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黒猫・白猫 Chat Noir, Chat Blanc
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 金と犯罪、恋愛と結婚とをめぐる、ラテンなノリのドタバタ劇です。

 いい評判を多く聞いていたので、観るまではかなり期待していました。しかし残念ながら、どうも私の肌には合わなかったようです。
 コメディの体裁を取ってはいるんですが、これが全然笑えません。いろいろなアクシデントに振り回される人々の姿が、面白いというよりも、逆に痛々しくて可哀想だったり、デタラメすぎて腹立たしくなったりしてしまうのです。
 物語のテンポもちぐはぐだし、特に前半、焦点となる人物が不明瞭なので、どこが盛り上がりなのか一向に掴めません。まるで行き当たりばったりに話を進めているような感じです。
 それからもうひとつ困ったこととして、俳優たちの顔の区別が付きにくいという点が挙げられます。ラテン系の顔つきでヒゲ面の人が多いせいで、うっかりしてるとすぐ誰が誰やらゴチャゴチャになってしまうのです。これもストーリーの流れを把握しづらくしている一因でしょう(『ムトゥ』にそっくりな人はすぐ分かるんですけどね……)。

 唯一笑えたポイントというと、冒頭、“ 一人ポーカー”に興ずる男のシーンくらいかなあ……。あとは何だかよく分かりません。もともとメッセージ性など皆無の映画なのに、さらにコメディとして笑えないとあっては致命的です。
 とりあえずラストは「ハッピーエンド」となって終わるのですが、そこに至るまでにはブラックな部分も多く、単純に「良かったね」とは言えない後味の悪さが気持ちのどこかに残ってしまいます。

 悪ノリ気味のコメディというのは微妙なもので、うまくツボにハマれば大笑いできますが、そうでない場合はただ不愉快になるばかりだったりします。その意味でこれはちょっと、観る人を選ぶ映画だったみたいですね。



(01.07.27)