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薩摩半島の南部に位置する知覧は、江戸時代に薩摩藩による「麓」が置かれた場所。麓とは、武士を集住させることで外城としての機能を持たせた集落で、鹿児島県内に百箇所以上もおかれたと言われる。知覧の麓は当時の姿をそのままに残していることで知られており、この町は「薩摩の小京都」とも呼ばれている。 武家屋敷町に良く見られる道の両側に続く石垣、そしてその上に高く茂る生け垣が「麓」の特徴。知覧の麓は特に生け垣が立派で、この風景が全長数百メートルにも渡って続くというのは、やはり見事。他では見られないような町並み景観となっており、通りを歩いているとまるで庭園の中を散策しているような趣がある。 各武家屋敷の敷地の中にも当時の庭園が残り、その七箇所が国の名勝に指定されている。生け垣やその向こうに見える山々を背景として取り入れるなど、各々工夫が凝らされており、これらも全て見て回ることをお勧めする(左写真は森重堅邸庭園)。観光地化はされているものの、騒がしい土産物屋などはないため、案外静かに散策できる町並みである。
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