自治体からみた暮らしと平和
「生活苦と戦争への道」
を許さないでいこう!
2007年7月21日 甲府市議会議員 山田 厚
(7月15日集会講演に加筆しました)
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●現在、参議院選挙が行われていますが、その争点の基本は、国民の苦しい生活の問題であり、9条が主な目標とされている憲法「改正」問題です。
●小泉政権から安部政権の流れは、普通の国民にとってまさに悪政による痛みの連続でした。そして年金生活者や労働者の所得は毎年削られ、多くの青年は失業や不安定雇用、無権利な労働にさいなまれています。家庭、地域、学校、職場−どれもこの数年間でさまざまな困難な問題をかかえてきています。その一方で大企業と大資産家は史上最高の利益を上げています。そして、生活の貧困化と格差化の中で、「憲法改正」が9条を主な目標に行われようとしています。 ●私は、「9条護憲」だけ、「生活第一」だけという争点では、それぞれ正しくとも、それぞれ別々では不十分です。生活と憲法をともに結びつけて、一体のものとして守ることが争点の根本です。そもそも今日の情勢によって「生活苦と戦争への道」は不可分にむすびついています。どちらかだけでは、正確な主張と充分な力を持つことができなくなると思います。
1 強まる公的な市民負担も格差と貧困化をすすめています
この夏だけでもどのようなことが、行われたのか?
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悪い政治の主な特徴の一つは、保険料や税金・公共料金の値上げによって市民負担を増やすことにあります。この夏だけで市民負担がどのように増やされ、また増やされようとしているのかみてみます。
@ 5月 / 憲法「改正」の国民投票法の成立による市民負担の増
国民投票法が強行採決されました。この法律は新たに18歳から選挙権を与えます。つまりこれからは、18歳から大人とみなされるようです。しかしこれは良いことばかりではありません。青少年とその家族の負担が増すことが予想されるのです。
例えば、
1) 国民年金保険料(3年後は14.980円以上)徴収の可能性があります 。
保険料の徴収は20歳からではなく18歳からはじまる可能性がでてきました。経済力のない青年にかわって、値上りが続く保険料を負担するのは、いうまでもなくその親であり家庭です。同じく介護保険料の年齢引き下げも警戒すべきです。
2) 特別児童扶養手当が18歳からなくなる可能性があります
対象20歳未満の障害児の養育者に支給されている「特別児童扶養手当」が、これからは18歳未満で支給ストップされる可能性があります。
現在では1級は50.750円 2級は33.800円です。 それが、20歳以上となると資格がなくなります。よくて20歳以上の「特別障害者手当」が要件も厳しいなかで支給されたとしても26.440円となります。これが18歳以上からとなると重度の障害者家庭への負担が重くなることになります。
3) 「ひとり親家庭など医療費助成」の支給対象年齢が引き下げの可能性があります
この医療費助成が受けられる家庭は、「所得税の納付義務のないひとり親の父または母で、この支給対象年齢は、満18歳到達後の最初の331日までの児童を扶養している方」となっています。したがって18歳から大人とされると対象年齢期間が短くなる可能性があります。
4) 児童扶養手当の支給対象年齢が引き下げられる可能性があります
この手当が受けられる家庭は「18歳に達する以後の最初の3月31日までの子どもまたは20歳未満で中度以上の障害を有する子どもがいる母子家庭等に支給される」となっています。したがって、この手当も対象年齢が18歳未満に引き下げられる可能性があります
5) 住民税の非課税年齢が引き下げられることが予想されます
個人の住民税(市町村民税、県民税)は、「障害者、未成年者、寡婦又は寡夫で前年の合計所得金額が125万円以下である場合には、市町村民税は非課税」とされています。したがって、現在では未成年とは20歳未満ですが、それが18歳から成年とされると所得125万円の18歳から住民税が課税されることになります。
このほか「18歳の成年化」に伴う法改正は100ほどもあると考えられますので、これ以外にも数多くの青少年とその家族の負担増があるとみるべきです。しかし、この問題では意外と社民党も含めてどの政党も議論していません。
A 6月 / 住民税(市民税・県民税)の増税
この6月には住民税の増税がありました。これは所得税の税源移譲だけでなく定率減税の廃止による明らかな増税です。甲府市の窓口と電話には2週間で800件の苦情や相談がよせられました。実際、市民の生活はくるしいのです。
※モデルケース 70歳独身・年金収入200万円(年額)
2005年度
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2006年度
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2007年度
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住民税 非 課 税
所得税 34,800円
・定率減税△6,960円
合計 27,840円
(税額 27,800円)
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住民税 19,900円
・定率減税△1,500円
・(住民税一定率減税)2/3
△12,267円
所得税 34,800円
・定率減税△3,480円
合計 37,453円
(税額 37,400円)
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住民税 37,300円
・住民税×1/3
△12,434円
所得税 17,400円
合計 42,266円 (税額 42,200円)
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上記は、甲府市の資料ですが、これをみてもいままで住民税が無料だった人が2007年度は2万4866円になり、2008年度には、さらに増税となって3万7300円になります。これは、所得125万円以下の65歳以上の方の非課税措置廃止によるものです。2006年から段階的な課税がはじまり2008年で全額課税とされます。大変な増税であり酷税です。
B 8月 / 甲府市の国保保険料の大幅値上げ
国民健康保険は、いまや最大の医療保険になりました。甲府市では市民数の40%、世帯数では50%が国保の被保険者になっています。しかし、その保険料の負担が極めて重くなっています。
甲府市でも、保険料の大幅値上げとなりました。多くの自治体でも値上げの傾向が顕著です。そして、保険料が支払われない家庭では、保険証が取り上げられる悲惨な事態も数多くはじまっています。
今の国の国保の責任とは、自治体をしめつけることになっています。
国は、自治体の国保会計を支えるどころか、逆に自治体を締め付けています。
1) 自治体が自主的に医療福祉の助成の水準を上げると国は国庫補助金を減額してきます。つまり福祉で自治体が頑張ると国は罰金的な減額をしているのです。甲府では高齢者医療費や小学校までの子ども医療費助成を行っていますが、このことによって国からの罰則的な減額は毎年大きな額となっています。
・甲府の国保会計の場合 2003年度 2億210万円減額
2004年度 2億640万円減額
2005年度 1億8580万円減額
2) 目標の保険料収納率が悪いと交付金を減額して国は自治体をしめつけてきています。つまり滞納があると交付金を罰金的に減額しているのです。
・甲府の国保会計の場合 2003年度 8500万円減額
2004年度 8300万円減額
2005年度 7800万円減額
3) 国によって75歳までの高齢者を国保会計にとどめたことによって国保会計を圧迫させています。 この間の医療費の支出増額は、この75歳までの高齢者の医療費が主なものとなっています。国は各自治体国保の会計に実質的な穴埋めを行っていませんので、当然、各自治体の国保会計を厳しくさせます。
4) 企業は法人の場合、労働者を1人雇用しても健康保険に入れる法的義務がありますし、原則的にはパートも健康保険に入れる法的義務が企業側にあります。しかし労使折半の事業主負担をいやがる企業も多く、法律違反が野放しにされています。結果として、労働者が国民健康保険の被保険者となり、保険料が高額となるだけに滞納もおおくなっています。
―このことの国の対応がまったくなされていません。社会保険庁=国のいい加減さは年金ばかりではないのです。
5) もともと20年ほど前に国は自治体の国保への補助金を大きくカットしていることが大きな要因です。
これ以外にもいくつかの、問題もあり、自治体側の責任もありますが、国の医療制度の欠陥が国保保険料の高さに導いています。以下の図は、私が甲府市の値上げにともなって調べたものです。一番過酷なのが国保保険料となっていることが誰でも理解できると思います。
<総所得250万円4人世帯のモデルで試算(総収入370万円ほど)>
※この世帯の場合の国保保険料は372,860円
2 競争と貧困化、格差化が、全ての社会的問題の元凶です
そしてこの状態は戦争への道につながっています
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@ この今の社会には問題がいっぱい多発しています
●この10年間で、特にここ数年間で、今の社会には問題がいっぱい発生しています。これは、社会から煽られた競争と貧困、格差が、全ての元凶となっているのではないでしょうか。
・最低結婚率、最低出生率、最高低体重児率、最高離婚率、家庭の崩壊 ・家庭と職場での世代間のギャップ、若者の年配者への文化的な軽視 ・虐待と暴力(職場・学校・家庭・地域)
・最低の平均所得、低賃金と雇用破壊、自己破産の増加 ・中小零細企業の転廃業の増加 ・教育現場で管理と競争による混乱 ・労働者の非正規社員化・若者のニート、フリーター、 ・失業の増大、ネットカフェ難民 ホームレス ・大企業の商品であっても様々な欠陥と不安全化 ・健康診断以上あり2/1、心身の過労性によるメンタルヘルス不全の激増、
●最悪の典型は自殺者の多発です
毎年三万人数千人の今日の自殺者とは
日清戦争は、 戦死者約1万人 今の自殺者の4ヶ月分
日露戦争一年半 戦死者約8万人 今の自殺者の2年と数ヶ月分
つまり、今の日本では明治の戦争と同じくらい、数多くの命が失われているのです。
●その一方で、大企業や大資産家には優遇減税と労働保護法制の規制緩和(労働者の低賃金で使いたい放題の使い捨て)で、史上最高の利益です。 しかし国内消費は低下しています。国民の激しい所得低下は購買力の低下を招き、自動車も含めて国内販売では落ちて来ています。大企業はもうけのために輸出へ輸出へと商品も資本金も海外に向かっています。
これも『海外の権益』を無視できない国内の戦争勢力を育むこととなります。
A 暮らしを破壊されると平和ではなく
戦争へのレールが敷かれるのでは
●多くの場合、暮らしが極めて厳しくなってくると、「主義・主張」または「ことの善悪」より、まず「自分の暮らし最優先」になるのが普通ではないでしょうか? 以下の意見も「理屈」ではなく「自分の暮らし優先」からです。
A 場外ギャンブル賛成意見「こんなに街がさびれているのだから、街が活性化するためにはいいじゃないか」
参考 今までの例でも場外馬券場や船券場で街が活性化することはありません。交通問題を含めて地域の健全環境が阻害されることが普通ですが、賛成は調査もなくはじまります。
B 60代男性 「息子が〇〇〇に就職したので、今後は山田さんを応援できない。〇〇〇の指名する人を選挙で応援するから」
参考 この〇〇〇でも私を応援してくれている現役の方もいますから、そんなに不安を感じ
C 境川上寺尾住民(次期 産業廃棄物最終処分場予定地)処分場「歓迎」意見 「農業もやっていけない。いろいろ言わないでほしい。とにかく処分場でもなんでも土地が売れればありがたい」
参考 県のホームページに掲載されている資料の「整備する最終処分場の概要」(境川上寺尾の場合です)には、次のようになっていました。
○整備する最終処分場の概要
埋立廃棄物
一般廃棄物 3品目(焼却灰、飛灰、不燃物残さ)
産業廃棄物 14品目(廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、コンクリー トくず、ガラス・陶磁器くず、紙くず、木くず、繊維くず、鉱さい、動植物性残さ、汚泥、燃え殻、ばいじん、その他コンクリート固化物)
埋立期間 15年 以上
埋立容量 60万立方メートル 以上(うち廃棄物容量45万立方メートル以上)
面 積 6ha 以上
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(ポップス文字の強調は明野の産業廃棄物処分場とくらべ次期の上寺尾の処分場の方がより、危険性が高い部分です。それにしても「以上」の用語が多く使われており、野放しになる可能性もあります) 現在の所、地権者が処分場を誘致していることもあり、明らかに、上寺尾で計画されている次期処分場の方が明野の処分場より大規模であり安全性は大ざっぱな状態です。問題は上手寺尾の地にとどまりません。下流域の多くの住民が危険な状態にさらされると思います。しかも、危険性が明らかとなっている曽根丘陵活断層がすぐそばにあります。
B 普通の人々が戦争への道に巻き込まれる環境と心理
激しい生活と労働の貧困化がつづくと、それは相互の助け合いと団結を育む条件ともなりますが、同時にそれは、手をこまねいていたら、戦争への道にもつながります。この間私は、国民の中に、戦争への危険な気分や心理もすでにはじまっているのではないかと危惧しています。以下は、この間感じていることを、そのままメモにしたものです。
1) バラバラにされていると、自分が苦しいからこそ相手の苦しみもわからない。
一人一人が孤立していて生活にひどいアップアップだと、ほんの少しでも自分のたっている場所と異なると相手の苦労や痛みが全くわからない国民わかろうとしない国民にされていないでしょうか?
本来は、自分の苦しみや痛みを通して相手の苦しみや痛みが理解できるのですから、苦しみと痛みを経験していない人よりはるかに理解する力があるはずです。 しかし、国保保険料の大幅な値上げ 児童扶養手当削減、低収入高齢者の非課税の廃止など大きく取り上げられていません。また障害者とその家族以外に自立支援法の問題などもほとんど知られていません。全て社会的な重要問題であるにもかかわらず、世間には広がりがもてていまません。
これは、マスコミの報道もありますが、それだけではありません。要因として考えられることは、それぞれの国民が現在進行中の痛みの最中であり、それぞれの国民がバラバラされていて、手をさしのべ合うことができないからだと思います。
2) 強い者への極端なおびえの中で自分さえよければ」という国民の心理傾向もはじまっています。これは危険だと思います。昨年の8月JR特急列車の中で強姦事件がありました。 多くの乗客がその犯罪を目撃していたにもかかわらず、誰ひとり電話もかけず車掌も呼ばず何の被害者への救済や援助もしませんでした。怖い者や強い者への必要以上のおびえと「自分の身を守る」「自分さえよければ」という国民の心理がはびこっているようです。
これは、食品加工卸会社ミートホープの偽装ミンチ事件も同じです。最近、大企業であっても仕事や商品の中身がいい加減なもの、偽装したもの、犯罪的なものが多くなっています。直接仕事をしているのは、その企業内の労働者ですから、その仕事や商品の内容を知らないわけがありません。事態が野放しになってきたのは、「これはおかしいよ」と職場で自由に労働者が口をきけなくなっていることと、ひどい場合には労働者の感覚がマヒしているからと思います。
3) 力の弱い者への偏見と力の強い者へは無条件に評価する傾向があります。
いままであった「よらば大樹のかげ」「勝馬に乗る」の傾向が強まって います。国民の民主主義的な思考が弱くなると共に理論や理屈そして信念 とは別に、力がある者や有力なグループへは、「今、力があるから」とい うことだけで無条件に評価します。そして逆に正しくとも力のない者や、 少数意見の人たちには、「それ自体がマイナス」であるとして決めつけ偏 見を持ってしまう国民の心理があります。 これは、強い者へのおびえと「自分さえよければ」という心理とも結び ついています。特に乱暴で雇用不安の強い職場の人間関係や学校のいじめ 問題にみられる傾向です。政治の場でもこの傾向も強まっています。
4) 政権のスローガンが刷り込まれ国民の考える力が奪われてきています。
「官から民」「自助自立」「00支援」「人件費削減」「改革」などなど、特定の政治的スローガン(コピー・言語)が何万回も繰り返されてきました。正しいことか?良くないことか?疑わしいことか? その判断も、理論も、説明も、理屈もなく、大量にマスメディアから日々繰り返されてきました。 これによって国民の頭に無意識に強固な常識として刷り込まれてきました。頭に刷り込まれた特定のスローガン(コピー・言語)は無自覚であっても人間の思考を左右し行動のスローガンになるといわれています。
国民の圧倒的多くが、すでに小泉政権の時には、ワンフレーズの小泉劇場に巻き込まれました。さらに事態が悪化し戦争を美化するようなスローガンと刷り込みがはじまったら心配です。苦しんでいる国民は日々の生活と労働に疲れ、不満はあっても自立して考える力が奪われているなかで、「何とかしたい」という気持ちから、さらに「戦争でもがあればなんか変わるのでは」と戦争待望するような最悪の気分がつくられかねません。
C 私の父の出征の状況は極めて簡素=「みじめだった」ようです
●私の父は終戦間際の1945年甲府駅から7月9日に召集令状の赤紙で出征しました。年齢はすでに妻子もいる34歳、本土決戦の明らかな消耗品です。
甲府空襲は7月6日の真夜中でした。父は農家の次男出身のサラリーマンでした。空襲を逃れて7月7日に実家に挨拶に行くと、田んぼの人手が足りないとのことで、丸1日、田んぼの手伝いをさせられていました。そして、7月9日に甲府駅から群馬県の兵舎にむかいました。
空襲直後の混乱期でしたから親類も集まらず、近所での出征兵士をおくるイベントも極めて簡素で、とにかくようやく手に入れた切符でさみしく甲府駅をたったようです。
 ●2年前に父が亡くなりその遺品を整理していると、父が大切にしていたこの時の「日の丸の檄」(寄せ書き)がでてきました。私は「随分寂しい檄だな」とおもいました。父より2年ほど前に出征した人の写真には日の丸の檄が3枚ほど写っているのをみたこともありましたが、父にはこれ一枚です。しかも、寄せ書きの人の数が少ないのです。甲府空襲展などで展示されている日の丸の檄とは大違いです。私は、数えてみると、ところどころにある「必勝之信念」などのスローガンをのぞくと全部で氏名は30人ほど、しかも1人で何人分も書いている人もいますから、実際には二十数人ほどでした。
つまり確実に戦死するだろうという人に、親類・友人や近所では一枚の日の丸も満足に埋めることもできなったのです。 父は、8月の終戦で命が救われ、以来60年間生きました。でもこの時、死んでいたらすごくかわいそうでした。
● 苦しめば、苦しむほど、混乱すれば、混乱するほど、『自然な流れでは』普通の人々は、自分自身に追われ 他人のことなど(ましてや外国のこと他民族の人ことなど)関知しない世の中へなってしまう傾向があります。
この傾向を、今の内に歯止めをかけなければなりません。戦争状態となったら手がつけられなくなると思います。
確かに、戦争の最中にあっても人間性を失わない人々もいます。しかしそれは、夜空に輝くいくつかの星のような立派な人々であっても、暗闇自体は暗闇として全体を覆っているのです。
D 市民からみたナチスドイツの大衆獲得と戦争への道
●第二次世界大戦をまねいたドイツのナチスヒットラーに、まきこまれた普通の大衆の研究がおこなわれています。これによると、ドイツの大衆にとって生活の問題、失業の問題がナチスを支持する大きな要因の一つとされています。 ・「ナチスに走ったのは、仕事とパンを手に入れるためで、生きて行くにはナチスになるよりしかたなかった」「単に仕事とパンを求めて突撃隊に入った者と、ナチスのイデオロギーに惹かれて入った者とは区別されていた」『ナチズムの記憶』など
・『大砲よりバターを!』(戦争より生活(食料)を!の意味)が使われていたが戦争期のナチは「大砲からバターを!」(戦争によって生活を守る!の意味)を掲げたそうです。
●ドイツでは恐慌と失業状態が厳しかっただけに、「この生活をなんとかしたい」とまきこまれた労働者も多かったようです。 ●戦前の非人間的な日本軍隊が維持されてきたのも、背景には、非人間的な日本の農業の貧しさがあるからだといわれています。
兵卒をまとめる下士官の志願は、おおむね貧農の次三男でした。「(軍隊の苦労など)『たいした苦労でもない、百姓よりはむしろ良い』。腹一杯飯が食え、一定限勤続すれば恩給が就く。工作すべき田地を入手するあてもない貧農の次三男たちにとり、軍隊生活の魅力が絶大であったとしてもふしぎではないであろう。」(『太平洋戦争』家永三郎)
●今の日本でも徴兵制の前に、生活苦からの「自衛軍志願」が多くなり、労働者や庶民の子どもの新兵で補充される可能性があるのではないでしょうか?
●友人の40代の男性から相談をうけました 「年所得200万で家族4人を養うには無理がある。なんか副収入がなければやっていけません。それで予備自衛官になると月4000円の支給費がでるから。そこでまず語学で予備自衛官補に応募したいが、どう思いますか?」 私は、憲法論議のまえに「新たに語学を勉強するには、それなりにお金もかかるし体力もいるよ。予備自衛官になるまでが大変だよ。予備自衛官になって月4000円もらっても、いざ招集がかかると有事だから本人の自由にはならなし、危険もあるのが普通だよ」といいました。その友人は「やっぱりやめるか。宅建の資格を目指します。前やっていたこともあるし」となりました。
しかし、それが月4000円でなくて1万円なら彼は予備自衛官に向かって語学を勉強していたかもしれません。
E 戦争に向かう人々には二つの流れがあります
@平和より戦争にうま味のある人たち、軍需産業などの大企業家や好戦的な軍人、野心的な政治家など
A多くの普通の国民が巻き込まれ戦争に進んでいくのは、非民主主義状態(口が自由にきけない・おびえ)と、暮らしの破壊から身を守るために戦争に何らかの期待をし戦争の流れにすがることによります。
しかし、いったん戦争状態になると命も生活も奪われるのは、多くの普通の国民です。
私たちは、多くの普通の庶民が戦争への道に引き込まれないために、日々普通の国民の労働と暮らしを絶えず優先して考えなければなりません。
3 追いつめられないように、やれることをやっていこう
「大砲より、バターを!」主張していこう
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●9条の憲法を守ることと、日々の国民の生活を守ること、(基本的人権・生存権)は連結していると思います
・直接は軍隊が戦争を起こしますが、それ以前の政治と政治が戦争を引き起こすのです。
・悪い政治の頂点は 戦争の政治です。 それは国境線で戦争が準備され、はじまるのではなく、日々の暮らしと民主主義を破壊する悪政と悪宣伝から 戦争への道が準備されはじめていると考えるべきです。
・その平和を破壊する裾野と土壌は、日々の政治 日々の民主主義 日々の競争と貧困化 格差化にあります。 環境、防災、障害者、消費者問題、農林水産業、医療・福祉・年金・教育、公共料金、雇用・労働条件、交通安全、家庭・青年、中小零細経営、大企業への対応
●これらの全てで、気がついていなくとも、たとえ無自覚であっても「護憲か改憲か」が生活を巡る攻防としてあります。
すそ野を、もっともっと日々の生活にまで広げて 困っているどうしが手を取り合って 生活を守る! 9条を守る!憲法を守る! 普通の多くの仲間を増やすことです。特にこれからは、青年に働きかけることも大切です。
●間に合う内に、追いつめられる前に、追いつめられないように「大砲よりバターを!」を主張していかねばなりません。
例えば
*自衛隊のイージス艦は1隻1400億円以上 甲府市の一般会計予算は650億円です。
*アメリカ軍のグアム基地建設など、日本側の在日米軍再編費用は総額3兆円になりますが、今回の定率減税廃止による住民税の増税額は7000億円です。つまり、アメリカへの軍事資金の貢献を少なくすれば国民の増税はなくてもすむのです。
*今回の甲府市の国保会計は9000万円赤字となり、大幅な保険料の値上げとなりました。自衛隊の90式戦車は1台約9億円です。国民の命を守るなら甲府市の国保会計に戦車の1台分の費用の1割ぐらいを補助してもらいたいものです。
*甲府市の財政は様々に財政難が言われています。いやどこでも、赤字とか、財政難がいわれています。しかし、自衛隊では一度も財政難や赤字、民間委託が言われたことがありません。
政府は「聖域なき財政再建」と国民の頭にそのスローガンを刷り込んできたのですが、自衛隊と宮内庁だけは聖域だったようです。
●まだまだ私たちは意外としぶとくやっていけると思います。
でも手をこまねいて自然な流れにまかしていたら、「大砲からバターを!」にひきこまれてしまいます。
●今回の参議院選挙で安部政権に NO! をつきつけることからはじめていきましょう!すでに、「生活第一」だけを掲げる民主党の大勝が言われていますが、安部政権の大敗が今もっとも必要なことです。
●そして実際の政治上の攻防はこの選挙後です。心配なのは、もし比例区でも一人勝ち状態で民主党が圧勝した場合です。社民党などの護憲政党の歯止めが弱い状態で、政権を目指す民主党の今後の動向が私は心配です。民主党は今回の争点にはしていませんが、その基本政策は「9条改憲」です。また、日々の自治体の議会を見る限り、民主党の「生活第一」の実行力も本気なのか?と疑問を持たざるを得ません。
●そして、選挙後の心配としては、これから国民投票法などで政治に否が応でも参加していく今後の青少年の動きです。青少年は社会的政治的に未経験です。それだけに力ある者からの大宣伝に巻き込まれやすいとも考えられます。また、自らの生活苦から無自覚に、民主主義の破壊や戦争にむけての「新しい改革」に期待をかけるのは、今の情勢では青少年だと思うからです。
●実は、社民党については今回が心配です。本来社民党は、社会党時代からの「生活・護憲派」です。そして、平和と共に日々、安心できる暮らしについて奮闘しています。しかし今回の参議院選挙で社民党は、改憲の情勢があるだけに真剣に9条護憲を争点として押し出すあまり、もう一つの大切な争点である「生活を守る」強調が弱くなっています。多くの国民から「9条護憲」だけの政党と思われていては広がりがもてないのではないか? 参議院選挙は大丈夫だろうか? などと危ぶんでいます。 そもそも社民党は小選挙区制の中で、存在自体が小さくさせられているのですから・・・生活苦・労働苦で苦しむ多くの人々と憲法・平和を危惧する自覚ある人々を大きく束ねなければなりません。
●そのためにも、私は、安部政権 NO! の闘いの中で、社会的政治的に経験のある中高年市民の皆さんにまず訴えていきます。青少年に父や母として、祖父母としてのこれまでの人生の経験を伝え影響を与えるためにも「生活と護憲派」の中高年の結集が問われています。 そして、思い起こすと社会党がしっかりしていた時代にはこんなことはありませんでした。今日のような生活も憲法も奪われるような危ない情勢は、社会党・社民党が弱くなったからです。
ぜひ、「生活と護憲派」の中高年の皆さんのご支援を訴えます。
比例区は「社民党」へ!お願いします。 そして、選挙後こそが、大切な取り組みとなってきます。
国政だけでなく、自治体の政治も特に大切になってきています。
―以上です。
ご感想や質問がありましたら、ぜひお寄せ下さい。
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