ナンバリング方法の発展

 

 ゾイドでは、組立手順を考慮したナンバリングが行われた結果、ランナーへのレイアウトが複雑になると言う弊害を招いている。更に、成形色でそのまま楽しむこともできるゾイドでは、色を考慮した上でのレイアウトが絡んでくるため、レイアウトとナンバリングは一般的なプラモデルのように、相性がいいというモノではなかった。

 そこで、トミーは、組立手順のナンバリングを残しながらも、各ランナーに名前を与えることによって、部品の探しやすさの解決を見いだしたのである。

 中期以降のゾイドでは、各ランナーにアルファベットで、Aから順番に名前が与えられていった。例えば「No.A4部品」であれば、まずAランナーを捜し、その中のNo.4を探せば部品が見つかると言った具合である。

 以下は、ギルベイダーの尻尾の組立の一部である。たった3つの部品を取り付ける手順であるが、ランナーは3カ所から別々に持ってきている。

ちなみに、取り付けの土台となる尻尾部品もEランナーの部品なので4カ所からとも言える。このようにランナーを分けることで、部品の成形色が変わり色を塗らなくても楽しむことのできる素組みのゾイドができ上がるのである。

 

 アルファベットでランナーを分けるのは、他のプラモデルでも行われているそんなに珍しいことではないが、ゾイドでは当初から行われていたことではなかった。他で既に行われている良いところを取り入れ、より組み立てやすくすることは、それだけ造り手の工夫でもあるが、同時にアンケートやイベントを通してのユーザーの意見も反映された、作り手とユーザーのコミュニケーションが行われた結果と見るべきではないであろうか。

 アルファベットであれ、ランナーに名前をつけて部品を探しやすくする工夫はされたが、その1枚のランナーの中の部品のレイアウトは、必ずしもナンバリング上の一定の法則が見られたわけではなく、ユーザーはやはり部品を探すのに労せねばならないままである。このことは、組立順のナンバリング方法をとったトミーのジレンマとなっているのではないかと思われる。

 

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ゾイド取扱説明書より転載