刻印
ゾイドの特徴の一つに、各部品への部品ナンバーの刻印がある。この刻印は、確かにゾイドの特徴ではあるが、他のプラモデルで全く行われていないゾイドだけの事ではないのも事実である。しかし、旧シリーズにおいては、ナンバリングの順番による組立と連動して、全てのパーツにナンバーが刻印されているということは、そのまま、説明書無しでも組み立てる可能性を与える、ゾイドの特長である「分解組立が可能」を実現するための工夫の一端をになっていた。
では、新シリーズ新製品において、この刻印はどうなっているのであろうか?
既に述べたとおり、新シリーズ新製品におけるナンバリングの特徴は、ランナー上の部品の探し易さを優先し、組立順のナンバリングではなく、ランナーレイアウト順のナンバリング方法である。ナンバリング方法が変わったからと言って、部品への刻印が必要なくなるか? と言われると、やはりランナーから切り取った後の部品のわかりやすさを考えた場合、刻印があった方がよいことには変わり無く、新シリーズ新製品の第一弾であるジェノザウラーの角パーツには、極力ナンバーが刻印されている。
つまり、新シリーズと旧シリーズでは、刻印の有無という点では、違いはないのである。 だが、刻印の仕方、には大きな違いが現れている。 #40・41部品を見てみることにする。これらは、ジェノザウラーの太股部分のアーマーパーツであり、左右で対称形をした部品がそれぞれ用意されている。では、裏返してその刻印の仕方を見てみることにする。部品にはそれぞれ、「40」「41」と刻印されているのが見て取れる。だが、刻印されているのは、数字の「40」「41」だけである。 |
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数字だけである、という表現を怪訝に思うかも知れないが、旧シリーズの場合、左右で対称となる部品には、必ず「L」「R」が添えられていたのである。もちろん「L」は左を示し、「R」は右を示す。つまり、もし、これが旧シリーズであれば、「40L」「41R」と刻印されるのが旧シリーズの刻印方法の特徴であったのである。これに対して、ジェノザウラーでは、部品を見ただけでは部品名はわかったとしても、右用部品か左用部品かは、実際に仮組みしなければわからない、ということが言えるのである。
このことから、ジェノザウラーの部品への刻印方法は、後に分解して再組立する事が想定されていない刻印方法である、と言えるのである。もちろん、改造しようと思うユーザーが、いちいち刻印を見なければ部品を探せないとか、再組立できないとか言うつもりはないが、いわゆる安心感への保険、という意味からすると、左右の指示は、無いよりあった方がよいのは目に見えている。
各部品への左右指示の廃止と、ジェノザウラーの複雑なギミックと構造とを考えた場合、どうも、一度組み立てたらそれで終わり、という遊び方のおもちゃになっている、という印象を受けるのは否定できない。ゾイドの遊び方として「改造」を推奨するには、今後の新シリーズ新製品には、左右指示刻印の復活を望みたい。
ゾイド取扱説明書より転載