穴虫anamushi |
香芝市の中心付近、近鉄二上駅の南西方向に、大坂山口神社が鎮座する小高い森を囲むように穴虫東、穴虫西の二つの集落が連続して位置している。いかにも大和盆地の集落らしく、狭い道が迷路のように張り巡らされたその集落の両方に、古い町並みがかなりの規模で残っている。 南河内と大和を結ぶ穴虫峠越の街道が通り、また研磨剤として用いられる金剛砂(ザクロ石)の産地であったことから栄えた集落らしく、穴虫西(タイトル写真、及び写真二枚目)、穴虫東(左写真、及び写真四枚目)のいずれにも非常に立派な屋敷が多数建ち並んでいる。穴虫西のほうが地形がより複雑で、歩きまわっていると方向感覚が完全に失われてくるほどだった。 奈良県内には似たような印象の古い集落がともかく多いのだが、大阪に隣接する新興住宅地のイメージが強い香芝市はスルーしがちで、ここまで大規模な町並みが残っていたのは驚きだった。もちろん、観光化などは全くされておらず、集落の由来などについての解説なども一つもない。ひっそりと残る謎の町並み、という雰囲気が面白かった。