シンポジウム 「今こそ学校給食を豊かにしよう」


□1999年10月9日(土)14:00〜16:30
□岡山市勤労者福祉センター
■基調講演■
「これからの学校給食に求められるもの」
新村洋史 中京女子大学助教授(教育行政学専攻)

■第2部 シンポジウム■
「今こそ学校給食を豊かにしよう」
コーディネーター 新村 洋史
シンポジスト 花田 雅行(岡山市職員労働組合副委員長)
新田 恵子(岡山市立小学校栄養技師)
湯浅 由美子(中学校PTA副会長)
_______________________________
■主催者あいさつ 品部 義博(代表委員)
 皆さんこんにちは。今日はお忙しいところをお集まりいただき、たいへんありがとうございます。ただいまご紹介いただきました品部です。農学部と紹介いただいたんですが、岡山大学の環境理工学部という環境問題の方と農業の関係ということでいろいろと勉強しております。今日の集会ですが、皆さんもご存じだと思いますが、財政難をきっかけに学校給食の見直しが開始されています。この後もいろいろとお話しが出てくると思うんですが、全国各地の動きを見ておりますと、むしろこの見直しは今までの岡山市の学校給食の到達点を踏まえた充実や改善ではなくて、むしろ、経済効率を優先させる、そういうことを中心にむしろ後退が懸念される、そういう状況にあると。経済効率、それが非常に強調される訳ですが、経済効率という考え方は、人々の発達だとか成長だとか命だとかあるいは安全にかかわること、これについては、例えば教育問題ですとか食の問題であるとか環境の問題であるとか、そういうことについてはなかなかなじまないというのが一般的な、むしろ大きな主要な考え方になっていると思います。
 ご承知のようにこれは先日、東海村で臨界事故という大きな事件がありました。私も1日中これはもうテレビにかじりついて見ておったんですけど、世界を衝撃させるような大事件、その直後にこの原子力関係の施設を監督する科学技術庁長官が、技術者のモラルが低下しとるということを嘆いているのをテレビで見ました。しかしその後、某新聞報道やテレビでも、マスコミでも報道されていますけれども、ここで明らかになって来たものは、むしろ現場では経済効率を優先させる、そういう仕事の仕方がなされている。バケツで処理した方が生産効率が良い、と言うことで、そういう状況が何年も続いていた。そんなことが、明らかになって来た。生産効率ばっかりを考えていることは安全を、そう言うものをないがしろにする、そういうことにもつながると。東海村の事件はもう一つ、私はテレビを見ていて大事なことを教えてくれたように私は思って。原子力に関しては安全が第一である。でもこれは安心だ安心だ、安全だ安全だと言うことが言われてますけれども、しかしそうはいっても政府まかせに、ひとまかせにしてはいけないと言うことを教えてくれました。自治体や、それから市民自らが、調査をして、学習をして、あるいは監視をして、必要な改善を求めていかなければいけないということを教えてくれたと。茨城県やそれから東海村のその後の報道は、地域の人々がこれをきっかけにもっとそういう原子力の問題、安全の問題にもっとしっかり地域から取り組んで行くそんな動きが始まっていることが報道されていますけれども、やっぱり市民自らが安全を守って行かなければならないということを教えてくれている。学校給食の問題も、問題の性格が違いますけれども、同じことが言えるんではないか、と言うふうに私は考えます。市は、現在審議会を作って、検討を専門家の方や、それから各分野のリーダーの人たちがはいっていろいろ検討を行っている、で議論がつくされて、良識ある良い結果が出ることを期待したいと思いますけれども、ここにいる皆さんがた、私共みんな含めて市民の方から言えばやはり人任せ、市まかせではやはりよくない、頼ることができない、と言うことがいえると。私たちも積極的に学校給食の問題についてかかわっていかなければならないんだと。で、市民レベルでやっぱり一人ひとりが参加する、そういう学習、それから議論の場を設け、と言うことで今日のシンポジウムが開かれることになりました。審議会のメンバーそれから諮問の事項みたいなことをいよいよ報告されておりますし、今日拝見致しますと、どうも教育と行った側面で充分これは検討されるのかい、ということが私は危惧があるのではないか、というふうに思います。学校給食の問題を教育の側面から長年にわたって研究してこられた新村先生を今日はお招きすることができました。世界の学校給食の動きや、学校給食の歴史にも非常に詳しい方だとうかがっております。今日のシンポジウムが実りあるものとなることを願いまして開会のあいさつに代えさせていただきます。

■司 会
 それでは次に先ほどのお話しの中にも触れられておりましたが、今回なぜこのようなシンポジウムを開くことになったのか岡山市の学校給食を巡る動きが転換を含めて、「豊かな学校給食をめざす市民運動実行委員会」の事務局の一人であります坪井貞夫が開会趣旨を申し上げます。
■開催趣旨の説明 坪井 貞夫(事務局)
 皆さんご苦労様でございます。本日のこのシンポジウムを準備を致しました、「豊かな学校給食をめざす市民運動実行委員会」の簡単な経過報告をさせていただきたいと思います。ご存じのように岡山市は、この1月に行われました市長選挙でこれまでの市長が交代を致しまして新しい萩原新市長が誕生を致しました。これが大きくいろんなことについて変わって行く一つの大きなきっかけになっていることは間違いありません。また、ご存じのように国は、いわゆる行財政改革と言うものを打ち出しまして、いろんな形で合理化を進める、こういう方向が出されています。岡山の市議会におきましても昨年の11月、そして今年の2月、そして6月議会で、いろんな形で学校給食の合理化、あるいは人員の削減等も含めた、民間委託をも一つにされる、こういう状況になってまいりました。特に先日行われた6月議会では、保守会派の政和会の代表質問で学校給食のコストを引き下げ、その余ったお金を学校施設の整備にまわせ、とこういうような要求が出されました。これに対しまして、教育長は学校給食に関する問題を条例で審議会を設置して、ご審議、結論を。こういうことで審議会の設置が6月議会で明らかになったところであります。そうして、8月5日にこの審議会の第1回の会議が開かれました。お手元に資料等お配りしておりますし、また後ほどシンポジウムの中でも詳しい報告がされると思いますが、委員は20名であります。2つの部会に分かれまして、1つは健康教育の観点からの学校給食のあり方で、安全管理、衛生管理の観点からのあり方を審議する。もう1つの第2部会では、学校給食業務の効率的運営、その他、学校給食の運営改善を行ううえで必要な事項、これを審議する。これを2つの部会が補足をし、議論がされるようになりました。私たち市民としても、このまま、その行方を見ているだけではなく積極的にかかわりを持っていこうと7月8日に「豊かな学校給食をめざす市民運動実行委員会」が結成をされました。これまで、「岡山市の学校給食をみんなで良くする会」というのは10年の歴史がありますが、こうした人たちも中心になり多くの労働組合や、民主団体の人たちと一緒に給食への関心を市民の中に広げていきました。学校給食充実署名を10万人とろう、ということで、運動を行い、第1回の審議委員会に向け、74,817名の提出、その後もどんどん増えまして、今、82,000名を越えるまでになっています。お手元にピンクの冊子がわたってると思いますが、これは実行委員会でパンフレットにして広く市民に訴えようということで、これはまだ途中でございます。お読みいただきましてご意見がありましたら事務局なりに、ぜひお伝えいただいて、より豊かな内容で市民の皆さんがたに広げていける、こういうふうにしたいと思います。また本日のシンポジウムや地域での子育てフェアーの開催など、学校給食の役割、これからのあり方、などについて広く市民の意見発展をみんなで議論していく、こういう運動を行っています。審議会設置、これを機会に学校給食の役割や今後のあり方を話し合い、まさに、子ども中心により良い給食の実現に向けて、市民の大きな運動を広げて行きたいと思います。皆さんがたもぜひ、会議へのご参加をお願いします。本日は、教育行政学を選考されておられます、新村先生のご来岡をいただきまして、豊かな議論がされることを期待をし、経過報告と致します。

■司 会
 ではここで今日の日程をご説明致します。これから最初に中京女子大学の新村洋史先生に、約40分で基調講演をしていただきます。そしてその後、3人のシンポジストを迎え、新村先生をコーディネーターとして、「今こそ学校給食を豊かにしよう」と題したシンポジウムを行います。このシンポジウムには会場にお集まりくださっている皆様からの意見をお出しいただいて、今後の岡山市の学校給食の姿を描いていただけるかと考えております。全体で午後4時30分には終了したいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは早速、新村先生の基調講演に入りたいと思います。新村先生のご紹介を簡単に申し上げます。新村先生は静岡のご出身で、東京大学大学院で、教育学、教育行政学を学ばれ、現在中京女子大学の助教授としてご活躍されています。ご専門は教育学で、近年では、大学改革についての論文もご発表になり、教育学の立場から学校給食についても研究を重ねていらっしゃいます。岡山市にもこれまで2回お招きしてご講演をいただいたことがございます。現在岡山市で進められている学校給食の見直しが、コスト論に片寄って、教育としての観点が弱くなっていること、子どもの育ちや教育、とりわけ学校教育が今後どのように進んで行くのかと言った教育現場への大きな動きの中で、学校給食がこれからどんな役割を果たして行くべきなのか、私たちはそこにどんな可能性を見いだして行けるのか、先生のお話からしっかり学びたいと考えております。それでは新村先生どうぞよろしくお願い致します。

■ 基調講演■
「これからの学校給食に求められるもの」
新村洋史 中京女子大学助教授(教育行政学専攻)

■第2部 シンポジウム■
「今こそ学校給食を豊かにしよう」


コーディネーター(新村 洋史)
 第2部のシンポジウム「今こそ学校給食を豊かにしよう」を始めたいと思います。今日のシンポジスト、パネラーとして3人の方にご出席願いました。花田雅行さん・湯浅由美子さん・新田恵子さんのお三人です。で、一応ですね、10分以内でそれぞれの方が、なるべく10分以内ということで、問題提起というか、学校給食を豊かにするにはということで、報告していただこうと思います。そして、その後ですね、会場のみなさんからいろんな事を自由に出していただければありがたいと思います。では、花田さんからよろしくお願いします。


■シンポジスト 花田 雅行(岡山市職員労働組合副委員長)
 みなさん、こんにちは。岡山市職労で副委員長をしています花田と申します。時間が10分ですので、すぐに中に入らせていただきます。
 私は岡山市の学校給食運営審議会の委員に、岡山市職労から出ていますので、今どんな事が議論されているのかという事をご報告したいと思います。今日使う資料は、お配りしてます「岡山市の学校給食をめぐって・審議会の動向を中心に」という資料についてご報告をします。市の職員方で、給食の関係者の方は、何度か聞いた事があるかもしれませんが、その点はご了解をいただいてですね、お聞きいただきたいなと思います。
 はじめにとそこに書いてますが、今、岡山市には5つの審議会が作られています。この学校給食もそうですし、病院の事についてもそうです。保育園と幼稚園の事、ようするに就学前後の教育と言う事についても議論されています。それから、岡山市の大規模事業、10億円以上の事業をどうするかということが中心に議論されている岡山市臨時財政問題調査会が作られて、今、岡山市は審議会とか検討委員会の花盛りというふうに言えると思います。
 その中で、何故そういうふうな状況になっているかという事を、はじめにというところに書いてありますが、これはもう国の動きなんですけども、96年12月にこの基準が示されて、地方自治体等におけるその仕事というものは、基本的に民間に委ねなさい、行政が行う場合には市民への説明責任を果たさないといけない、とこういうふうな状況になっています。そういう事が今あって、全国的にこの学校給食を始め、清掃等あるいは保育園などに対して民間委託にしていこうという動きがどんどんどんどん進んでいる状況があります。
 そういう中で、この2月に岡山市でも新しい市長が誕生して、特にコストという事も表に出しながら、さまざまな分野で仕事の見直しが言われている。まあ学校給食もその中の一つであり中心にすえられていると思っています。岡山市学校給食運営審議会は8月5日に設置されて、だいたい一年間位審議する予定になっています。審議日程等については、11年の8月に作られて、12年10月頃、そこで最終的なこの答申が作られている。一年以上あるじゃないかというふうに思ったら大間違いです。今年の12月、11年12月というところに○があると思いますが、中間報告を行います。
 そういうふうにした急いでいる理由というのを、市長が最初の審議会に来て話しています。8月という世間でいえば休みの時に立ち上げたのは、来年度予算に反映させたいから、こういう事で、この日に立ち上げをしたとこういう事です。そして、あいさつのポイントは岡山市議会の6月議会で主にこういう事が議論されたと言う事で3点話されました。こういう事をぜひ審議会でも議論をしてほしいと報告がありました。一つめは、一食710円、先程お話がありましたがコストが高い、その背景は人件費の問題がある。そして、年間180食、一日一食、合理化の可能性がある。そして二つめに、そこでお金が縮減できたら学校の他の分野の整備なんかに使いたい、プールが壊れていたり水が漏れているものを直すとか、雨漏りがするものを直したい、こういうふうなものにお金を使いたいというお話ですね。そして三つめは、質は落すべきではないけれど経営は時代に合わせて多少とも良い方向を出していこうと、ここらへんが一つ、なかなかよく考えていかないといけない、見落としてはいけないところかなと思っています。
 1回目は、市長のあいさつや会長・副会長等の選出、そして教育長から会長へ諮問、会議は原則公開という事などを決めました。今の岡山市の学校給食の現状について市教委から報告がありました。そして、職員の配置状況・配置基準はどうなっているか、それが実際にはどういうふうに配置されているのか、また、三期休暇などは職員は出勤しているのかなどの質問がありました。そして、運営は1と2の部会に分かれて議論することにまりました。それは先程、この会を持つに至った主旨説明の中で、坪井さんの方からお話がありましたが、簡単に言えば、1は給食の中身の問題、2は効率的な運営の問題、コストの問題、こういうふうになります。2の方の委員を選ぶ時に事務局の方が言われたのは、経済界と言いますか財界の方を中心にという事で、どうもメンバーを選ばれている。私もこの2の方に入っています。
 その後9月に一回目の部会が開かれまして、私が出ている第2部会は9月3日に開催をされました。まあ個々にお金がどれくらいかかっているか、一食710円の中身とか職員の賃金の状況、そういう事が一覧表、簡単な一枚ものの資料として配られて、それに対する質問等を受けました。人件費について、民間の同じような職種と比べたらどうか調べてほしいなどの意見が出ました。あと委員一人一人が今の学校給食についてどういうふうに思うか、今の現状でいいのか、改善しなければいけないのか、あるいはどういうふうにしたらいいのか、そういうご意見をという事で、一人づつ、ずっと意見を出していくという事になりました。
 そこでは、「給食が必要である」とか、「給食ばかりに頼る必要はない」とかですね、学校全体の問題としては、学校は閉鎖的なところで、「開かれた学校、そういうなかで給食を考える必要がある」とか…。それから、「学校給食は大きな役割を果たしてきて、ますます大切になっている」とか、「金額だけで給食の事を考えてはいけない」とか、さまざまな意見がこのコストの部会、第2部会で出されました。したがって、給食全体を見ないとコストの事も議論できないなというような事も出され、学校給食に関わるいろんな専門家の人、例えば栄養士さん・調理員さん・親の方や子供の方を呼んで意見を聞こうという意見もここで採用されました。
 もう一つは、この学校給食を作っている稼働率というのを民間の方がその人なりの試算をしたら、25%だというふうに言われました。これは、この後新聞報道などをされていますので見ていただきたいのですが、そういうふうな事も言われています。また、「第1と第2に分けて議論するのは難しい」という声も出されました。さらに一日の状況を、つまり稼働状況をもっと調べて、早く資料として出して欲しいという事がここで言われて、事務局の方もそれはやりましょうということで、その後ワークサンプリングとして行われました。会の後半は試食を行いました。
 そして、3回目が10月3日、つい先日開かれました。そこに書いてますが、7組10名の方に来ていただいて意見を聞きました。ただ、来ていただいた方に、本当にそういう意味では失礼でしたが、5分しかしゃべれない、後10分間はみんなが質問をするから聞いて欲しい…。一日を潰して来られる方にはちょっと申し訳なかったのではないかなと思います。そういう状況の中で、みなさん方から意見をお聞きしました。今の給食が、岡山市の学校給食の良い面が十分生かされていない、それを改善していこう、いい給食にしていきたい。あるいは、岡山市は基本的に共同献立なんですが、「独自の献立を立てたい」、「学童とか部活とか老人向けの食事をしたい」、あるいは「食器には丼を使いたい」などなど意見がでました。それから、岡山市の財政赤字で20年後の子供達に借金を残した方がいいのかどうかと、今コストを削って借金を無くしたほうがいいのか、どちらがいいでしょうかというような問いかけがあって、ある校長先生が、「教育のお金をけちってはいけない」、「大人のところで判断してほしい」などの論議、疑問点といいましょうかありました。また、「給食は安全でずっと子どもたちが喜んで食べられるものがほしい」、「米飯の時に牛乳はおかしいのではないか、お茶を出してくれないか」、そういうふうなご意見も出ていました。しかしコストの面では、調理員は民間委託、または嘱託・臨時にしてはどうかとか、代員制度というのがあるけれど、ここも相当な人件費がかかっているので廃止してはどうか、それから近隣の小中学校を共同調理でやったらどうか、定年を60才にしてはどうか、そういう事も意見として出されて、この日は意見を聞いて終わったというような状況です。
 したがって、これまで3回開かれましたけど、試食をしたり、委員の意見を聞いたり、十分か不十分かはあるが関係者の意見を聞いたという段階で、いよいよこれから審議が本格化するという状況ではないかと思います。ただ12月に中間報告ですから、10月と11月の初めに行って、次は12月と、まさに超スピードで、本当に何を議論するのかずいぶん心配なんですが、そういう状況であります。というのが今の実態であります。やっぱりそういう中で、先程、新村先生が言われたような学校給食の役割、それから栄養士さん・調理員さんの専門性を生かした役割、地域や家庭・学校の中でもあると思いますが、そういう事をしっかり踏まえて、今の現状を改善してがんばっていく事が、今随分大切になっているのではないかと思います。
 最後に、そこに書いてますけども、一日の中のただの一食、何でもいいから子どもに食べさせておけばいいんなら、高いか安いかという議論になるだろうと思いますが、本当に子どもたちを中心にした給食、すぐれた制度を生かせれば、それが一番良いのではないかなと思います。学校給食がこれだけ議論になっている今が、岡山市の学校給食を改善して、本当に子どもたちのための学校給食を作っていく、家庭や地域の食を改善していく、そういう事をしていく絶好のチャンスではないかなと思います。その点については、後で具体的に新田さんの方からもご提案があると思いますが、ぜひ、そういうことをみなさんと議論していきたいと思います。
 以上、私の方から審議会の状況を主に報告をし、今が給食を変えていくチャンスだと申し上げて、報告を終わりにします。ありがとうございました。

コーディネーター
 ありがとうございました。結構10分って窮屈でしたね。運営審議会並の忙しさでしたね。すいません。今のは審議会の様子でしたが、あまり時間がないので議論は後にまわします。次に、岡山市の学校の栄養技師の新田恵子さんから問題提起をおねがいします。

________________________

■シンポジスト 新田 恵子(岡山市立小学校栄養技師)
 失礼します。私は岡山市内の小学校の栄養士です。学校給食現場で、子どもたちと関わって仕事をしている者の立場から、今の岡山市の学校給食の良いところと、不十分なところ、そしてそれをどう変えていくか、そのために給食関係職員がどのような努力を始めているのかをお話したいと思います。
 岡山市の学校給食は、制度としては全国的にも優れたものです。岡山市が直接責任を持って、後楽館中学を除きますが、それ以外の市立の全小中学校で完全給食を実施しています。そして、そのほとんどの学校が、自校で調理をしています。全校に栄養士が配置され、調理員も文部省基準で配置されています。必要に応じて、パート職員も配置されています。給食施設や調理器具は衛生的に考えられて配置されて、整備されています。しかし今、この優れた給食の制度を十分に生かせてはいません。この不十分なところを、子どもたちの立場に立って、もう一度考え直して、改善していく必要があると思います。
 給食審議会で、今後の給食のあり方が問われている今こそが、改善の絶好のチャンスと考えています。それではこれから、現在の岡山市の学校給食の不十分なところと、それをどう改善していこうかという事について、提言という形でお話しさせていただきたいと思います。まず、献立や食材に関してです。今の献立は、市内統一献立です。献立や食材の使用に制限があり、変更もできません。学校行事にあわせた対応や、各校での工夫もできません。子どもたちや親が、献立作りに参加することもできません。食材も一括購入のため、地元でとれた旬の野菜や果物が使えません。輸入の冷凍野菜を使う事もあります。そこで、統一献立を改めて、各校で献立を立てます。各校に栄養士がいるのですから、その学校の子どもや地域の実状にあった献立を立てます。子どもたちや親や先生たちの意見が反映された献立を立てます。セレクトやバイキングや国際理解につながるような、様々な国の料理を入れた、多様な献立を作ります。そして、その献立に合わせて各校で食材を注文します。生産者の顔が見える、地元の安全な食材を購入します。農業市である岡山市の特色を生かした食材の購入をします。危険な輸入農産物や遺伝子組み換え食品は使いません。今は、パン屋さんで炊いてもらっているご飯も、各校で炊くようにします。和食の良さと食文化を伝えるために、米飯の回数も増やします。
 次に、食器についてです。今の食器はステンレス製です。茶碗やどんぶり、はしもありません。使用枚数にも制限があります。先日、私の学校でのPTAの給食試食会がありました。そこで、「まるで刑務所の食事のようですね。」という感想をもらされたお母さんがおられました。そこで、食事にふさわしい陶磁器などの食器に改善して、献立に合わせて使います。そして、正しいマナーを身に付けるように指導します。
 次は、給食時間や食事環境についてです。給食時間が短くて、食べる時間がなく、残量も多くなりがちです。又、食事にふさわしい環境にはなっていません。全校には、ランチルームや食堂がありません。そこで、ゆとりのある給食時間を確保して、全ての学校に食事にふさわしいランチルーや食堂を設置します。ゆとりある時間と食事にふさわしい環境で、子どもたちに食べる事の楽しさを実感させます。
 次は、アレルギー児などへの対応についてです。アレルギー児や肥満児などへの、きちんとした制度のもとでの対応はできていません。そこで、各校で子どもたちの実態を把握し、アレルギー・肥満など食事に配慮のいる子どもたちに、きちんと対応できた給食を作ります。次に、私たち、学校給食関係職員自身の、今までの働きかけの不足についてです。給食関係職員の、豊かな食生活に向けての働きかけは不十分で、努力も足りませんでした。そこで、食の大切さや日本の食文化への理解と関心を深めるために、児童・生徒向けの給食だよりを発行したり、校内放送や給食指導を行います。又、家庭向けの給食だよりを発行して、家庭への食教育にも努めます。健康に役立つ情報を盛り込んだ給食献立のレシピ集や、伝統料理レシピ集などを発行して、家庭・地域へ届けます。公民館や学校の家庭科室などを利用して、伝統食などの料理講習会を開きます。
 最後に、全く新しい取り組みについてお話しします。子育てや地域のお年寄りの一人暮らしや生きがい対策を支援していく給食にしていきます。具体的な事では、春・夏・冬休み中の学童保育の子どもの食事を作ります。また、学校の調理室を利用して、地域のお年寄りにお弁当を作り届けます。そのお弁当に添える手紙などで、子どもたちにも関わりを持たせると、思いやりの心を育てたりする教育的効果もあります。又、色々な場面で学校を開放して、食事を用意し、子どもたちとお年寄りの交流を深めます。お年寄りには生きがいや楽しみを見いだしてもらって、子どもたちは昔から伝わっている知恵や遊びや習慣などを教わります。又、食材のところとつながる事なのですが、学校給食に必要な米や野菜や果物を、お年寄りの休耕田や家庭の畑で作ってもらいます。そのために、地域で自主的な組織を作ってもらいます。以上、とてもたくさんの提言をさせていただきました。
 子どもたちが、生涯にわたって健康で充実した生活を送るための食の能力を育てるため、支援をすることが私たちの役割と考えています。そのためには、年間の食事回数の6分の1にしかあたらない学校給食だけを見ていたのでは、どうにもなりません。今の危機的な食環境の中で、子どもをかかえた家庭、そして、その家庭をかかえた地域の食の充実に、私たちは強く踏み出していかなくてはならない時が来たと思っています。地域が変わり、家庭が変わり、子どもが変わっていく…そんなきっかけとなり、支援となる学校給食を作り上げていく事が、私たちが公の存在であるという事の理由となります。私たちは、この提言を実現していくために、制度の改革や予算を求めていきます。同時に、制度が変わらなくても、今できることはがんばって実行していきます。すでに、献立、食材、食器や給食だより、料理講習会、給食指導…色々な所で努力は始まっています。私たち、栄養士・調理員は、それぞれの専門性を高め、より豊かな学校給食実現のために、いっそうの努力をしていきます。子どもたちのための学校給食、地域に根ざした学校給食の実現のために、市民のみなさんとがんばって進んでいきたいと思っています。ありがとうございました。

コーディネーター
 では、3人目の湯浅さん、PTAの側のお母様の立場から、こうして欲しいというか、こういうふうにしたいというお話をしていただけると思います。



___________________________


シンポジスト 湯浅 由美子(中学校PTA副会長)
 みなさま、こんにちは。私は、足守中学校のPTAの副会長をしています。一人の母親として、ご意見を述べさせていただきたいと思います。私が、この学校給食の問題について初めて知ったのは、一学期の終わりか6月位だったと思います。学校給食の問題への署名が地域に回って参りました。それで、今岡山市では学校給食を民間委託にしようという考えが出ているという事を、ここで初めて知りまして、これはちょっと大変なことだなーと、まず思いました。最初のイメージとして、センター方式になるのかなというのがありました。センター方式というと、すぐO−157の問題が思い出されます。堺市のように大きなところで、大きなセンター方式をやるというところで、一つ問題がでると、すごく大きな問題になって、子どもの命にかかわってくる事ではないかと、一つの大きな危惧を持ちました。
 自分のPTAで、まずこの問題をどういうふうに考えたらいいだろうか、みんなと一緒に考えたいなと思って、たまたま副会長という役職をいただいているものですから、PTAの方にその問題を持って参りましたら、学校の方にもその署名は来ているけれど、PTA、中立の立場であるPTAとしては、職員組合から出ている問題、特に人件費の問題というと、労使関係の事が関わってくるから、PTAでは取り上げる事ができないと言われました。
 そこで、また非常に大きな疑問が起きて参りました。学校給食、食事の問題というのは、子どもの命に直接関わっている事です。子どもの命を守る一番の責任者は誰かというと、私たち親であるはずです。父親であり、母親であり、おじいちゃんであったり、おばあちゃんであったりする場合もあるかも分かりませんが、保護者が子どもの命を守れなくって、そういう問題から場違いにおかれた場所で、こういう問題がどんどん話し合われて、最後にセンター方式になるかどうか分からないけれど、結果が出てからこういうふうになったよって、親が知らされる、最後に知らされる…これは、非常におかしい問題じゃないか。組合がどうだとか、それから思想的なものがどうだとか、こうだとか言う前に、子どもの命を守るという純粋な親の立場として考えると、場違いには置かれたくない、物事が決定してから知らされたくない、それが一番大きな疑問でした。
 そこで、PTAの中で、そういう私の考えをみんなの前で出しまして、「PTAとして純粋に、親として、子供の命の事を考えるのが、PTAの一番大事な仕事ではないか」と訴えかけましたら、署名については、個々の色々な考え方があるから、全校で取り組む云々という話は持って行かないけれども、とりあえず全校で話し合える体制を取りましょうという事が、決定いたしました。
 そして、たまたまその後に、市の中学校のPTA連合の総会があり、そこに私も出席することになっていましたので、「そこに話を持って行って、やっぱりもっと広い所でも、この問題を話し合って欲しい、みんなで考え合いたい、という事で持って行ってもいいだろうか」という事を、みんなに図りましたら、その場でみんなで話し合う事は、やはり大事な事じゃないかという事で、市のPTAの総会でも、この問題を提起しました。やはり、単位PTAと同じ答えが返って参りました。「市のPTA総会では、そういう問題は話し合えない。」やはり、同じ事をまた繰り返して話しました。「子どもの命を守る一番の責任者であるのは、私たち親なんだ。その親が考えなくて、誰に自分の子どもの問題を考えてもらうんですか。」それを訴えましたら、一度は取り上げられないと言われたんですが、他のPTAのお父さんから賛同意見を出していただきまして、その時、非常に大きな拍手を会場からいただきました。
 たまたま、中学校のPTA連合会は、去年の秋あたりから色々な組織の変革を図っておりまして、今まで長年、特別委員会っていう色々な委員会があったんですが、体育の問題を考えて球技大会を開くとか色々な委員会があったんですが、かなり形骸化しておりまして、参加者が少ないとか、なかなかみんなの中に考えが入っていかない、実際的な活動になっていない、そういう、ただ形だけになった委員会というのは一度廃止しようという事で、全部の委員会が廃止されて、何か問題が起こった時には、特別委員会っていう事で、新たな組織を作ろうという事がちょうど決まっていて、新しい動きになって初めての年でした。そこで、その特別委員会で、この問題は考えられるんじゃないかという事で、そのPTA連合の中で給食問題を考える特別委員会が作られて、各学校に委員として参加しますか、それともオブザーバーとして参加しますかという事でアンケートが配られて、市内の学校から20名足らずの人数が集まって、今までに3回、それから10月27日に4回目が、だいたい市の審議会に合わせて形で、来れる人で話し合いを進めていっています。そこに、私も委員として参加しています。
 この特別委員会で、市P連の方から審議会にでている方のお話、中学校の方からは、二人の委員が審議会に出ております。たまたま市の方から振り分けられてるそうなんですが、第一部会と第二部会があるのに、第二部会の方にだけ二人とも張り付けられて、小学校のPTAの方は第一部会に参加しているそうです。審議会の様子をその都度伺うのですが、ここでまた非常に大きな疑問が出て参りました。審議会では、これくらいの資料が配られているそうなんですが、それは公開してはいけないというお話を伺いました。審議委員になっている方も、これだけある資料を全部目を通して、私たち特別委員会の委員に説明されるのも、大変な事だろうと思うんですが、公開できないという事で、その中で話し合われた事は色々出してくださっています。
 そういう中で、最初は審議委員になられている方、お二人ともお父さんの立場ですので、やはり効率的な問題の部会にいらっしゃる事もあって、効率的にどうかというような事の話が主になってきますし、考え方によっては、給食なんて無くしちゃったらいいんだよって言葉が出てくるというか…。母親の立場としては、そんなに簡単に給食を無くしてもらったら困るなというか、例えばお弁当位作るのは、母親の役割じゃないかとよく言われるんですけど、実際問題として、すぐお弁当になった場合、確実にお弁当を作って貰える子どもが、何割位いるだろうか。今、高校生なんかは、お弁当は持って行きますが、それでも持って行かなくて、途中でパンとかお弁当を買って行くとか、ひどい話かどうか分かりませんけど、私の耳に入った話では、高校から電話してきて、この頃携帯電話を持っていますね子どもは…。携帯電話でピザの宅配を頼んで、高校まで持ってきて貰うという子どももいるという話も耳に入ってきています。そのような現状で、給食を無くして全部お弁当にするのが、小学校・中学校でいったいどういう意味があるのかな、ちょっと恐ろしい。これはある意味では、私たち親の責任でもありますし、PTAとしても逆に保護者にもっと子どもの事を考えましょうって言う事は訴えていかなきゃいけないかと思いますが、現実問題としては、そういう状況にあるところで、給食を無くしてしまうっていうのは、非常に問題があるよと、こういうふうな事も特別委員会で色々話出し合いました。
 その中で、お父さんたちの考え方も変わってきているというか、だだ効率というだけ、効率っていう事は、減らすか無くすという事ではなくて、稼働率25%しかないというのだったら、もっと中身を作っていったらいいんじゃないかっていう考え方の話に、今まで一回目、二回目、三回目となるに従って、話し合いの中身がそういうふうに変わってきています。ただ、単に賛成反対っていうだけでは、そういうふうにいかなかったと思いますが、話し合いの場を持ったという事で、そういうふうに変わってきている。これが非常に大切な事ではないかと思います。
 私の場合は、単位PTAから代表で委員として出していただいてますから、今度は学校に帰って、その話をみんなにしていかないと、市の資料としては、出す程の資料がなくって大変なんですが、本当に少なくって、何を出したら良いのかといって困るくらいの事なんですが、審議委員の方に聞いたお話は、とにかく全部まとめて、それから今回の座談会で出していただいている資料も両方合わせて出して、みんなに考えて欲しいという事で、全部配っております。それから、これから後に、各クラスに給食問題を考える委員を各クラス一名ないし二名決めてもらって、各クラスや学年毎に話し合いをして貰っています。それは、ただ単に賛成ですか、反対ですかっていうんではなくって、各クラス毎に、それから学年毎にする事もありますし、色々な形でいろんな場を使って話し合いをとにかくして下さい、中身を考えて下さい、その中身を私が特別委員会の委員だから、特別委員会に持って行って、審議委員の人に伝えていきますからという事で、話し合いをして貰っています。ただ単に○か×かっていったんではなくて、いろんな所で話し合いをして貰った事が非常にいい感じというか、学校の中の話し合いの雰囲気にみんなでいろんな事を考えるという雰囲気が出て、良い感じになってきているんじゃないかと思っています。クラスによっては話し合う時間がとれないから、私が作った資料をもとにしてアンケートをとってくれたクラスもありますし、クラス単位で話し合ったところ、それから学年で話し合ったところ色々あります。
 その中で、色々な意見があるのですが、一番共通して出てきているのは、今回出されている市の財政赤字というは、公共事業が原因だとはっきりと市もだしていますが、そのツケをなぜ子どもが負わなきゃいけないのですか、未来を担う子どもたちのところになぜそのツケを持ってくるんですかという事。それからどうしても、それでもセンター化しなければいかなきゃならないんだったら、せめて中学校区単位の小さなものにして欲しいという事、そういう事が中心になっています。
 それから、学校給食、ちょっとその今の特別委員会の立場を離れて、親として学校給食に望む事という事で、少しお話しをさせていただきたいと思います。私の属している足守中学校は、岡山市内でもめずらいい自校方式で、しかも食材を地域から購入している学校です。そういう事で、よその学校からいらっしゃる先生たち、それからよそから転校してくる子どもたちは、とても給食がおいしいと言ってくれます。それで、この問題に取り組み始めてから、子どもたち、お母さんたちもそうだし、それから先生たちも日頃お話をあまりしていない先生たちが、ちょこちょこ寄って来てお話ししてくださる中に、センター方式で給食を食べていた時は、寒い冬なんかは、もう油が浮いて固まった状態でスープなんか飲んでいたんだけれど、ここへ来てから、熱いものは熱いように、冷たいものは冷たいように食べれるので、本当においしいと喜んでくれています。
 こういう足守のような学校は、岡山市には三つしかないそうです。全くの単独自校方式で、食材を地域から購入しているのは、足守と藤田だけ、それから興除がセンター方式をとっているけれど、食材は地域から購入している、そういう形らしいです。これはなぜ、こういう事になったかというと、この辺りの市街地の地域は、岡山市にずっと後から遅れて合併しているんですね。それで、もともと地域で食材を購入していたんですが、その関係を切らないで、今までずっとがんばってきている。このがんばって来た中には、地域の私たちの先輩たち、今日も多分ここの席にいらしていると思いますが、地域の先輩たちが岡山市の学校給食会に入らないで今のままの形が良いという事で、非常にがんばって下さって、こういう形が守られてきたという事も、この間勉強させて貰いました。ところが、市の方は、そういう学校給食会に入ってくれないのは非常に困るという事で、圧力もかなりかかっているようですが、先生たち、子どもたち、お父さん、お母さんたちと話していく中で、本当に今の足守の状態は非常に良い状態だから、これをどうしても崩して欲しくないというのがすべての人の願いでした。思想的には右も左も真ん中もいろんな人がいますけれど、今の状態がとにかく良いから、止めて欲しくない。特に、学校保健委員会で勉強した事があるんですが、足守で仕入れている食材、特に野菜に関しては、岡山県内でできている野菜以外のものは、一切使っていません。冷凍食品も、したがって使っていない。で、薬剤師の方が、チェック機能を果たして下さってて、定期的に食材の内容をチェックして、これは危険だから止めるとか、これは良いから使って良いとかという事で、これ以上の食材はないという事でお話を伺った事がありますけれど、こういう状態にあるものですから、もう絶対に今の状態は崩して欲しくないという事は、全体の、全員一致した意見です。これを、我が校だけに納めているのは非常にもったいないなあ。逆に、市の方に働きかけて、他の地域も自分の地域の食材を仕入れるように、できるように持って行けたら良いんじゃないかなあというのが、親としては望む事です。
 それから、先程の栄養士の方からのこれからのあり方の中に入っていなかったんですが、中学生も持つ親として希望する事は、夏のお弁当をなんとか給食に変えて下さい。それから、夏だけではなくて、部活で遅くまで運動して帰る子の捕食というか、おやつか軽食か、何とか学校でできないでしょうか。これは、こういう問題が起こる前から、学校にお願いした事があります。お腹をすかした子どもたちは、近くの子は良いんですけど、うちの学区なんかだと、学校が終わってから一時間半位、時間かけて、こういう坂を自転車を押して上っていく子もいます。非常に大変な所に場所があるんですけど、そういう子どもが、どうしてもお腹がすくから途中で買い食いをすると、「買い食いをしてはいけない」と怒られる。「何とか学校でなりませんか」、「パンだけでも買える様になりませんか」とお願いした事がありますが、「我が校だけではどうする事もできません」というのが、まあ当然だろうと思うんですが、学校の立場です。そうであるならば市を挙げて、そういう体制を何とか考えていただけないだろうか。
 はい、ここまでで、内容的には終わりです。あっ、もう一つごめんなさい。一つだけ、先程、言ってて抜けているのがあります。伝統食という事をおっしゃっているんですが、給食の試食会に行ってみますと、おうどんを食べるのに、平皿にビニール袋に入ったおうどんを平皿に移して、それから汁をかけて食べています。かき揚げと言うと、家庭で作るかき揚げとは違います。バラバラに切った野菜に、粉をパアッとふりかけてそのまま揚げて、全然くっついていないのがかき揚げだっていって出ておりました。伝統食を云々ていう話が出ていっている様でしたが、ぜひ伝統的な食事は、本来の形で出す様に、食器を替え、調理方法を変え…と言う事で、そこを、一緒に云々していっていただきたいとうのがお願いです。すみません。長くなりました。

________________________

コーディネーター
 ありがとうございました。予定では4時25分に終わらなければいけないという打ち合わせでいたんですけど、そうすると後20分位ですか、15分位しかないんですけど。私が悪いんですけど。反省してますけれども。今の人も大変長くて…。手短にですね、ご発言いただければ良いかと思います。今日のお話はですね、地域と給食が結び付くっていうのが、一つもポイントだったし、それからやっぱり、いろんな条件があるんですから、もっと生かして良い事をやっていこうと、こんな事もやれるよ、あんな事もやれるよという、すごい色々やれる事がいっぱいでした。こんなんだったらたのしいな、おもしろいな、やりがいがあるなと、夢の様な、夢のある様な、希望の持てるお話がいっぱいでした。大変良かったと思います。色々そういう事にまつわって、まだこういう事もあるよ、あういう事もあるよという意見をよろしくお願いします。質問は、もうしないで下さいね。長くなっちゃうのでね。質問ではなくて、みなさんの言いたい事を言っていただければありがたいなと思いますが、よろしいでしょうか。これだけたくさんいるんですから、言いたい人が山程いるでしょうが。どうぞ。はい、どうぞ。出身とか、地域とか職業とか言ってくださった方がいいですね。

参加者
 ありがとうございます。職業は主婦です。湯浅さんにちょっとお伺いしたいというか、質問ではなくて意見を言うように言われたんで、お願いなんですが、連Pの中で特別委員会を作られて、その中でこの事をテーマに、学校給食の事をテーマに、何回かお話をされていらっしゃったというお話を聞きまして、大変心強いというか、ありがたいなと思いました。私も、子どもが今中学にいるんですけれども、子どもたち一人一人が目に止まる位にがんばらなくてはいけないと思っているんです。ただ、議論の参加権を何とかしていただきたいと思うんですけど、その中でですね、審議会に来られている委員に、会場のみなさんにもぜひ各学校単位で、父兄のみなさん、そして子どもたちから、学校給食に関してどう考えているのか、何を望むのかというアンケートでもいいから取ってくれるようにという声かけをしているんですが、この間審議会で、花田さんが「アンケートを取ってはどうでしょうか」というご意見を言って下さったんですが、時間がないということで、このたびはいいわという事で、切られてしまって、すごく残念な思いをしているんです。ぜひ、審議会としてアンケートを取って下さいと言っているんですが、それが今、時間的に無理であれば、連Pの方で、私はぜひ、お一人お一人の子どもたち、それから親たちに、この学校給食の問題についての意見を集めるという事をしていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

コーディネーター
 はい、具体的にまた良い運動が出回ってくる様な、みんなの思いの様なご意見でしたが、他にどうぞ。はい、真ん中の方よろしく。また、職業を言って下さいね。

参加者
 主婦です。湯浅さんが言われた足守地域から参りました。私なんか、子どもを社会に送り出して長いわけですから、給食の事なんかで言われた時にはピンとこなかったんですね。それを、署名を取るという事で、給食について署名を取るというからには、何が問題で、どういうふうな方向付けで署名を取るのか、そういう事が具体的に分からないと、なんか足が前にでないなという様な論議の中から、地域でPTAの活動をしておられるお母さん方が中心になって、学習集会を組織してくれたんです。中学校の給食担当の教師を呼んで、これは足守関係ではなくて、西大寺の方の先生でしたけれども、その先生をお呼びして、そして地域で母親連絡協議会というのがありましてね、その協議会で、母連で地域の学習会を組織してくれて、それに参加して、その中で給食に対しての考え方とか、私とかが子育ての時に関わってきた給食で勝ち取ってきたものとかいうものを、また再度再認識させられたんですね。それで、地域で食材をというのは、非常に素朴な、地域の農民を助けたいという素朴な思いから、地域での食材購入をして欲しいというのをPTAの中で要求に出して、出発して、それが、添加物のないものとか、そういうものに発展していった経過があるんです。それから、生乳を飲ますという事も、脱脂粉乳のミルクはおいしくないという子どもの思いを、親がPTAの中で発言して、そしたら学校は「だけどこれは、決まった事だから。良いように調理したらおいしんです。」と校長が言われて、「子どもがまずいって言っているんだからまずいんで、良いように調理したらおいしいという発想はちょっと押しつけじゃないか。」という論議の中から、とりあえず素直に言ってと、牛乳も余っているという生産者の人が言ってるからという様な、本当に素朴な親の発言や行動から、生牛乳に切り換えられたんですね。それが発端になって、岡山市なんかもどんどん生乳に切り換えられていったっていう事では、私は、子どもの本当にまずいとかおいしいといった発想を、親がどう受け止めるかという事と、その親が発言したり行動するためには、やっぱりある程度の学習とか基礎的な知識っていうんですかね、それとか、親の持っている食文化の問題とか、そういうものが膨らんで、初めて足がでるんじゃないかって思いました。そういう点でも、みなさん方がやっぱりみなさん方の地域で、何人か集まられて、学習会なり給食に対する思いなりを語れる場を無数に作られて、そして子どもに親として何を与えてやるのか、そういう事での行動をやられるっていう事を、私はお進めしたいと思います。それから、学校の先生の給食に対する提言というのは、私はこれは非常に豊かな、やさしい思いのあふれた提言だと思うんです。だから、即、これを実行に移されなかったとしても、やっぱりこういう思いを給食の担当の教師が持っていらっしゃるという事に対して敬意を表したいし、そして、もし地域の備前焼なんかで、果物なんかを盛り付けて給食に出すとか、そういう風な発想が、私も今とっさにそれを思ったんです。そういう、本当にうれしい様な、楽しい様な発想がわく様な給食問題に発展させて行きたいと願います。私はもうお婆さんですけれども、孫のためにがんばります。

コーディネーター

 はい、本当に力が出てくる様なそういうお話でした。備前焼っていうのは、良いですね。えーっと、今女性の方は職業が主婦って事でしたが、まだおられませんか、主婦の方が…。はい、じゃあどうぞ。

参加者
 今、お婆ちゃんで、ずっと給食は離れているのでとおっしゃったんですけれども、先程、伝統食であるとか、お年寄りの生きがいを実現していくとか、支援していくとか、そういう事も関係あるかと思うんですが、給食の、ちょっと分かんないんですけど、給食の調味料とかはすごく悪い様な気がするんですが、それを、お味噌とか梅干しとかそういった物は、実際の家庭でそういう季節に作っているものだと思うので、そういう物を地元のお年寄り人というか自分でよく作っている方々に教えてもらいながら、子どもたちが、実際に課外事業という風な感じで、作っていきながら地域の人とふれあっていく。そして実際に出来た物を給食で、自校方式で、お味噌汁とか、そういうもので使っていくというふうな、そういう子どもたち自身も流れが見えて、地域の人も協力してくれるっていうふうな、そういう食べている物が見えるというか、そういうふうなやり方をしていったらと思います。実際に我が家でも、子どもと一緒に料理を作ったりすると、自分の切ったものとかだったら、嫌いな物でも食べれるというのがあるので、そういうふうな子どもも見えてるというか、その辺を結構優先したいなと思います。

コーディネーター
 はい、ありがとうございます。
 学校に勤めている調理員さんとかや栄養士さんのご発言があってもいいかなと思いますが、もし何か言いたい事がある人がいれば…。課外事業なんかで、梅干し作ったり、味噌作ったり、しょうゆ作ったり…。地域の人たち、古老といいましょうか、祖父母もしくはそれに近い人たちと作って、そういう生活が見えてきて、給食のすごさも分かると。給食は目の前にあるわけですけどね。すごく、原始的ですけど、重要ですよね。じゃあ、もしありましたらば。新田さんは、後程述べて下さいね。はい、じゃあ、会場の方、他にもしありましたら。そういう、いろんな夢のある話、楽しい話があれば…。シビアな話でもいいですけど。はい、お願いします。

参加者
 市内で、小中高と子どもがいます。主婦です。湯浅さんにお願いしたいんですけど、私、今日初めて、足守・藤田・興除では食材は地元で、地元から入れて、自校方式でやられてると初めて知りました。非常に勉強不足ではずかしいんですけども。それと合わせて、中学校での連Pとしての給食問題の取り組みですね、こういう事を岡山市内のよその地域にも広めていただくために、大きなものはできないかもしれませんけれども、小さな集まりの中でお話をしに来ていただきたいなと思いましたので、お願いしたいと思います。シンポジスト 湯浅 由美子
 あのー呼んでいただけましたら、どこでも出て行きますから。ちょっと、よろしいですか。
 右か左かじゃなくて、話し合いが大切だという事を実感した事が一つあります。足守中学校で給食の事をいっぱいいろんな事を話して、その他の問題も取り組んでくる中で、産廃問題が足守の中に起こりました。その時にも、ただ単に反対、市に何とかしてくれではなくて、自分たちで勉強会をしようよっていう集まりが出来て、その中には、子どもから、小学生の子どもから、お父さん・お母さん・おじいちゃん・おばあちゃん、みんなが関わってきています。そういう動きが出てきて、いろんな問題をみんなで考えようっていう動きが出てますから、そういう形に、いろんな所でみなさまも持って行かれると良いんではないかと思うんですが…。あまり簡単に結論をだして欲しくないというか…。すみません。

参加者
 失礼します。先程は、学校の動きがでたんですけれども、私の子どもが行っております学校でも、給食委員会というのはないんですが、学校保健委員会というがありまして、そこで子どもの健康というのを真ん中において取り組みをずっと続けてきているんですね。その中で、栄養士さんが給食の調理員の方とかの意見を取り入れながら、キレる子どもを作らない食文化をするという事で、手作りの無添加のごまクッキーを作る試食会をしたりとか、ごまどうふとか、また、黒豆を使った炊き込みご飯ですか、そういうふうな事を何回か取り組みました。その中で、初めは、学校保健委員というのは、役員が無理やり参加するような会だったんですが、毎年そういう勉強を含め、試食会を含め取り組んでいくと、今年の会員が100人に増えたんですね。530人ちょっとの学校で、100人になったという事なので、これからも取り組んでいって、自分たちの学校で子どもを守るという事で、どういう給食を作っていきたいという事も合わせて、PTAとしてもめざした取り組みをしなければならないなという実感してます。で、これは市議の立場なんですけれども、職業が議員をしてまして、ついこの間9月議会で質問しました。その時に、萩原市長と議会で話をしたんですが、なかなか公共性というのが頭に全くない人ですので、コストの方でね、こちらの希望をとって、一括購入を止めたらどれだけコストが下がるのかというのをきっちり詰めて、話をしないといけないなというのを実感しました。で、これは余談なんですが、この質問が終わった後に廊下で市長に呼び止められまして、「あんた、あんな質問はされたら困る。」という風に、指を差して言われまして、「何故か。」と言うと、「組合の見方をしとる。」という、そういう様な意見を平気で言う様な人ですので、実際、こちらもきっちり運動を組み立てて、どんどんしていかないといけないなあと感じましたので、そういった事で、市民の声を大きくして、もっともっと中身と、また、子どもたちにとってどれだけの事が目に見えて良くなるのかという事を、しっかりを見極める目を培っていただけたらなと思います。今後もがんばりましょう。

コーディネーター
 あっという間に時間がきてしまったんですが、これだけ言わないと家に帰れないという方。じゃあ、お二人いますので、お二人の方に言っていただいて、最後に、今の事の感想を、パネラーの人に一人1分づつ位言っていただいて、終わりにしたいと思いますので、お二人の方、よろしくお願いします。もう一回、手を挙げて下さい。はい、男の方と女の方ですね。はい、よろしくお願いします。

参加者
 えーっ、パパです。あのー立場が違うんですが、給食の材料を納める方の職業をしていますが、統一献立という事で、規格品という事で、特に農産物の場合は、規格にないという風な問題があるわけです。したがって、今の流通の中では、スーパーで規格品を売っておるという事ですから、今の表示の問題でもあるわけですが、実際、良い物は高くつくというのが現実にあります。我々の場合は安全なもの、みかんで言えば、ノーワックスという、光輝いていないみかんですが、これを全国的に求めるとですね、非常に高くつくわけですね。そのあたりの問題もあります。したがって、今、論議になっている地元産、地場の野菜であるとか、果物を使うというのは、非常に良い事だろうと思いますし、今、我々が置かれている現状では、傷みが非常にあると、何かあったらお呼び出しを教育委員会から受けるわけですが、傷みがでない、子どもに安全なものという事になると、安全なものが腐らないというわけではないので、傷んでいるものがおいしいわけですから、そのへんのはき違えが特にある。学校給食現場の方の、調理師さんの手間があるという事で、非常にお叱りを受けるという事で、今のは栄養士さんの問題ではないのですが、調理師さんの現場の方の質の問題も大変あろうかと思います。パパとしては、子どもがおいしいものを食べて喜んでもらえるのが、一番良いかなと思いますけれども、今日この会議に即した発言ではないけれども、良い給食は残していきたいという風な立場です。

参加者
 主婦で、新婦人の岡山支部の関係です。先程、備前焼という事で、ちょっと話題にでましたが、私の友だちに一学期に岡山にいて、夏休みに奈良に引っ越したお友だちがいます。9月の終わりにお手紙をくれまして、ちょっと小さい規模だと、今までいた所よりも小さい規模だと言ってましたが、二学期から食器が信楽焼になったそうです。ピンクに黄色にブルー、とてもかわいい食器で、子どもたちはとても暖かみがあって良いと、喜んでいるそうです。毎日、数個割れるそうですが、その内、割れない様に扱えるようになるだろうと言って、お手紙を貰いました。それと、私の子どもが通っている学校のPTA会長は市議会議員ですので、この問題をPTAで取り上げたいと私が言うと、即ダメという事で、先程、湯浅さんがおっしゃったように、「これは労働運動だから、それをPTAに入れて貰っては困る。」それでは、PTAを中心に、まわりで大きく囲んで、仲間を作っていこうと思って、がんばって色々とやってきました。それで、署名運動にも取り組んできましたが、私が参観日だとか親睦会だとか、色々学校に行く時に、全部署名用紙を持って書いて書いてと、ピンク色のもあったんですけれども、ピンク色の用紙をよく読んで納得したら書いてねと話して、かなり取っていたつもりなんですけれども、つい最近になって「全然そんなん知らんかった。」と。PTA総会で、むちゃくちゃ言いましたので、「PTA総会で言ってた署名は、いつ書いたらいいの。」と言う人もいたで、あれ、知らない人もたんだと思って、これは全校に知らせる義務があると思って、先週の土曜日に学校の校門の前で、下校の子どもたちにお手紙を全部渡して、月曜日に回収しました。2割近い数が返ってきたので、かなり優秀かなと思っています。まあ、返ってきていない人もいますけれども、少なくとも500人近くの人に知らせる事はできたといういう事で、私も効果があったなと思っています。そういう中で、お手紙付きで署名用紙を返してくれる人もいまして、その中に、どうして母親がするべき事をPTAでしてはいけないの、どうして会長がそういうからいけないのという意見がたくさんありました。そういう人たちの意見をとてもありがたく思って、私たちの運動の力にしていきたいと思っています。以上です。

コーディネーター
 はい、以上会場からは7人の方に、非常に中身のある、前向きな提案の様な内容で、お話しいただきました。今の様な、会場からの声を聞きながら、パネラーの人たちに一人1分位で申し訳ないんですが、感想とか決意表明もあるかもしれませんので、よろしくお願いいたします。じゃあ、花田さんから。

シンポジスト 花田 雅行
 まず、どうもありがとうございました。ひとつは湯浅さんが言われました資料の公開の問題ですが、一回目に僕が質問しまして、会長が「ここで議論する資料については、できるだけ委員の範囲で止どめて欲しい。公開している時は別だ。」こういうふうに、最後に説明してますから、資料は委員の範囲で、審議会が公開された時は別だといってますから、僕はこうやって配ったんですけども、公開されている時には、資料は委員の手から配るのは良いんではないかなと僕は理解しているところです。それから、給食を良くしてくために、いろんなご意見があって、やっぱり栄養士さん・調理員さんが力を合わせて、がんばってやっていくという事が大切だなという事を感じました。その給食についても関係者と学校の先生や親の方が力を合わせて、自由に発言ができる、自由に議論ができるという事が随分大切なんではないかなと、今聞いてそう思いました。あれがいけない、これがいけないじゃなしに、ああしたらどうか、こうしたらどうかという事が色々議論できるのが随分大切だなという事を感じました。私も組合の代表として今日出ていますが、組合の代表としても、そういう事をこれから一層努力していきたいとおもいます。私のレジメの最後に、関係者が力を合わせてと書いているのは、そういう思いも合わせて書いていますので、ぜひ、みなさん方のご意見もふまえていきたいと思います。それから、給食の学校給食会未加盟校については、小学校85校中11校、中学校32校中1校とあります。その学校では、給食会に入らなくても給食ができているという事です。これから審議会で議論が始まっていきます。先程言われたように、コスト論等については、きちんと資料を出しながら議論をしていかないといけないし、私の方でも作っていなかくてはいけないかなと思っていますが、ぜひみなさん方の方からも、こういうふうにしたらどうかとか、こういうふうにして欲しいとか、こういう資料を使ったらどうかというご意見をぜひ頂いて、私も本当にがんばっていきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。


シンポジスト 新田 恵子
 はい、私がお話しました提言、言っている私自身、今の給食から考えると夢のような話だなと思います。で、すぐにこれが全部実現できるとは限りません。一つ一つ、いろんな問題を含んでおりますし、方法も色々考えなくてはいけません。でも、それを一つ一つ考えていては、何も前には進まないので、今日は「これだけの事をやるぞ。」という私たちの意思表明ですかね、そういうのをさせてもらいました。一つ一つに関しては、移行措置もありますし、どうやったらできるかという事は、みんなの知恵を合わせて、できる方法で考えていけばいいのではないかなと思います。そのためには、今の自分の仕事、これは栄養士も調理員もですが、今一度見直して、仕事の整理をして、また考え方を変えて進めていかなければ、こういう給食はできないと思いますので、パッと見て無理だなとか、これは私たち職員自身が思っている事なんですが、思わずに、ぜひこういう給食をめざして、ちょっとずつでも進んでいきたいと思っています。そのためには、子どもたちや保護者の方々や地域の方々の応援が、ぜひ必要なので、どうぞよろしくお願いいたします。

シンポジスト 湯浅 由美子
 先程出した部活の給食の問題なんですが、ここに資料に載っていない部分を、この間打ち合わせの時にお聞きしましたら、学童保育は親の組織があるけれど、部活の親の組織はないからできないというのを、どこで言われたのかはっきりしませんけど、そういう話も出ていました。「もし、本当に部活の給食をやって下さるんだったら、親は組織を作りますよ。」と私は言ったんですが、みなさんどうでしょうか。こういう時に、一緒に動いていただきたいと。それと、いろいろ先程から、私に対する思いを頂きましたが、とにかく話し合いの場はPTAじゃなければできないとか、誰かがやってくれなければできないとかじゃなくって、自分自身がまず中心になってまわりの人に話しかけていくという事が、一番大事だと思います。もしPTAの役員の方がこういう事に理解がないようでしたら、ぜひ自分がPTA会長になるぞっていう感じで、その位のつもりで、みなさんに、いろんな事に取り組んでいただけたら、すごく良いPTAにもなるし、良い学校にもなるんではないでしょうか。私の学校では、今、非常に、学校の先生たちと保護者の連携が深まっています。先程も、今帰られたみたいで顔が見えませんが、学校の先生の顔が見えましたし、足守の人もいっぱい来てます。ちょっとみんなに働きかけると、だんだんと輪が広がってきますので、誰かしてくれないっていって、やってくれるのを待つんではなくて、一人一人が、とにかく自分の身の回りで声を出していきましょう。

コーディネーター
 はい、どうもありがとうございました。まだ、言い足りないというか、舌足らずの部分がたくさんあったと思います。今日聞いてて、市民の人たちというか、主婦パワーっていうか、市民の人たちの積極的な発言が、以前にも増して豊かに発言されたと思います。住民はもともと多数派になれる要素を持ってるわけですから、行政がその都合で勝手にやるっていう事では、やっぱり世の中動いてはいきません。住民が多数派ですので、ぜひ、今言われたように、勝ち負けとか、署名の多い少ないではなくて、人と人とがつながりあったり、学んでいけて地域の事が見えてくる、人々がつながるというそういう中身を作っていく事が一番大事だよというような事が言われた様に思いますし、また、いろんな事が可能性があるという事でしょうね。楢川小学校という長野県の小学校が、村を守るために総檜作りの校舎を作り、給食室も檜で出来ていて、みんな檜で作ったお椀とかお箸とかです。一人一枚のお盆は、一枚7000円するそうです。楢川という所は、だいたい漆器の里です。そういう、一枚7000円をみんな持っているんですね。子どもたちは、ものすごく大事にしています。見に行った事がありますけど、大事に、こう乾拭きしてるんですね。本当に立派です。そういうふうになるんですね。やっぱり、本物というのは。子どもには本物の価値というのが、要するに分かるんですね。そういうのを見ていると、やっぱりすごく感動してしまいますね。だから、備前焼も夢の話じゃないなと思っていますので…。そういう事も文化の内。結果的な物を求めているっていうのが人間の本質ですから、そういうふうな事も含めて、豊かな人間が育つ給食って何かなっていろいろ考えていける可能性が、今日はいっぱいあると改めて思いました。今日は、ありがとうございました。

閉会あいさつ 日名 泰之(代表委員)
 それでは、本日の「いまこそ学校給食を豊かにしよう」というシンポジウムを閉会します。ほどんど満杯というのは何ですけど、ほぼ会場いっぱいの、たくさんのご参加を下さいまして、本当にありがとうございました。みなさん方のお一人お一人が、今日の新村先生の貴重なお話、それから、それぞれのパネラーの現状報告とか現場からの新しい提案、それから、足守の中学校のPTAの取り組みの状況、そういったものが大変生き生きと語られまして、私は、この場が審議会であれば、岡山市の学校給食の充実をめざす方向性というか、大変立派な答申がまとまるなあというふうに感じながら聞いておりました。一方では、今日の集会に多くの人にできるだけ参加しいただきたいと、昨日実は9時位までいろんな所に電話を私もしておりましたけれども、中には、まだまだこの問題が伝わってなくて、「学校給食って何の問題なの。」という人もいました。「やっぱり、これは働く人の生き残りの問題じゃないの。」いうふうに言われる方もいました。一方では、こちらから電話をかけるでもなく、チラシを見て「今日、何かあるようなんだけれども、どこであるのかなー。」と言うふうに、電話をかけてこられた方もいました。実際には、論議としては広がっている側面、それから、まだまだこの問題を知っていただきたい人というのが、両方拮抗しているというのが状況かなと思います。したがって、今日のこの新村先生から提案してもらえた考え方、子どもの教育としての給食、それから実際に実践しているいろんな内容も、どれだけ多くの人に知ってもらえるかというのが、やはりこの問題のカギかなというふうに思いますので、その事を広げる便を、今日ご参加いただいたみなさん方、そしてまた、それを支えている各種の団体のみなさん方の、これからのご努力をぜひお願いしたいなと思います。それから、今日のこの会の最後になりますけど、実行委員会の組織を広げる努力もまだまだ大切かなというふうに思います。そういう点では、まだまだ気付いていない団体への声かけ、そういったことも合わせて、次に進んでいきたいと思います。最後に、今日は大変遠い所から、このシンポジウムにご参加いただきました新村先生に、みなさんで感謝の拍手をしていただいて、閉会にしたいと思います。ありがとうございました。

司会
 以上で閉会したいと思いますが、ご参加下さった皆様、長時間に渡り本当にありがとうございました。アンケートを、出口の所で回収しておりますので、よろしくお願いします。それから、豊かな学校給食の実現をめざすためにも、ぜひ、まだ加入をしていらっしゃらない方は、こちらの方に加入申込書が付いておりますので、ぜひ、書いていただいて、出していただけたらと思います。これからも、みんなで力を合わせて、子どもたちのために、豊かな学校給食をめざしていきたいと思います。どうもありがとうございました。

資 料
                           1999年11月1日

 岡山市長 萩原 誠司  様
 岡山市教育委員会
  教育長 戸村 彰孝  様

                      自治労連岡山市職員労働組合
                       中央執行委員長  長ア 司
                      自治労岡山市現業労働組合
                       執行委員長    川崎 清八

豊かな学校給食をめざす要求書

 日夜市民本位の市政実現に努力されていることと思います。
 さて、今日岡山市の学校給食は、コスト主義に基づく「見直し」論がさかんに強調されていますが、私たち岡山市に働く栄養士・調理員は、「教育としての学校給食」を充実し、「食を通じての地域・まちづくり」に貢献をすることを望みます。
 私たちは、今日のコスト論による「見直し」論が提起されていますが、その行き着く先は、公的責任を放棄した学校給食の切り捨て、民間委託と考えます。利益優先の民間業者に大切な子どもたちの「食」を委ねて大丈夫なのか疑問と不安でいっぱいです。そして民間委託の最大の被害者は子どもたちだと考えます。
 今日、「飽食の時代」と言われる中で、中高年のみならず、子どもたちにまで生活習慣病は蔓延してきており、「朝食抜き、昼は外食かコンビニ弁当、夜は市販の惣菜」という人が増えており、今まさに、家庭・地域での食と子どもの育ちをめぐる状況は、本当に深刻となっていると考えます。今、食習慣の形成は0歳から始まると言われ、まさに「食べることは生きること」であり、国民の生活の中で、もっと、もっと食生活を豊かにしていくことが求められていますし、学校給食と栄養士・調理員の果たす役割は、ますます大きくなっていると考えます。
 こうした中で、私たち学校給食関係職員は、市民・父母とともに力を合わせて、すべての子どもに安全で豊かな、しかも美味しい学校給食を提供することが大切となっていると考えます。「学校給食は公教育の一環であり、食を通して生きる力の原点を学び、未来をつくる人間の心をはぐくむ場」です。「学校給食は、子どもたちを民主的な社会の形成者として育成していく大切な場です。決して単なる『お弁当』ではありません。ただ食べさせればよいのではなく、かけがえのない子どもたちの生命を育てていく場」だと考えます。
 こうした立場から、私たちは豊かな学校給食の実現に向けて、以下の通り要求するものです。

一 要求の前提となる「岡山市の学校給食の現状」について、私たちは以下のように考えるものです。
1 制度としては、全国的にも優れている岡山市の学校給食
  岡山市の学校給食は、以下の点で全国的にも優れている。
 @(ほとんどが・9割)自校調理方式
 A小・中学校とも全て実施(後楽館中学校を除く)
 B全校に栄養士を配置(センター受配校を除く)。調理員も文部省基準で配置され、必要に応じてパート職員も加配
 C衛生的に配慮された給食施設や調理器具が整備
2 こうした優れた制度が十分に生かされていない現実がある
しかし、問題はこうした優れた制度が十分に生かしきれていない学校給食の実態となっていることです。こうした不十分さは、子どもたちの立場に立って早急に改善・克服されるべきであり、21世紀に向けて全国にも優れた学校給食とさせる必要があると考えるものです。
 @「献立作成委員会」により、半年前に決定される「統一献立」
*統一献立の変更ができず、学校行事などへの臨機応変な対応ができない
*小学校では、3つのブロックに分けての実施であり、(七夕、お月見など)行事に合った給食とならない
*「統一献立」と「一括購入」がセットとなって運営されており、地域・地場のものが各々の学校で独自に使用できない実態あり
*子どもや父母、教師の参加を阻んでいる
 A限られた食器の使用
*ステンレス食器であり、食器の使用枚数に制限あり。ご飯もパン皿、麺でも「どんぶり」なし。箸も各自が持参。
 B食材料等、学校給食会からの一括購入
  *地域・地場のものが使用できず、輸入冷凍物が多くなりがち
 C全ての子どものアレルギーのデータの把握もなく、アレルギーに対する除去食も実施されていない
 D全ての学校にランチルームは設置されていない
 E学校給食関係者の昼休み時間と給食の提供時間に「時間差」があり、"暖かい給食は暖かいうちに、冷たい給食は冷たいうちに"ということを阻んでいる
 F市教委のより豊かで魅力的な学校給食とするための研修も不十分

二 豊かな学校給食の実現のために・私たちからの提案
 私たちは学校給食関係職員は、三期休暇の過ごし方等の惹起された内なる弱点を克服する姿勢を貫き、より豊かな学校給食の実現へ努力していきます。そして現在の学校給食を職員の側から「見直し」し、学校給食の充実に向けて努力することは勿論のこと、家庭・地域にも視野を拡げて、食の専門家としての役割を積極的に果たしていきたいと考えます。学校給食を子どもたちの食生活を学ぶ生きた教材として位置付け、正しい食習慣、知識を獲得するための場として充実させるため、努力を重ねたいと考えます。宜しくお願いします。
 教育委員会として、各学校で栄養士、調理員が心を一つにして豊かな学校給食を実現するための自主的な努力を保障し、合わせて給食についての学校裁量を大幅に保障しつつ、以下の要求について市当局の誠意ある対応をよろしくお願いします。
1 豊かな学校給食の実現のために
 @日本の伝統食を伝え、豊かな食文化を身につけられるよう、より豊かで充実した学校給食の推進に務めること。そのためにも教育の一環として、民間委託することなく市が責任を持ち直営で実施すること。また全ての学校給食を自校方式で実施すること。
 A統一献立方式を改めて、原則的に自校献立方式を導入すること
 B米飯給食についても、自校炊飯方式を導入するとともに、その回数を増やすなど改善すること
 C各学校毎に、野菜や果物等について、地域の生産者とも連携し生産者の顔の見える食材を購入できるようにすること
 D食品の残留農薬を精査し、改善を図ること。また食品添加物の追放を行うこと
 E少子・高齢化、国際化社会に対応して、外国の料理を取り入れ、社会科の授業と連携するなどして、その献立を教材として生かしていくこと
 F食文化、安全性の面から磁器等に切り替えるとともに、箸の提供も行うこと。そして食器について献立に見合って子ども本位に改善を図ること
 G適温給食を推進できるよう、職員の休憩時間の変更などの条件整備を行うこと
 Hゆとりある給食時間を確保するとともに、全ての学校に「ランチルーム」を設置し、食べることの楽しさを子どもたちに実感させること。
   なお新設校については、空調を導入した「食堂」を設置すること
 I早急に全ての学校で子どもたち一人ひとりの健康の実態を把握し、アレルギー除去食など各々の子どもに対応した給食を提供できるようにすること
 J三期休暇中の学童保育への給食の実施についても検討、実施すること
また学校給食施設を利用して、子どもたちの部活の補助食の提供等についても検討を加えること
 K生徒独自のメニューの作成も含めて生徒参加型の学校給食の推進を行うこと。また学校給食について、各学校毎に父母と語り合う場を定期的に保障すること
 L豊かな学校給食の実現に向けて、より調理員・栄養士が専門性を高め実践していけるよう、関係職員の意見も聴きながら、専門・実務研修をより内容を充実させるとともに回数も増やして実施すること
2 家庭・地域での食文化の乱れの中で、食の専門家の役割を果たすことの保障を
 Mこれまで努力を重ねてきた食指導をいっそう発展させることを保障するとともに、親への食教育に努め、家庭への「給食だより」の発行回数を増やしたり、家庭で出来る「レシピ集」などを発行して地域・家庭に届ける等することを保障すること
 N三期休暇中を含めて、公務として各地域の公民館等を活用して伝統食等についての料理・講習会を開催したり、学校での父母講習会への地域住民の参加を可能とし、かつ経費についても十分に保障すること
3 地域のお年寄りの一人暮らし等を援助し、生きがい対策の役割を果たすために
 Oボランティアの方々が行う地域の一人暮らしのお年寄り等のための配食サービスのためのお弁当づくりを、給食関係職員が学校給食調理場を活用して行うことを検討すること
 また、元気な一人暮らし等のお年寄りのために「食事」を用意し、学校等を開放して、「みんなで食事する場所」も提供すること
 Pお年寄り等の休耕田や家庭の畑での野菜づくり等を促進し、学校給食に利用したりすること。またそのため地域で自主的な組織(市の高齢者対策の補助事業とする)をつくってもらい、各家庭からの収集や学校への運搬を担当すること。そうしたことを岡山市の高齢者「いきがい対策」事業として施策化すること。