2002東京おもちゃショー

 

 例年であれば、3月に行われていたおもちゃショーは、今年は、5月の開催となった。

 のっけから暗い話題で申し訳ないが、今年のおもちゃショーは、不景気のせいか例年と比較すると、ワンフロア少ないスペースでの開催であった。また、昨年試験的に行われた「おもちゃ引き替えコーナー」が今年も設けられ、このスペースがワンフロアほどとっていることから、実質、ブースのためのスペースは、2年前の6フロアから4フロアに減ったことになる。このため、毎年特に広くブースをとる大手メーカーほど、少ないスペースに押し込まれての展示を行っているような印象をあたえるおもちゃショーとなってしまっていた。もちろんトミーも大手メーカーの一つであるため、昨年の2/3程のスペースのブースを構えていた。

 

 トミーブースの入り口の脇にはステージが設けられ、特大の「黒ひげ危機一発ゲーム」も行われていた。今年は、スターウォーズがらみで、「黒ひげ危機一髪ゲーム」のアレンジ商品が出ることから、トミーの定番商品でありながらも、今年の一押し商品の一つとしてとらえられていると思われる。

 ゾイドのコーナーは、順路のほぼ中程にあった。ブース全体が小さくなったことから、通りに面した一部に、コーナーが設けられているといった様子であった。夏の新製品となる、ブロックスから、レオブレイズとウネンラギアの大型モデルが置かれていた。

 

 ブロックスを含め、キラードーム以降、パワーユニットを搭載しない機体が連続していたゾイドシリーズの、久しぶりのパワーユニット搭載の新製品は、ゴジュラスGIGAである。

 

 おもちゃショー現在(2002/05)のゴジュラスGIGAの仕様を展示してあった様子の範囲内で羅列してみる事にする。

●カラー

白い装甲パーツに青い内部構造と言った配色。そして、手の爪やコクピットまわり、背びれの一部に黒鉄色のようなカラーがあり、太股にはメッキカラーのような配色もされていた。

ただし、このおもちゃショー時点では、まだパーツの分割方法が決まっていないそうなので、どこまでが成形色で再現され、どの程度塗装済部分を織りまぜて製品化されるかは未定とのこと。

●舌の再現

口腔内には、舌のようなパーツが再現されていた。この舌のようなパーツは、口の開閉にあわせながらも、単純に口が開いたら舌も下がるという動きではなく、口が先に開いてから舌が動くようになっており、外からその動きが認識しやすくなっていた。

●首の動き

ゴジュラスGIGAでは、左右に上下に首全体が動くようになっている。単純に首と頭の境目部分で左右に振るのではなく、首の肩との付け根部分で、左右上下に円を描くように動きがつけられていた。更にこの首の動きは、口が開いたら右を向く、と言うように口の開閉と連動しているわけではないので、時には右を向いたときに口を開き、時には上を向いたときに口を開くなど、単純にどの動きと首の動きが連動しているかがわかるような動きになっていなかった。

●変形機構

ジェノザウラーのような前傾姿勢の2足歩行形態と、尻尾を引きずっての2足歩行形態の変形が可能。もちろんいずれの形態においても歩行は可能。ただし、歩行にはバーサークフューラーのような歩行用のげたをはかせる必要がある。また、前傾姿勢時と尻尾を引きずっての姿勢の時では、それぞれ目の発光色を赤と緑に変化させる予定があるとのこと。

●足の爪先の表現

ゴジュラスでは足首の動きが表現されていた、と言えると思えるが、ゴジュラスGIGAでは、足の爪先の動きが表現された。前述の通り、歩行にはげたをはかせる必要があることから、この爪先の動きが直接歩行を助けているとは思えないが、動物としてのリアルな動きの表現が目指されているようである。

●腕を広げた形態

これまでのゾイドは、いずれも体の側面に平行に腕を取り付け前後ないし上下に動かしていた。ゴジュラスGIGAでは、動きそのものは単純に腕の位置で前後ないし上下させる動きにしかならないのであるが、腕の取り付け方が、脇を広げるような形態で取り付けられている。おそらく、もともとは首全体を大きく円を描くように動かすギミックにしたことから、腕がぶつかってしまうのを避けるための措置として、脇を広げることにしたのであると思われるが、結果的に躍動感を表現するのに役立っているのではないかと思われる。

ただし、腕の動きの連動方法は、ジェノザウラー同様、足の動きを体の側面外側を通して腕に伝えるという方法を採っている。肩の位置には、首を動かす為のギミックが内蔵されていることから、腕のためのギミックを内蔵できなかったのも、一因であろう。

また、肘関節については、ポージングは出来る余地があるかも知れないが、動きとの連動は確認できなかった。今後の検討で、肘関節の連動表現を期待したいところ。

●ゴムキャップ

基本的にはBキャップと同じ機能するような寸法である。ただし、外見的なデザインは全く見直され、装甲で覆われたような形となり、Bキャップよりも長い印象を与えるものが計画されているようである。

●型式番号

型式番号は、「RZ-064」が予定されている。このことは、「EZ-063」のガンタイガー以降、今秋発売のゴジュラスGIGAまで、通常ラインの新製品は出ないことを意味している。つまり、この間の新製品は、ブロックスをはじめとする、通常ライン以外の商品のみであるといえる。

●装備のギミック

展示されていたゴジュラスGIOGAには、外づけの装備らしい装備が無かった。何らかの装備を追加して、そこに何らかのギミックを追加するとの事であるが、また未定とのこと。本体発売後CPラインで発売となるのであろうか・・・・・

 

 スタッフの方が強調していたのは、「こうした色の付いた試作品を見ると、すぐにも発売できそうに感じるが、試作品はあくまでもハンドメイドで、これがそのまま商品になる訳ではない」とのこと。確かに、パーツの分割方法が決まっていない、という具体的な説明は、まだまだ長い道のりがあることを、如実に表しているようである。なお、展示されていたゴジュラスGIGAには、水貼りデカールが用いられていたが、製品では今まで通りシールタイプのモノになるとのこと。

 

 ブロックスは、ちょっとしたテーブルの上に、体験用のブロックスというよりも、バラバラになったブロックスのパーツ、各ブロックが広げられていた。会場に訪れた子供達が、実際にブロックスを手にとって、組み上げていた。そして、出来上がったブロックスをゾイドスタッフに見せて自慢していた。ゾイドスタッフも、それに応えるように、欲しがっているパーツを一緒に探してあげたりと、新しいブロックスを積極的に、子供達にアピールしていた。

 実際にブロックスで組んで分解してを繰り返すとなると、ジョイントのホールド力が落ちてくることが懸念される。それをどのように解決しているのかは、ホビーフェア会場での発表時から、気になっている点であった。ブロックスでは、全てのジョイント部分のメス側にはゴムパーツを用いる事で解決していた。ブロックとブロックの接続は、棒状のオスジョイントを別途用意することで、解決を計っていた。また、既存ゾイドとの互換性を持たせるため、ハードポイントとのジョイント変換用のパーツを用意するなど、既存ゾイドのカスタマイズパーツとしての流用もかなり意識されている。実際、会場には、カスタマイズパーツとしてブロックスを装備したB/Oゾイドが何体か展示されていた。

 ブロックスに対して、総じて感じたことは、ゾイド版サイテックスか? というもの。既存ゾイドで言う、フレームパーツの代わりに、四角いブロックをいくつか連結させて芯を作り、そこに、足や翼やコクピットや頭を取り付けて、動物の形にすることで、ゾイドを表現しているのである。サイテックスは、カプセラのように、動力を伝達することを特徴としていたが、実際には動力を伝達するブロックに比較して動力を伝達しないパーツの比率が高く、結果的に、四角いブロックをつなげた芯に、車輪や装甲パーツを取り付けることで、サイテックスらしさを表現するおもちゃになっていた。つまり、ランナーパーツの形やモールドが、サイテックスらしい特徴を表現し、動力を伝達するという特徴が、生かされなかったのである。実際にブロックスが発売され、どのようにユーザーに受けとめられるのか、メーカーが考える特徴と、ユーザーの感じる特徴は一致しているのか、異なっているのか、後日結果を見て、今後のブロックスシリーズの展開を見直す時期を少し早めに設定しておいても良いと思われる。

 新しい形態のおもちゃであるブロックスを、「ブロック式の動物型ロボットのおもちゃ」ではなく、ゾイドブランドで出したことで、ブロックスを既にあるゾイドのブランドイメージで成功させるのか、ブランドイメージがブロックスを食ってしまって思うように受け入れられないこともあるかも知れない。トミーはゾイドの他にもオリジナルキャラクターを持っており、また、今後も独自に作り上げていくエネルギーを持っているであろう。そうしたオリジナルキャラクターを展開する中で、ブロックスの規格を用いた商品を出すことで、相乗的に成功させるというのも方法ではないかと思われる。例えば、手近なところでは、ヒカリアンの中に、ブロックスを用いたシリーズを作るとか、シリーズ枠を超えた使い方をすることで結果的に成功に導くのも、トミーの過去の展開を見ていると、アリと思われる。

 

 今年の傾向として感じたのは、トミーのビットチャージーやタカラのデジQの成功に端を発したと思われる、手のひらサイズ以下の大きさのラジコンカーが各メーカーから発表されていたという事である。今までこのサイズのラジコンカーを発表していなかったメーカーは、まずは普通乗用車のラジコンから、既に発表済のメーカーは、戦車や列車、またバス、F-1カーなど一ひねり加えたラジコンが発表されていた。

 今年のおもちゃショーは、全体的にこじんまりと行われたせいもあったのか、物足りなさを感じるおもちゃショーであった。

 タカラのドリームフォースの影響か、バンダイの2足歩行ザクの影響か、対戦を前提とした2足歩行ロボットが、各社から発表されていた。いずれもがBB弾の発射が可能であったり、赤外線レーザーでの対戦が出来たり、モノをつかむことが出来るようになっているロボットである。今年、トミーはそうしたロボットの発表はなかったが、既にトミーはTXRというロボットを出している。TXRは、2足歩行は実現できなかったが、BB弾の発射や、赤外線レーザーの発射、パンチユニット、マニピュレーター、ライトという5種類の腕のオプションが用意された、やはり対戦も可能なロボットであった。

 また、多くのメーカーが、いやし系(?)の対話型ロボットを発表していたが、トミーは、対話こそ出来ないが、オムニボットという愛敬あるラジコンロボットを80年代半ばに発売していた。オムニボットは、腕をラジオコントロールする事が出来ないが、前後左右の動きや、内蔵したカセットテープの再生などをラジオコントロールできるようになっていた。オプションによる光りセンサーや音センサー、ライントレーサーを組み合わせることで、擬似的にロボットとコミュニケーションがとれているようにみえるような工夫がされており、自らしゃべることは出来ないが、腹部にカセットテープレコーダーで、音楽でも音でも再生が可能であった。因みにこのカセットテープレコーダーはプログラム機能があり、生テープを入れてプログラムモードにしてオムニボットを操縦すると、その動きをカセットテープに記憶させることが出来、次回からプログラムされたカセットテープを再生することで、同じ動きを再現できるようになっていた。もちろんこのおもちゃショーで発表されていた他社のロボットと比較すると、見劣りする性能でしかないが、コンセプトは同じであったと考えて差し支えないであろう。

 こうしたトミーがかつて販売していた、TXRやオムニボットの存在が今年のおもちゃショーに物足りなさを感じさせたのかも知れない。

 

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