前線の大道芸人 front line performer 

 

 やはりゾイドの魅力は動くこと。電動ゾイドが、単に歩くだけではなく、膝関節肘関節を曲げて歩く姿に、リアルさを感じられたことが大きな魅力でした。その歩行に、もう1ヶ所2ヶ所動きが加えられていたことが、更に魅力を増していた事でしょう。

 今回ここで採り上げるのはゾイド・ディメトロドンです。(注:ディメトロドンは商品名とモチーフが同じ呼称なので、本改造コンテンツにおいては、ゾイド商品としてのディメトロドンを「ゾイド・ディメトロドン」。モチーフとなっている古生物のディメトロドンを「ディメトロドン」と呼称します。)ゾイド・ディメトロドンは、モチーフのディメトロドンが地面をはいつくばって歩くために、ゾイドにデザインし直されても足が短く膝関節が表現されていません。しかし、歩く他に表現されたギミックに、大きな魅力が持たせてありました。表現されていたギミックは、お約束の口の開閉と、背びれの動きです。ディメトロドンの背びれはつながっていますし、実際には異なる動きになるとは思いますが、ゾイド・ディメトロドンの波打つように動く背びれは、ゾイドシリーズの中で、最も「不気味な動き」という言葉が似合っていると思います。その意味でも、ゾイドらしいゾイドであると言えます。

 新シリーズで発売されてからも随分とたちますが、やっとアイディアがまとまりましたので、いよいよ手をつけることにしました。

 

パーツの整形とディティールアップ

 ゾイド・ディメトロドンは、旧シリーズの機体がなかなか手に入らなかったために、私個人の思い入れが強くなってしまいました。その為、原則は旧シリーズのゾイド・ディメトロドンを再現しながら、自分らしさを加えていく事を目指します。

 旧シリーズのゾイド・ディメトロドンは、帝国ゾイドで赤系統の色で作られていながら、レッドホーンと同じ濃い赤にはなっていません。新シリーズで再現された色の方が、旧シリーズのレッドホーンに近い色ではないか、と思わさせられてしまうほど明るい色でした。そこで、今回は、外部装甲を旧レッドホーンに準じた濃い赤色に、内部構造は濃いグレーに塗り分ける事を前提に作業を進めます。

 背中のパイプ状部品。成形の都合上、パイプのモールドの真ん中にパーティングラインが走ってしまい、なおかつ肉抜き穴が空いてしまっています。

 まずは、パーティングラインを消します。作業は、いきなりパーティングラインを消すのではなく、残すべき溝のモールドを全体的に一度深く彫ってから、パーティングラインをヤスリがけしていきます。溝を深く彫る、と言っても、けがき針やデザインナイフで筋彫りをする要領で行います。丸みを持たせるには、溝にサンドペーパーを入れて片側ずつ角を落としていきます。

 肉抜き穴には、プラ棒を押し込みました。ここでは3mmのプラ棒を使いました。熱して柔らかくしたプラ棒を現物あわせでほぼ同じ角度になるように曲げていきます。その後適度な長さに切ってから、現物あわせをしながら、肉抜き穴に入る厚さになるようにヤスリやカッターで削っていきます。プラ棒が肉抜き穴に入るようになったら、差し込んで接着します。隙間が空いてしまった部分は、パテや粘度の高い瞬間接着剤で埋めます。そして、前述のパーティングラインを消すのと同じ要領で形を整えていきます。当然プラ棒の部分には、既存のパイプの溝と違和感無いように、筋彫りをしていきます。

 足パーツです。裏側は全くの肉抜き穴です。

 裏側は、プラ板・プラ棒・ジャンクパーツを使って見苦しい部分をふさぎました。ディティールアップは、出来るだけ4本とも同じになるようにしました。また、一番上の部分にロケットエンジンのノズル様なモールドがありましたが、違和感を感じたので削り落として、四角いディティールアップパーツを貼りました。当然、時間をかけてパーティングラインも消してあります。

 尻尾パーツです。

 側面のパイプ状の部分は、前述の背中のパイプ状の部品と同様の方法でパーティングラインを消しました。また、内部構造部品と解釈したので、一定の広さの平面にモールドが無い部分は、ジャンクパーツによるディティールアップを行いました。

 尻尾パーツの裏側です。ここも足パーツ同様全くの肉抜き穴です。

 肉抜き穴は、プラ板やジャンクパーツで可能な限りのディティールアップを行いました。

 

続くnext

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