contents > Science Triathlon
痛風とビール(2)

「激しい運動」や「女性ホルモンの減少」も犯人の一人
 最近、女性や若い人に痛風患者が増えている原因として、女性ホルモンとの関係や、飲酒・脱水・ストレス、さらに激しい運動のし過ぎもあげられています。
 女性ホルモンには尿酸を尿の中へ排泄させるはたらきがあり、以前は閉経後の女性は高尿酸血症から痛風を発症する危険があるといわれたのですが、この頃は無理なダイエットやストレスによる若い女性の無月経も増加しており、痛風発症の一因になっているのではないかと考えられています。
 激しいスポーツをしている人に痛風が多いのは、実はプリン体はエネルギー物質ATPの構成成分でもあるため、運動によってATPが分解されると尿酸値が増加するからです。一般に、高尿酸血症の人は肥満を防ぐために運動が必要ですが、トライアスリートにとっては「激しいスポーツのしすぎは逆効果」と言わなければなりません。
 さて痛風と言えば、ビールは御法度、と知っておられる方も多いでしょう。アルコールは血液中の尿酸値を上昇させますが、なかでもビールはプリン体含有量が多く、おつまみもすすんでエネルギーとプリン体の両方を過剰に摂取することになります。汗をかいた後のビールを楽しみにしている人も多いでしょうけれど、尿酸値が気になる人は我慢しましょう。そうでない人も、肝臓をいたわり痛風を予防するため、運動のあとのビールは控えめにしたほうがいいのでは?
 いったん痛風が発症してしまうと、軽い水泳やジョギングでも痛みが出るようですが、食事や薬剤による治療後の再発防止のためには、筋肉痛が出ない程度の水泳、散歩、サイクリングなどが効果的です。

  • <データ>アルコール飲料とプリン体
    ビール大瓶1本 プリン体30mg以上
    日本酒1合 同5mg以下
    ブランデー、ウイスキー、焼酎、ワイン ほぼ0mg