Computing:Linux Application Server

番外編：IIS+ASP, ColdFusion, Perl, PHP
［ドットコムベンチャーを目指す某氏へのメール］

　staticなWebページに比較して，データベースと連携したdynamicなWebページは活用範囲が広いものです．最近は，景気が低迷していながらも独自のビジネスモデルで売り上げを伸ばしてる企業も少なくありませんので，こういった企業はWebアプリケーションに大変興味を持っています．おそらく君も，こういったところに目を付けられたのだと思います．

　技術知識が浅いためにみんなで技術を勉強中だと伺いました．IIS + ASPというのは標準的に用いられている方法ですから，勉強して意味のない技術とは思いません．しかし，同じようなことを実現できる技術について把握した上で，使用する技術を選定することが大事ではないかと思います．

　こういった話をするのも，大手のソフトウェア開発企業の多くがIIS+ASPの組合せでWebアプリケーションを開発しています．これは，Visual Basicでの開発に携わったプログラマーを容易に配置転換して活用できるという理由が大きいです．こういった企業を比較されたときに，開発技術や開発期間といったもので競争力を維持できるのかといった経営判断をする必要が出てくるでしょう．

また，顧客の側でIIS+ASPを嫌がる例もあります．WindowsNT+IISがセキュリティの面で脆弱であるという評判は知れ渡っていますし，ASPを使用した開発件数が多いだけにセキュリティ事件に発展したASPアプリケーションも少なくありません．NT+IIS+ASP以外のソリューションを欲しいと顧客から望まれたときの対応もできるようにした方が良いでしょう．

　ここで，私が知っている別のソリューションについて紹介します．

1.ColdFusion: 米Allaire社の製品で，日本では三菱商事子会社のシリウス社 (http://cfusion.sirius.co.jp/)が手がけています．ASPと同様にサーバサイドスクリプトとして動作するもので，ブラウザにはスクリプトが全て実行された後の結果(HTML)のみが送信されるため，ソースファイルを盗まれることはありません．アメリカでのシェアはNo.1です．HTMLタグのようなコマンドを組み合わせることによって，データベースに簡単にアクセスして操作することが可能です．ASPのコード5～10行を1行程度のタグで実現できるメリットがあり，開発工数を劇的に減らすことができます．これは，開発期間を短縮できることを意味しています．データベースは，AccessやSQLサーバなどODBCやOleDB等に対応しています．対応OSはWindowsNTとSunOSで，英語版ならLinuxも対応していて，サードパーティから日本語特有の処理に関するカスタムタグが発売されています．欠点としては，サーバソフトウェアの価格が約30万円と高額なことです．英語版Linuxでは直輸入で15万円(送料込)ですが，シリウス社がサードパーティ開発のカスタムタグとバンドルしたものは25万円くらいです．いずれもシリウス社から体験版を入手可能ですが，Linux版に関しては米Allaire社からダウンロードします．
ColdFusion Expressというバージョンはフリーとなっており，メール送信機能等が削除されている他は十分に使い物になります．
日本経済新聞社 (http://www.nikkei.co.jp/)でも記事表示にColdFusionを使用しています．
2.mod_perl, ePerl, Embperl: CGIで使われることの多かったPerl (http://www.perl.com/)をHTMLファイルに埋め込んで使うためのモジュールです．開発工数としてはASPとほとんど変わりないものですが，フリーのOSとWWWサーバ，データベースが利用可能です．
構成例：Linux(OS)+Apache(WWW)+Embperl+PostgreSQL(DB) (http://www.sra.co.jp/people/t-ishii/PostgreSQL/)
工数面でのメリットが無いので，あまりお勧めはしません．
3.PHP+PostgreSQL: PHP (http://jp.php.net/)は全てのソフトウェアがフリーで入手可能なサーバサイドスクリプトです．最近，システムをフリーで構築しようという人々の多くが取り組んでいるツールです．
構成例：Linux(OS)+Apache(WWW)+PHP3+PostgreSQL(DB)
ColdFusionほどではありませんが，ASPと比較すれば，少なからず開発工数が減らせます．つまり開発期間短縮です．最大のメリットはコスト節減です．ASPではWindowsNTServer(\15万)，Access2000(\5万)，開発ツール費用等の他，ハードウェアの高性能も要求されますのでハードウェア購入費用も高額になります．それが節減できれば30～50万円程度は見積額を低くして競争力を高めることができます．ソニーミュージックエンタテインメント (http://www.sme.co.jp/)でも曲目やアーティスト情報の表示に利用しています．

以上，3つほど示しましたが1.ColdFusionと3.PHPはお勧めです．技術に不安があるのであれば1の方がすぐに修得して実用化できますし，フリーのソフトウェア構成をセールスポイントにするのであれば3が適しています．