オオシャコガイの年代測定

 

   
泊港地先に潮が引くと見えるオオシャコガイ 検体 : 殻長 約95cm、重さ約95kg
   
オオシャコガイの年代測定

オオシャコガイは世界最大の2枚貝で大きいものでは殻長1,3m重さ200kg以上(片側)になる。熱帯地方に生息し、現在の沖縄では生きているオオシャコガイは稀に八重山地方などで小型のものが見つかった例があるくらいだ。
古いオオシャコガイの殻は沖縄各地で出土し、過去には沖縄にも棲んでいたようで、一部年代が調べられている。それによるとこの時代は現在より海水温が高く海面が5mも高い位置にあったとされ、オオシャコガイはこの条件下、約7000〜4300年前までの期間棲んでいたといわれる。その後海面の低下に伴いオオシャコガイは死滅し砂に埋もれ、石灰岩の崖には浸食によりノッチが形成された。

久米島の東にあるオー島やはての浜周辺の海中には古いオオシャコガイの殻があちらこちらにある。地面から出ている部分は腐食が激しい。
1991年、泊港の改修と水路浚渫に伴い、掘削された多量の土砂の中からオオシャコガイの殻が多く見つかり、大きなものでは殻長1.3m以上のギネス記録以上の殻も見うけられたが、ユンボの爪によって壊れているものが多かった。殆どは土砂共に再度近くに埋め立てられたが、壊れていないきれいな殻は地元の人が採集し、自宅の庭などに置かれている。砂に埋もれていた殻は長時間経っても美しく、私も半分砂に埋もれていた殻長1mのものを掘りだし採取した。しかしボートに乗せるのに100kgを超える重さは男四人でも手を焼いた。

これらの古い殻の年代を知りたいと思っていた所、2000年チャンスに恵まれ、この殻は重すぎたので少し小ぶりの殻長95cm重さ約95kgの殻(写真参照)を年代測定することが出来た。(国立科学博物館のお世話になりました)
その結果、年代は6200〜6700年前の古いもので、また年輪から58歳の成年個体であることも判った。殻底部は25cmにおよぶ厚みにきれいな年輪模様(写真下)が見られる。この年輪を拡大するとさらに日輪がみられ、その1日の成長量は環境に左右され違っていることから、当時の水温、日照など自然環境を知ることが出きると言うからすごい。
年を取るほど成長度合いは少なくなるので、大きな個体は100年以上生きている。

このオオシャコガイの棲んでいた年代が6500年前後前であることからその頃の海面高さは現在より約5mも高く、別記、入り口が水深35mのある海底鍾乳洞「ヒデンチガマ」が水中に没し始めたのが10000年前頃だといわれているので、約3500年間で海水面が40m上昇したことになる。1年に1cm以上のスピードだ。海岸に棲んでいた生き物や日光を必要とする浅場の生物には厳しい状況で、激しい変化に対応できた生き物が今を生きていることになる。あるいはこの位の変化は長いスパンで見ると普通なのかもしれないが。
もう1種違うものを調べてみたい。

   

オオシャコガイ縦断面

年輪を解かりやすくするため、切断面は磨いてある。写真右端辺りが殻の底にあたる。

重さ15kg

   
ShellTop