まりの麻雀日記


第14話「イーソーの神様」

世の中には「役満」というものが存在するらしい。 私はこの短い麻雀生活の中で、まだ自分で上がったことがあるのは3回のみです。 振り込みは数限りないけどさ。だって、うちの父上が

「なに切っていいか解んなくなったら、とりあえず字牌を切れ。字牌は当らない
なーんて言うからさ。国士の振り込みでは日本一を自負しています。それもこれも父上のせいです。

「まり、イーソーの神様っ知ってるか?」
「????」
「古来麻雀にはイーソーの神様というものがあってな、イーソーを第一打に切ると、 その局はテンパイできないどころか、とんでもない災いがおきるんだ。よーく覚えておけ」
「う・・・うん」

絶対これは、子供を威嚇した作り話しだと思ってたんだけど、 ピンの雀荘でヤクザちっくなオジサマと卓を囲んでた時にさ、イーソー第1打に切ったら、その人が 「おい、イーソーの神様を知ってるか・・」 と、のたまった。おおおー!!あながちウソでもなかったのだね。と、感動しました。

「おじさん、知ってるよ。うちのお父さんも言ってた。災いが起きるんでしょ」
「お、若いのに偉いな。麻雀は運気も大切だからな」
「はい!♪」

ところが、そのオヤジは次の局で第1打にイーソーを切りやがった。「あ・・あのー」と、おそるおそる私。
オヤジ表情ひとつ変えずに

こーゆー場合もある

もー絶対信じないからねーー!!棺桶小脇に抱えたよーなオヤジ連中の言うことは! と、思いながらも今でもイーソー1打目に打った時はなぜか心中穏やかではありません。意外と小心者です。