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リーサル・ウェポン4 Lethal Weapon 4
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 お久しぶりのシリーズ4作目です。
 私はいちおう今までの3作は全て観ているのですが、特に思い入れがあるシリーズというわけではなく、正直なところ、どのシーンがどの作品にあったのかが頭の中でごちゃごちゃになってしまっているような状態です。
 でも、この4作目はそれ単体としても十分に楽しめました。それは、それぞれのキャラクターの個性付けがしっかりしていて、役割分担が明確にされているためでしょう。キャラクターたちが主体になってシナリオを進めていくという構成が、とても分かりやすく面白く描かれているのです。個性のぶつかりあいがそのまま場面を作っていくんですね。この軽快なノリが実に良かったです。
 アクションシーンも派手で目を楽しませてくれます。単に派手なだけでなく、その着想に新鮮さがありました。特に高速道路でのカーチェイスシーンでの、ビニールとテーブルのアイデアはお見事でしたね。ほとんどギャグのようなシーンでしたが(私は「こち亀」の漫画を思い出しました(笑))、それでも作品の雰囲気に溶け込んでいたので違和感なく楽しむことが出来ました。
 そして何より今回の目玉は、悪の幹部を演じたジェット・リーことリー・リンチェイの存在ですね。私は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ(ワンチャイ)」シリーズでの、彼のその人間離れした素晴らしい体術にすっかり魅了されており、今回のこの「リーサル4」もほとんど彼が目当てで見に行ったようなものです。そしてその内容は、私の期待をほぼ完璧に満足させてくれるものでした。彼を単なる悪役としてではなく、誇りとポリシーを持った人物として公平に描いていた点は、大いに評価されてしかるべきでしょう。「ワンチャイ」の中でのリンチェイの魅力を殺さずにそのまま「リーサル」の世界に持ってきたという感じで、観ていて胸が躍るのを感じました。
 ラストの対決が、1対2とはいえちょっとあっけない感じがしたのが唯一残念だったところですが、まあ、まともに生身で闘ったら、普通の人間ごときがたとえ二人がかりだろうが、彼に勝てるわけはありませんからねえ。何しろ中国一強い人なんですから。仕方ないところかも知れません。
 キャラクター主体のシナリオゆえに、物語全体としてはこれといって特筆する部分はなかったのですが、硬派なアクションにほのぼのギャグという無理矢理な組み合わせを、この作品はうまくまとめあげていたと思います。
 それにしても監督のリチャード・ドナーは、もう60に手が届くお歳だというのに、まだこれだけスピーディでパワフルなアクション映画を撮ることができるんですね〜。まさに職人芸という感じです。



(98.09.04)