文字だけの映画感(5/5)


『モウモウ、ガイア映画館』を継続する形で、これから観る
映画の感想をこのページで『文字だけの映画館』として
発信して行きます。こちらの方もどうぞごひいきに。

本館、旧館同様、劇場、映画館で観ていく作品に限定しました。
ストーリーの欄には鑑賞した日時と映画館なども記録します。

>記録 2005年3月〜2005年5月(旧ガイアックスが閉鎖になった時からの分を記載しました)





キングダム・オブ・ヘブン(KINGDOM OF HEAVEN )
ジャンル:歴史
2005/05/22 08:44
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ストーリー 鑑賞月日 平成17年5月21日
映画館  敷島シネマ(大阪難波)
監督   リドリー・スコット 
撮影   ジョン・マシソン
音楽   ハリー・G・ウイリアムズ

12世紀のフランス、息子を亡くした悲しみに耐えられず自殺した妻の埋葬から舞台は開く。
夫である若き鍛冶屋バリアン「オーランド・ブルーム」のもとに十字軍の騎士達が立ち寄る。
彼らの主人ゴッドフリー「リーアム・ニーソン」は高潔で勇敢な騎士として広く知られていた。
彼ゴッドフリーはバリアンが自分の息子であることを告げる。そしてエルサレムへ一緒に行こうと誘うのだった。1度は拒絶するバリアンも自殺した妻の救いの為にと後を追うのであった。
イタリア語の通じなくなる国の先にあるという天国の王国へと旅立った彼を待ち受けていたものは・・・。
出演 オーランド・ブルーム エヴァ・グリーン リーアム・ニーソン
この映画にいくら出せますか? 2000円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
コメント キリスト教では自殺は許されていない。バリアンの妻の死は彼がエルサレムに行き、彼女の為に神に許しを乞うという大きな動機となったのだろう。自殺者の埋葬は首をはねて行うという蛮行にしても当時はそれが許されたのか。奇しくも戦いに敗れた十字軍の多くの将兵の首が野積みされている絵と重なり、不思議な暗喩を感じたものだ。
十字軍の敵サラセンの指導者サラデイン「ハッサン・マスード」は実在の人物で、後にエジプトのアイユーブ王朝の王となる。その高潔さゆえに十字軍の中にも彼の騎士道に敬意を持つ者が多かったという。
それにしてもエルサレムの王妃シビラ「エヴァ・グリーン」のエキゾチックな美しさと共に感じたのは夫ギー「マートン・ソーカス」と仲間ルノー「ブレンダン・グリーソン」の素晴らしい敵役のお陰でこの映画の味がより濃くなった。どのような映画でも常に敵役は重要である。

総じて思ったのは美しい映画であった。私は宗教心の無い人間であるが、その私が感じる双方の信仰の清々しさが全編に貫かれて確かにある。プロットも面白く厭きさせない。戦闘シーンもさもありなんという見事さである。主人公も決して強くはなく彼の意思の強さと慈愛の暖かさが伝わってくる。良い映画のひとつである。


阿修羅城の瞳(邦画)
ジャンル:ラブストーリー
2005/04/24 08:52
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ストーリー 鑑賞月日 平成17年4月18日
映画館  梅田ピカデリー(大阪梅田)
監督   滝田洋二郎
撮影   柳島克己
音楽   菅野よう子

文化文政の江戸の町が舞台。平和な町のいたる所に人の姿を借りた鬼達がはびこっていた。鬼達は人を喰らいこの世を鬼のものにしようと画策していた。人間もまた鬼達を殲滅するため、鬼であることを瞬時に見抜く能力と強靭な剣の腕を持った者達を集めた「鬼御門」なる組織をもって鬼達に対抗していた。

5年ほど昔、彼らの一人、副長格で”鬼殺し”の異名を持つ凄腕の病葉出門「市川染五郎」は役目とはいえ、まだあどけない幼女の姿をした鬼を斬るのだった。その事で己を嫌った彼は「鬼御門」から抜け、今では舞台役者として民衆の強い人気を得ていた。そんなある日渡り巫女のつばき「宮沢りえ」と出会いった彼は、何かに惹かれつつ恋に落ちて行くのであった。
出演 市川染五郎 宮沢りえ 渡部篤郎
この映画にいくら出せますか? 2000円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆
コメント 久しぶりの邦画鑑賞である。松竹と劇団☆新感線が過去に共同制作した舞台の映画化との情報を得た。どうりで舞台の書割風なシーンの多用がいやに目立ち、気になったものだ。まあ、とは言いながら染五郎の声は艶っぽく格段に良く、りえちゃんの姿も近年とみに色気を増し魅力的である。これに妖艶な色香でさらにせまる比丘尼姿の美修「樋口可南子」やこの所売り出し中の色男「渡部篤郎」が鬼御門の安倍邪空役で好演している。

もちろんこの二人以外にも芸達者な助演者達の魅力がそこここで開花していて面白かった。強いて難を挙げれば美修に従う鬼の描き方だろうか、あの角の生えた女の子は悪くは無かったのですがリアルそうに創造した方の鬼ですが、どこぞの映画で見たような創造性の無さ、また沢山の人間化した鬼達は目だけが異様に光ったその安直さ、ともに頂けないと思いました。然しながら全体にプロットも面白く、テンポも良い。近年の私の観た邦画の中では佳作の部類であると思う。


アビエイター(THE AVIATOR )
ジャンル:人間
2005/04/02 10:02
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ストーリー 鑑賞月日 平成17年03月28日
映画館  SY角座(大阪なんば)
監督   マーティン・スコセッシ
撮影   ロバート・リチャードソン
音楽   ハワード・ショア

実在の人物の伝記映画である。ハワード・ヒューズ「レオナルド・ディカプリオ」は映画人として名を成しキャサリン・ヘップバーン「ケイト・ブランシェット」、エバ・ガードナー「ケイト・ベッキンセイル」などの有名ハリウッド女優達との華麗なる恋愛遍歴が有名だが、実はたぐい稀な飛行家「AVIATOR」であった。この映画はこちらからの視点で彼を描いており興味深く楽しめた。

18歳で父の遺産と石油掘削機の事業を引き継いだ彼は21歳の時映画「地獄の天使」の製作に着手する。映画は莫大な費用と年月を掛け24歳の時にようやっと完成する。やがて人気女優キャサリン・ヘップバーンと出会い二人は恋に落ちる。やがて彼は飛行機の製造に興味を持ち自らのアイデアと情熱で次々と難題を解決し、その夢を実現しようとしてあきらめなかったのである。
出演 レオナルド・ディカプリオ ケイト・ブランシェット ケイト・ベッキンセイル
この映画にいくら出せますか? 2000円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
コメント ハワード・ヒューズは親の遺産で食って来たお坊ちゃんだと思っておられる方が多いようなので若干情報を提供する。彼が18歳で受けた遺産は現金で75万ドル、会社は映画の担保になるかならないかの規模にしか過ぎなかった。それが映画事業の成功も含めて彼自身が稼ぎ出した数字は大きい、ちなみに映画でも出てきたTWA航空会社を52歳の時に売っている。その時の金額は6億ドル弱である。その後もラスペガスのカジノに投資したり71歳で亡くなるまでその事業の成果は素晴らしい。

然し何と言っても特筆すべきは飛行機に対する情熱である。映画の一シーン「公聴会」で彼が語る飛行機に対する思い入れを述べる件りがある。その言葉こそ彼の心情を簡潔に証明し、多くの人々の共感と尊敬を得たのであった。我々映画を観る側の人々もまさしくあの聴衆の中にいた。
彼がいなければ我々は未だに安価での海外旅行を享受できてはいまい。一人の偉人の事業は例え奇人奇行と噂されようとも結果として人類皆を幸せにしてくれる。

話は変わるがオスカーが受賞出来なかったからと言って嘆くことは無い。ディカプリオはこの映画で最高の演技をして見せた。私なら彼に受賞させる。ハワード・ヒューズのように己の道を行けば良い。オスカーだけがすべてでは無い。
ハリウッドの放蕩児エロール・フリン役でジュード・ロウがちょこっと出ている。良き時代の若者をらしく演じていた。ケイト・ベッキンセイルの美しさはエバに引けを取らず目を惹き付けられた。初めて観た(目についた)ような気がするが今後が楽しみである。
ケイト・ブランシェットはさすが素晴らしいの一語に尽きる。現実のキャサリン・ヘップバーンの映画を沢山観てる私にとってもこの映画はある意味、興味深く3時間弱の長尺もあっと言う間に観終えた、秀作である。


ナショナル・トレジャー(NATIONAL TREASURE )
ジャンル:アクション
2005/03/21 10:50
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ストーリー 鑑賞月日 平成17年03月19日
映画館  敷島シネマ(大阪なんば)
監督   ジョン・タートルトーブ 
撮影   キャレブ・デシャネル
音楽   トレヴァー・ラビン

歴史学者のベン・ゲイツ「ニコラス・ケイジ」は子供の頃祖父から聞いた伝説の秘宝を追い求めて極北の海にいた。やがて「秘密はシャーロットが握る」という最初の手がかりである独立戦争の時代に消息を絶ったある船を仲間達とその地で発見する。やがて彼等はその船で得た次なる手懸かりを巡って仲間割れをしてしまう。それはアメリカの独立宣言書の中に隠されているという驚くべきものだった。

ベンは天才ハッカーのライリー「ジャステイン・バーサ」と組み、仲間割れしたイアン「ショーン・ビーン」達の行動(独立宣言書を一時借りる=盗みだす)を阻止すべくFBIに訴えるのだったが彼等の話があまりに荒唐無稽であった為取上げてもらえなかった。仕方なくベン達はイアンが盗む前に盗みだす(一時保護する)という暴挙にでた。周到な計画のもとにまんまと成功したかに思えたのだったが・・・。
出演 ニコラス・ケイジ ハーベイ・カイテル ジョン・ボイド
この映画にいくら出せますか? 2000円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
コメント 歴史の浅いアメリカを舞台にした歴史冒険アクション映画である。なんやらテンプル騎士団やフリーメイソンが関与していて誠に面白げである。ともかく太古の秘宝がアメリカの何処かに眠っているという事らしい。ベンの家系は代々この秘宝を追い求めてきた。ベンの父パトリック「ジョン・ボイド」は然し否定的でありあまり関心は無いようであった。FBIの捜査官セダスキー「ハーベイ・カイテル」、独立宣言書の担当チェイス博士「ダイアン・クルーガー」など豪華な共演者達をそろえて物語ははじまる。

昔フリーメイソンの本を読んだ。なかなかミステリアスな内容であった。この映画の脚本のベースにこれらを取り挙げたのは面白い。有りうる話に変貌するからだ。まあそんな背景を知らないでも十分面白い娯楽大作に仕上がっている。結構笑えるエピソードが随所にある。ディズニー作品でもあり孫達にも是非勧めたい映画である。宝探しの冒険映画としては一級品の仲間に入るに違い無いと確信する。


ボーン・スプレマシー(THE BOURNE SUPREMACY )
ジャンル:アクション
2005/03/20 12:06
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ストーリー 鑑賞月日 平成17年03月05日
映画館  敷島シネマ(大阪なんば)
監督   ポール・グリーングラス
撮影   オリバー・ウッド
音楽   ジョン・パウエル

インド、ゴアで平穏な生活を送っていたジェイソン・ボーン「マット・デイモン」と恋人マリー「フランカ・ポテンテ」は穏やかに暮らしていた。平穏な中にでも時折、過去の凄絶な記憶にさいなまれてていたボーンであった。それは2年ほど前のモグラ(二重スパイ)狩りの情報を巡ってのボーンに命令された工作での悪夢であった。然し彼はCIAを引退し、決して探してはならないと言い残し姿を皆の前から消していたのだった。

一方ベルリンでCIA要員が何者かに殺される。調査にあたったパメラ・ランデイ「ジョーン・アレン」はボーンの指紋を現場で発見する。それはボーンを巻き込む陰謀の始まりであった。やがてボーン達の住む町に凄腕の殺し屋が現われ・・・・。
出演 マット・デイモン フランカ・ポテンテ ジョーン・アレン
この映画にいくら出せますか? 2000円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆
コメント 前作『ボーン・アイデンティテイ』日本語訳「暗殺者」の2作目である。ちなみにこの作品の日本語訳は「殺戮のオデッセイ」である。前にも話したが原作者のロバートラドラムは私の一番好きな作家である。当然原作は読んでいる。というか翻訳本は全部読んでいる。これらは彼の作品のうちボーンシリーズの2作目で3作目のボーン・オルタメイタム日本語訳「最後の暗殺者」で完結する。3部作をすべて映画化するらしいので3作目も上映されたら必ず観る私であります。

小説と映画の違いはその風景にある。原作でインド。ゴアの事を読んでもあまり良く理解出来ないが映画だと観ただけで気候や風土、陽光の加減が瞬時に理解できる。もともとラドラム作品は世界中にそのシーンを展開する。スイスやイタリヤなどの都市の名前が文中に出てくると行った事の無かった当時の私でもワクワクしたものだ。今は結構あちこち行っているのでそれはそれで楽しい。
みなさんにも是非原作の通読をお勧めする。


アレキサンダー(ALEXANDER )
ジャンル:歴史
2005/03/20 12:00
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ストーリー 鑑賞月日 平成17年02月28日
映画館  梅田ピカデリー(大阪梅田)
監督   オリバー・ストーン 
撮影   ロドリゴ・ブリエト
音楽   ヴァンゲリス

紀元前400年 当時強国になりつつあったマケドニア王フィリッポス「ヴァル・キルマー」とその妻オリンピアス「アンジョリーナ・ジョリー」の間に息子アレキサンダーが誕生する。やがてこの親同士が激しく対立し、これを見ながら育ったアレキサンダーにとって同年代の仲間達との友情が唯一心の安らぎであった。
やがて父フィリッポスは何者かに暗殺される。この時仲間のひとりが「アレキサンダーを王に!!」とすかさず呼びかけ臣下達はこれを認めた。
この時アレキサンダー「コリン・ファレル」はわずか20歳。王位を継いだ彼は・・・・。
出演 コリン・ファレル アンジョリーナ・ジョリー アンソニー・ホプキンス
この映画にいくら出せますか? 2000円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆
コメント 歴史上の英雄である主人公を描く映画は私の大好きなジャンルのひとつである。予告編を見た時から観ることを決めていた。物語はかっての臣下だったプトレマイオス「アンソニー・ホプキンス」の語りを記録するという形で始まる。
3時間の長尺であるが歴史上の東方遠征やガウガメラの戦いなどが細かく描かれておりテンポ良く然も興味深くみることが出来た。

だが不満と言えば同姓愛に関する描写が多かったことが挙げられる。仲間の一人のヘファイステイオン「ジャレッド・レトー」との関係は『トロイヤ』でのアキレスとパトクロスの事を映画の中で互いに話しをする場面があることでも強く意識した演出であった。確かに史実ではあろうが、この種の描写はこのまえ観た映画『トロイ』なみにして欲しかった。またアンジョリーナ・ジョリーは良かった。アクションだけの女優と思っていたが、あまり彼女を観ないでいた私の目が覚めた。ファンの皆さん!ごめんなさい。


マイ・ボディガード(MAN ON FIRE )
ジャンル:アクション
2005/03/13 10:51
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ストーリー 鑑賞月日 平成17年01月04日
映画館  梅田ピカデリー(大阪梅田)
監督   トニー・スコット 
撮影   ポール・キャメロン
音楽   ハリー・G・ウイリアムズ

原作はクィネルの「燃える男」。多分私は読んではいないと思う。元CIAの特殊工作員ジョン「デンゼル・ワシントン」は過去16年間の長い年月暗殺の仕事を続けて来た。だがその為に心を閉ざし生きる希望を見失い、ある日拳銃自殺を実行する。然し、奇しくも弾丸は不発に終った。以来その弾丸をお守りのように持ち続ける。そんな彼の元にCIAの同僚レイバーン「クリストファー・ウォーケン」からメキシコで護衛の仕事をしないかと誘われた。始めは乗り気でなかったジョンであったが護衛対象の9歳の少女ピタ「ダコタ・ファニング」の心に触れるうち心を洗われて行く。やがて彼等を襲った誘拐の魔の手は・・・・。
出演 デンゼル・ワシントン ダコタ・ファニング クリストファー・ウォーケン
この映画にいくら出せますか? 2000円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆
コメント 「アイ・アム・サム」で評価を得た「ダコタ・ファニング」が出演し、前評判を呼んだ映画である。実はこの映画を私は観ていなかったが観たくなった。
デンゼル・ワシントンは大好きな役者である。メル・ギブソンが俳優として出なくなった最近では彼が最も好きなリーダーマンになったと言える。
原作を知らないので素直に面白いと思った作品のひとつです。確かに復習の為の殺人は正義とは呼べないのかもしれません。然し、世の中の不条理の中にはそれを容認するものもあるのもまた事実です。実現しえない現実がまた映画の持つ醍醐味です。
私にとっては昔よく観た「チャールス・ブロンソン」の作品の中の「狼よさらば」を彷彿とさせてくれました。


砂と霧の家(HOUSE OF SAND AND FOG )
ジャンル:ヒューマン
2005/03/13 10:48
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ストーリー 鑑賞月日 平成16年11月24日
映画館  梅田ピカデリー(大阪梅田)
監督   ヴァディム・バールマン 
撮影   ロジャー・ディーキンス
音楽   ジェームズ・ホーナー

夜霧のなか海辺の一軒家のテラスに佇む娘が居た。事件だろうか警官が彼女に尋ねた「ここは貴方の家ですか?」、そのシーンから物語は始まる。夫に去られ、仕事も無く一人失意と怠惰な日々を送っていたキャシー「ジェニファー・コネリー」は、亡き父が残したこの海辺の家に住んでいた。僅か500ドルの所得税を滞納していた彼女に、ある日執行官が来て彼女の家を差し押さえ、彼女に家を出るよう強制した。執行官と一緒に来ていたレスター警官「ロン・エルダード」は彼女に同情し、何かと面倒を見るようになった。
その頃政変でイランを追われた亡命者ベラーニ元大佐「ベン・キングスレー」の家族が居た。ホテルでの優雅な暮らしの裏に肉体労働を掛け持ちする彼の姿があった。夜勤の店で自身の為にチョコレートバーを購入し何セントかをレジに入れた後、それを手帳に付けるが彼の全財産は既に10万ドルをきってしまっていた。ある日新聞で抵当物件のキャシーの家を目にし5万ドルという破格な価格で手に入れる。購入後すぐ不動産屋に見積もりさせると15万ドルでも売れると言われ驚喜する。これから家を転売して行く事で収入の目安が付いた彼は肉体労働とホテル暮らしを止めこの家に移り住むのであった。
一方弁護士と相談したキャシーは今回の強制執行が行政の手違いだった事を知り安堵するが然し、家は既にベラーニに売れてしまっていた。ベラーニが購入した価格で行政に家を返さない限りキャシーは家に戻れ無いというのであった。キャシーはベラーニを訪ね家を返すよう懇願するが、ベラーニは惨めな生活に戻りたく無い為にもこの申し出を拒絶する。
やがて二人の対決は激化し、深刻なものになって行く・・・。
出演 ジェニファー・コネリー ベン・キングスレー ロン・エルダード
この映画にいくら出せますか? 2000円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆
コメント 家とは単なる人の住まいだろうか? この映画は端的にそう我々に訴えかけた。これらのドラマは日常的に我々の周りに溢れているものだが然しこのように具体的に訴えかけて来ては居なかったように思われる。この映画に悪人は居ない。それぞれが貧しくつましく、多少の脱線はあるものの誠実に暮らしている。然しそれでも尚、お互いを傷つけ合い悲しい結末を生んでしまう。愚かと言ってしまえばそれまでだが、我々にも確かに存在する愚かさである。
久しぶりに悲しい映画を観た。泣きはしなかったがやりきれない何かが胸にとどこうった。ギリシャ悲劇のそれに似て深い意味を私に投げかけたようだ。たまにはこんな映画を観るのも悪くは無い。そんな感想を持ちえた秀作であったと思う。


シークレット・ウインドウ(SECRET WINDOW )
ジャンル:サイコ・サスペンス
2005/03/13 10:45
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ストーリー 鑑賞月日 平成16年10月25日
映画館  敷島シネマ(大阪難波)
監督   デヴィッド・コープ 
撮影   フレッド・マーフィ
音楽   フィリップ・グラス

人気ミステリー作家モート「ジョニー・デップ」は妻エイミー「マリア・ベロ」の不倫から離婚することになり、離婚調停に気を取られ執筆が思うように進まないスランプな日々を送っていた。ある日彼の家にシューター「ジョン・タートゥーロ」と名乗る男が現われ、モートが自分の小説を盗作したと抗議し、自分に返してくれと迫るのであった。最初は全く取り合わなかった彼であったが、シューターが置いて行った彼の原稿を見たモートは自身の著書「秘密の窓」と一言一句違わぬものであった。以来モートは執拗にシューターにつきまとわれ、周囲では奇怪な事件が多発する。やがてモートは自分の作品がシューターの作品の執筆より前である事に気づきその作品がリーダースダイジェスト(懐かしい響きです。←筆者の感想)に掲載されていてそれを彼に見せる事を思いつく。然しその本は別れようとしている妻エイミーが住んでいる、以前の彼の家にあった事を思い出し取りに行こうとするのだが突然の火事で燃えてしまう。
出演 ジョニー・デップ ジョン・タートゥーロ マリア・ベロ
この映画にいくら出せますか? 2000円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆
コメント 最初に愛犬の惨殺、次に目撃者の死、火事・・・。彼の身に降りかかる恐怖は次々と発生する。それはすべてシューターの所為であり、彼は友人で弁護士に身の周りの警護を頼むのだったが、その彼もまた・・。見えない恐怖はシューターという存在に行き着く。そして時折フラッシュバックで彼が飛び込んだ妻の不倫現場を映し出す。それはまさしく彼を覆っている悩みの根源かもしれないと映画は示唆している。
話の結末は思いがけ無いものであったが、驚くには当たらない、有り得る話であろう。彼の妻が愛したという実在の「秘密の窓」からそれらの全ては窺がえたであろうが窓のこちらがわの私達にはかなわぬものだったに違いない。ただ今一独創性に欠けていたように思えて残念でならない。


エクソシスト・ビギニング(EXORCIST [THE BEGINNING] )
ジャンル:ホラー
2005/03/13 10:43
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ストーリー 鑑賞月日 平成16年10月18日
映画館  SY角座(大阪難波)
監督   レニー・ハリソン 
撮影   ヴィットリオ・ストラーロ
音楽   トレヴァー・ラビン

30年ほど前に製作されたホラー映画の傑作「エクソシスト」の系譜である、というよりか題名どおり「初まりの物語」と言えよう。
1作目の作品で登場するメリン神父が25年前に体験した話との設定である。
時代は第二次世界大戦の末期のアフリカである。メリン神父「ステラン・スカルスガルド」は生まれ故郷のオランダでナチスの残虐行為の片棒を結果として担いでしまう。その自分への責めから神への信仰を捨てた彼は放浪の旅に出て、やがてアフリカに流れ着く。
そこで古美術収集の胡散臭い男から、その地で行われている教会の遺跡からある物を探し出すよう依頼される。発掘現場でメリンはフランシス神父「ジェームズ・ダーシー」やサラ医師「イザベラ・スコルプコ」と出会う。また村の少年ジョセフとも心を通わせて行く。ある時そのジョセフの周りでおかしな出来事が頻発し、村人は彼を殺すよう彼の父に迫るのだったが・・・。
出演 ステラン・スカルスガルド ジェームズ・ダーシー イザベラ・スコルプコ
この映画にいくら出せますか? 2000円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆
コメント 実を言うと見たくて観た映画では無かった。招待券を無駄にしたく無く選んだ映画であったのだが、思いがけずに佳作に巡り会えた。
前作のエクソシストを観て居なくても単独で十二分に楽しめる仕上がりとなっている。
設定も面白い、古代の何かの遺跡と教会の遺跡が並立するその謎が解き明かされる時、私達はその恐怖に巡り合う。
主人公の心の変遷も面白い、戦争という狂気の中で信仰を捨てざるを得なかった彼の気持ちも良く理解できる。そして再び信仰を得た彼が行使得た力とは。プロットも良く俳優も良く最近私が観た映画の中での佳作といえる。



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