AO-40 (P3D) Sモード用 ダウンコンバータ

 ジャンクとしてMMDS用ダウンコンバータが流れていますが、このコンバータを少し改造するとAO-40 Sモードのダウンコンバータとして使えます。


コンバータのスペック

入力周波数: 2.4 - 2.7GHz
出力周波数: 140 - 400MHz
LNB ゲイン: 24dB
NF: 3dB
局発周波数: 2.2779904GHz
電源電圧: 12 - 24V (190mA)

注:このコンバータは受信専用です。


photo 1: コンバータ内部


コンバータの改造

 改造はIFアンプ、電源(2箇所)、水晶交換の合計4箇所です。
 コンバータの電源は、RIGにつなげるアンテナコネクタから供給する仕様になっていますので、アンテナケーブルに電源を重畳できるRIG(FT-736、IC-821など)または、電源を重畳できるようにすれば電源の改造は不要です。
 オリジナルの状態では、2400MHzが120MHzに変換されるので、120MHzが受信できるRIGであれば水晶を交換する必要は有りません。


photo 2: 改造点


MOD 1: IFアンプの改造

 IFアンプ部の赤いコイル2つとその下のチップコンデンサ2つを取り外します。

 IFが200MHz以下になるとIFゲインが大きく低下します。この改造でゲインが約15dBアップします。


photo 3: 赤い矢印で示したコイル2つとコンデンサ2つを取り除く


photo 4: IFアンプ改造後


MOD 2: 電源の改造 #1

 F型コネクタの端子と電源部を接続している電源供給用のコイルをはずします。

 電源は、出力コネクタ(RIGにつながるF型コネクタ)から供給するようになっていますが、アンテナの同軸に電源を重畳しない場合は、アンテナからの電源供給ラインをカットし、MOD3に示すように別の方法で電源を供給します。
 FT-736やIC-821のようにアンテナの同軸に電源が重畳できるRIGの場合、この改造とMOD 3の改造は必要ありません。


photo 5: 赤い矢印で示した電源供給用のコイルを外す


MOD 3: 電源の改造 #2

 電源用の線をダイオードのリードに半田づけします。
 半田づけの前に念のため、電源供給用コイルのパッド(photo 5の青矢印のパッド)とダイオードのリード間の導通を確認して下さい。

 この改造は、アンテナコネクタから電源を供給しない場合の改造です。この改造を行なう場合は、必ずMOD 2の改造を行なって下さい。そうしないと電源がRIGのアンテナ端子に流れ込んでしまいます。
 アンテナコネクタから電源を供給する場合はこの改造は必要ありません。
 取り付けた電源線は、ケースに穴を開けて引き出します。穴は基板をケースから取り外した状態で開けます。


photo 6: 青い矢印で示したダイオードのリードに電源線を半田づけ


MOD 4: 局発部の改造(IFを144MHzにする方法)

 水晶を8.8125MHzに交換し、トリマーで局発周波数を調整します。

 オリジナルの局発周波数は、2280MHzになっています。この状態でIFを120MHzにすると2400MHzが受信できます。120MHzが受信できるRIGであれば、この水晶の交換は不要です。
 IFと水晶の周波数の関係は、
  (出力周波数)=((水晶の周波数)x 256)+(IF周波数)
 P3D Sバンドの周波数を2m(144MHz)にするための水晶の周波数は
  (2400MHz - 144MHz)/ 256=8.8125MHz
 従って、2400MHzの信号を144MHzで聞くためには水晶を8.8125MHzに変更する必要があります。
 IFを他の周波数にするためには上記の計算を参考に水晶の周波数を決めて下さい。

 水晶交換後、トリマ(photo 7の青矢印)を調整して局発を合わせます。周波数カウンタが必要ですが、以下のような50MHzのRIGを用いた簡易SGでも調整できます。

<簡易SGによる調整方法>
 図1は、簡易SGの回路図です。ダイオードは、逓倍用のものであれば大抵のものは使えると思います。簡易SGは、入力信号を48逓倍しますので、50MHzが2400MHzになります。
 局発は温度によって周波数が変わりますので、しばらくコンバータに通電しコンバータを暖めてから調整します。

  • コンバータとSGをセットする
  • 短い線をコンバータのN型コネクタに付け(2400MHzのアンテナとする)、SG(ダイオードと抵抗部)をアンテナに近づける(信号強度はアンテナとSGの距離で調整)。
  • 送受信の周波数を決め、周波数をセットする。(例.送信:50.01MHz → SG出力:2400.48MHz → 受信:144.48MHz)モードはCWにセット。
  • 50MHzの出力を1W以下にしてキャリアを送信する。
  • 144MHzをサーチし、キャリアを見つける。144MHzでのキャリアが期待した周波数になるようにトリマを調整する。


    photo 7: 水晶を交換


    fig 1: 簡易SG
    (by JA7BLS:CQ誌 1990年11月号より)


    IFを430MHzにする方法はこちら

      430MHz IF MOD



    AO-40のSモードでお会いしましょう。 Good luck!!

    de JN1GKZ 新井 / jn1gkz@jamsat.or.jp


    参考資料
     2.4-2.7GHzコンバータ説明書
     コンバータの改造 JA4BLC 又賀 義郎 JAMSAT Newsletter No.185 1997.7.31 JAMSAT

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