作成2002/5/13・改訂2008/1/7©tomoaki.watanabe(HP:ことば・言葉・コトバ

接続語の論理的機能一覧

事実 〈物語〉1)時間(1)すると順接こうして、したがって、そこで、その結果、それで、それから、そうして、そして、…て、…(する)と
(2)しかし逆接が、…が、…くせに、けれども、しかし、それでも、それなのに、だが、だけど、…ても、でも、…でも、ところが、…のに、…ものの
考え〈論証〉2)抽象(3)たとえば具体化例をあげるなら
(4)つまり一般化言い換えれば、いわば、いわゆる、換言するに、結局、すなわち、要するに、
(5)それに対して対比あるいは、一方、それとも、他方、ないし(は)、または、むしろ、もしくは
3)可能(6)もし……ならば仮定もし…たら、たとえ…ても(でも)、…なら
(7)(する)ため目的…(する)ように、…ために
4)立論(8)なぜなら理由そのわけは、というのは、なぜかというと、なぜかといえば、なぜならば
(9)だから結論…から、したがって、それゆえに、それゆえ、で、…ので、ゆえに
〈説明〉5)話題(10)また追加おまけに、および、かつ、かつまた、さらに、しかも、そして、それから、それに、そのうえ、ただ、第二に(第三に…)、ただし、ちなみに、…とか、なお、ならびに、まして…(ない)、もっとも
(11)さて転換それでは、それにしても、それはさておき、それはそうと、第一に、では、ところで、とにかく、はじめに、まず、△いずれにしても

【解説】

 接続語は書き手の考えを論理的につなげるためのものです。しかし、考えの基礎は、モノ・コトについての事実です。書き手の考えは現実から取り出した事実にもとづきます。事実には、できごとの時間のながれがあります。
 また、接続語は五つの論理レベルに分けられます。そのはたらきは、文章展開の四種類と関係あります。〈1)説明〉〈2)論証〉〈3)物語〉はありますが、〈4)描写〉はありません。それが空間的、感覚的な表現だからです。描写の順序には、大から小へとか、周辺から内側へという習慣的なきまりはあります。しかし、それは論理ではありません。

(コトバ表現研究所=渡辺知明)

  1. 時間レベル―「事実」を〈3)物語〉で展開します。「(1)すると」は時間のながれにしたがう場合、「(2)しかし」は前文から予想されることとは逆の事態が生ずる場合です。どちらも、事態のつながりの叙述です。「時間」の対極にあるのが〈4)描写〉です。「空間」の展開です。これは絵を描くように対象をとらえるもので論理ではありません。
  2. 抽象レベル―「(3)たとえば」は具体化、「(4)つまり」は一般化、「(5)それに対して」は同じレベルにある対象を比較する場合です。「たとえば」の具体化と「つまり」の一般化とは組になります。また、「なぜなら」の理由づけは、「(8)理由」として、立論レベルに入れました。
  3. 可能レベル―「(6)仮定」は、現実ではないモノ・コトを想定して論を展開するものです。あらかじめ結果を否定することが明確にときには、「たとえ……ても」となります。それに対して、「(7)目的」は、書き手が意図をもって目標を定めるものです。
  4. 立論レベル―「(8)理由」と「(9)結論」は、立論のときの組み合わせです。(8)は、結論から理由へすすむものです。直観的に結論を出して、あとから理由を考えます。それに対して、(9)は理由を見つけておいてから、結論を述べるかたちです。(8)は考えながら文章を書くときの展開です。
  5. 話題レベル―「(10)追加」と「(11)転換」は、話題をすすめる方向を示します。(10)では並列的に並べます。話し手による主観的な話題の付け加えです。それでも、話題のレベルに同一性があります。それに対して(11)では、付けくわえられる話題に、より大きなレベルの変化があるのが特徴です。