Text - Movie


"Movie" Menu] ["All Movies"


美術館の隣の動物園 Art Museum by the Zoo
●●●●●



 軍役に就いていた青年が、恋人の待つアパートに久しぶりに戻ってみると、そこに彼女の姿はなく、代わりになぜか今まで会ったこともない女の子が住んでいた。そのコが言うには、部屋を家具ごと譲ってもらったというのだ。実は恋人は彼を捨てて、他のオトコのもとに行ってしまっていたのである。
 戻るべき場所を失った失意の青年は、やむをえず当面の間、その女の子の部屋に居候させてもらうことにする。ところが、作家志望だというその女の子、見た目こそそれなりにカワイイものの、ロクに風呂にも入らないわ、ペットボトルは平気でラッパ飲みするわという、どうしようもなくガサツな娘だったのだ。こうして、二人の奇妙な同居生活が始まった……。

 『シュリ』のヒットの影響か、このところ日本での上映が盛んに行われている韓国映画ですが、これもそうしたうちの一本。なんともほのぼのとかわいらしい感じの、ライトな青春恋愛ストーリーです。
 韓国製と聞くと何となくおカタいイメージを連想してしまう私には、こうした映画が韓国でも作られており、しかも日本人の私たちにも十分共感できるような内容になっているということを、ちょっと意外に感じてしまいました。やはりどこかに変な先入観が残っていたようで、実際カタいのは自分の頭の方じゃねーかと、深く反省した次第であります。

 この映画でユニークなのは、ヒロインが書くシナリオが一種の劇中劇として、いつしか物語そのものにオーバーラップしてゆくという点ですね。そうした中で、主人公二人の気持ちの動きが、間接的な形で描かれるわけです。ただこの試みは、アイデアとしては秀逸なものの、うまく相互のリンクが噛み合っておらず、成功しているとは言い難いのが残念なところです。
 もう一つ残念な点として挙げられるのは、映像の面でも演出の面でも、どこか垢抜けない印象を受けてしまうことでしょうか。言い方は悪いですが、15年ほど前の、日本でいうトレンディドラマの再放送を見ているような、そんな感じがしてしまったのです。シナリオ自体は良いだけに、これでもうちょっと洗練されたタッチで描いてくれていたら、受ける印象はまるで違ったものになっていたでしょう。それが実に惜しい。
 でも、これからの韓国映画の方向性としてこういう作品があるということは、今後が十分期待できると見ていいでしょうね。楽しみです。

 それにしても、ヒロイン役のシム・ウナはかわいかったな〜。顔の造りが特別いいというわけではないのだけど、ちょっとした表情や所作が何ともいえずキュート。あれは日本人受け、十分狙えると思うぞ。
 ……って、素直に「自分好み」って書けよ、俺。(笑)



(01.01.28)