Text - Diary - Past - March,2001
| 01.03.04 | ・ | 酒ドランカー |
| 久しぶりに泥酔してしまいました。 昨日の夜ふと淋しくなった私は、いきなり思いつきでK氏を呼びつけました。そして、彼のペースなど考えず、がばがば飲む飲む俺。ビール、ワイン、ウイスキーと、その量・スピードともに、K氏の倍は軽く飲んでました。 当然のごとく、夜の12時を回る頃には、私はすっかりへべれけになっていたらしい。 しかしなぜか私はそんな状態のくせして「カラオケ行くんだ」とか言い出したらしい。 で、K氏のこぐ自転車の後ろに乗せてもらい、近くのカラオケ屋に着いたはいいものの、部屋の順番待ちをしてる最中に気分が悪くなって、「やっぱり帰る」とか言い出したらしい。 家に帰り着く直前に自転車から落ちて、体中をしたたか打ったらしい。 そして、部屋に戻るなりトイレに直行して、げろんぱして、速攻で寝てしまったらしい。 「らしい」ばっかり。こんなに記憶が混濁するほど飲みまくったのはいつ以来だろう。 ……何より、こんな男に付き合わせてすまなかった、K氏よ……。 でも一夜明けて目を覚ましたら、昨日の酔い具合が嘘のように、晴れ晴れした気分でした。限界まで飲んだのがかえって良かったんでしょうか、二日酔いのカケラすらも残ってないのです。 いつもなら、ちょっと飲んだ程度でも、次の日に必ず引きずるんだけど……。なんだかフシギなり。ビールをあまり飲まなかったのが良かったのかも。 てゆうか、そういう問題じゃねえよ、まきひさ。 |
| 01.03.05 | ・ | シンプル・プラン |
| 今日は、とある会社に、初めての訪問だったのです。 地理関係がさっぱりな私のために渡された周辺地図は、ひどくシンプルなものでした。下の図がそれです。
駅前に大きな十字路があり、目印としては、バス停と交番が一つずつ。それだけ。交番からちょっと進んだあたりに「当社」と書いてあります。ずいぶん大雑把な地図だなあ、と一見して思いました。いちおう言っておきますが、これ、元の地図そのままですからね。何も足し引きしたりしてませんよ。 とはいえ、「最寄り駅から徒歩3分」とも併記してあるし、それなら適当に歩いてたって見付かるだろう。いざとなれば、すぐそばに交番もあるわけだし。この地図を見たら誰でもそう思います。私も例外ではありませんでした。 ……しかし、これが大きな罠だったのです。 まずいきなり、最初の目印となるべきバス停までが、すっ…げ〜〜〜〜、遠い! 半端じゃなく遠いんです。地図上ではせいぜい駅のターミナルあたりにあるとしか見えないのに、です。 なにしろ目的のバス停に着くまでに、その路線のバス停を4つ、通り過ぎました。要は、駅から5個目のバス停だったって事ですね。おかげで私はバス停を発見するたびに、 「ここかっ! ……って、まだ半分しか来てねーのかよ!」 なんて独りボケツッコミを繰り返す羽目になってしまったのです。 さらには、橋の架かった河を2本、大きな幹線道路を1本、渡りました。……上の地図から、そんなこと想像できます? こんな無茶苦茶はないでしょう、さすがに。 第1チェックポイントであるバス停にようやく到着した時には、駅を出てからゆうに20分が経過してしまっていました。 そこから交番はすぐに見つかったものの、今度はゴールまでがまた、遠かった……。やっとこさその会社に辿り着けたのは、そこの商店街を、西の果てから東の果てまで休みもなく歩き続けた頃のことだったのです。 ゴールが見えない道を歩くのは、普通の倍くらい体力を使ってしまうもの。というわけで、会社到着まででもうすっかり消耗してしまった私は、応接室で待たされてる間、うっかり居眠りしそうになっちまいましたよ……。 私も今までいろいろな会社案内地図を見てきましたが、あそこまでアバウトだと、かえっていさぎよい感じが――って、そんなわけねーだろ! 書いてあった「徒歩3分」ってのは何なんだよ、いったい! 仮にバス停からだとしたって15分はかかってるんだぞ! うがー! ……と、とにかく。ああいう地図の描き方ひとつとっても、その会社の体質というか社風ってのは表れてくるもんです。各社の地図作製担当の方、くれぐれもお手抜きのないようにね。……それを頼りにする営業マンの身にもなっておくれ。オネガイ。 |
| 01.03.06 | ・ | 遠い、とおい音楽 |
| もう10年ほども前になりますか。私は当時、宮崎に住むSさんという人と、手紙のやり取りをしていました。 文通、なんて大げさなものじゃなく、今ならさしずめメル友とでもいうところです。 音楽の趣味が近かった(要はザバダックのファン同士だった)ことがそもそもの始まりだったのですが、話題はそれだけにとどまらず、いろんな事を楽しく話し合いました。手紙をやり取りするという事自体が私にとって新鮮だったということもあって、返信が来るのを心待ちにしていたものです。 そんな交流が2年ほども続いたでしょうか。特にこれといったきっかけがあったわけでもないのに、どちらからともなく筆を執ることがなくなり、Sさんとの交流は、いつしか立ち消えとなってしまいました。 しかしつい先日、私はほんの気まぐれから、Sさんに連絡を取ってみることを試みました。しかも、電話でです。 もう何年も音沙汰がなかった人間からいきなり電話がかかってきたらびっくりするだろうなあ、というか気味悪がられても文句は言えないよなあ、などいろいろと悩みはしました。でもその時の私は、それでもどうしてもSさんの消息が知りたかった。そして生の言葉を、Sさんが健在であるという証を聴きたかった。その一心で、ええいとばかりに、私は電話番号をプッシュしました。 Trrrrrr... 「……はい」 「あ、あのっ、遅い時間に申し訳ありません。私は――」 本名を告げると、電話口の向こうで、「わあっ!」という声が上がりました。 それは悲鳴ではなく、歓声でした。 「Sです! お久しぶりです〜」 いた。いてくれた。私はもうそれだけでも大満足だったのですが……さらに嬉しかったのは、遠い過去の存在であるはずの私という存在を、Sさんがちゃんと覚えていてくれたことです。名字を名乗っただけで、即座に反応が返ってきましたから。 その後しばらく、お互いの近況や昔話などを語り合いました。残念ながらSさんはネットに繋ぐ環境を持っていないとのことでしたが、私がサイトを開設していることを告げると、「必ず見に行きますよ〜」と言ってくれました。 とにかく有意義な電話でした。思い切って勝負に出てみて、ほんとに良かった。 そして、今日。Sさんから手紙が届きました。「ようやくサイトを見ることができました」との報告でした。内容についてもやたらと褒めちぎってくれていて、かえって気恥ずかしくなってしまうほどでした。 もう既に無いものと思っていた繋がりが、ちゃんと存在していた。そして、それを知ることができた。 たったそれだけのことで、と大げさに思われるかもしれないけど、この幸福感は、ちょっと言葉じゃ表現し切れませんね……。 そしてまたSさんからの手紙を見ては、しばらくニマニマしっぱなしになる私がいるのでした。 |
| 01.03.07 | ・ | 二次元に切り取られたその風景に。 |
| 昔の写真を整理していました。 私はもともとそんなに写真を撮ったりする方じゃありません。撮られるのも苦手ですし。 とはいえ、大学卒業のあたりからごく最近のに至るまでの写真をまとめてみれば、それなりの量にはなるわけで。結果的にはミニアルバム4冊くらいのボリュームになりました。まきひさクロニクル。おお、なんかカッコイイぞ。どこがだよ。 写真を見ていると、そこに映る光景に込められた様々な記憶たちが、いっぺんに甦ってきます。 それはほんの7、8年分のものでしかないのに、ひどく心を揺さぶられるのを感じました。 懐かしさからくる嬉しさや楽しさももちろんあります。……でも、それと同時に、なんだか泣きたいくらい辛い気分にもなってきてしまったのです。 一枚の画像の中に収められた人々の顔、顔。深きにつけ浅きにつけ、何らかの形で私と繋がりがあった人々。 ……そういった人たちの中に、おそらく再び会う機会はないであろう人や、会いたくても二度と会うことのかなわぬ人の、なんと多いことか。それを思って、胸が痛くなるほどの哀しみに襲われました。 SSG氏の一件以来、すっかり疑心暗鬼になってしまっている私がいます。 「しばらく会ってないけど、まあそのうちまた会えるだろう」 なんて呑気に構えていると、実はそのまま二度と会えなくなってしまうこともあるのだ、という現実を知ってしまったから。 私はこれ以上誰も失いたくありません。だから、音信不通になっている友達の事をふと思い出したりすると、不安でたまらなくなってしまうのです。他人の人生、むやみに心配してたってどうにもならない、と分かってはいても。 そういうこともあって、昨日の日記にも書きましたが、かつて交流のあった人が今でも息災であることを知ると、すごくホッとします。 人はよほど強い人でない限り、人同士の繋がりの中でしか生きてゆけない。だからこそ、友人や知人たちとの交流を大事にしていきたい、ほんとにそう思います。 とかなんとか言いつつ、そういう大事な繋がりを無神経な言動でブチ切ってしまうオロカモノは、いつも自分だったりするんですけどね。ダメだこりゃ。 |
| 01.03.08 | ・ | 米研ぎとリストラと。 |
| 家事手伝いや一人暮らしなどで経験ある人には頷いてもらえると思うけど、「米を研ぐ」という作業は、結構メンドクサイものなんですよ。 ボウルの中でガシガシ研いでは、米粒が流れないように慎重に水を捨て、また研いで……というのを、少なくとも5〜6回は繰り返さないとならない。さらにこれが冬場となると、水道水が猛烈に冷たいせいで、研ぎ米を掻き回してるうちに、指先がちぎれるかと錯覚するほど痛くなってきたりする。これがもう、億劫で億劫で。どうして『米研ぎ機』みたいなものが発明されないのか、以前から不思議で仕方ありませんでした。 しかし最近になってようやく、無精な私などに嬉しいものが生み出されました。研がずにそのまま炊けるという、いわゆる「無洗米」というやつです。これまた、どうして今までなかったのかが不思議なくらいですよ。需要は間違いなくあったはずだと思うんですけどねえ。 で、とりあえず、モノは試しということで、近くのスーパーで2キロばかり買ってきました。ちょっとウキウキしつつ、さっそく飯炊きの作業に入ります。 しかし作業も何も、なにしろ無洗米ですから、炊飯ジャーに米入れて水張ってスイッチ入れて、ハイ終わり。……うわ〜、なんというラクさなんだろう……。まあ、ちょっと多めに水を入れるとか、ちょっと長めに水に浸けておくとか、多少のコツは必要ではあるんですが、そんなもの、米研ぎの労力に比べたら問題にもなりませんよ。素敵すぎるぞ、無洗米! 炊けるまでの間、友人と電話で世間話などしつつ、悠々と待つこと2時間あまり。 やがて炊きあがったご飯を、私は嬉々として試食に入りました。いただきまーす。 ……。 あんまり、おいしくない……。 なんかね、いまいち水気が足りないというか、もそもそしてて、食感がどうにも悪いんですよ。 水加減が悪かったのかな? それとも銘柄のせい? うーん……。 まだ1回目という事で軽々に判断は下せませんが、しかしやっぱり、「ラクしておいしいものは食えない」という教訓を食らった気がしてならねえです。2キロしか買わなかったのは正解だったかも……。
ところで、まるきり話は変わりますが。 私が去年まで勤めてた会社が今、リストラの嵐で、凄いことになっちゃってるらしいです。なにしろ飯炊きの間に電話してた相手というのがその犠牲者の一人なのですから、情報源としてはこれ以上ないほど確かです。 彼女が言うには、もう何の前振りもなく社長室に呼び出され、社長が開口一番「きみに辞めてもらうことになったから」、だったそうな。会社の経営上の都合で、とかなんとか理由付けてたらしいですが……それにしたっていきなりは酷いでしょう。普通は1ヶ月くらい前に通達があって、それからって手順になるはずです。そういう手続きすっ飛ばして、突如「クビ!」ですか。彼女も気の毒に……。 もっとも、そういうテキトウなこと、いかにも平気でやりそうな会社ではあったけどね。私も実際働いてた経験があるだけに、妙に納得できちゃったりもします。 断言しますが、彼女自身に非があったわけでは決してありません。彼女は私とほぼ同期入社だったけど、仕事はてきぱきとよく出来るし性格も明るいしで、いい意味で社内のムードメーカーと言ってもいい存在でしたから。辞めさせる意味がない。というか、彼女いなくなったら会社の損失です。 また、辞めさせられたのが彼女だけではない、というのも非がない根拠の一つですね。彼女と同時に、別の社員二人もやはり同じ日に突然解雇宣告されたそうです。ますますひでぇ話だな。 なんにせよ、いっぺんに3人も辞めさせるなんて、やはり非常事態としか考えられないでしょう。しかもそうとう切羽詰まってると見ましたね。彼女からの情報によれば、最近は売り上げもガタ落ちで、ろくに仕事もなく、暇を持て余してたらしいですし。いよいよ年貢の納め時かねえ、あそこも。――ま、そんなニュースを聞いたところで、私の胸はちぃとも痛みゃしませんけど。 そんなことよりよっぽど痛いのは、気が付いたらその友人と、2時間以上も電話しちゃってたってことです……相手は携帯だとゆーのに。うぐぅ。 今月は他にもいろいろと電話使いまくってるし、請求書が怖いなあ……。 |
| 01.03.09 | ・ | ウィズというゲーム。 |
| 今ごろになって、『ウィザードリィ』をクリアしました。 外伝だとかゲームボーイ版だとか、そんなナウいやつじゃありません。元祖ウィザードリィのシナリオ3、“リルガミンの遺産”というものを、初めてクリアしたのです。 私がウィズの初心者だ、というわけじゃないんですよ。むしろ逆で、さかのぼればPC8801版の頃から遊んでた程のヘビープレイヤーなのです。シリーズも、シナリオ1から7くらいまでは一通り遊んできたつもりです。 でもなぜか、“3”だけは、まったくプレイしたことがなかったんですね。理由を考えてみるに、たぶんシステムが面倒に思えたからでしょう。それまで育ててきたキャラクターを使えない上、二つのパーティを別々に育てなければならない、というシステムが。いや、たぶんというか、そのまんまです。私が自分で言うんだから間違いありません。 うちにはずいぶん前から、シリーズの1から3までがセットになった『リルガミンサーガ』というPS用のウィズがありました。にも関わらず、1と2だけ遊んで3は無視してたんですから、ひどい話です、まったく。 さて、とりあえずクリアし終えたところで言わせてもらえば―― 予想通り面倒なゲームだった、というのが率直な感想ですね、残念ながら。 とにかく、キャラクターが一向に成長してくれないんですよ。敵キャラクターの経験値が今までよりずいぶん抑えられてるせいで、レベルいっこ上げるにも一苦労なのです。その上、敵の攻撃自体もイヤらしいのが多く、かなり序盤から、レベル下げ攻撃をガンガンやってきやがります。死んでしまったキャラクターは蘇生の方法がありますが、吸い取られたレベルはどうにもなりませんから、素直に諦めるか、リセットせざるをえません。 謎かけもヒントが少なく、しかもなんだか唐突な内容で、戸惑わされることが多々ありました。正直に白状しますけど、どうしても分からなくて攻略サイトのお世話になった所もあります。でも、明らかに日本人には無理があるクイズみたいなのは、はっきり言ってどうしようもないですよ。タロットカードの文面見て、それが何のカードか当てろ、なんて聞かれても、ねえ……。アメリカ人に、いろはカルタの上の句は? って出題してるようなもんです。 そんな感じで、いろいろストレスの溜まることの多かった“3”ですが、まあカタチの上ではクリアは出来たので良しとしましょう。まだ見付けてないアイテムとかもいくつかあるけど、もうやる気はしないなー。クリアのマークが付いただけで満足です。 逆に、もっとシンプルで気持ちよく遊べた“1”の方を、またやりたくなってきてしまって……。ついこないだ発売されたゲームボーイ版、これがまたいい感じにアレンジされてるらしいんですよ〜。なんか、ウィズのためだけにゲームボーイ買ってしまいそうな勢いです。どうしましょう。 |
| 01.03.10 | ・ | 宴のあと |
| さかっちょさん幹事の飲み会に参加してきました。 いつもながら個性派メンバーが勢揃いで、誰と話しても面白く、楽しい時間を満喫させてもらえました。さかっちょさん、お疲れさま&感謝感謝です。 ただ、一次会の最後の最後になって起こったアクシデントが……。あれには正直言って、いろんな意味でガッカリさせられちゃったな〜。んー、残念。もちろんあれは、さかっちょさんには何の責任もないことなんですが。 まあ考えてみれば、まだ直接の面識はほとんどない同士の集まりなわけだし、ちょっとした気持ちの行き違いがあったりするのも仕方ないことかもしれないよね。 だから、今回みたいな事に懲りたりせずに、またこれからもみんなでちょくちょく集まって、親睦を深めていきましょう。それが一番! そんなわけで私も幹事やりたいし、やるべきなんだけど……私がやると人が集まらない、ってのはこないだ実証されちゃったんだよな〜。むー、めげずに再度チャレンジしてみるか。 あ、そういえば、この日で私は29歳になったんだった。 30まであと1年ないよ〜、三十路やだよ〜、助けて〜。 |
| 01.03.11 | ・ | カニ光線。 |
| 渋谷で遊んだときによくやるように、昨日も私は三軒茶屋にある実家の方に泊まりました。 いつもいつも、ホテル代わりにしてて悪いねえ。とか口先では言っていながら、ほんとはあんまり悪いとか思ってないんですよ。これだからまきひさってやつは。 朝の9時半ごろのんびりと目を覚まし、遅めの朝食を取りながらまったりしていたそんな頃、宅配便が届きました。見てみると、父が出張先から送ってきたお土産でした。それもまだ生きている、新鮮そのものの毛ガニではありませんか。 せっかくだからすぐ食べてしまおうということになり、食卓には30分もしないうちに、茹であがったカニが並べられていました。 ただ、実を言うと……あいにく私は以前から、カニにはさほど魅力を感じられないのです。これが例えば、ぶ厚い霜降り牛肉、とかなら話は別だったのですが、上等なカニだとか聞いても、「へえ、そう」くらいにしか思えませんでした。どうしても「味の濃いもの」や「脂っこいもの」に惹かれてしまいがちな、単純な味覚しか持ち合わせていないもので。 しかし、ちょっと食べ始めて、その認識が誤りだったと分かりました。 むちゃくちゃ旨かったのです。肉厚で甘みがあり、味が深く、汁気もたっぷり。こりゃあたまりませんぜ、ダンナ。 貪るように喰うというのは、まさにああいうのをいうんでしょうね。手が汚れようが汁が多少飛ぼうがお構いなしに、私は我を忘れてカニにむしゃぶりつきました。朝食を摂ってから、たいして時間も経ってないというのに。まるきり「別バラ」状態です。 それまで敬遠して口にしようともしなかった『カニ味噌』も、こんなに旨いものだったのか! とカルチャーショックを受けるぐらいに美味でした。コクのある滋味と磯の香りが、口の中でとろけつつ広がってゆくのです。下手なウニよりよっぽど旨いぞ、あれは。 そんな感じですっかりおなかも心も満足した私は、再びコタツでまったりし始めました。 そうしたら当然のごとく睡魔がやってきたので、無抵抗にそのまま寝ちゃいました。なんと欲望に正直なワタシ。 食べるだけ食べて昼寝して終わり、という、まるで生産性のない休日でしたが、ある意味ものすごく贅沢な休日だったのかもしれません。こんな日が1ヶ月くらい続けばいいのに。 |
| 01.03.12 | ・ | 無洗米リベンジ。 |
| 再び無洗米炊きにチャレンジ。今日はうまくいきました〜、わーい。ちゃんとおいしく炊けたぞよ。 やっぱり、普通の米炊く時より、だいぶ多めに水を張っておくのがコツのようです。 前回は「無洗米マズイ」的なこと書いてゴメンでした。前言撤回、ブラボー無洗米。今後もヨロシク。 ほかほかの白いゴハンと手作りのしょうが焼きで夕飯食べてたら、ヤバいくらい食が進んでヤバかったのでヤバいと思い、本気でヤバくなる寸前でストップしときました。 昨日はカニが旨かったとか書いたけど、ゴメン、やっぱり俺はわかりやすい味の方に弱いみたいです……。 なんか食べ物に謝ってばっかりだな。 |
| 01.03.13 | ・ | 溶かしすぎ。 |
| なにやらちょっとばかり胃酸過多のようです。喉と胃の中間地点あたりで、得体の知れない熱いものが煮え立ってるような感じです。うぐぅ……ぎもぢ悪い。 食事が良くなかったのかなぁ? ちなみに今日の夕食はハヤシライスとコロッケでした。言うまでもなく、ハヤシはレトルトですし、コロッケは冷凍のやつです。……野菜っ気がまるでありませんね。自分で言うのもなんですが、これじゃ胃がおかしくなるのも当然かと。 仕方ないので今は牛乳飲んで大人しくしてます。 そして今日の『プロジェクトX』も猛烈に熱かったです。煮えたぎってました。来週の後編が待ち遠しいぞ〜。 |
| 01.03.14 | ・ | ポーカーフェイス |
| 自分の事は、自分ではよく見えていないもので。 いや、今日、とある会社の方と、お仕事の話なんぞしてたわけです。 で、今日が初対面だったそのお方がですね、とにかく恐ろしいほど表情の変わらない人だったんですよ。 さほど年輩というわけではなく、むしろ若いと言っていいくらいで、外見から判断する限り、せいぜい私より4つか5つ上くらいにしか見えません。なのに、そのあくまで落ち着き払った態度は、私を圧倒せずにおきませんでした。銀ブチ眼鏡の奥にある瞳からは何の感情もうかがい知ることが出来ず、口調も実に流暢で、どんな質問にもすばやく、かつよどみなく応えてきます。普通の敬語すらままならぬ私とは大違いです。 無愛想、というのとはちょっと違うんですよね。ビジネスライク……これも違うな、ライクもなにも、ビジネスそのものだし。ただもう単純に、表情がないんです。まるでアンドロイドか何かと話しているような気分にさせられてしまいました。 もっとも、あちらは規模も大きく、かなりしっかりした会社ですから、ご機嫌取りしなければならないのはむしろこっちなわけです。精神的なヨユウという面では明らかに私の方が分が悪く、それがああいった態度となって表れていたのかもしれません。それにしたって極端でしたけどね……。 しかし、無表情という点では、私も人のことを言えた義理じゃありません。私は自分自身、表情に乏しいことを自覚しており、それをコンプレックスにさえ感じているほどです。もともと顔のつくり自体がのっぺりとして起伏がないせいもありますね。おかげで、鏡を見るたびに、「何考えてるか分かんない顔だよなー」とため息つかされてしまったりするわけです。 ところが、ところが。友人の私に対する評価は、まるで逆のものだったのでした。 「喜怒哀楽が、すぐ顔に出るタイプだよ」その友人は言います。「機嫌のいい時と悪い時が、見てすぐ分かるもん」 ちなみに、血液型による性格判断に凝っているその友人に言わせると、「典型的なO型だね」だそうな。 そ、そうだったのか……。これは私にとってはちょっとしたショックでした。いつもクールでドライ、というか、それこそ単に無愛想なのが私のトレードマーク(?)だとばかり思っていたのに……。うーむ。 冒頭に書いた、自分の事が見えてないってのは、つまりはこういう事です。実際のところ、ビデオか何かで撮影されていない限り、自分がふだんどんな立ち振る舞いをしてるかなんて、自分自身じゃ分かりませんもんね。 自分の事を、自分だけが分かってない。そういう事っていっぱいありそうです。良いことも悪いことも含めて。客観的な視点を忘れずにいよう、そう心掛けてはいるつもりなんですけど、これがムズカシイのです、なかなか。 |
| 01.03.15 | ・ | 性格判断、その手段と結果 |
| 今日は暖かくて、風もほどほどに吹いていて、実に気持ちいい日でしたねー。 夕方近く、新宿公園の近くを歩きながら、夕陽に映える高層ビル群にしばし見とれていました。あまりの気持ちよさに、そのまま家に直帰しちゃおうかと思ったくらいです。……ま、そんなこと考えてるのは、今日に限った話じゃないんですけど。 さて、自分の事は分からない、と昨日の日記で書いた折もおり。今度は新宿のとある会社で、ふとした話の流れから、たまたま似た話題がのぼったのです。 「じゃあ、いいものをお見せしましょう」 その営業担当の方はそう言いつつ、おもむろにノートパソコンを開きました。そして何やら正体不明のアプリを立ち上げ、こう尋ねてきました。「誕生日はいつですか?」 「はあ……72年の、3月10日ですけど」わけが分からぬまま、私は正直に答えました。 「の、いつです?」 「――は?」 「ですから、3月10日の何時に生まれたのか、って事ですよ」 「ああ、そういうことですか……。……うーん、ちょっと時間までは覚えてないですねえ」 (……というか、覚えてるものなのか、フツー? 自分が何時生まれだって即座に答えられる人が何人いるのやら、はなはだ疑問なのだが) 「覚えてないですか。時間まで分かればベストだったんですけどねぇ。でもまあ、とりあえずいいでしょう」 その方は慣れた手つきでキーを何回か叩いて、やがて満足げな笑いを浮かべました。「はい、出ましたよ」 こちらに向けられたディスプレイに表示されていたのは、いくつかのグラフと文章の羅列。 その正体は、『性格判断』だったのでした。 しかもこれ、よく見てみると、分析の細かさが半端じゃありません。ただ単に「あなたはこういう性格です」と診断されるばかりでなく、それがさらに、『他人から見た外面的性格』と『実際の内面的性格』とに分かれており、その上、外面と内面のどちらの比重がより大きいかまでが表示されてるのです。ちなみに私は外と内が3:7の比率でした(この数字をどう捉えていいのやらは微妙なところですが)。 性格判断そのものも、100%的中とまではもちろんいかないものの、意外なほどよく当たっていました。「ソロプレイを好む」「細かいことにこだわる」「友達を選ぶのでその数は極端に少ないが、普段は人当たりの良さでフォローしている」など、など。少なくとも自分からすれば“当たってる”と思えるものばかりで、読んでいて思わず何度も頷いてしまったほどです。 そしてこの結果から、社内でのどんな業務が自分に向いてるのかまでを棒グラフで表示してくれる親切設計。私のグラフを見てみると、トップは『企画販売』で、最下位は『売り込み営業』でした。企画力が高いかどうかはともかく、売り込みが苦手なのは間違いないなあ。ふう〜ん、こりゃすごいや。 「ずいぶん凝ったソフトですねー」私はお世辞抜きに感心して言いました。実際、余興ソフトとしてはかなりよく出来てると言えます。ここまでやる必要があるのかと思うくらいに。 「これ、市販されてるんですか?」何気なく、そう私が訊くと、その人は首を振りつつ、 「いや、いや、とんでもない――」 苦笑いを浮かべながら、こんな事を言ってきたのです。 「――そのソフトの開発費で、家がいっこ建っちゃいますよ」 ……はああ〜〜!? そりゃ、本当にとんでもない。あまりのことに絶句している私を尻目に、その人は得意げに続けます。 「何しろ、10万パターン以上の性格が登録されてますからね、信頼度はかなりのものです。もちろん、その結果を鵜呑みにするわけじゃありませんけど、人事に際しても、かなりの比重で参考にさせてもらってるくらいですよ」 ちょ、ちょ、ちょっと待てい! あんた、その性格判断をはじき出すに際して、私の生年月日“だけ”しか入力してないやん! いや、その10万パターン分のデータを集めたことに関してはなかなかすごいと思いますよ。でも、どんな方法でデータ収集したか知らないけど、特定の生年月日(プラス、時間まで!)の人をそれぞれ数百人ずつ集めて、その平均や統計を取って……なんてやり方をしたとは到底思えません。考えただけでも気が遠くなる作業です。というよりまず物理的に不可能に近いです。 そういう方法が現実的でないとあらば、恐らくは、例えばバイオリズムであるとか星の周期であるとか、そういったある種オカルティックなものに頼ってるとしか考えられません。そしてそれらは言うまでもなく、人格形成に及ぼす影響の科学的裏付けにはならないものばかりです。 そんなシロモノを、家が建つほどの費用をかけて開発し、あまつさえそれを人事に利用している? ……これ、さすがに問題なんじゃないのか。 そんなもの、はっきり言って星座占いや血液型判断なんかと変わりゃしません。むしろそっちで判断しちゃった方がまだましなんじゃないかと思うくらいです。根拠が薄弱なことに関しては同レベルなんですから。 実際のところ、性格のパターン分けというのを行う場合、10万パターンとかあってもあまり意味がないんですよ。人の性格が人それぞれバラバラなのはアタリマエの話なので。だからむしろ、4パターンとか12パターンとか、それくらい大ざっぱな分け方をした方が分かりやすいし、有用性もあるのです。パターンが10万もあって、しかもその分類の根拠が生年月日のみとなっては、何をかいわんやといったところです。 もちろん、ちゃんとした性格判断テストを行った上で分類するのであれば、これはまたまったく別の話になってくるんですけどね。 そんなわけで、その会社の人事における認識の甘さというものを思わぬところから知ることとなり、その会社に対する評価そのものまでガラッと変わってしまった私でありました。あの様子じゃ、人事部長がコンピュータ様になる日も遠くないぞ、たぶん。 |
| 01.03.16 | ・ | 本の始末 |
| 本棚の大整理をしてみました。 とはいってもそんな大それたものでも何でもなく、いらない本を処分したり、ふだん読まない本を押し入れにしまっちゃったりとか、その程度です。そんなんでよく大整理とか言えるな、俺。 それでもそれなりに効果はあったようで、蔵書(その大半は漫画)がギチギチに詰まっていた本棚にも、ある程度のゆとりを生み出すことが出来ました。 今回の方針はとにかく『即決・即断』。古本屋で100円とかで買ったはいいけど当分読みそうにない本なんかは、思い切ってバシバシ捨ててっちゃいました。そうでもしないと、どうにも本の減らしようがないのです。本当は本棚をもういっこ置きたいくらいなんですが、それこそそんなスペースありゃしないし。 こうなると残る問題は、山のように残っている未読の本をいかに消化していくか、というところなんですよね……。 『白夜行』も『理由』も『リセット』も、じーぷら氏から借りたままの『バトルロワイアル』も、どれもほとんど手つかずのまま。そのくせ、ちょっとした気まぐれで全然関係ない本を読みふけってたり、お手軽な短編集に走っちゃったり。あるいは読書どころかゲームにハマってたり。 うずたかく積まれたこの本たちを全て読み終わるのは、一体いつのことになるのでしょう。……この際、誰か人を雇って、私の代わりに読んでもらおうかしら。 |
| 01.03.17 | ・ | ダディがブレイク。 |
| アパートに電話がかかってきました。出てみると、うちの親父殿です。 実家から電話というだけでも珍しいのに、しかもそれが親父殿だなんてこと、滅多にないことです。何だろうといぶかしく思いつつ用件を聞いてみると、 「いやさ、うちのパソコン、ぶっ壊れちまったんだよ。どうにかなんねえか」 ……何をやぶから棒に言い出すんだ、この人は。 「ぶっ壊れたぁ? で、それをどうにかって……んなこといきなり聞かれても。とりあえず、今の状況を聞かせてよ」 「うちから送ったメールがさ、相手に届くと文字が変になってるんだよ。特にカタカナで書いたところが」 その後の話などから察するに、どうやらメールに半角カタカナを使ってしまったようです。それで文字化けが発生してしまったようなんですな。よく聞く話ですね。うちの実家の皆さんは誰もが、メール以外にパソコンを使わない(使えない)ような人ばかりなので、尚更でしょう。 「それだけなら、別に『壊れた』わけじゃ――」と私が言おうとすると、 「いや、それでさ、消しちまったんだよ、直そうと思って」 「消した? 何を?」 「日本語変換とワープロのソフトを。てっきりそこが原因なんだと思ったもんだから」 「それって、アンインストールした……って事?」 「いや、ゴミ箱に捨てた。ファイルごと全部。 そしたら、次の起動の時から毎回、画面が真っ青になるようになっちまって――」 ……うちの親父殿は、昔っからこういうパターンが多いんです。とにかく、やることが極端というか無謀というか。ちょっと文字化けしたくらいで、いきなり変換ソフトごと消そうとか考えるか〜? しかもいきなりゴミ箱送りかよ、オヤジ! そーゆーのは「壊れた」じゃなくて、「壊した」だろがい! 人に相談もせずに独断で事を進めて、それだけならまだしも、いよいよ行き詰まって手の打ちようのない段階になったところで救いを求めてくる。ほんと昔からそう。困ったもんです。嫌になりますよ、まるきり私そっくりで。 そんなわけで明日は、昼間っから実家に帰ってパソコンの修復を手伝うことになっちまいました。さーて、いくら請求してやろうかのう……。帰り道に渋谷で遊ぶ予定なんで、その資金くらいはいただいても、バチは当たらんよな。 |
| 01.03.18 | ・ | フェアウェル。 |
| 実家のパソコン不調の件は、とりあえず向こうの力でなんとかなったらしく、私は用済みとなりました。 助かった……。実家までわざわざ戻るの、正直なとこ、かなりダルかったもんで。 さて、今日渋谷で観たのは『リトル・ダンサー』という映画です。 これはかなりヒットでした。心底ホッとできる、優しい気持ちに満ちた、暖かい映画でしたよ。ダンスのシーンも見とれてしまうほどカッコイイし。安心感が逆に物足りなくも感じてしまうという、ゼイタクな不満さえ抱かせる作品です。 上映館は多くはないみたいだけど、運良く近場にいる人は、いいからとにかく見とくべし。 その後、一緒に観ていた友人たちと食事などをしたあと、8時くらいで、わりと早めの解散となりました。 ほんとはちょっとカラオケでも行っておきたかったとこなんだけど……明日は仕事があるし、ということで、残念ながら却下に。 私もみんなにさようならを言って、帰りました。
誰が悪いわけでもない。あくまで自分の問題。 器用に立ち回れなかった自分の問題。 いろいろ工夫してみたけど、やっぱり私には無理だった。 本当に好きだったから。 結局、「不器用」は「馬鹿」に繋がるのだけど。 そして本当は、ただ逃げてるだけなのかもしれないけど。 安易な弱音は吐きたくないのだけど。 もう、疲れちゃった。 |
| 01.03.19 | ・ | 本の価値、本屋の価値 |
| 本棚の整理をした時に不要と判断した本を、まとめて古本屋に持ってゆきました。ハードカバーから文庫・漫画本まで含めて、実際に持ち込んだのは全部で10冊ほどでしかなく、見返りもちょうど1000円だけではあったのですが、もともとの意識からして「捨てるよりマシ」程度のもの。1000円といえども充分な額ではあります。むしろこんな紙屑を買わせて申し訳ない、くらいの気分でした。 これは本に限った事じゃありませんが、文化的なモノに値段を付けるのは難しいことです。それこそ個々人の好みによって、高い/安いの判断基準は大きく違ってくるでしょう。 例えば私は映画を観るとき、1800円という入場料を意識することはあまりありません。でも、これが本となると話は変わってきます。ハードカバーで1800円の本を買おうと思ったら、相当躊躇するだろうし、かなりの決心も必要になるでしょうね。 別に読書を嫌ってるというわけではなく、むしろ好きな方です。しかし、『1800円の本』は、私にはどうしてか「高い」と思えてしまうのです。同じ値段でへっぽこな映画1本観るより、その1冊の本を読んだ方がよほど濃密で豊潤な時を過ごせるかもしれない、そういう可能性があることを分かっていても、です。これはもう、そういう価値観が身に付いてしまってるからだとしか、説明のしようがありません。 そしてもちろん、私と全く逆の価値観の人も大勢いることでしょう。「映画が1800円? 高い!」、ごもっともです。「ビデオで観れば充分だ」、それもごもっとも。そのあたりはちょうど、私がハードカバーの本に対して「文庫になったら……」と思うのと同様だと思います。 まあこんな事は、当たり前といえば当たり前の話ではあります。でも、映画のチケットを買う際に、その価格に抵抗を感じることもなく自然に払っている自分に気付いた時、なんだかフシギだなあなどと改めて思ったりもするのでした。 そういえば今回買い取ってもらった古本屋さんで、以前こんな事があったのです。 その時も、私が古本屋でよくやる悪いクセなのですが、読む予定もない本を「安いから」という理由だけでまとめて5、6冊ほども買い込んでしまいました。ところが、家に帰って袋を開けてみると、買ったはずの本が1冊入っていません。レシートで確認したら、そもそも計上さえされてなかったようです。 とりあえず店に引き返してみると、案の定というか、その本はレジのそばに置いたままになっていました。私が事情を話すと、店長さんは苦笑いしながら、 「あー、ゴメンねー。……うん、じゃあいいですよ、その本、差し上げますよ」 「ええっ!? いただいちゃっていいんですか?」意外な好意に、私はかえって戸惑ってしまいました。 しかし、店長さんはここで、さらに意表を突くようなことを言ってきたのです。 「うん、(キミは)いつもいろいろ買ってくれてるからね」 ……顔を覚えられてたのか、俺は! そ、そんなに何回も来た覚えはないのに、なぜ……! 私は急に、恥ずかしいような居たたまれないような気持ちになってしまい、お礼を言って本を受け取ると、逃げ出すように店を後にしました。 正直なとこ、古本屋さんの顔馴染みになると、いろいろとやりにくくなっちゃう感じがしますね、別にエロ本買うときに限った話じゃなくて(買ってるんかい!)。 売り買いする本って、その人の趣味や好みがもろに表れるものじゃないですか。それがなんだか、プライベートな部分をさらけ出してるような気分になってしまうんですよ。全くの知らない人相手だったらどうってことないんですけど、顔馴染みとなると、なんだか変に意識させられちゃいますね。本屋さんとのやり取りは、デジタルに徹するに越したことはないようです。 家から近く、買い取り値も悪くないということで、結局今でもよくお世話になってはいます。でもあの店の、私にとっての価値というか位置付けみたいなものは、やっぱり以前とは変わってしまいました。少なくとも、もうエロ本は買えませんし……(ってまだ言うか)。 |
| 01.03.20 | ・ | アンビバレンス。 |
| 日がな一日、いろんな人を相手に、レンアイ関係の話ばっかししてました。昼間はじーぷら氏と、夕方以降はお久しぶりの妹一号機&イトコくんと。 幸い(と言えるようなものではないのだけど)新鮮なネタもあって、脳がちょうどそのテの話モードに入っていた私は、ここぞとばかりにあれやこれやと語り倒させていただきました。じーぷら氏とは下北沢の喫茶店で、妹&イトコとは私の実家で。具体的にその内容まで書いてると何時間あっても足りないのでやめておきますが、かなり熱かったことは確かです。 こういう系統の話題って、当然の事ながら、「正解」だとか「結論」だとかが出たりはしません。人それぞれがそれぞれ違った恋愛観を持っています。フリーな人もステディがいる人も、どんな形であれ愉しみと悩みとを抱えていて、そして多くの場合、それらは互いに矛盾しあう二律背反の関係にあるものです。 例えば、ひとりであることは辛いものだけれども、ひとりでなくなること・フリーであった自分でなくなることもまた、苦しみを伴うものであったり。そして、その逆も真なりであったり、とか。 今日は年齢も性別も違う3人の人たちの三者三様の意見が聞けて、いろいろとためになりました。 一人暮らししてると、ひとりでいる時間も(当たり前ですが)長くなるので、どうしてもモノの考え方が煮詰まってしまいがちになるんですよね。そういう時、他の人のナマの言葉を聞いて、それに共感したり疑問に思ったり羨ましがったりしているうち、新しい思考の方向性が見えてきたりするものなのです。単純に言えば、この上ない気分転換になるのです。 何より、そういう会話に付き合ってくれる人たちがいるということ、それ自体を、私は幸福に思います。 そうしてこのテの話題は、結局は曖昧に締めくくられるのが常です。そう、このお決まりの台詞で。 「――レンアイって、難しいね。」 |
| 01.03.21 | ・ | 彼と私の歌 |
| だいぶ前の日記にも書いたような気がしますが、以前勤めていた会社の先輩に、 「一緒に路上ライブをやろう」 なんて誘われちゃってます。オレがアコギを弾くからオマエが歌え、とこういう事ですね。 冬の間は寒いからという理由で頓挫していたこの計画、そのままお流れになってくれればよかったものを、困ったことに再浮上してきてしまいました。しかも今度は前よりだいぶ具体的になってきており、今はもう、歌う曲のセレクト段階。基本的に私の好みで選んでいいとはいえ、路上で歌うとなるとちょっと……ねえ。 その先輩はもともと、私の歌には大して期待してないのです。まず「外で弾いてみたい」という願望があって、合わせて歌ってくれる人間をとにかく誰でもいいから探してた、というだけのことで。だいいち、私とカラオケ行ったことある人ならご存じの通り、私の歌唱力なんてタカの知れたものです。とても公衆の面前で披露できるようなレベルのものじゃありません。そう私が言っても「それでもいいから」と引いてくれないんですから、むー、困ったヒトです。 でも嫌なら嫌とはっきり断ればいいものを、私があえてそうしないでいるのは、実は私自身もちょっと楽しみにしちゃってるからだったりします。とりあえずいい笑い話のネタにはなるかなー、と。 とはいっても、路上で演奏するノウハウなんて、はっきり言って何も知らんぞ。そもそも、ソロでの弾き語りならまだしも、私歌うだけ・先輩弾くだけ、という役割分担自体がなんだか奇妙です。私もタンバリンくらい使えるようになっておいた方がいいのだろーか。 あと、時間帯だとか場所だとかの感覚もさっぱりです。変なトコでやって、おまわりさんに怒られたり、怖いお兄さんにからまれたりしないのか、とか。いろいろと不安要素は尽きません。 そして何より問題なのは、私も少しくらいは歌のパワーアップを図っておく必要があるってことです。現状のままじゃさすがにヤバいので。これから何回か、一人でカラオケボックスのお世話になりそうだなー。あれ、受付の時ちょっと恥ずかしいんだよなー……って、もう何度も行ってるから慣れっこだったりしますが。たはは。 |
| 01.03.22 | ・ | 動作不安定。 |
| ここ数日、なんだか知らないけどやけにイライラが溜まっちゃってます。破壊衝動というか、とにかく行き所のない内なるエナジーを発散させたくてたまりません。もしいま目の前に廃車寸前の車があったら、ボディプレスとアッパー昇龍拳連打でボコボコにしているところです。あいにくおあつらえ向きの車がないのが残念です。 この負のパワーの矛先を、うっかりしてると変なとこにぶつけてしまいそうになります。ついさっきも、携帯ショップの店員とモメて、口論寸前まで行ってしまいましたし。 ……でもですね、とりあえずその件について言い訳させてもらえば、店員であるそのオバサン(あえてオバサン呼ばわり)の接客姿勢もかなりひどいもんだったんですよ。 ちょっと前から充電器の調子が悪く、うまく充電されないことがしばしばあって困っていました。で、それを修理してもらおうと、店の方に持ち込んだわけです。 ところがそのオバサン、店頭で少しばかり調べていたかと思ったら、いきなりこうです。 「これは、修理出来ません」 「……はぁ?」 「ですから、いま動作の確認をしてみたらちゃんと充電できましたから、修理は出来ません」 「いや、そうじゃなくてですね……さっきも言ったじゃないですか。『3回に1回くらい、うまく充電できないことがある』って。いつも壊れっぱなしってわけじゃないんですよ。そりゃ、今はたまたまうまく動いたかもしれませんが――」 「でも、いまはちゃんと充電できましたから、異常が確認できない以上、修理は出来ません」 ……あんたは役所の人間か……? と私は半ば呆れつつ、 「そんな事言ったって、実際に不具合が起きてるんだから、なにか原因があるはずでしょう。それを調べてみて欲しいと言ってるんですよ」 「でも、修理は出来ませんよ」彼女も頑として言い張ります。そして、 「工場に出すとなると、有料になってしまいますから」 ここでようやく私は理解しました。このオバサンは要するに今まで、「『保証期間内での無料修理は』出来ません」、と言い続けていたのです。 あのなあ……誰が無料で直せなんて頼みましたか? 俺はただ、具合が悪いから修理してくれ、と頼みに来ただけだろーが! どのみち直さなければならないんだから、費用がいくらでいつまでに直せるのか、初めっからそれを教えてくれればいーんだよ! そのくせ、 「有料では困る、ということであれば、今のままお使いいただくことになりますが」 などと、わけの分からないことまで言い出す始末。その言い方もまた小憎らしくて……。もぉ私はアッタマ来て、上に書いた台詞をそのままぶつけてやろうかぐらい思いましたが、そこはなんとか理性で抑え込みました。とはいえ、ポーカーフェイスが苦手な私のことですから、表情や口調からは間違いなく怒りのオーラが発散されていたことでしょう。 その後も意味不明の押し問答は続きましたが、なんとか「携帯ごとオーバーホールしてもらう」ということで話をまとめました。たったこれだけのことに、どれだけの言葉と時間を費やした事やら……。私が爆発しそうになった、というところも、これで皆さんにも少しは納得していただけるのではないでしょうか。 とにかくもまず、なにかいいストレス発散法を見付けないといけません。下手するとそこらへんの駐禁の車をブレーンバスターとかしてしまいそうです。でもその前に、「この人はブレーンが壊れてる」と、鉄格子付きの病院に入れられるかもしれませんが。 |
| 01.03.23 | ・ | わっちゅあねーむ。 |
| その昔は「痛くて怖い所」の代名詞でもあった場所、『歯医者』。しかし、そんな歯医者さんも、最近ではずいぶんクリーンな雰囲気にイメージアップされてきたようです。昔はダーティだった、というわけではない(と思う)けど、少なくとも、以前に比べてずっと入りやすい場所になったのは確かです。歯医者さんの方もそうなるよう意識しているらしく、建物や施設の雰囲気が明るくなりましたし、また技術の進歩もあってか、むやみに痛い目にあわされる事も減りましたしね。 とはいえ、あのキュイーンなドリルで口の中をいじくられる瞬間は、どうしても不安な気持ちにさせられてしまうものです。担当医が自分より明らかに年下の場合は尚更。これは歯医者に限らずどんな医者でもそうだと思うのですが、やっぱり医師と患者との信頼関係って大事ですよ。見るからに頼りなげな、「おいおい大丈夫かよ」って言いたくなるような医師じゃ困りますもんね。 かといって、担当医が大ベテランだったりすると、それはそれで別の意味で不安になってしまうんですけど。なんか容赦のない、「痛くてもガマンしろ」的な、問答無用の処置をされちゃいそうで(……って、まるきり歯医者怖いまんまじゃねーか、俺)。 とりあえず今回は定期検診だけだったので、それほど怖い目にも痛い目にもあわずに済みました。やれやれです。 でまあ、診察が済み、待合室で会計を待っていた時のこと。 係の女の子が、こう呼んできたのです。 「まきさーん、お待たせしましたー」 反射的に体が動きました。さらに思わず「ハーイ」と返事しそうになってしまったのは、私だけではないでしょう(いや、私だけに決まってますが)。 浮き上げかけた腰を戻しつつ様子を見てみると、私の目の前に座っていた中年の男性が、受付で会計を始めていました。……察するに、『牧さん』という名字の方だったようです。 受付嬢が私のハンドルなど知っていようはずもないので当たり前の話ではあるのですが、それくらい自分の中で『まきひさ』という呼び名が定着してしまってることに改めて気付かされて、内心苦笑してしまったのでした。ご存じの方も多いかと思いますが、私の本名は『まきひさ』などとは似ても似つかないものなので、尚更です。 しかし、あの時ほんとに「ハーイ」って口走ってたら、私、そのフォローに四苦八苦するところだったでしょうね……。油断もスキもありません、やっぱりコワい所です、歯医者さんってとこは。 |
| 01.03.24 | ・ | ストマック・ボム |
| 友人たちとの飲み会がありました。場所は渋谷です。 待ち合わせ場所はハチ公近くの交番前だったのですが、予想を遥かに超えて、そこはもう只事ではない人の波、波。いつもの3倍増(当社比)くらいの群衆が行く手を阻み、ただ立って待ってるだけでも常に誰かの邪魔になるという異常事態。実際、ほんの5メートル先に来ていた友人すら確認できず、携帯使ってお互い探しあってしまったほどです。待ち合わせの意味なさすぎですね。 この日はハチ公前に限らず、とにかく人が溢れかえっていたのです、あらゆる所に。土曜日で、春休みで、卒業式シーズンで、しかも渋谷。これだけ条件を満たしていたのだから、考えてみれば当然の現象といえます。 そしてこれが、あとあと起こる惨劇の伏線となっていたとは、この時点では私ですら予想できませんでした……(何が「すら」なのか分かりませんが)。 飲み会自体はかなり盛り上がって、楽しかったです。10人足らずの比較的小規模な人数だったことがいい方向に作用して、飲みの場に一体感が生まれていました。皆が一丸となって高尚な話題に興ずる様は、飲み会かくあるべしといった感さえありました。テーマが下半身絡みになるとテンションも急激に上がる所など、特に。というか、ほとんどのテーマはそちら方面だったんですけど。 私はあいにくそういった話題には疎いもので、いろいろ勉強させていただきました。いや、人間は健康が一番ですな。いくら検査のためとはいえ、変なとこに変なもの突っ込まれるのはご勘弁願いたいですしね。 一次会の後、軽くカラオケなど。 しかし、以前も思ったのだけど、『モーニング娘。』の認知度ってほんとに高いんですねえ……。みんな当たり前のように歌ってるし(コーラス含めて)。 私なんて自慢じゃないけど、いわゆるモー娘のメンバーの顔なんて誰一人分かりませんよ、ええ、ただの一人も。だから例えばこうして日記書いてる今、玄関のチャイムがピンポーンなんて鳴って、「こんにちはー、わたし、モー娘の○○子でーす☆」とかいいながら女のコが飛び込んできても、無条件で受け入れてしまうことでしょう。仮に「モー娘の」という枕詞がなくても受け入れますよ。 それはともかく、終電が近くなった私は、残念ながら途中で抜ける事になってしまいました。でも、面白かったぁ〜。幹事をしてくれた桃の紅茶さん、お疲れさま&ありがとうございました、なのです。また遊びましょうね、ぜひぜひ。 ところが……。 運命の神は、私が満ち足りた気分で帰路につくことを、すんなり許してはくれなかったのです。 いつもであれば余裕で座って帰れるはずの地下鉄も、今日ばかりはやけに混んでいました。車内はほとんど満員状態で、ラッシュ時ほどではないにせよ、吊り革はひとり1本、身動きとるのも難儀するような、そんな状態です。少々ゲンナリしつつも、あと5駅ほどまで迫った降車駅を、私は心待ちにしていました。 その時、 ――ぶしゅっ。 背後で、妙な音が聞こえました。誰かがクシャミをしたような、そんな音です。しかしそれと同時に、小さな悲鳴もあちこちから聞こえてきたのです。 何だろうと振り返ってみると、ひとりの男性がちょうど、途中駅のホームへ降りてゆくところでした。口元を押さえ、なりふり構わぬ勢いで。 ……そう、彼は大変なオミヤゲを、周囲の人たちに残していったのです。酔っぱらいすぎた人間がしばしば体内から放出する、『アレ』を、です。それも、みっちり混み合った電車の中で! それはもう、核爆弾を投下するのにも等しい、常軌を逸した行為です。いったい誰が、こんな所でこんな酷い目にあうと想像していたでしょうか? その被害たるや相当なもので、直撃を食らって上着やら何やらを無惨に汚染された人は、一人や二人ではありません。しかも、“爆発”を起こした本人は、あっという間に車外へと消え去ってしまったのです。これ、はっきり言って犯罪ですよ。 そして、もうお分かりでしょうが……爆心地のすぐそばには、まったく素晴らしいことに、この私もいたのでした。 “爆発”は私のほぼ真後ろで起きていたようです。飛び散った白やら黄色やらのモノが、そのとき背負っていたカバンをキャンバスにして、べったりと素敵なハーモニーをかもし出していました。 混んだ車内、その場で汚物を処理するのも難しく、かといって今さら電車を降りるわけにもいきません。その上、不条理なことに、被害者である私のほうが、周囲から嫌悪の目で見られ、避けられてしまっているのです。 私はやり場のない怒りに震えながらも、しかしどうすることも出来ず、半分涙目になりながら、ただ一刻も早く駅に着くことを願うばかりでした。そのほんの10分ほどの時間が、何と長く感じられたことか。 駅に着くなり大速攻で家に戻った私は、すぐさまカバンの洗浄にかかりました。しかし布製品であるがゆえ、ちょっと雑巾でぬぐったくらいでは埒があきません。考えあぐねた末、洗濯用の洗剤でこすってシャワーで流すという強行手段に踏み切りました。カバンそのものがダメになる可能性も大でしたが、汚れが落ちなければ、どのみち使えないことには変わりないのです。 結局、1時間あまりも要したカバン洗いもようやく終わってベランダに干す頃には、すっかり酔いもさめ、楽しかった飲み会の余韻も、どこへやらと消え去っていました……。 あの爆破の張本人様、もし自分に心当たりがあるなら、メール下さいませね。爆心地に思い切り顔面をなすりつけて差し上げますから。待ってますよー。 ……てゆうか、もういいから、いちいちネタを提供するのヤメれ、神々! |
| 01.03.25 | ・ | レイニーで |
| 外は雨。 といって、家の中ですることも特になく(ほんとはいろいろ山積みのはずなのだが)、適当に過ごしました。たまには骨休めです。 Web日記の上手な人って、特にネタもないようなこんな日は、雑感やら昔の思い出やらでつなげてしまうものなんだけど。ちょいパワー不足気味なんで、ご勘弁あれ。 |
| 01.03.26 | ・ | からっぽ |
| 気持ちのハリというか支えみたいなものは、どんな形にせよ持っておくに越したことはないと思うわけで。 今の私にはそういうものが、もう、何もない。ちょっとだけ残ってたキボウみたいなのを、わざわざ自分の手で握りつぶしちゃったのは、つい最近の話。 「キミには覇気が感じられないね」なんて、上司に言われちゃうのも当然の話。実際無いんだから、そんなもの。 このからっぽ感は何だろう。この虚無感は何なのだろう。 こんな歳にもなって、俺は何をやっているのだろう。どこへ行くつもりなのだろう。 年相応の知識を、経験を、人生観を、ちゃんと身に付けてきたのだろうか。 かといって、自分が歩いてきた道を振り返っても、そこには自己向上の努力の、その痕跡さえ見当たらないことに気付いてみたり。 そんなことばかり考えて、日曜の夜から今まで一睡もしてない自分に気付いてみたり。 電灯は切れてしまった。 |