ビッグマンクス Bigmanks

 

 スタリアスシリーズで最も知名度があるのがビッグマンクスであろう。

 

 なんと言ってもその理由となっているのが、このコクピット部分横の共和国軍の認識である。見てわかるとおり、おそらく当初の共和国軍ゾイドのコクピットと同じ材質のプラスチックであり、ゾイドの姉妹品シリーズであることがすぐにもわかるようになっているためである。

 

 パッケージは、最も印象的なビッグマンクス本体を持ってきている。ちなみにこの変形名称は、ブロントザウルスという。写真をパッケージに使うのは、ゾイドと同じであるが、現在確認済みの他の2種のスタリアスシリーズはいずれも活躍想像図(と言っても、ミリタリーモデルのような絵画的なモノではないが)的なモノになっており、その点からすると、ビッグマンクスは、スタリアスシリーズの中で、最もゾイドに近いパッケージ形態をしていることになる。このことは、パッケージ裏面にも見ることができ、この「これがスタリアス改造計画だ!」の文字は、どこぞで見たことのある「これがゾイド改造計画だ」と同じモノであり、なおかつ、使われているディオラマや、改造の方針までもが、まったくもって初期ゾイドの改造例と同じであることが見て取れる。

 

 ビッグマンクスの最大の特徴は、変形すること。このことは「変幻機械獣」という言葉が冠せられていることからわかるように、スタリアスシリーズ全体の特徴である。(ただし、1部シリーズ商品には変形しないモノもある。)パッケージに載っている変身例は4つ。マンモス、スプリントザウルス、モンスターバイク、ブロントザウルス。足や尻尾、首、変形によって、首と尻尾は入れ替わるのであるが、これらがどの位置を向いたときにどこにコクピットをつけるか、車輪を伸ばすかで形態が変わってくる。

 

 こうして変形したビッグマンクスはどのように動くのであろうか?

 原動力は、モーターやゼンマイではなく、パワーラックを用いてフライホイールを回転させる事で得るようになる。

 スプリントザウルスとモンスターバイクは、原動力となるフライホイールを直接動輪として用いることで、それこそバイクのように一気に駆け抜けるようになっている。トミーのオリジナルキャラクター系の中で、こうした車輪タイヤ系のアイテムは少ないほうである。

 フライホイールの一部は、ドーナツ状に荒いサンドペーパーのようになっている。これは、モンスターバイクの場合に前輪を引き出すことで、このサンドペーパー状のと部分にライターのフリント(発火石)がぶつかって火花を散らしながら走るようになっているためである。一気に走り抜けてしまうことで、走っている最中にギミック的な動きを演出したとしても、それを見ることができないために、火花を出しながら走るという見た目にわかりやすい演出をすることで、単に走るだけ、というおもちゃになっていないところが、トミーらしさを感じさせていると言える。

 残りの2種、四足歩行タイプはもちろん、足を使って前進することになる。だが、この4本の足の動きは、ゾイドのようにそれぞれがクランクからから取り出される、接地部分の回転運動で前進することが出来るようになっているわけではない。

 やはり、まず駆動させるのはフライホイールである。フライホイルを回転させる前に、スイッチをオフにしておく必要がある。フライホイールの回転が安定したら、このスイッチをオンに切り換えることで、回転から得られる動力が足に伝えられ、四肢がそれぞれの位置で扇形に動く前後運動を始めることになる。こうした四肢の前後運動は、左前足右後足と右前足左後足のペアで交互になされる。だが、これだけでは、実際の前進は確保されない。この前進を確保するのは、両前足につけられている車輪である。この車輪は、前には回転するが後ろには回転しない構造になっているため、足の単なる前後運動を、本体を前に引っ張る動きに変えていることで、四足歩行を実現させている。

 この足を動かすギミックのスイッチは、マンモス時に鼻となる部品(ブロントザウルスで尻尾となる部品)をボディーに折り込むように収納すると、内側にある出っ張りがスイッチに連動していて、フライホイールからの足の連動スイッチが切れるようになっている。こんなところに、ちょっとした安全性への考慮があるのがトミーらしいうれしい構造である。

 

 スタリアスシリーズのゾイドと異なる特徴は、当初からカラーバリエーションが用意されていたことである。これは、ゾイドのようなバージョンアップや限定版と言うわけではなく、ユーザーが好きな色を選べるようになっていたカラーバリエーションの平行販売である。

 ビッグマンクスの場合は、2色が用意されていたと思われる。現在確認がとれているのはグリーンとブルーの2色であるが、パッケージを見る限りにおいても、この2色のみの販売であったと思われる(海外版はのぞく)。見てわかるとおり、メインとなるボディー部分の違いのみで、鼻や尻尾、足は両者とも同じライトグレーである。

 ユーザーは、買うときにパッケージに貼られた、このビッグマンクスのシルエットの色で、中身のビッグマンクスの色を判断し、選択することになる。ビッグマンクスでこのシールを見た場合何のシールかすぐにわかりづらかったせいか、他の機体では「本体カラー」と一言添えた上でシールが貼られているところが、進歩した点とも言える。

 トミーは、この数年後に各種のファンシーロボットを発売するが、そのいくつかにもカラーバリエーションの平行販売は見られている。また、ノンキャラクターおもちゃでカラーバリエーションがあるのは、それほど珍しいモノではないことを考えると、ビッグマンクスは、動くおもちゃのおもしろさ、遊ぶおもちゃのおもしろさを伝えようとしたおもちゃであると考えるのが良いと思われる。

 

 

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ビッグマンクス・パッケージ、取扱説明書より転載