(徳島県美馬市・重伝建) |
徳島県の内陸部、吉野川沿いに位置する脇町は、かつて藍の集散地として繁栄した歴史を持つ。藍の生産は、領主である蜂須賀氏が奨励したもので、江戸時代には「阿波藍」として全国に知られた。阿波藍は、この町で船積みされ、吉野川の水運によって各地へと運ばれて行ったのである。 通りに沿って並ぶ民家の多くの屋根に「うだつ」が上がっている。脇町、及び貞光などこの地方のうだつの特徴は、本瓦葺きの小さな屋根を持っていること。元々うだつは一種の防火壁なのだが、造るのに費用がかかったため、財力の象徴とされた。「うだつが上がる」という言葉は、ここから来ている。 今や脇町のシンボル的存在となった、「脇町劇場」。昭和初期に造られた劇場なのだが、「オデオン座」として映画に登場したことで脚光を浴び、取り壊しを免れたのだという。隣町の「貞光劇場」とお揃いで、昭和初期の劇場が残っているのは、なかなか楽しい。
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