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2003年10月のお嬢



 10月31日

 そして今日も酒を飲んだ。
 ただし、これは前から予定していたこと。
 幼馴染のようなやつと、久々にサシで飲んだ。

 久々に肉をガツガツ食った。
 久々に愚痴をアレコレ言った。
 久々に色々共感しあった。

 まったく別の世界で別の仕事をしている私たちが、
 久しぶりに会って、久しぶりに話して、それでも、怒りや喜びの物差しがとても似ていて、
 なぜだかとても安心する、そういう時間はとてもとても貴重だ。

 昨日は悪夢に何度もうなされた。
 今日は少しでも長く、少しでも穏やかに眠れたらいいのに、と思う。



 10月30日

 続けて酒を飲んだ。
 酒席が増えるということは、同時に学びの無い場との遭遇の機会も増えるということ。
 その憤り、いや、単なる消化不良なのだが、それの始末が上手になることも、
 生きていくうえでは必要なのかもしれない。
 すべては学びだ。



 10月29日

 「インターネットで日記なんて公開してる人の気が知れないよね〜〜〜」
 「そうそう、絶対おかしいって〜〜〜異常異常!」

 なんて会話が聞こえてしまった。
 ……
 いいもん、いいもん。気にしないもん。

 どんな人のことであれ、どんなことであれ、どこででも迂闊に一方的に批判するというのは、
 とっても危険なことだ。
 誰かが誰かを異常と決め付ける権利など、この世のどこにもない。
 

 10月25日

 嬉しいことに、こんな私にもまた仲間が増えた。
 相手がどう思っているかはわからないけれど、私にとって彼らは本当に仲間だ。
 大変わがままな発想ではあるけれど、私にとって、自然と私自身の話を出来る人は、
 私にとっては既に仲間なわけである。
 私はどこかで、「話していい人」とそうでない人、という分別をしているのだ。
 これがいいことかどうかはさておきとして、今日をとても嬉しい夜だと思ったことに偽りはない。



 10月21日

 テレビの旅番組で「弥助」が紹介されていたせいだと思うが、
 「寿司」「弥助」といった検索語句でこのサイトに辿り着いた方が結構いるようだ。
 といっても、まったくもって出没エリアが完成されていないので、申し訳ない。
 どうも、はじめまして、こんにちは。

 弥助の寿司はうまい。
 創作的な寿司とはいえ、カリフォルニアロールのように奇をてらうわけではなく、
 本当に素材の旨さを生かした、極めて繊細で上品な素晴らしい寿司だと思った。
 笹の葉にのせて炙った香り高いアナゴには、一つまみの塩と振り柚子。これ絶品。
 最近、金沢のあちこちの寿司屋が弥助の寿司を真似てはいるが、
 やはり本家にかなうものを出す店はない。

 ところで、弥助の寿司は高い。
 まぁ、旨いから仕方ないか、という気もするのだが、不思議なこともある。
 それは、行く時々で価格の開きがあまりにも大きいこと。
 一人あたり8000円ほどならまぁ仕方ないと思うが、さすがに12000円も取られると、
 この田舎の、それも某有名格安ホテルの1Fという立地で、ちょっとそれはどうなん?
 というのが正直なところ。
 しかも、それぞれ食べた内容はほとんど同じだったから、なお不思議だ。
 強いて違いを挙げれば、12000円取られたときは連れがとある大企業の人で、
 親父に名刺を渡してしまった、ということか。
 客の懐見て値段決めてんじゃないのー?などと、考えてしまうような、
 こんな小市民が行くべきではない店なのか。

 別の人にも、あの店で会社名や肩書きを出さない方がいいよと後になって聞いた。
 せっかくの旨い寿司だが、どうもそういうことで興醒めしてしまって、最近は足が向かない。
 いや、でも確かに旨いのだ。
 一度くらいは行ってみる価値はあると思う。
 ま、そんな夜には普段よりは幾分懐を温めてからお出かけを。



 10月19日

 今日は朝から昼だった。
 夜中に季節外れの虫が耳元にプ〜〜〜ンと接近。
 一度目が覚めたのは何時頃だったのか。
 最近、夜中に目覚めても、時計を見なくなった。
 寝ていられる時間があと何時間あるか、ということに傷つきたくないからだ。
 布団から出て蚊取り線香をたく気力もなく、布団を頭からかぶって寝た。
 起きたら昼の2時近くだった。
 ゆうべ寝たのが1時ごろだから、12時間以上寝てたのか。
 こんなに眠ったのは久しぶりだ。
 これだけ寝られるというのは少し若返ったのか、それともただ疲れてるだけなのか。



 10月18日

 何が寂しいのか、古い友人に突然連絡を取りたくなる今日この頃。
 メールだって日頃はよほどの用事がないと書かないけれど、こういうときには
 あちこちに色んな用事を作っては送りつけている。久しぶり〜などといって。

 連絡を取るのは充実していたあの頃を思い出せる人たちばかり。
 決して今が充実していないわけではなくて、むしろあの日があるから今があるのだが、
 ただ少しだけ、何かにすがりたいのだろうと思う。

 あとは例によって、買い物がひどい。今日も本をバカ買い。
 はたと手元を見ると、必要なものをひとつも買わずに、必要のないものばかりある。
 他人の自己破産手続きやる前に、他人に金銭管理の大切さを説く前に、
 自分の金銭管理をなんとかせーっての。
 ワーカーなんて嘘まみれの仕事だ。



 10月某日

 毎日、帰りに飲みたくて飲みたくてたまらなくなる。
 でも、結局、家に寝に帰る。牧場で飼われる羊のように。
 牧羊犬は誰だ。仕事か。嗚呼。

 神戸にある伊藤グリルのビーフカツレツが無性に食べたい。



 10月某日

 すいません、ワーカーさんご相談が。
 はいはい、なんでしょう?
  …かくかくしかじか…
 (中略)
 はぁ?あんたバカなんじゃないのぉ?クビにしてって先生に頼んでやる!

 この後私は、この人無能なんです〜!としばしひきずり回されたのだった。
 この人が悪いんじゃない、病気が、症状が、妄想の中身が悪いんだ、
 と、せめて自分の心で言い聞かせつつも、やっぱりなんだか悲しい。とほ。



 10月某日

 初診時の問診をとるのに患者さんの名前を見たら、知ってる人だった。
 向こうが私を知っているかはわからないけれど、念のため先輩に交代してもらった。
 相手に気付かれないように、チラッと様子を見てみたけれど、
 私の見たことのあるその人とはとても思えない姿だったので驚いた。
 とても辛そうだった。
 ひょっとしたら、同姓同名の別人かも知れない。
 だけど、たぶん、きっと、その人なんだろうと、なんとなくだが確信している。
 正直言って、悲しくなった。
 しかしいつか、こういうことにも慣れる日が来るのだろうか。
 だとすれば、それはそれで、もっと悲しいことだ。



 10月某日

 異動してから、夜10時前には寝るようになってしまった。
 朝は7時に起きるから、9時間睡眠。
 テレビも見なければ、本も読まない。
 本当に食べて働いて寝るだけの生活。
 なんとなく悲しい。