2001上半期の新製品

 

 おもちゃショーで紹介される上半期の新製品は、ゾイドのコーナーの真ん中、ちょうどプロジェクターの前を中心に並べられていた。

 

 やはり一番の注目商品はライガーゼロ。コロコロコミックのバトルストーリー、マンガ、アニメでも、主人公の搭乗機となるライガーゼロは、チェンジングアーマーシステムを採用している。これにより、まずは、本体を用意して、そこに別売りにカスタマイズパーツを追加購入することで、簡単に改造遊びが出来るようなゾイドになっている。トミーでは、「改造遊び」をゾイドの遊び方として定着させようと、カスタマイズパーツを売りだし、単に買ってきて組み立てるだけがゾイドの遊びではないと言うことをアピールしようとしてきている。その延長線上に表れたのが、あらかじめ改造すると言うことを想定して設計をして、外装を変えることで別の機体になっている、つまり、改造していると思わせるような作りをした機体をリリースしてきているのである。

 

 既にライガーゼロは発売済、そして今後発売されていくのが、シュナイダーユニット、イェーガーユニット、パンツァーユニットである。

 

 シュナイダーユニットは、オレンジを基調としたアーマーパーツで、いくつモノソードを組み合わせ、格闘戦をイメージさせるパーツとなっている。イェーガーユニットは、設定上スピードを優先した能力を発揮させるための装備となっている。これを表現するため、加速するためのブースターと、スピードが上がったときに機体に直進性を与えるための垂直翼、機体が浮き上がるのを防ぐための水平翼を備えたパーツとなっている。

 残念なのは、この二つ、ソードと翼という異なる装備はしているモノの、ポージングの位置によってはシルエットに違いが見えにくいことがあり、色以外でパーツの差別化や視覚的に設定の違いを強くアピールするには至っていないように感じられなくもない。

 

 パンツァーユニットは、設定としてライガーゼロの機動力を犠牲にしても、打撃力を強化させようとしている装備である。厚い装甲を連想させるパーツに、重砲が2門装備されるユニットは、緑を基調とした色で表現されている。ユニット名の「パンツァー」とは、AFV系の事に明るい方には周知の通り、第二次大戦中のドイツの戦車から名前をもってきている。そして、この少し明るめの緑は、第二次大戦中のソ連の戦車の色に近いモノを想定しているであろう。戦車に強いドイツとソ連からモチーフをもってきて、重砲を装備させるユニットを表現していることに、開発者の思惑を想像させられる。

 ザバットは、無人ゾイドと設定された初めての機体ではなかろうか。稼動ギミックはプルバックゼンマイで表現された爆弾ユニットになっており、逆さになった収納方法から想像に難くないように、歩行プラスアルファ、という従来のゾイドの定義から一歩踏み出したギミックを内蔵している。有人コクピットの同梱や、専用カスタマイズパーツの同時発売など、「動かすゾイド」から「さわって遊ぶゾイド」が色濃く表現されているようである。同時発売のスピノサパーも、同じようにカスタマイズパーツが一緒に発売されることからも、それまでの改造パーツのように、改造する行為を楽しむのではなく、ゾイドで色々組み合わせて遊ぶ、に変わりつつあることを、意識しなければならないのかも知れない。

 

 コマンドウルフの後継機として登場してくるのが、シャドーフォックスである。狐をモチーフにしたゾイドであり、コマンドウルフとほぼ同じ大きさに、コマンドウルフ以上の装備をしながら、同じようにスモークディスチャージャーを装備することで、後継機を演出している機体である。

 このシャドーフォックス。どことなく、ライトニングサイクスにも似てなくないデザインである。このことについて、ゾイドチームの担当者にお話をうかがったところ、「共和国も帝国も、別々であれ同じように開発を続けていけば、たどり着くところはいっしょにはるはず。結果、デザインも似通ってくるであろう(※担当者の話を要約しました)」とのこと。つまり、旧シリーズにあったような、共和国ゾイドは構造むき出し、帝国ゾイドは装甲、というデザイン的違いはそれほど意識して行くつもりはないようである。ただし、「帝国と共和国で、モチーフとなる生物を分けて、帝国は恐竜をメインに、共和国は動物をメインにすることで差別化しようかとも考えている(※担当者の話を要約しました)」との事でした。つまり、今後、帝国軍と共和国軍の違いは、デザイン的差別化ではなくモチーフの差別化に頼ることになる可能性がある、と言うことだそうである。確かに、モチーフによる差別化は、わかりやすく、好意的に受けとめるにしても、果たして恐竜と動物という線の引き方が良いかは疑問であり、再考の余地があるのではないかと思われる。また、ロシアのフルクラムやフランカーがアメリカのトムキャットや イーグルに似ているように、ゾイドの開発が進めば帝国も共和国も似たようなデザインになるという担当者の話もわからなくもないが、ここはあえて2国間の差別化、ということで、仮に従来の構造むき出しと装甲、ではないにしろ、帝国軍と共和国軍のコンセプトの違い、が出てくるような、新しいデザイン的差別化を考え出してもらいたいものである。

 

 旧シリーズからの再販は、待っていましたサラマンダー。これまでの再販組とは一線を画している。これまでの旧シリーズからの再販組は、旧シリーズとは異なる成形色を用いていた。かろうじて、シールドライガーやセイバータイガーなどのいくつか機体は、配色は旧シリーズにほぼ準じているものの、色の濃さが違ったり、全く同じモノを目指していると言い切れない機体であった。しかし、サラマンダーでは、トミー自体から、完全再現をアナウンスしてのリリースとなっている。サラマンダーは、このおもちゃショーの会場の一角で、子供商品券との引き替えによる先行販売がされていた

 

 このおもちゃショーの会場で初めて知らされたのが、通常ナンバーのラインに載ってくる、1/72でパワーユニットを搭載してない非稼動モデルのラインナップである。会場には、試作品の展示はなく、プリンターで打ち出して組み立てたパッケージの試作モデルのみの展示であった。これら非稼動モデルは、いずれも新しいゾイドのあり方を提示しているのは間違いない。今後のゾイドのあり方を考えたとき、稼動ギミック派には、素直に喜べない展開ではある。

 

 ゾイドのコーナーでは、一定時間おきに、ドクターTをはじめとする、ゾイドチームの担当者から、これら新製品ラインナップの紹介がされていた。

 

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