2007年1月30日


厚生労働大臣 柳澤伯夫 様


柳澤大臣の発言の撤回と辞任を要求します


私たちは、ジェンダー平等社会をめざして活動する市民団体です。  さて、柳澤伯夫厚生労働大臣が1月27日、松江市内で開かれた自民県議の決起集会の講演で少子化問題 にふれた際、女性について「産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらう しかない」などと発言したことが、報道により明らかになりました。
 男女がともに、子どもを安心して生み・育てる環境を整備することを重要な施策としている厚生労働省 の最高責任者である大臣のこの発言に、私たちは大変驚いております。
 報道によると、柳澤大臣は29日、国会での質問に答えて「女性の方々を傷つける不適切な表現を用いた。 国民、特に女性に申し訳ないと存じ、改めて深くおわび申し上げる」と謝罪したと伝えられています。 しかし、「産む機械」との発言は、「産めよ殖やせよ」の人口政策を連想させるばかりでなく、 少子化の問題を女性の側に責任転嫁するものであり、女性の人権を全く無視したものと言わざるを得ません。 また、「女性の性と生殖の自己決定権(リプロダクティヴライツ)」を尊重するという視点が、 柳澤大臣に欠落していることもまた、露呈したと考えます。
 政府の果たす役割は、安易な出産奨励ではなく、子どもを望む女性が、 産み育てたいと思えるような環境を整備することであるはずです。 しかし、先日の安倍首相の施政方針演説では、「子どもは国の宝」と言われ、また、 「家族の素晴らしさや価値を再認識することも必要」だと言われました。 このように「少子化対策」が「家族の価値」と重ね合わせられたり、今回のような「産む機械」 発言をみるとき、現政権は、子どもや女性を、あるいは家族を、国のための道具とのみみているのでは ないかとの危惧を禁じ得ません。
 現在、非正規雇用へと追いやられる女性の数は増え、そのため、極めて緩慢ではあれ縮まりつつあった 男女の賃金格差には拡大する傾向が出てきています。このような状況が、安心して子どもを産み育てられる ものでないことは明らかです。
私たちは、柳澤大臣の女性の人権を踏みにじる発言に抗議し、発言の撤回と大臣の辞任を要求いたします


女性会議
アジア女性資料センター
mネット・民法改正情報ネットワーク
ふぇみん婦人民主クラブ





ホーム