラスの組織の長、会計管理者市会事務局、その他高度な専門性を要する職として市長が指定する職(対象は判然としない)を、広く公募する、というのです。
基本的に大阪市を運営する幹部のほとんどを公募すると謳っています。
 
どういう手続に拠ってかというと、「面接その他の公正な手続きによる審査」を経るだけです。
 
現在の大阪市職員は、人事委員会の実施する公務員試験を経て大阪市職員として採用されていますが、試験も経ていない人間が面接だけで幹部になるのです。
 
社員を過労死させてなんとも思っていない経営者が、現在は特別顧問というような立場に甘んじていますが、職員基本条例が通れば、直接市役所に幹部として乗り込んで、牛耳るということが可能になります。
 
それだけではありません。
 
第14条は、「任命権者は、国内外および官民を問わず広く交流を人事を行うこと
により、職員の資質向上を図るとともに、社会情勢の変化に応じた組織の維持に務めるも
のとする。」と野放図に人事交流を推進。
 
一般職員レベルでも、何の資格もないはずの民間企業社員が行政を担うことになります。
一般職員は、市長と幹部の私兵とならざるを得ません。
 
大阪市「職員基本条例(案)」の狙いは、自治体組織の乗っ取り、私物化というべきではないか、との意見に同意します。
 
新自由主義が取り巻く現在の大阪市の置かれている姿は、住民サービスの切り捨てとか、公共財産の分捕りとかいうレベルを、遥かに越えたものになっているのではないでしょうか?
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橋下NО!市民連絡会
(We are the 99%!1%の財界のための橋下政治にNO!
地域・住民生活破壊と闘う市民連絡会)
http://99osaka.jimdo.com/
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引用、終わり。
 
実際、大阪市の府市統合本部の交通事業関係では13人の特別参与に、関西の民間の私鉄会社(阪急、阪神、南海、京阪、近鉄)幹部11名が任命されている。
大阪市の地下鉄などの利権を奪い取ろうとしているのだろう。
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グラスホッパー」(伊坂幸太郎)からの警句 (2012年4月28日)
                                 
最近、角川文庫(2011年第31版)で読みました。いくつかはっとするものがありました。
・・「あのな、無関心でいるといつの間にか洪水に呑まれてるんだぞ。分かるか?政治家に目を光らせろ、さもなければ、明日には歌も取り上げられる」、「ファシズムはファシズムの恰好をして現れない」(P99)。
・・・「たぶん、わたしたちってさ、自分の目の前に、敵の兵隊が立ちはだかっても、戦争の実感は湧かないかもね」と彼女は言い、「今まで世界中で起きた戦争の大半は、みんなが高をくくっているうちに起きたんだと思うよ」と残念そうに肩をすくめた。(P220)
 
ハシモトの言動を高をくくってみていると、とんでもない「洪水」がやってくるかも?
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ハシモト前知事のもと、教育はどうなったか」(2012年4月14日、「職場の人権」第151回研究会)                   
1、前知事のもとでの「教育改革」
非常勤職員の首切りからスタート
 府立学校の印刷業務などを担当していた教務事務補助員などの非常勤職員(年間の賃金105万円程度、他に図書室補助員、理科実験補助員、家庭科実習補助員など)346人を2009年3月、一斉に首切り。
 
非常勤講師の大幅な賃金切り下げ
 2009年4月から、非常勤講師の賃金を月給制から時給制に改悪。年間で約20%の減収。このため非常勤講師の確保が困難になる学校が続出。
 (現在、非常勤講師は70歳以上か主婦のパートが多くなっているとか)
 
「エリート育成」高校約10校に1500万円ずつ支給、海外のエリート育成教育視察に5172万円。
 
*私立高校授業料の無償化政策による公立校の縮小
 従来は年収350万円の世帯(公立・私立とも21%)が無償。それを所得610万円未満の世帯(私立高校の39%、公立高校の50%)の授業料を無償に。その結果3500人が公立から私立に流れたと推定。
 私立の中には、定員を大幅に上回る新入生を受け入れ、非常勤講師の大量採用、プレハブ教室の増設で対応しているところもある。
 公立高校全日制174校中47校で2次募集(2011年度入試、なお2010年度入試では9校のみ)。政策的に定員割れを起こさせたうえで統廃合を狙う。
ちなみに私立高校無償化の原資は、教職員に対する賃金カット。
 
⇒ハシモトの狙いは、1%のみにカネをつぎ込む、残り99%にはカネを使わず、劣悪な条件に置く。教育条件での格差をさらに拡大しようとしている。そして大多数の公立高校をつぶそうとしている。結果的にいい人材は公立高校に集まってこないので、人材の面でも公立学校をつぶそうとしている。
 
なお、大阪市職員基本条例案第43条では、同じ職務命令3回の違反者に「懲戒免職」(退職金がでない)をしようとしている。なお、大阪府職員基本条例では、この3回の違反に対して分限免職(退職金は出る)となっている。
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今を読み解く 急増する生活保護受給者」(安部彩、2012年4月8日)
安部氏が現在の生活保護の実態を、関連する本の紹介とともに解説している。
事実として日本の相対貧困率は16%、これは先進諸国34の内、上から6番目に高い。その貧困率16%に対して生活保護の受給率2%はかなり低い。アメリカでは貧困率が日本と大差ない17%であるが、国民の15%が貧困層のための食料扶助を受けている。
日本では最低生活保障の機能がほとんど生活保護へ押しつけられている。例えば、諸外国では、公的年金で高齢者の最低生活が保障されているので、高齢者が公的扶助の対象とならない場合がある。一方、日本の生活保護の受給者は半分が60歳以上の高齢者である。また、生活保護費の約半分が医療費であり、その多くが精神関連の入院費である。公的年金や精神障害者への制度の不備が「つけ」として生活保護に回ってきている。
必要なのは受給額の1%にも満たない不正受給(10年度調査)に一喜一憂するのではなく、いかに国民の最低生活を保障するかの議論であり、生活保護の手前の制度をいかに充実させるかの議論である。             
本は「ルポ 生活保護」(本田良一、中公新書、2010年)などを紹介している。
(2012年4月8日)
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人口衛星『破壊命令』の愚」(週刊金曜日2012年4・6号、中原昇)
朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)で3機目となる人工衛星打ち上げに対して、重要な指摘がある。
今回の事態で「国連安保理決議違反」という非難がある。朝鮮に対して、1回目の核実験(2006年10月9日)を非難した安保理決議1718(同年10月14日)と、2回目の核実験(2009年5月25日)を非難した安保理決議1874(同年6月12日)がある。これらの決議の対象は核開発であり、それに付随した核ミサイルである。決議には宇宙開発に伴う人口衛星のは開発・生産・打ち上げを明文で禁じていないので、人工衛星の打ち上げには法的な制限を受けない。すべての国家に宇宙開発は開放されている。そこで「国連安保理決議違反」という非難は当を得ない。
朝鮮のミサイル演習と人口衛星打ち上げを非難するなら、米韓合同軍事演習も他国の人口衛星打ち上げも非難されるべきだ。
今回の人口衛星の軌跡はどうか?韓国が2009年8月25日と2010年6月10日に打ち上げた人工衛星(いずれも失敗)は東シナ海の北方を軌跡としており、今回の朝鮮の打ち上げ予定軌跡とほとんど同じである。韓国の打ち上げは南西諸島北部の上空を通過する予定だったが、日本政府は韓国に打ち上げ中止を要求せず、ミサイル迎撃態勢もとらなかった。今回の朝鮮への対応とは全く異なる。
政府の「破壊命令」はどうか?日本が朝鮮の人口衛星を破壊すれば、日本自身の衛星打ち上げも朝鮮側の「破壊命令」を受け、もし破壊されても抗議できないという展開を考えるべきだ。
野田政権は御用マスコミを動員して「北朝鮮ミサイル脅威」を煽り、ミサイル防衛システムの予行演習、迎撃ミサイルの有効性の宣伝をしようとしている。
どうせなら、野田政権は招待されている打ち上げの公開に参加してはどうか?
 
それにして、大手マスコミの「人口衛星」の「ミサイル」への言い換えは徹底している。また3月から4月にかけて行われた(行われている)米韓合同軍事演習について、ほとんど報道されていない。マスコミの状況は、ほとんど「大本営発表」になっており、戦争前夜の状況といえる。                (2012年4月7日)
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放射年セシウムが人体の与える医学的生物的影響 チェルノブイリ原発事故 被曝の病理データ」(ユーリ・バンダジェフスイー、2012年2月第3刷、合同出版、1800円+税)                     
おススメ度 ☆☆☆
薄い本です。生物学や医学の用語が少しありますが、グラフのデータがわかりやすい。
この本によると低濃度でも、内部被曝は、心臓、腎臓、肝臓、免疫系、胎児への影響がみらる。被曝量とリスクとは直線関係ではなく、低線量での影響が上に凸の形になる。これを「ペトカウ効果」と言うようだ。
著者は、比較的低い濃度(20〜30ベクレル/Kg)であっても、セシウムが
持続的に取り込まれれば、深刻な体内への変化の危険性を指摘している。
なお、2012年4月1日からの日本の新基準は一般食品で100、乳幼児食品で50、飲料水で10 となっている。
なお、ペトカウ効果は、週刊金曜日2012年1月27日号の「過小評価される低線量被曝のリスク」(竹之内真理)にわかりやすい説明がある。  (2012年4月5日)
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公務員は特権的か」(朝日新聞2012年3月23日)
ハシモト氏は「明治時代から公務員はまずクビにされない」と公言している。しかし立命館大学の鵜養教授や成蹊大の西村教授によれば、「身分保障」という言葉が出てきたのは昭和から。今の公務員の前身は1885年(明治18年)の「官吏」であり「官吏の身分は当社、不安定だった」。「対立する政党勢力の影響が、官吏の人事に影響」及ぼしたり、「政権政党が変わるたびに前政権よりの官吏が休職、失職を強いられること」が頻発した。そこで、行政運営が不安定になるのに歯止めをかけるため1932年(昭和7年)、官庁都合の休職は第3者機関に諮るよう文官分限令を改正した(いわゆる「身分保証令」)。
西村教諭は「身分保証は政治家の恣意的な処分を防ぎ、公務員に中立公正な行政サービスを提供させるもの。先進国ではどこにでもある当たり前の制度だ」と指摘する。
もと高知県知事の橋本氏は「身分保証は、正当な理由なくクビを切れないというだけ。民間の雇用件乱用の戒めと変わらない」と指摘する。
 
 ハシモト氏は、全く勉強もせずに平気でデマし、公務員を「敵視」をあおっている。
高知県知事の橋本氏の指摘は、もし公務員のクビ切りが容易になると民間のクビ切りもしやすくなるということを示唆している。
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市長ならぬ橋下社長は経営者としても二流」
(DAYS JAPAN 2012年4月号、斎藤美奈子さんのコラム OUTLOOK)から一部抜粋します。
〜〜以下、抜粋〜〜
「世の中のしくみをわかっていない人、文化に疎い人ほど教育に口を出したがる。」
「行政と経営とはまるで相容れぬものであって、民間にできないことをやるのが行政でしょーが。」
「こういう人をまともな政治家扱いしてはいけない。」
「経営者としての橋下社長はどうか、である。」
「仮に公立の学校が工場、・・・・教職員が工場労働者だと仮定しよう。
 それなりに円滑に稼働していた工場に・・・・・商品知識も現場経験もないワンマン社長が乗り込んできた。社長は・・・・・・賃金をカットし、服務規程を強化し「ワシの命令に従えないなら辞めてもらう」と脅かした。これが現在の状況である。」
「すると、どうなるか。働く人のモチベーションは下がり、・・・・・意欲のある社員は辞めるか・・・残るのは・・・・・イエスマンばかりになる。・・・・・やる気のない職員をせっせと増やしているわけだ。」
「こんなことをやっていると、製品の質も必ず劣化し、市場での信頼も必ず失う。だからこそ、優れた経営者は現場に一定以上の裁量権を与えることで、業績を上げてきたのである。それもわからぬ橋下社長はブラック企業の社長並み。悪質?いや無能なんじゃないですかね?」       
 
⇒同感ですね。この4月号は、他に小出さんの「原発は犯罪である」も掲載されている。その中で小出さんは「がれき処理」について注意すべき点を簡潔にまとめている。
                             (2012年3月18日)
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見えない恐怖」(松井英介、2011年7月第2刷、旬報社、1400+税)
おススメ度 ☆☆☆
・・・ 「なぜ内部被ばくが危険」かを、歴史的にたどっている。広島・長崎(1945年)、ビキニ水爆実験(1954年)、そして劣化ウラン弾(1991年〜)、そして福島。原子力産業の支配から独立していないICRPに対して1997年から活動を開始したECRR(ヨーロッパ放射線リスク委員会)の勧告に注目することを主張している。福島だけに止まらない視点と情報が満載。               (2012年3月12日)
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政府は必ず嘘をつく」(堤未果著、2012年3月第3刷、角川SSC新書、780円+税)                          
おススメ度 ☆☆☆☆
・・・ 堤は、2001年以降のアメリカを「失われた10年」と言う。この10年は、日本の近未来の姿に重なり、日本に住む我々に大変参考になる。その10年で最も打撃を受けたものの一つに「公教育」がある。
 公教育への攻撃は、次の2つのステップをとった。
 第1ステップ:「敵を作ること」。例えば「公教育が荒廃しているのは無能な教師たちのせいだ」。マスコミ報道で、親と教師たちの距離を広げていく。
 第2ステップ:「スローガン」。そのスローガンは、内容はよくわからないワンフレーズで、感情を揺さぶり、高揚させるもの。「アメリカは負けない」など。
 その結果はどうか。公教育は、過度な競争と政府介入により、校長をマネージャに、教師を点数管理者にしたことで、教育の質は劣化した。落ちこぼれ生徒を急増させ、肝心の学力は上がらず、競争から脱落した子どもたちは軍にリクルートされ戦場に送られていく。(P157~160)
 どこかで聞いたような話ではないですか?
 また、この本では、その他、TPPやマスコミの状況などがわかりやすく描かれている。
 TPPは、日本の大手マスコミが宣伝している「農業vs製造業」というものとは、随分違う。アメリカの最大の輸出品目は「著作権」を含む「知的所有権」である。TPPを通じて、多国籍企業はISD条項(国内法が企業の市場利益を阻むとみなされると、企業が政府を国際投資紛争解決センターに訴えることができる)を各国に飲ませ、各国政府を多国籍企業の支配に置こうとしている。
 
 公務員よりも、民間の人やテレビ好きの人に読んでほしい本だ。(2012年3月12日)
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 職員基本条例の影響
      
 維新の会が職員基本条例を議会に提出し、更に全国に波及させようとしている。
 この条例は、公務員の職場に相対評価を入れ、2年連続で「最低評価」5%の
職員を免職にしようというものだ。もし「能力」に問題があれば、お互い教えあ
い、研修を積み重ねてスキルアップを図るというのが普通の管理だ。しかしこの
条例は、お互い敵対することになる相対評価の下で、「能力」の低い職員を首に
しようというものだ。
 この発想の根本は、「能力が劣る人は働くな」であり、その人たちに「社会的
な存在価値はない」と宣言している。免職がもたらす生活破壊について何の配慮
も見られない、なんと残酷な条例だろう。
 民間企業での正規職員は整理解雇の判例で、一定雇用が守られており、能力不
足のみで解雇はできない。
 しかし、この条例が通れば、影響は公務員に留まらない。民間でも「能力不足」
をダシに、解雇を迫る経営者や上司が出てくるだろう。若い人に過酷な労働条件
を強いる「ブラック企業」がこの条例で増加するだろう。
 この条例は公務員だけではなく、働く人すべての労働条件に関係する。隣の火
事を黙って眺めていると、すぐ自分の家も燃えていく。
                      2012年2月26日
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日本とギリシャは同じか?
「経済学的思考のすすめ」を読む (岩田規久男、筑摩書房、2011年1月)
                           2012年1月30日
ギリシャの財政危機とは?
 
 大阪氏の橋下市長はよくギリシャを引き合いに出しながら、危機を煽っている。ではギリシャの危機とは実際どのようなものか、経済学者の岩田規久男著の「経済学的思考のすすめ」(筑摩書房、2011年1月)を参考に、考えてみる。
 
 岩田はギリシャの財政危機を次のように分析する。
 2009年に政権交代で、財政赤字がGDP比13.6%であることが判明(前政権は5%超えとしていた)。そこで、投資家が不信感を抱き、国債格付けを4段階引き下げ投機的扱いにする。
 マクロ経済の状況では、2000年以降、ギリシャの内需(国内居住者の民間消費、民間投資、財政支出の合計)のGDP比は108〜112%という高い値であり、この100%を超える8〜12%分が外国からの借金による輸入で賄われる。経常収支赤字の対GDP比は15%(08年)、11%(09年)に達する。
 つまりギリシャ国民は消費好きで、外国から借金をして、消費と財政赤字と経常収支赤字の資金を調達していた。(財政赤字と経常収支赤が赤字という点では、アメリカと英国とギリシャは同じである。日本は財政赤字ではあるが経常収支は黒字であり、ギリシャと日本は異なる)。ギリシャの財政危機の根本原因は、「国民が身の丈を超えて消費し、少しも貯蓄せず、自国の国債を引き受けようとせず、財政も経常収支も赤字であること」(P29)による。
 
 では財政破綻を避けるためには、どうするか?岩田氏は次の3つを指摘する。
1)歳出の大幅カット、2)増税、3)中央銀行の国債引き受け、のいずれか。
 ギリシャ政府は、1)と2)にあたる公務員の削減や賞与の段階的廃止、年金の削減や受給年齢の引き上げ、付加価値税の増税 という緊急財政を進めようとしたが、暴動が起きた。これは09年以降2年続きのマイナス成長(両年とも−2%)と、失業率が12%という不景気と雇用の悪化、さらに格差問題が背景にある。この状況では大増税や大幅歳出カットは大混乱と経済の大幅縮小をもたらす。
 ユーロ加盟国のギリシャは独自の金融政策をとれないので、3)も不可能。そこで、ユーロ圏の国々とIMF(国差通貨基金)がギリシャ支援をせざる得なくなった。
 
では日本はどうか?
 日本はギリシャと大きく異なる。日本の民間部門は黒字だが、ギリシャの民間と政府は赤字でその赤字を外国に埋めてもらっている。ギリシャは1)や2)をとれば国内の大混乱と大幅な経済収縮がおこるが、日本では、1)も2)も3)も採用できる。
 実際、「3)中央銀行の国債引き受け」は、日本もアメリカも行っている。日本経済新聞2月9日号は、現在、米国のFRB(連邦準備委員会)の米国債保有額がリーマン危機前の3.7倍、発行残高の2割に迫っていること、日本では日銀の国債保有額が08年の8%から11年末に10%に上昇したことを報じている。
 すなわち、とりうる対応策でもギリシャと日本は異なる。 
 
 公務員数でも日本とギリシャは、大きく異なる。
 本川裕氏の社会実情データ図録 http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5190.html では、公務員数の国際比較のデータを示している。ギリシャは人口当たり公務員数が英国、ドイツと同じぐらい多く、日本は反対に最も少ない国に属する。(注)
 公務員数でも、日本とギリシャは大きく異なり、ギリシャの公務員数を持ち出して、日本の公務員を攻撃するのは、まったく根拠がない。
 
 橋下氏は、2011年12月、議会での演説で「日本をギリシャのようにしないためには、公務員と組合をのさばらしてはだめだ」と発言した。彼は「日本とギリシャの問題を同じ」とし、「ギリシャの財政破綻の原因を公務員と組合」にしている。
 しかし、石田氏の分析や公務員数のデータで示されたように、日本とギリシャを同一視している点で、これはまったくの事実に基づかない非難だ(デマとも言える)。
 なお、橋下氏の手法がここにも示されている。危機をあおり、聞き手を一時的に思考停止にさせ、ヘンな主張を注入する、という手法だ。
 なお、ハシモト氏はデマを平気で自信満々で言える「才能」を持った人だ。
 
 私たちは、日本がこれ以上悪くならないように、そろそろ「危機煽り」のパフォーマンスから目を覚まし、事実をきちんと検討する必要がある。
 
(注)「労働力人口の4分の1、110万人超が公務員との説」(東京新聞2011年10月14日)に対して、OECD調査での2005年の調査では、14.1%、約72万人となる。ギリシャの2大労組の一「ギリシャ公務員連合」の事務局長は、インタビューに対して「67万人」と答えている(東京新聞2011年10月14日)。
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どうなる! 大阪の教育」(池田知隆 編著、フォーラム・A、2011年11月第1刷、600円)から                    (2012年1月30日)
                               
野田正彰:日本は再三、子どもの権利条約委員会から勧告を受けています。去年(2010年)6月の第三次勧告を見ると、日本の教育は競争ばかり煽り、そのために意見を持った人間としての子どもの権利が阻害され、幸福感が低いと言っています。このことを真剣に考えないと。                   (P11)
    
大阪の教育費は削減され続けています。
 橋下さんは「大阪を教育日本一に」を訴えておきながらも、実際にはこの3年間で教育予算を583億円も削ってきています。2009年3月、「財政再建」を口実に三百人以上の府立学校の非常勤補助員を雇い止め解雇にしています。・・・正規の教員を雇わずに非常勤の教員を増やしてきています。そのために臨時の事態に備えて待機している教員がいなくなり、教員の産休や事故などで急に現場に穴が空いたとき、埋めることができない事態が大阪府内各地に広がっているそうです。児童生徒一人当たりの教員数を全国平均にするためにはさらに5000人の増員が必要だといわれています。 (P14)
 
カットにつぐカットの教育予算
 就学援助率は、全国学力テスト日本一の秋田県の約7倍(2008年)という事実は何を物語るでしょう。これに対して、大阪府の教育にかける予算は、全国でも低く、人口1人当たりの教育費は全国42位、一人当たりの学校費は、小学校43位、中学45位という実態です(2011年7月、大阪教員組合)。この3年間で583億円も教育予算が削られているのです。                        (P33)
 
→ハシモト氏は「教育クーポン」を支給しようとしている。教育への財政的補助だが、現在でも不十分な公教育の条件を向上させようとはしていない。教育が困難な地域の公教育を充実させようとはしていない。根本に、公教育の破壊を目指している。
 
自分で任命したのよ、責任は知事に
 大阪府の教育政策については、これまでも知事が任命した教育委員と事務局によって作成され、府議会のチェックを受けています。知事と議会を通じた民意の反映の仕組みは、すでに機能しているといえなくもありません。知事は、教育委員の任命権者ですから、自分が任命しておきながら「民意を反映していない」かのように言うのも変です。(P54)
 
ハシモト氏の人間観
 その人間観・教育観は知事になる前に出版した「14歳の世渡り術 どうして君は友だちがいないのか」で知ることができます。「僕が考える友だちの本質とはーーメリットなし・面倒ばかり・いっしょにいてもなにも与えてくれるわけではない」だそうです。(P57)
→ このような人物が、「教育の目的」を作ろうとしている。
 ハシモト氏は、二言目には「競争」である。競争の本質は、他人は「敵」あるいは「利用すべき対象」と思うことである。ハシモト氏は、友だちの本質である「同じ地平に立つ相手」、「協働する相手」という経験ができない人物だろう。人間関係を上下関係でしか見ることができない。さらに他人と協働する人が憎くてたまらないようだ。
 教育の大切や要素であり、仕事や社会生活で求められる「他人との協働」、「他人への信頼感」を、ハシモト氏は憎くて壊したくて仕方ないようだ。この壊す道具が、過度な「競争」を煽る様々な仕掛けだ。
 ハシモト氏を気分的に支持する人たちの人間観はどうなっているのだろうか?
 他人はすべて敵という教育現場で育っていく子どもたちは、協働が要求される労働現場で、不適応や不要なトラブルを起こす可能性が高く、日本社会をぎすぎすしたもの、暴力的なものにしてしまいそうだ。
 そうならないように、努力しよう。
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世界同時不況」を読む  (岩田規久男、ちくま新書、2009年3月)  (経済)
                             2012年1月29日
アメリカの大恐慌
 1929年の株価暴落以降、景気が急速に悪化した原因について、2つあげられている。1)消費や投資などが急減したから
2)連邦準備銀行(FRB,アメリカの中央銀行)が金融引き締め政策で、貨幣供給量を急激に減少させたから
 1980年以降の経済学会で、2)の貨幣供給量減少説が妥当という見解が支配的になったという(P86)。
 1930年代の大恐慌は、債務(借金)がデフレと資産デフレを激化させる債務デフレ(デットデフレ)であった(P100)。
 この対応として、1933年、大統領ルーズベルトにより、金本位制から変動相場制に移行し、貨幣供給量の増加(量的緩和策)、リフレーション政策(インフレ率があまり高くならない範囲で貨幣供給量を増やす政策)がとられた。1934年には実質経済成長率が9.2%へと回復した。
 岩田は、「ニューディール政策」(公共事業による財政支出拡大政策)よりもこのリフレーション政策が、大不況を終焉させたと判断している(P111〜P116)
 
日本の昭和恐慌
 日本は、昭和恐慌(1930年、31年)で、急激なデフレ不況に見舞われた。高橋財政は、32年末に金本位制を変動相場制に移行させ、円安で輸出を拡大させ、財政支出拡大と日銀による国債引き受けで超金融緩和政策を行った。東京小売物価指数は36年(2.26事件で高橋が暗殺される年)には、昭和恐慌が始まった30年1月とほぼ同水準に戻っている。
 高橋がリフレーション政策により昭和恐慌を救ったと、岩田は判断している(P123〜P130)。
 
 岩田は、これら2つの事例から、2008年に起こったリーマンショックに対して、国債の日銀引き受け(量的緩和政策)と、1%から3%程度のインフレ目標、円安を主張している。                       
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国会議員削減」議論はおかしい              (政治)
                         2012年1月22日
1月21日の朝日新聞、声欄に「国民主権損ねる議員定数減」という投書が載った。
 いくつか重要な指摘をしている。
 
 >「国会議員の定数の削減は、国民をますます政治から遠ざける」。
 >「政治家の本当の身の削り方は、歳費を大幅に減らし、政党助成金を廃止するべきだ」。
  ごもっとも。
 
>「そのうえで定員を増やし、国民を政治に近づける」。
>「世界の中でも日本の議員数は少ない方だ」。
 ここで「定員を増やす」との指摘がすごい。
 
>「マスコミはもっと国民主権拡大の見地から論ずるべきだ」。
 同感です。
 
 この日の投書に、「有期雇用では労働者守れぬ」という重要な指摘もあった。
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「消費税をゼロにしても財源は30兆円もある」(週刊金曜日、1月20日号)
 「輸出戻し税」や高額所得者の大減税の廃止などの不公平税制是正で可能という試算。
・・・「輸出戻し税」は商品の輸出で、・・・他の事業者が負担した消費税が全額戻ってくる仕組みです。2010年度の還付金は3兆3762億円で、消費税収の28%に相当します。・・・最も恩恵を受けているのがトヨタ自動車・・2位ソニー・・・上位10社だけで、全体の4分の1にあたる8014億円(09年)の還付金です。・・・消費税を10%に上げれば、ただで懐に転がり込む還付金が2倍の6兆7524億円になる。まぎれもない補助金であり、・・・廃止すべき。(この輸出戻し税は、マスコミではタブーか?また、経団連が消費税増税をいう理由の一つだろう。)・・・課税所得2000万円超の納税者の2兆2250億円減税をやめれば、子どもと高齢者の医療費無料化・・・生活保護の老齢加算の復活などが実現可能。高額所得者が1986年並みに税金を払うだけで可能です。・・・このような大企業や高額所得者の大減税をやめてきちんと税金を払わせると、2010年度の・・・試算では、28兆1108億円の財源を創出できます。
(ここではあまり触れられていないが、試算では「受取配当金不算入の廃止」で、法人税、地方税合わせて約4兆円が確保できるようだ)。
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「未完成F35選定の理由は敵基地攻撃か」(週刊金曜日、1月13日号)

 ・・F35は開発が大幅に遅れており、米国防総省は米議会に「2018年ごろの開発終了」と報告、防衛省の納期の「17年3月」に間に合わないのはほぼ確実だ。・・・防衛省はF35を購入したり、運用したりする総費用を1兆6000億円と公表。・・・震災復興に必要という所得税の25年間の増額や・・・消費税の引き上げをめぐる議論が活発な一方で、巨費を投じる戦闘機についての議論は皆無だ。いつから防衛政策は「聖域」になったのか。   
 公務員の給料には文句を言い、この戦闘機にはなんら文句をつけないマスコミ、政治家はおかしい。
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世界経済を破綻させる23の嘘」(ハジュン・チャン、2011年1月第3刷、徳間書店、1700円+税)                    
おススメ度 ☆☆☆☆
・・・ここ30年、「自由市場資本主義」(新自由主義)が、アメリカ、イギリス、日本のマスコミの論調を支配し、多くの人の「常識」を形成してきた。日本では「小泉改革」、「ハシモトの改革」である。例えば、次のような「常識」である。「市場は自由でないといけない」、「富者をさらに富ませば他の者たちも潤う」、「経済を発展させるには小さな政府のほうがよい」など。
これらに対して、チャンは反論する。「自由市場なんて存在しない。何らかのルールや制限がある」、「富は貧者にまでしたたり落ちない」、「大きな政府こそ経済を活性化できる。うまく設計された社会保障制度は、人々をより変わることに前向きにさせる」など。
チャンは、2005年、経済学の未開拓分野を切り開いた者に与えられる「レオンチェフ賞」を41歳の最年少で受賞。
他に「はしごを外せ」(2009年第1刷、日本評論社)がある。  (2012年1月8日)
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就職とは何か」(森岡孝二、2011年11月第1刷、岩波新書、760円+税)
おススメ度 ☆☆☆
・・・大阪のハシモト氏は、「民間」がさも優れており、公務員はだらしないという「偏見」を広げようとしている。しかし、民間での若者の就職状況の過酷さをこの本はデータとともに示す。公務員の労働条件の切り下げは、民間の労働条件をさらひどいものにするだろう。
森岡氏は働く人の「健康で安全な生活」を確保するために、「過重労働対策基本法」(過労死防止基本法)の制定、最低休息時間制度(EUでは24時間につき最低連続11時間の休息を付与)、時間外労働の賃金割増率の引き上げなどを、提言している。
                            (2012年1月8日)
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