3月19日 Madrid→Aranjuez→Toledo

アランフェス駅
アランフェス駅

朝8時5分発、マドリッドからアランフェス行きのローカル列車に乗る。各駅停車の鈍行だ。日曜の朝だからか、列車はガラガラ。8時50分、アランフェス着。街のシンボル、王宮を目指す。駅から王宮までは15分程度歩く。人気のない朝の並木道、少し早く着きすぎたろうか?開くのは10時なので、少し街を歩く。まだ人気も少ない。王宮前の通りに、作曲家・ロドリーゴの像と、アランフェス協奏曲のメロディーが刻みこまれた歩道を見つける。

ロドリーゴ像
ロドリーゴ像。ロドリーゴは盲目だったため、名前は点字でも刻まれている。

2楽章
アランフェス協奏曲 2楽章のメロディー。イングリッシュホルンとギターが交互に奏でる。

朝早いアランフェスの街
朝早いアランフェスの街。ギタリストの村治佳織も以前テレビでこの場所の写真を撮っていた。

そもそも、なぜこのアランフェスの街へ来たかというと、ギターとオーケストラのための管弦楽曲、「アランフェス協奏曲」のルーツを訪ねてだ。1999年に他界したスペインの大作曲家、ロドリーゴはかつてこの王宮を夫人と訪れ、この曲を書くインスピレーションを得たという。2楽章のメロディーは数多くのアレンジが生まれ、世界中に広まった。王宮の入り口をうろつきながら開くのを待つ。中に入り、しばし待たされる。どうやらガイドの人が来て案内してくれるらしい。

アランフェスの王宮
アランフェスの王宮。朝なのでまだ人もまばら。

王宮の庭
アランフェスの街に面した王宮の庭

ある程度人が集まったので、見学開始となる。当然だが、ガイドはスペイン語。全くわからないが黙って聞く。次々と部屋を案内されるが、とりわけ王様がいたらしき部屋の内装は豪華だ(写真が一切禁止されていたので、お見せできないのが残念)。こんな部屋に住めたらいいのに、と思った。他に、扇子など王家のコレクション品が数多く展示してあり、ちょっとした博物館になってます。館内のおみやげ物屋でチョコレートとスペイン料理の本(英語版)、扇子を買う。土産物屋のBGMは当然の如くアランフェス協奏曲でした。CDも売ってます。外に出て、広い王宮の庭を歩く。と言っても、あまりに広かったので途中で引き返した。

王宮の隣にある広場 王宮の庭
左:王宮の隣にある広場。実は噴水が上がります。朝なので止まってるだけ。右:王宮の庭にて

アランフェスの街を少し歩いくと、もうお昼の時間。よさげなレストランは無いものか。迷った挙げ句、王宮の前にある一軒のレストランへ。奥のテーブルで食事がしたい、とわかってもらうのには苦労したが、なんとか食事にありつく。野菜スープ、チキンのグリルの他にアランフェス名物のイチゴを注文する。フレッサ・コン・ナタといって、生クリームをかけた新鮮なイチゴのデザート。店に入った頃は混んでなかったのに、食事するうち、どんどん人が入ってきて混みだす。家族連れが来ていて、親がまだ小さな子供にワインを炭酸水で割って飲ませている。ところで、ウエイターのおやじはなかなか注文したものを持ってこないし、お勘定も遅い!遅すぎるんだよ〜(泣)。もっとも、スペインの人は昼ご飯をゆっくり食べるらしいので、せっかちな日本人はいらつくのです。料理はどれもうまかった!チップは払わなかったけど・・・


Toledo〜アルカサルの前に立つ像
Toledo〜アルカサルの前に立つ像

アランフェスもそこそこに、再び列車に乗りトレドを目指す。トレドはやはりスペインの古い町並みを残す古都だ。川を渡り石畳の急激な坂道を登りおえると、アルカサル(要塞)近くの広場に出た。がんばって登ったので汗だくに。ちょっと休憩。

豪快な景色
豪快な景色が広がる

土産物屋を中心に見て歩く。トレドは象目細工の工芸品が有名らしく、町中至る所の土産物屋でお皿や扇子などを見かける。剣も名産品なのかな?やたらたくさん見かけました。どの土産物も結局は買わなかったけど、見てるだけでも面白い。剣は買っても税関で没収されそう・・・?

トレドの入り口 カテドラル
左:トレドの入り口、アルカンタラ橋 右:カテドラル

まちの中央に位置するのがカテドラル。中には入らなかったけど、ここトレドのカテドラルも立派なものです。中には入らなかった訳は、実はもう、お金が底を・・・!(食事代、宿代、交通費を除く)。カードが使えるところしか物が買えないくらいのピンチ。晩ご飯を兼ねてソコドベール広場のマクドナルドで食事(経費節減!)する。メニューがよくわからん。(別にどれでも良かったが・・・)飲み物でコーラ以外が飲みたかったのでメニューに掲げられている飲み物を適当に読み上げる。オレンジジュースは無いといわれる(うりきれ?)。で、その下に書いてあったものを読み上げる。『レチェ・フリア』・・・・出てきたものは牛乳。マクドナルドで牛乳。初めてだ。牛乳くらいスペイン語で覚えていけば良かった・・・

アルカンタラ橋より アルカサル
左:アルカンタラ橋より。 右:アルカサル

6時半頃の列車に乗り、マドリッドへ戻る。おばさんたちと相席になる。缶紅茶片手に窓の景色をぼーっと眺めているうちにだんだん日は落ちて、マドリッドに近づく頃にはすっかり暗くなった。スペインの夜景はまた日本と異なる。道路の明かりがオレンジ色なのだ。列車の窓からはオレンジの明かりが幾つも連なり、とても綺麗。ふと日本のことを思う。いままでの旅の出来事を思い出す。夢のような毎日だった。常識であることがそうでなかったり。カルチャーショックといえばそれまでだけど。スペイン人と日本人、同じ現在に生きながら、日本に住んでいては決して知ることのできない世界が確かに存在するということをこの目で見た、そんな九日間だった。


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