改造ゾイド

 

 ユーザーが改造ゾイドを持ち込むのであれば、トミーだっていくつもの力の入った改造ゾイドを会場に展示している。2000年に入ってからの各種イベントで紹介されていたゾイドの改造例のいくつかは、2度3度紹介された機体であったが、今回展示された改造例は、ほとんどが初お目見えのモノであった。

 

 一番目を引いたのはやはりこれ、ウルトラザウルス。改造ゾイドの展示スペースの1/3をしめるその大きさに圧倒されるのは言うまでもない。もともと、ただでさえ大きなウルトラザウルスに、長距離キャノン砲を6門。そして、かつてはゾイドシリーズ最大の砲と思われていたその長距離キャノン砲さえも小銃に見せてしまう超大口径砲を2門装備したウルトラザウルスは、目立たないはずのない、巨大なモノに仕上がっていた。このため、ウルトラザウルス固有の36センチ砲などは、探さなければ、装備されていることにも気づかないほどの小口径砲になってしまっているのである。

 少々レポートの趣旨から外れるのであるが、同じゾイドを改造する者として評価をさせてもらうと、36センチ砲や長距離キャノン砲は装備すべきではなかった、と思うのが残念なところである。改造とは、何かのテーマを決めて、それが強調されるような形にまとめあげるのが理想的である。すると、このウルトラザウルスの最大の特徴は、超大口径砲。これを強調することを考えた場合、思い切って他の装備を省いて、使用目的を明らかにさせることが良かったのではないかと思われる。もちろんメインターゲットとなる小学生にとっては、少しでもたくさんの武器がついていた方がアピール度が高いのはわかるが、仮に他の武装を省いたとしてもこれだけの大きさであるので充分その目的は果たせると思われる。すると、数年後に超大口径砲のみのウルトラザウルスを見たとき、装飾過少と思うのか、それとも初めてみたときは装飾過少と思ったが実はこういう目的があったんだと思わせることができるのか、で大きな違いが現れてくる。画像ではわかりづらいのであるが、超大口径砲の根本部分には、カノントータスのコクピットを使ってガナー席(たぶん火器管制のための席であろう)が設けられているのである。こうしたリアリティーを演出する小技を効かせてあるからこそ、よけいに超大口径砲以外の装備がいらないのではないかと考えさせられてしまうわけである。

 ゾイドが大河トイシリーズになっていくことを目指しているのであれば、わかりやすい魅力だけではなく潜在的魅力をいかに付加できるか、つまり、外見だけではないその向こうにあるよりリアリティーの高いソフト面やギミック的構造などの魅力を上手く取り入れることができるか、が同一シリーズを継続させて行くには必要な要素であると思われる。こうしたメーカーの作例ともなれば、今後もユーザーの目に触れる機会は多くなるのであるから、改造例についても潜在的魅力を含んだモノを目指してもらいたい。一発改造ではない、特にウルトラザウルスという定番人気アイテムの改造だからこそなおさら残念でならない感が否めない。

 なお、このウルトラザウルスは、コミックGOTTAに紹介されているのであるが、どうも解説文がこの機体を製品の機体と勘違いしてしまっていると思わせられるのが、気になるところである。

 

 ブレードライガー。アニメやマンガの主人公機というイメージが先行してしまい、共和国軍の量産型中核機というイメージがなかなか植え付けられない機体のバリエーションが作例として紹介されていた。ブルーとホワイトのカラーリングを逆転させ、いくつかのブレードを装備しただけとも見える、地味な改造例の機体ではあるが、量産型ブレードライガーの一バリエーションと考えると、派手すぎないリアリティーのある改造であるという印象を与えている。

 ゾイドの部品をゾイドに付加するのはゾイド改造の王道。イグアンとヘルキャットを融合させ、ケンタウロス型となった機体は、小ぶりながらも小学生にもできるであろう範囲であり、お小遣い程度の改造をさせる勇気につながる機体であると思われる。

 

 やはりメーカーだからこそできる改造と言えば、カットモデル。個人ユーザーでは、なかなか踏み切ることのできない改造例である。旧シリーズにおいても、ゾイド・バトルストーリーの中にいくつかの機体が紹介され、魅了されたファンも多いであろう。今回この会場には、アイアンコングのカットモデルが紹介されていた。旧シリーズMk-1のパッケージの裏面には、腕の装甲パーツを外した3面図が載っていたことからもわかるように、アイアンコングの腕の装飾は、パーツを外せば本当に動きの構造がわかるのではないかと思うほど、リアリティーを持って作られていた。その腕の装飾を主体に、頭部装甲、肩装甲、胸部装甲、足、そしてミサイル部分をカットして、パーツの入れこみと、既存モールドへの外部構造とは異なる塗装をすることで、魅力ある改造に仕上がっていた。このほかに、ジェノザウラーのカットモデルも紹介されていた。

 

 やはりさすがにメーカーのやる改造だけに、パーツの使用の仕方などにはうらやましさを覚えたのは否定できない。こうした改造例の紹介を通じて、ゾイドの改造の楽しみがどんどん広がれば、アニメ終了後のホビーおもちゃとしてのゾイドの定着化が見えてくるのではないかと思われる。

 

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