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スポーツと活性酸素(3)

活性酸素にうち勝つ食事

 活性酸素を消去したり、活性を失わせたりするものを抗酸化物質(スカベンジャー)といい、体の中で作られるSODなどの酵素と、ビタミンC、Eやポリフェノールなどの低分子化合物があります。スカベンジャーとは本来、市街掃除人、廃品回収業者といった意味で、ここでは活性酸素を体から回収、掃除してくれるものをいいます。
 体の抗酸化能を高めるには、SODなど体内で作られるスカベンジャーの量や活性を高めることと、食事からスカベンジャーを摂取することの2点が考えられます。

SODを元気にする食事

 SODはタンパク質とミネラル(銅、亜鉛、マンガン、鉄)を原料として体内で合成されるので、食物からタンパク質やミネラルを摂るとよいといわれています。ただし、ミネラル類は過剰摂取によるデメリットもあるので注意が必要です。

こんな食品に活性酸素除去作用が!

 食物に含まれる抗酸化物質も上手に利用したいものです。こしょう、セージ、ショウガ、クローブ、ローズマリー、胡麻など、多くの香辛料には強力なスカベンジャー成分が含まれます。ビタミン類では、カロチン、ビタミンC、ビタミンEがスカベンジャーです。
 そのほかよく知られているのが赤ワイン、緑茶などに多く含まれるポリフェノール(フラボノイド、タンニン、カテキンなど)。ただし摂取量と効果の関係は明らかでなく、ポリフェノールだけに頼るのは今のところ慎重になる必要があります。

そして究極の活性酸素対策メニューは!

 「トムヤムクン」 京都大学農学部の大東肇教授(食品生命科学)らが発表したもので、タイ料理のトムヤムクンが活性酸素を消去する効果に優れ、きわめて高い抗がん作用があるということがわかりました(京都大学、近畿大学、タイのカセサート大学の研究)。 先述の通り、ある種のハーブ類は高い抗酸化活性を持つことが研究で確かめられています。トムヤムクンに含まれるレモングラス、ナンキョウ(タイショウガ)、カフィライム(コブミカン)などのハーブにある抗酸化性が効くのだとか。ナンキョウ、カフィライムの葉は生薬としても使われ、βカロチンの数十倍から百倍の抗酸化作用があるそうです。 トムヤムクンはからくて酸っぱいエビ入りスープです。タイ料理屋さんのメニューにはありますけど、最近はレトルトも売っていますね。
 スポーツする人にはよいかも!

アスリートは気温と紫外線にご注意

 紫外線は活性酸素を生成し、SODの活性を低下させます。また高温、寒冷に対しても一時的にSODの活性は低下します。2週間ほどで適応が起こって、今度は逆にSOD活性が上がってくるので、コンディショニングの際に考慮すべきです。