「中国における国旗・国歌と教育」の講演を聴いて
S・A
先日、兵庫県歴史学会で「中国における国旗・国歌と教育」というテーマの講演を聴きました。中国における「国旗」・「国歌」の歌詞内容・教育内容・その変遷・法制化などについて、中国に交換教師として赴任した講演者が、研究されたものである。
講師の加藤正宏さん(県立錦城高校教諭)は、中国国歌は抗日戦争から歌い継がれてきたものであるが、1978年から82年頃毛沢東を褒める歌詞に変わり、現在は元の歌詞に変わっている、国歌といえども変わるものであると述べました。
また、国旗法の制定・国旗の昇降儀式を厳格に教育現場で行うように求めた通達が出されたのは、1990年である。中国では、1989年に天安門事件があり、共産党政府は危機感を強めた。中国において「国旗」の法制化は、そのような政治的影響によるものと思われると語りました。
日本の状況を考えると、1999年5月24日「周辺事態法・改正自衛隊法・改定日米物品役務相互提供協定」、いわゆる「新ガイドライン関連法案」が制定されました。1999年8月10日、自自公政権の下で「日の丸」・「君が代」が法制化。2000年1月には「憲法調査会」が第147国会で設置。また、2000年5月、神道政治連盟国会議員懇談会において森首相は「日本の国は天皇を中心とする神の国であるということを国民にしっかり承知していただく」と発言しました。このような流れを見ると、「国旗」・「国歌」の法制化は、極めて政治的な意図が感じられます。
昨今の微妙な情勢の下で、「国旗」・「国歌」の強制が持つ意味を、極めて簡潔に示した講演でした。
(2000/5/26)
 
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