SODの基礎知識〜活性酸素って悪者?
地球上の生物の多くは、生命活動のために酸素を利用していますが、一方で酸素は体内で活性酸素という形に変化し、その強力な酸化作用によって生物の体に悪影響を及ぼします。そのため、生物は活性酸素を消去させるシステム(抗酸化系)を体内に発達させてきました。
さて、人の体は抗酸化システムだけでなく、積極的に活性酸素を作り出すシステムも備えています。ふだんは二つのシステムのバランスがとれて、体内の活性酸素は一定のレベルに保たれていますが、何かの原因で抗酸化系の方が負けてしまうと、体内に活性酸素が増えて悪影響が現れます。これを酸素ストレスといいます。
ところで一口に「活性酸素」といっても、実はいろいろな種類があります。体内で発生する活性酸素はほとんどの場合「スーパーオキシド」という種類で、他の活性酸素はスーパーオキシドから2次的につくられます。
この活性酸素の大元ともいえるスーパーオキシドを消去するのがSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)という酵素です。つまりSODは生体内のさまざまな活性酸素の発生を根源から絶つ重要な役割を担っているわけです。
活性酸素はDNA(遺伝物質)を傷つける作用が強く、ガンの原因となります。その他、タンパク質、脂質などの生体高分子を傷つけることによって、関節障害(リウマチなど)、動脈硬化症、心筋梗塞、さらには老化にも関与すると考えられています。
こうしてみると大変な悪者のように思える活性酸素ですが、人の体にとってまったく不要なものかというとそうではありません。実は免疫系などで重要なはたらきをしています。病原菌などが体に侵入したときに、まずはたらくのがマクロファージや好中球などの白血球です。これらは細菌や微生物を取り込み、活性酸素のパワーで殺菌するのです。活性酸素はいわば「両刃の剣」で、だからこそ人の体には積極的に活性酸素を作り出すシステムも備えられているのです。
いろいろな動物を比較した研究によって、SOD活性が高く、抗酸化性に優れることが長寿に有効であると示されています。適度な運動トレーニングやビタミンE、Cなどの摂取は酸化ストレスへの抵抗性を高めます。活性酸素をうまくコントロールして健康に過ごしたいものです。
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