2001年11月のお嬢(下)
11月30日 初めてのウイルス感染。 鬱々鬱々鬱々鬱々鬱々。。。。。 11月29日 『冷静と情熱のあいだ Rosso』を読んでいる。 …のだが、どうにもこうにも、先に進まなくて困っている。 と、遠回しにいうのもなんだからはっきり言うと、ちっとも面白くないんである。 まだ『Blu』の方を読んでいないから何とも言えないのだが。 もう後半にさしかかってきたのだが、今のところ、 身勝手で周りの気遣いを屁とも思っていないタカビーな女の戯言が、 ただただただただ無駄に延々と続いているように思うのは私だけか。 主人公の女の現在の恋人であるマーヴが気の毒で気の毒で、 誰か次はマーヴの立場から1冊書いてやれ、て感じ。 こんな失礼な女が、人の稼ぎでのうのうと悠々自適のミラノ生活をしながら、 昔の恋人を思い焦がれて云々かんぬん、なんてストーリー。 だいたい、日本語の美しさとはかけ離れた、陳腐な翻訳物の様な文体が、 なにより気に入らず、読む度に悪寒が走る。 世の中5万(?)の人はみな、この作品のどこにどんな共感だの感動を得ているのだ? それとも最後まで読めば、私も少しは何か感じるのだろうか。 どうなんでしょう、とおるクン。(以下私信) アオイは私がこの世で最も嫌いなタイプの人間の一人です。 そして、これを書いている作者のことも、たぶんあまり好きになれないと思う。 君なら分かるでしょう。 恋愛小説というものをほとんど読まない。 強いて言えば、たまに取り出して読む毎度おなじみ『ノルウェイの森』くらいで。 あれもあれで、恋愛小説なのか何なのか、よくわからないのだけれど。 読まない理由はたぶん、簡単なことである。 自分がやらかしていることの方が、遙かにやっかいで遙かにオモロイからだ。 行きつけの店では、客の恋愛遍歴を深く知る店主が、店がつぶれたら暴露本を書き、 私をはじめとする登場人物に1冊数十万で売りつける、と穏やかでないことを言う。 でも、実際、そんな本を書かれると、とっても困るんである。 とにかく、色々と、困ったことになるんである。 っていうか、本当に思い出したくないことってのが、ボタ山のように積もっているんである。 私は何度も大きな声で泣いたし、何度も声を殺して泣いたし、 誰かの胸を何度も何度も殴ったし、幾度か殺意をも覚えたんである。 この数年を、その残務整理に費やしてきた、と言っても過言ではないんである。 と、朝のバスの中で、左手の中指につけている安物のシルバーリングを見ると、 手の平側が2/3ほどの厚さにすり減っていた。 2年前の年末、インドネシアから帰った直後につけ始めた指輪は、 あそこで見たこと聞いたことを忘れないように、自分に科した鎖のようなものだ。 泊めてくれた友人宅には、月収2000円のメイドのおばさん。 彼は自分の歳も知らないという彼女に、読み書きを教え、本とメガネとを贈った。 帰国前日におばさんの家を訪れ、千円でおつりのくるドリアンを皆で食べた。 家の周りに広がる田んぼは、おびただしい数のホタルの光で全面が覆われていた。 そしておばさんは、私が帰るのが寂しいんだと言って、泣いた。 そんなラマダンの夜。 この指輪が擦り切れるときは来るのだろうかと、最近考えるようになった。 その時、私はどんな人間になっているのだろうか。 11月27日 二日酔いで出勤。 ていうか、まだ酔うとるっちゅーねん。 皆に酒臭いと言われる。 どういうわけか、指紋によるセキュリティーチェックも通れない。 指先からも酒が感知されているのだろうか。 一度も自分でカギを開けられなかった。 泥酔者、働くべからず。 この数日の出来事は、明日以降に更新(※)。 今日はとりあえず、寝かせてくれい。 ※更新しましたぞ(11/28) 11月26日 石川テレビ『New York JAZZ in Autumn』公開収録 私には、時に妙な強運みたいなものが突然働いて、我ながら驚くことがある。 例えば、今年の原爆忌に広島で秋吉敏子さんのコンサートに行った翌日、 ボケーッととあるホテルの前を通りがかったら、そこにツアーバスがいて彼女に会えた、 とか、そういうレベルなのだが、まぁ、とにかく興味があるとか、会いたいなぁと思う人に、 どういうわけか偶然ばったり会えてしまうことが結構ある。 で、今日なんかはまさにそんな夜なわけで、競争率4倍近くの抽選を勝ち抜いて(?) ゲットしたチケットで、テレビの公開収録ライブに入場を果たしたわけだ。 その後、飯でも食うべと『いたる』に行ってしばらく、なんとNYの面々が店にヤァヤァヤァ! 思わず、いや〜ん!!と手を振った私はまったくもって失礼極まりない女である。 そこにさらにこの方まで現れ「お前が書いとる井上智ってどの人や!」と暴れだす。 そこに座っているヒゲの人だよ、というと、まったく関係のないヒゲを生やした一般人に 「おう!あんたが井上さんか!そうか!よろしく!」とかなんとか言っている。まぁいいや。 可笑しいやら恥ずかしいやらで、腹も頭もよじれてきた。もう、許してくれよー。 タナさんが、板前さんの大根のかつらむきを食い入るように見つめていた。 ブリ大根を指さして、これはハマチ?と聞かれたので、もうこの季節はブリですよ、 と言うと嬉しそうに、それは楽しみだ、で、あれは?と聞かれる。 指さす向こうには大きなブリかまの塩焼き。そう答えると、じゃ、それも食べよう!と。 ブリが成長に従って呼び名が変わる出世魚だ、と英語で伝えたかったけれど、 うまく出来なくて悔しい思いをする。 そして2次会。こなつさん、いつの間にやらちゃっかり合流。 なんだかよく分からないけど、私は酔うとへっぽこ英語を少ししゃべるようだ。 ただし難点は、酔っているのでヒアリングが出来ず、会話が成り立っていないことか。 って、これ、致命傷じゃないか。 ジョン・ファディスに「メガネがコンサバ過ぎるから、君にはもっとワイルドなデザインを」 と何度も言われたのが、妙に印象に残っている。 「Wild in Kanazawa,but not in Tokyo」。グサッときていた。 少し凹んでいたところを、井上智さんと北川潔さんに救われる。 両手に花、の逆はなんて言うんだろう。とにかく両手にイイ男。ぐふっ。恍惚。 北川さんには今後数年分に充分過ぎるほど、何度も「べっぴんさん」と褒めて頂き、 すこぶる光栄。うーれしいな、うれしいな、べっぴんさんだって!うれしいな! 柴田恭平と田中美佐子が主演の神戸が舞台の映画『べっぴんの街』なんか急に 思い出してみちゃったりして。 時間が経つのは早い。 このままずっと夜が続けばいいのに、と思ったけれど時計は午前3時をまわり…。 私の悪癖でもう1軒!とか言ってしまったのだが、日本人3人で帰路に就く。 幸いホテルは我が家のそばにある。 ホテルの前でタクシーを降りたお二人と優しい優しいhugを交わしてさようなら。 短い睡眠を取って出勤する頃には、つい数時間前の出来事が全部夢だったような、 そんな気になってきた。 思い出をぜーんぶ覚えておくにはちょっと酔いが深すぎたみたいで。 では、反省するか、というと、これが、いつかまきっと会えるさ!とか思っちゃう辺りが、 私の私たる所以、ということだ。 ただひとつ、北川さんに「ベーシストの中指」を見せて貰うのを忘れてしまったことが 何よりの心残り。いつか必ず。 これが、2年続けてジャズに(イイ男たちに)狂った秋の夜長のお話。 11月25日 『Big Apple in Nonoichi』は野々市町のイベントです 幼なじみで悪友で、最近もててもてて困っちゃってると巷で評判のAを誘った。 なんでも彼に熱烈アプローチ中の女性が、私にヤキモチを焼いているんだとか。 ったく、会ったこともないというのに(ないから、か)、勝手に嫉妬せんでくれ。 っていうか、私そういうのでごちゃごちゃするの嫌やし、一緒に連れてくりゃいーのにー、 とあらかじめ言っていたのだが、どうもまだそこまでの関係には発展していないらしく、 結局私とふたり。まったく、世話の焼けるオトコめ。このやろ。 うぉーっ!親友の彼女(候補)に憎まれたくないぜー、というのは小心者の心の叫び。 まあよい。 チケットは私が持っていたので、着いたら電話くれ、と言っていたのだが、 その電話があった後も、彼の姿が一向に見えない。 彼にも私の姿が見えないらしく、もう一度電話が掛かる。 会場はフォルテ。 彼はポルテにいるらしく。 その、気になる彼女がポルテにお勤めだからと言って、笑わせてくれるわ。 今年のステージは、「姫様」秋吉敏子さんが居た去年とはまったく違って、 とても男っぽい色気ムンムンのステージ。 デビッド・ヘイゼルタインのピアノは、どうやって音を出しているのかまったりと柔らかく、 艶めかしい雰囲気。アキラ・タナが時折余裕ある笑顔を見せながら若手を導き、 ベースの北川潔さんは少年の様な雰囲気で主役のような強い存在感を見せる。 私の癒し薬である井上智さんのギターで私は溶けおちてしまいそうになり、 そこに紅一点モニカの瑞々しい声が重なった。 ムーンライトジャズオーケストラも、一層磨きが掛かって張りのある音で楽しい。 そして何より、今回の主役であるジョン・ファディスのトランペットの音だ。 高音をめいっぱいに鳴らしたときの音と言えば、それは暴走特急が鳴らす警笛、 十戒で海がパックリ割れる時のように、会場の空気が真っ二つに切り裂かれるのが、 この目にはっきり見えるような錯覚に陥る。 気がつけば私の口がパックリ開いていて、よだれが垂れそうになっていた。 そんなわけで、休憩後、私と悪友の手にはそれぞれ、2枚と3枚のCDが。 コンサート終了後には、出演者が皆ロビーに出てきてくれて、早速サインをおねだり。 筆記用具を持っていない私は油性ペンを持参している学生さんからちょと拝借。 いや、脅し取ったとか、そういうのではなくて、ちゃんとお願いしましたさ。 北川さんが澄まして「お名前は?」と言う。 「こなつでーす」「なんやー、こなっちゃんかー。メガネ取ってたらわっからへんわぁー」。 ゆうべ初めてお会いした方に、こんなに優しく接して頂き、ちょー感激。 どういうわけで、ジャズをやる人々はこんなに暖かいのだろう。 意味不明に威張り倒している政治家や芸能人に教えてあげたい、この雰囲気。 昨日はライブの後飲みに行けなかったと言う北川さんと、来年飲みましょーねー! とか言ってるときは、まさか翌日皆さんと一緒に飲めるとは想像もしていなかったわけで…。 11月24日 JO-HOUSEにてJAZZライブ 明日のコンサートを前に、Big AppleではNYジャズシーンで活躍するプレーヤーによる クリニックが開かれた。参加費1000円で誰もが参加できるジャズ講座。 夜はそこで学んだ人たちも参加して、セッションが開かれる。 今は楽器をやらない私は、講座が終わった頃に顔を出した。 去年お世話になった方々にお礼を言わないと、というわけでプロデューサーの松田豊さん、 そしてギタリストの井上智さんにご挨拶。 お二人とも1年ぶりに性懲りもなく現れた私に最高の笑顔を下さった。感謝。 ただの1ファンでしかない私に「久しぶり〜!!」と声をかけて下さった井上さん、 去年よりオヤジギャグの頻度が増したことは、この際、見なかったことにします。 今年の出演はジョン・ファディス(tp)デビット・ヘイゼルタイン(p)、井上 智(g)、 北川 潔(b)、アキラ・タナ(d)、そして本邦初登場の歌姫モニカ・ブランド。 去年、私がこのイベントにすっかり取り憑かれてしまったのも、前夜のライブがきっかけ。 ほろ酔い加減のミュージシャンが奏でる音の、生々しいこと、人間くさいこと。 中盤からは、昼間クリニックに参加したアマチュアも参加してのセッションだった。 何がスゴイって、NYのジャズシーンで活躍するスターが、金沢の決して広くはない店で、 大学のジャズ研の学生さん達と、何の違和感もなく演奏してしまうのだ。 確かに実力、という意味での違和感はあるけれど、緊張してカチンコチンになりながらも 一生懸命演奏を続けるそんな彼らを見守るプロの目は、本当に暖かい。 隣に座ってくれた井上さんが、金沢はジャズの街になるかも知れへんでぇ、とおっしゃる。 その過程の一瞬に触れられたと思うと、とても嬉しく、また、期待に胸が膨らむ。 …なーんて、他人行儀な言い方は我ながらヤだね。 期待に胸膨らましてるだけじゃしょーもないので、これからも私ははしゃぎ倒すのみ。 帰りは熟年ジャズマンに家まで送って頂いた。 別の店のアマチュアライブでドラムを叩いている姿を拝見したことのある男性で、 失礼だとは思ったが年齢を聞くと69歳だとおっしゃる。ドラムを始めたのが54歳の時。 若い頃に進駐軍のラジオ放送で聞いたジャズに感激してからというもの、 楽器をやりたくてもそんな生活の余裕はどこにもなかったので、せめて聞くだけでもと、 14時間かけてSLで何度も上京してはライブに足を運んでいたのだそうだ。 働いて働いてやっと楽器をやれるようになったときには、もう54歳だったというわけ、 ドラムにしたのはコードを覚えるのが嫌だから、と笑った顔の嬉しそうなこと。 その後、体を悪くされながらも念願のNYを訪れたり、ドラムを叩いたり、と忙しい。 私のようなぬるい人間は、ただただ溜息が出るばかりなのである。 車を降りるとき私が、お名前を伺えませんか、と尋ねると、 そんな、わたしゃ名乗るほどの者ではございません、と固辞される。 いやいやそこをなんとか、と無理を言ってお名前を教えていただいた。 実るほど頭を垂れる稲穂かな。 そんな言葉を思い出さずには居られない1日でありました。 11月20日 会社ではADSL商品を扱っています。 そこで頻繁に使う「重畳」「非重畳」という言葉。 社員もスタッフもみんな「じゅうじょう」「ひじゅうじょう」と読んでいるけれど、 今日、新しく来た人たちに教える立場になって、はたと考える。 じゅうじょう?ちょうじょう? 正解はこちら。 ちょと恥ずかしい。 っていうか、社員の人たちって一体…。 11月19日 先週のことだったか。 朝の満員電車に、馬のかぶり物をつけた若者が乗ってきた。 その周りには、初冬だというのにアロハや短パン、ノースリーブを着た男達。 ぎゃーぎゃー大笑いしながら、車両の真ん中あたりにしゃがんで騒ぎ始めた。 女子高校生達も面白がってはいるが、ついていけない様子で、遠巻きに見ている。 大人達は不快そうにしながら、見て見ぬ振り。 まぁ、たった15分そこそこのことだから、そうしていることが得策だとは私も思った。 そして今朝。 同じ奴らがまた乗り込んできた。 今度は馬の後ろに大仏が居た。 顔は金の大仏、そして網タイツに白いブリーフをはいて、七色のパラソルをさしていた。 はっきりいって、うざい。 おもしろくもくそもない。 今度は女子高生達も明らかに引いている。 ものすごい不快感が車内に満ちて、本当に腹が立った。 どうしたらこんなバカが育つのだろう。 志村けんや加藤茶がうんこちんこうんこちんこ言っても嫌われないのは、 彼らにそれを言っても崩れ落ちない品性が備わっているからだ。 アホの坂田が『アホ』と崇められるのは、それが世界選手権クラスの一流のアホだからだ。 まぁ、そんなこと言っても、奴らにはきっと一生分かるまい。 あんなのがやがてうっかり子どもなんか作って、ろくでもないガキを育てるんだ。 (…断種…) ああ、私としたことが何ということを! 11月17日 妹がネット通販で念願のイタリア製オーブンを購入した。 私が買ったブンブン棒や書籍とは値段の桁が違うため、母と妹は恐る恐るの挑戦。 で、詐欺に遭うこともなく真っ白い無駄のないデザインのステキなオーブンが、先週届いた。 今日はお披露目ピザパーティ。 ゆうべは妹の友人と2人でワイン2本空けて爆睡し。 で今朝起きたら今度はまた別のお友達が来ていた。 妹は私がゆうべ飲んだくれている間に、せっせとトマトソースを用意していたらしく、 なにやらせっせと準備をし始めた。 チーズは、私の悪友のやけにチーズ好きな母上がいつも贈ってくれる、高級チーズ。 となれば、悪友も呼ばねばなるまい。 奴も明け方まで飲んでいたというのに、いそいそやって来た。 どういうわけか、我が家は客が自分を客と思わずにいられる場所らしい。 皆、よろこんでやってくる。 ピザはすこぶる美味かった。 ついでにパスタも美味かった。 妹はだてに料理学校に行ってない、と言った感じで、皆から尊敬の眼差しで見られていた。 普段滅多に昼酒を飲まない母まで、私の飲んでいたビール(←また飲んでいるのか!)を 横取りして、いやー日曜の午後にピザとビールだなんてサイコーねー、とはしゃぎ倒していた。 ま、結構円満な家庭である。 妹の友人は夕方には帰ってしまったが、チーズの君は結局晩飯時まで引き留められ、 ご飯を山盛り3杯と大量のおでんを平らげた後、『スーパーの女』を見て帰っていった。 私には、数すくないけれど、こういう友達が居る。 11月16日 とりとめのない話 ここを一定期間読んでおられる方はもうお察しかとは思うが、 休んだ後の書き始めは言い訳から、と相場が決まっている。 毎日とても忙しい。 ちょちょいのちょい、と思っている仕事でも、人に言われるがままに進めた1週目と、 自分がそれなりにひとつの歯車として機能し始めた今とでは、やはり重さが違う。 それは派遣といえども、今年いっぱいの契約といえども、だ。 ほとんど毎日が残業である。 ただし、残れる人は残って下さい、という程度の拘束だから、 別にとっとと帰途についても咎められるわけで無し、判断は自己責任。 だから、なんて人使いの荒い会社なんだコノヤロー、社員リストラする前に仕事させろ! とか、間違っても言えない、いや、言う権利はないわけで、 ま、結局は私が好きで残業している、という結論に行き着くわけだ。 同じフロアに母方の親戚が正社員として勤めているのだが、 彼に言わせると、我が部署は飛び抜けて段取りの悪い部署として悪名高いらしく、 まったくお前も貧乏くじひいちゃって、てなわけである。 それも、まあよい。自分で選んだことだから。 実際、忙しいとは思っていても、それほど苦痛には感じていない。 いや、ただ、体は少し弱ってきている気がするが。 それから、仕事が分かってくると、当然、腹の立つことも多い。 仕事のきつさ云々はホントに何とも思っちゃいないのだが、やはり気になるのは人のことだ。 いい加減な仕事がいい加減な結果を生む、という単純な理屈を知らぬ人の、 この世に何と多い事よ。 それは社員、派遣社員問わず言えることで、結局アホはアホ、ということか。 地獄耳の私には、他人の色んな話が聞こえてくる。 それは別に、噂の類というのだけではなくて、本当に隣の席から向かいの席から、 オンナ達のとりとめもない世間話や身の上話が聞こえてくる。 何を好きこのんで知り合って幾週間も経たぬ同僚達に、自分の将来設計を語るのだ。 あんたが男と暮らそうと別れようと喧嘩をしようとナニをしようと、誰にもどうでもいいことだ。 それだけ無節操な話をしておきながら、違う派遣会社の人とは話せないのよねぇ、 などと悩み相談をしてみたり。まったく無益であること、極まりない。 結局研修も実践もその調子で、間違いだらけの仕事をして、知らぬ存ぜぬ顔をして、 無駄話を続けて、それでもなお残業しているとは! 時給で働くのが辛いのは、まさにこういう瞬間である。 仕事中にはたくさんの愚痴も聞く。 私はそういうときに、賛同もしないし否定もしない。 だって、彼女がそう思っているのも確かだし、私がそう思っていないのも確かだからだ。 今やってる仕事がずっと続くんだったら契約更新しないわ、だってそれじゃまるで、 お金の為だけに働いているようなものだもの…。 そうかしら? 今の会社は、派遣社員で成り立っているような状態で、出世の道も無いではない。 資格を取ってバリバリ働く派遣嬢も居るという。 今、私たちの指導的役割を担う人だって、もとはこんな所からスタートしたのだろう。 そんなこともわからずに、生き甲斐になるような仕事をしたいとのたまう彼女らは、 ある意味自由だ。幸せだ。 こなつさんは何で派遣で働いてるの?と問われると、私はあえて「金のため」という。 そして、学校のことを少し話すと、毎度おなじみ、スゴイ、エライ、ウラヤマシイ。 ならば君たちは何かを探したことが、探そうとしたことがあるのか、と問いたい。 ウラヤマシイというなら、今すぐそれをやればいい。 それができないというのなら、その苦しみを噛みしめればいいではないか。 探すことを億劫がっている人間の愚痴を聞くのは、体中をゴムホースで縛られるような、 そんな居心地の悪さを感じずにはいられないのだ。 |