受験算数講座(3) 更新2006年12月11日・久保田塾
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線分図と面積図を使った工夫の実例

 

解法の手助けとして、どう活用するか。

線分図や面積図の意味は理解できたと思いますので、これを具体的にどう使っていくかについて説明します。
線分図は時間の流れや2つ以上の量の比較に使います。
面積図は時間の流れや量に、単位量をかける時に使います。

この両方を使うと楽な問題がありました。
2006年の四谷大塚・合不合判定テストの1問です。最近、生徒から質問されました。

では、まず問題をみてみましょう。

問題) ある印刷会社にはA、B2台の印刷機があります。
A1台では1分間に15枚、B1台では1分間に10枚の印刷が出来ます。
また、Aは20分使うと10分休ませることを繰り返し、
Bは10分使うと10分休ませることを繰り返して使うことにしています。
いま、A、B2台の印刷機で同時に印刷を始めました。
次の問いに答えなさい。

(1) 2000枚の印刷が終わるのは、印刷を始めてから何時間何分後ですか。

(2) (1)のときA1台では何枚印刷しましたか。

(1)AもBも一定の周期で印刷を繰り返すのですから、周期算に関係ありそうです。
Aの周期とBの周期について考えてみましょう。
そのために線分図を使うことができます。
次の図のようになります。


実線が印刷している時間、点線が休んでいる時間です。
ですから、Aの1周期は30分、Bの1周期は20分です。
この2台を合わせた1周期は、30と20の最小公倍数の60分です。
そのことが線分図から具体的に伝わってくると思います。

ところが、これに各印刷機の印刷枚数が関係してきます。
つまり、それぞれの印刷機が1分あたりに印刷できる枚数を考えなければいけません。
ズバリ、単位あたりの量ですね。
ここで面積図の登場となります。
面積図では、単位あたりの量は縦軸にとりますから、次の図となります。


60分の1周期で、AとBがそれぞれ印刷できる枚数を求めます。

{15(枚)×20(分)}×2=600枚・・・・・・・・A
{10(枚)×10(分)}×3=300枚・・・・・・・・B

1周期で印刷できるのは600+300=900枚。

印刷したいのは2000枚ですから、何周期分かを求めます。

2000÷900=2あまり200
2000枚は2周期分と200枚と分かりました。

では、半端の200枚を印刷するには何分かかるでしょうか。

次のような面積図を書いてみましょう。

AとB合わせると1分で25枚印刷できます。
200÷25=8分
8分は、ABとも休ませる前ですから、
8分で200枚が印刷できます。

よって、2000枚を印刷するのに掛かる時間は次の通りとなります。

60分×2周期+8分=128分=2時間8分  (答え)2時間8分

 

(2)1周期でAが印刷するのは600枚でした。
半端の8分間では、15枚×8分=120枚印刷しました。
よって、Aが印刷した枚数は次の通りです。

600(枚)×2(周期)+120(枚)=1320枚   (答え)1320枚

 

この問題では、時間の流れに沿って起こる出来事を追っただけなので並べる線分図となりましたが、
2つ以上のことを比較するような時には、重ねて書いてみるといったことも必要になります。
どういう時にどういう図を書くと分かりやすいか。

まさに考える力を養う学習だと思います。(久保田塾・久保田實)

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