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ナイスガイ Mr. Nice Guy
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 久しぶりにジャッキーの映画を観ました。映画の中のジャッキーのアクションは相変わらず派手で、それに華があって、魅せてくれます。生身ゆえの臨場感はジャッキーならではで、健在ぶりをアピールしていました。いいぞいいぞ。
 でも率直に言ってこの作品は、脚本が根本的に駄目でしたね。先の見える展開、深みのない人物造形、加えて凡庸な演出で、アクションシーン以外は見るべきところがなく、退屈でしかありませんでした。
 さらに言えばそのアクションシーンも、アクションのためのアクションといった感じで、物語から乖離している感が強いのです。それに、ジャッキー映画を見慣れてしまった今となっては、体を張ったアクションもそれほど新鮮には映らず、ピンチのはずのシーンもむしろ安心して観ていられてしまうという面もあります。スーパーヒーローゆえの緊張感の欠如という意味では007に通じるものがありますね。
 リー・リンチェイがその見事な体術を活かして「リーサル・ウェポン4」で華麗なデビューを飾ったのと対照的に、ジャッキーは今になっても「ジャッキー映画」から脱皮出来ずにいるようです。もちろんそれも香港映画スターとして一つのありようだとは思うのですが、せっかくの無二のキャラクターが香港映画の狭い枠の中に収まったままでいるのは、いかにももったいない気がします。
 カンフー・ブームの頃からのファンとしては、その体術が健在なうちに、しっかりした脚本の上で、ジャッキーが他のハリウッド・スターと対決する場面を見てみたいと切に思うのでありました。

 それにしてもジャッキーは石丸博也の吹き替えに限りますな。吹き替えの定着度はコロンボなみじゃないかしら。



(98.09.04)