メッセ方面最大の司令部

 

 こうしたショーに、ディオラマ展開がされるのはもう当たり前のようになっている。今回の次世代ホビーフェアにおいても、それは例外ではなく、コーナーの更に一角には、かなりの規模のディオラマが展開していた。

 さっと見た目だけでは、ここ数回のゲームショーに持ち込まれたいつものディオラマとかなり異なる印象を受けるが、同じモノである。それまでゲームショーに持ち込まれていたのは、この大型ディオラマの手前1/2ほどで、今回は、背景となる崖とその手前にもう一つ滑走路が付いて、全ての状態が整ったディオラマベースとしての展開である。

 

 ここに駐機している各ゾイドは、原則再販されるリペイントされたゾイド達である。コーナーのトミースタッフはこれを前に、来場した子供達から、具体的にどのゾイドが好きかなど、指で指してもらってアンケートに応えてもらっていた。アンケートに応えてもらった子供達には、ポケットモンスターのカプセルおもちゃが配られていた。どんな内容のアンケートであったのか、気になるところである。

 99/8末にスタートする新シリーズゾイドの第一弾は、別の六角形のケースの中に入っている。もちろん、その目玉となる大型ゾイドの一つがゴジュラスである。バッテリーによるオペレーションはないモノの、存在感をアピールしていた。最上段にあるシルバーのボディ。目立たない方が不思議である。六角形のケースの中ではバッテリーによるデモンストレーションがされていたが、こちらはただおいてあるだけであった。ゴジュラスは、駆動バッテリーとライトバッテリーが完全独立なのだから、せめてライトバッテリーだけでも入れておいてほしいと思わされた。

 やはりゴジュラスに対峙するのは、レッドホーン。ここでも、ゴジュラスと同じディオラマ最上段の滑走路で向かい合うようにおかれていた。もちろんカラーはケースの中でデモンストレーションしていたモノと同じレッド。旧シリーズにおいては、Mk-2時代に入ってもアップグレードされなかったレッドホーンであり、Mk-2部隊に配備された各ゾイドと比較すると貧弱に思えたときもあったが、ここではリペイントされ、帝国最強のゾイドとして、その存在感をアピールしていた。

 

 ケースの中でのデモンストレーションで足の動きの見えづらかったシールドライガー。ここでは側面は見やすいが、動いていないのは仕方あるまい。しかし、ディオラマのほぼ中央に位置していたため、アピール度は高かったのではないかと思われる。ちなみに、このシールドライガーの後ろにはコマンドウルフが追随している。ここでも、この2機種のチームワークが生かされているのか、それとも偶然なのか、とても気に入った演出であった。さらに、シールドライガーの手前には、バリゲーターが展開している。画像正面に向けられているミサイルは、バリゲーターのモノである。

 

 たまたま、視察団が足を運んだタイミングの問題であろうか、最も子供達の人気を博しているのではないかと思われたのがゴルドスである。背中のひれが特徴のステゴザウルスをモチーフにしており、そのひれのおかげで、今回展開したいずれのゾイドよりもモチーフに近い形に見えるし、色もそれらしいモノになっている、そして何より大きい。背の高さで言えば、2足歩行のゴジュラスにかなうわけではないが、ゴジュラスはその形からゴジラを知る子供達には見慣れたモノになってしまっていたであろう。それに対するゴルドスは、ゴジラにもウルトラマンにも見慣れない怪獣の形をしているのである。人気を博していたと述べたが、実際にはアンケートに答える子供の中に指を指している子供が多く見受けられたというだけであり、好きじゃないゾイド、という回答に多する反応でないことを祈りたい。

 

 レドラーは、ディオラマ手前の見やすい位置に駐機されていた。触って動かしてみたい衝動に駆られたが、それはさすがにやめておいた。レドラーの周辺には、ブラキオス、モルガなど帝国ゾイドが脇を固めていた。ブラキオスとモルガは共和国軍ゾイドに対峙するようにおいてあるにもかかわらず、なぜかレドラーだけはそっぽを向いていた。まさか逃げる体勢をとっていると言うわけではないであろうか、もう少し演出としてこってほしいと思わされた。それとも、アンケートに応えたニュージェネレーションの手によって、そんなふうに置かれてしまっただけなのか・・・・・

 

 唯一リリース予定でないゾイドでありながら、ディオラマに展開されていたのはアロザウラーである。展開されていたと言っても、駐機しているとか、進軍中であるとか、戦闘中であるとか、いわゆる完全な形ではなく、破壊された残骸としてのモノであった。ディオラマ演出上では、ちょうどヘルディガンナーに破壊されてすぐといった所であろうか、ディオラマ右方向の急角度の壁面にへばりつくヘルディガンナーの真下に、無惨にも破壊された形で横たわっていたのである。分解組立が可能なゾイドである。遊ぶとき、敵の攻撃を受けたということで、ゴムキャップを外して手足を外し、壊れたようなイメージにして遊んだことはないであろうか。今回このディオラマにおける演出されたアロザウラーは、数カ所に実際に火であぶられてダメージが表現されたうえで、各部のパーツが外され、散らばされてていたのである。さすがにまだこんな演出のゾイドを作ることは出来ないが、まもなく、こんな演出をほどこしたゾイドも心おきなく作ることの出来る時代が来るのである。こんな展開もゾイドの遊び方の一つである。ニュージェネレーションは、どれほどこのアロザウラーの意図に気づいてくれたであろうか、興味深いところである。

 

 今回のディオラマ展開は、広いベースを持ってきての展開であり、そこにのせられたゾイドの数も、見応えあるモノであった。しかし、子供達からすると、自分たちよりもかなり高い目線の所にあり、アンケートに答える際、最も奥の最も高い位置にあるゴジュラスを指さしている子供達は、少ないように感じられた。そのため、もっと手前の、そしてもっと見やすい位置にあるゾイドが人気あったように感じられたのである。こうした、実物を持ち込んで何らかのアンケートをとるのであれば、もう少し低い位置にディオラマを展開し、見やすい状態にする必要があったのではないかと思われる。そうでないと、本当の人気とおいてある位置の見やすさとで、異なった結果を招く恐れがあるからである。好きなゾイドも嫌いなゾイドも、手前の見やすいゾイドになってしまったとき、トミーはこのアンケート結果をどのように分析するのか、考え直す必要があるのではないだろうか。また、我々旧シリーズを知っているパワーユーザーには興ざめかも知れないが、本当にアンケートをとるのであれば、各ゾイドにネームプレートやナンバープレートをそばに置くなり首からかけるなりして、より子供達が返答しやすい状態を作ってあげるべきではなかったかと思われる。確かに最初のお披露目の場であり、かっこいい姿をアピールしたいであろう。だが、データーをとるのであれば、より正確なデーターをとる努力をして、それを今後のシリーズ展開に反映させて欲しいモノである。

 

 

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