スケールは大きいのにギミックは小さい-17 

little gimmick-17

 

 ゴーレム戦士を動かすためのギミックを考えます。

 ひたすら寸法を測ります。時には右半身の胴体にパワーユニットを入れてコックピットを載せた状態にして、必要な寸法を抜き出します。

 その結果、こんな部品の図面が出来ました。

 ゴーレムのコックピット部品の裏側、丁度シートの両側面のスイッチ類の裏側におよそ2mmの溝が有ります。この溝を利用して、ギミック部品を支えることにします。

 図面は左側の部品を想定しています。しかし、左右対称で同じのを二つ作ります。

 プラ板を貼り合わせて厚さ2mm程の板を作ります。大事なのは、コックピット部品の溝にしっかり入ることです。少しゆるめはかまいませんが、厚い場合、しっかり奥まで入らないと位置がずれてしまい、寸法が狂ってしまいます。微調整したりして、実際には1.8mmぐらいまでになってしまうかもしれません。

 その上で、上から15mm、前から14mmの位置に中心が来るように、3mmのプラ棒が通る穴を空けます。3mmのプラ棒は、必ずしもぴったり3mmではありません、実際に部品として使うプラ棒で現物あわせして、適度に緩く動くほどの大きさにします。

 いわゆるギミック部品を作ります。

 Aは、3mmのプラ棒を固定する駆動軸の中心位置です。

 Bは、パワーユニットの腕用のシャフトにカムの役割をさせる受けの部分の基準となる円の中心です。

 

 AとBの位置関係は、下の図で表現しています。

 

 AとBを結ぶ直線の延長線上に左右に8mmずつの幅が設けて有り、ここで、腕のクランク部品に加工した5mmのプラパイプのカムを受けます。この左右8mmの加工は、パワーユニットの腕のシャフトのスペーサーの役割を果たす部品に切り込んだ溝の深さに影響します。もし、溝が浅ければ、左右に8mmより広くしなければなりませんし、溝が深ければ、左右に8mmより狭くしても部品として機能することになります。同時に、Bを中心とする円の大きさも変わってくることになります。これも現物あわせが必要です。

 これらの位置関係と場所の確保が出来れば、この部品の形状は、必ずしもここでのあげている外形である必要な有りません。また、仮組みをしてぶつかる場合は、必要に応じた現物あわせもしなければなりません。

 1.2mmのプラ板から、同じ物を2枚切り出します。部品より大きい2枚のプラ板を、瞬間接着剤で数カ所点で付けし、形を切り出してから、隙間にカッターを差し込んで、ひきはがすことで、同じ形状の物を同時に作ります。

 

 図のAの部分に3mmのプラ棒を固定します。ここでは、1.7のネジで固定しました。しかし、固定できればよいので、3mmのドリルで穴を空けてプラ棒を差し込んで接着剤で固定するとか、やりなれている工作方法でよいと思います。左右対称ですから、プラ棒を取り付ける方向は、それぞれ逆になります。

 図面に従って出来上がった部品が左の画像です。ゴーレムに装着したとき、正面から見ていると想定しています。向かって右にあるのが左腕用。向かって左にあるのが右腕用です。

 カムで受ける部分に2mmのプラ角棒を貼って部分的に厚くします。プラスチックどうしですれて削ってしまうと言うことは無いとは思いますが、ここを厚くすることで、力を分散させカムを削ってしまったり、作った部品がねじれることを防ぎます。

 駆動軸となる3mmのプラ棒には、パイプ部分が内径3mm、軸部分が外径3mmのT字型のポリジョイントのパイプ部分の一部を切り取ってを差し込みます。どうせ切り取ってしまうことがわかっていますので、機能を果たしさえすれば、何かしらのジャンクのポリジョイントでも充分だと思います。

 ポリジョイントの軸部分には、1.5mmの真鍮線を通すための穴を空けて有ります。

 適度な長さに切った1.5mmの真鍮線にコックピットから切り取った操縦管を差し込みます。その下側に刀の鍔のように一回り大きなプラ棒を薄く切って貼りました。前頁で、ゴーレム戦士の手の穴を操縦管よりも大きくしてあります。ギミックに関わる部分なので、力を入れて差し込むことが出来ません。そのためゴーレム戦士の手の穴を大きくしたことで、操縦管より下まで手が抜け落ちてしまわないようにするためのストッパーの役割が必要になります。

 ここまで作った部品をコックピットの下側に取り付けます。

 先に作った、2mm厚のプラ板から加工した部品を計器の裏側にある溝に奥まで差し込んで前方の押しつけます。

 画像ではギミック部品の支えとなる部品がコックピットにネジ止めされています。もし、仮組みをして失敗が明らかになった場合、部品を作りなおさなければいけなくなります。そこで、仮組みの段階ではネジ止めすることで分解組立が出来るようにして有ります。

 

 その後ギミック部品を差し込みます。ポリジョイントはピンセットでつかんで、外側からギミック部品を押し込みました。このときワッシャーを入れることでスペースを調整します。ジャンクパーツのポリジョイントを使っても、ワッシャーで位置の調整が可能です。

 ポリジョイントが差し込まれたら、上から操縦管をコックピットの穴に通してポリジョイントに差し込みます。このときも、ポリジョイントをピンセットでつかんで、コックピット部品の表から操縦管を差し込みます。

 左右の操縦管が幾分「ハ」の字の様になっていることがわかるでしょうか。ギミック部品と、コックピット部品の裏側の形状の関係から、操縦管を動かす可動部分を、完全に真下に軸を持ってくると組立時の余裕が無くなってしまいます。そのため、操縦管を斜めに取り付けることで、組立安さの余裕を持たせてるようにしています。

 操縦管とギミック部品の角度の関係は、厳密にする必要はありません。

 組み立てて、実際に動かしたときにポリジョイントが滑って、良い位置で固定されます。それを考慮して、ギミック部品につける3mmのプラ棒とポリジョイントの密着度を、適度に弱めておきます。市販のプラ棒は、金属の研磨材の様に寸法が厳密に出ているわけではありません。組み立てる前に、予めどの程度の強さで密着するのか確認しておき密着度を調整しておきます。あまり密着度が強すぎますと、ピンセットでつかんで組み立てるのにも苦労しますし、せっかく作ったギミック部品を壊してしまいます。ポリジョイントとギミック部品が適度に緩いことを考慮して、ゴーレム戦士の腕をしっかりゆるゆるにしておくことで、操縦管をつかみやすくしておきます。

 こうしてみると、動くおもちゃらしく見えて、加工した甲斐を感じます。

 ここでゴーレム戦士に乗ってもらって、操縦具合を確かめてもらいます。

 パワーユニットをボディーパーツに組み込み、最低限必要な部品を組み上げます。コックピットを載せるときは、ギミック部品の二股部分がパワーニットの腕のシャフトにかみ合うように気をつけます。そして、ゴーレム戦士をのせてスイッチを入れます。すると、ゴーレム戦士がゴーレムの操縦を始めます。

 

続く next

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