金光教教団史覚書

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信徒講社の結収事業

(しんとこうしやのけつしゆうじぎよう)

教祖金光大神の在世中より、各地で金光大神の信心を伝道していた信徒とその集団を結合して、教団を組織し、神道金光教会の名称のもとに信奉者を統一して、その指揮下に収拾する活動である。この端緒は、佐藤範雄が神道広島事務分局長の認証を得て、1883年(明治16)12月20日付で「金之神社信徒取扱規約」を定め、広島県下の信奉者を取りまとめたことである。ついで佐藤は、神道宣教師の資格で岡山県下を巡教して、備中・岡山両分局長の支持のもとに、信奉者の取りまとめを行なった。1885年(明治18)6月13日付けで岡山県令の認可をうけた金光教会所の設置により、6月14日付けで神道金光教会本部開設許可済届と教長推戴願を神道管長に提出し、7月になって嚥煬教会講社結収手続大意』を届け出た。このように法的な準備を整えて、まず1886(明治19)3月に、山口県由宇村の神宮教付属の三柱教会を設立していた者のなかから、金光教会に加入を望む唐樋常藏とその外9名ついて、山口分局長の進達をへて、神道教師に推挙することになった。ここに周防地方の信徒講社を結収することができ、その後、ここから九州布教へ展開する途がついた。

1887年(明治20)6月から7月にかけて、大阪市を中心に近畿地方各地の信徒講社を結収することになった。大阪においては、教祖の在世中の明治初期から、金光大神の信徒と称する者たちが信仰を伝えていたが、1877年(明治10)前後から初代白神新一郎によって本格的に布教がはじまり、信奉者が急激に増え、やがてその弟子達による布教活動も京阪神におよんだ。金光教会の創設ごろになると、それらの布教者は、神道分局・神宮教・御岳教などに付属し、あるいは無格社を建てる等、個々に公認の方策をこうじていた。従って、これらの信徒講社を金光教会に結収するのは、極めて困難であったが、同年7月28日に、大阪市内の布教者を大阪事務分局に集めて、二代白神新一郎と近藤藤守が立ち会い、本部派遣員・専掌・佐藤範雄から金光教会への加入の意志を確認した。その結果12名が賛同したので教師に推挙し、ここに近畿圏における信徒講社の結収がおわった。  

1887年(明治20)11月の神道直轄教会に昇格するまでに、結収された講社を、以下にかかげる。                      

一番教区 道木組・木綿崎組・明治組・明道組(岡山県浅口郡)

二番教区 入田組(岡山県小田郡)

三番教区 大倉組(岡山県小田郡)

四番教区 高屋組・川相組(岡山県後月郡)

五番教区 白神組・明道組(大阪市西区)

六番教区 丸山組(岡山県上道郡)

七番教区 阿知組(岡山県浅口郡)

八番教区 敬神組(広島県沼隈郡)

九番教区 真玉組・金米組・三光組・金弘組・直金組(大阪市北区・南区)

十番教区 藤守組・金広組(大阪市南区・東区)

十一番教区 敬神組(広島県御調郡)

十二番教区 秋山組(岡山県邑久郡) 

十三番教区 真誠組(岡山県下道郡)

十四番教区 林組(岡山県児島郡)    

十五番教区 新神組(広島県品治郡)

十六番教区 敬神組・明田組(山口県玖珂郡)

十七番教区 敬神組(山口県熊毛郡)

十八番教区 三野組(山口県大島郡)

十九番教区 開栄組・開栄組一号・開栄組二号・開栄組三号(京都市下京区)

二◯番教区 敬神組・松尾組・井口組・藤守組(兵庫県神戸市)

二一番教区 田畑組(京都府久世郡)   

二二番教区 甲島組(大阪府堺区)

二三番教区 黒忠組(岡山県川上郡)            

二四番教区 不詳(岡山県北条郡)

二五番教区 藤守組(京都市下京区)

二六番教区 藤守組(京都府紀伊郡)   

二七番教区 温泉組(愛媛県温泉郡)

二八番教区 藤守組(滋賀県大津市)

二九番教区 藤守組(兵庫県神戸区)

三十番教区 五明組(岡山県邑久郡)

三一番教区 小方組(広島県佐伯郡)

三二番教区 藤守組(滋賀県滋賀郡)   

三三番教区 信光組(大阪市東区)

三四番教区 開栄組(滋賀県大津市)  

三五番教区 有志組(京都市上京区)

三六番教区 高津組(大阪府西成郡)           

三七番教区 藤守組(滋賀県犬上郡)

三八番教区 藤守組(京都府葛野郡) 

三九番教区 藤守組(滋賀県蒲生郡)

四◯番教区 藤守組(愛知県名古屋市)  

四一番教区 中島組(岡山県都宇郡)

四二番教区 住吉組(大阪府西成郡・東成郡)

四三番教区 土居組(高知県土佐郡)          

四四番教区 西村組(兵庫県武庫郡)

 以上に掲げた講社は、神道金光教会が神道本局直轄に昇格するまでに、加盟したものであるから、金光教団の組織の成立の基盤となった。       


 参照事項   ⇒ 神道金光教会  佐藤範雄  唐樋常藏

        金光萩雄 金光宅吉  近藤藤守 二代白神新一郎