ウイーク私の主張2008

11月
●11月10日「増加する子供の無医療保険問題を野放しにしてはなりません」

10月
●10月31日「さすが笛南中の給食です。事故米関連食材が使われていません」
●10月7日「投票所問題からも市立小中学校のバリアフリー化をお願いしました」

9月
●9月30日「議場のバリアフリーから投票所の段差問題を考えました」
●9月27日「東京の上野公園の変わりようでホームレス問題を考えました」

8月
●8月20日「地球温暖化防止と新庁舎の駐車場設置をどう考えるか」


7月
●7月20日「これはいけません!甲府市の国保保険料がまた引き上げに」B企業社会の責任とは
●7月5日「これはいけません!甲府市の国保保険料がまた引き上げに」A国の責任とは
●7月4日「これはいけません!甲府市の国保保険料がまた引き上げに」@今回の保険料の引き上げ額とは
●7月1日「小中学生にも医療費援助急増」と国のひどさを考える


6月
●6月30日議会での「市町村議3割が質問ゼロ」を考える
●6月23日「おかしい!どうして保育所の耐震補強化をいわないのか?」
●6月12日「後期高齢者医療の滞納問題で具体的な詰めが出来ていません」

5月
●5月29日「障害者問題で『わかったフリ』は間違いのもとだと思いました」

4月
●4月30日「公的医療と健康・いのちを守る請願署名」行動をします。
●4月21日「高齢者の不安と怒りが後期高齢者医療制度で高まっています」
●4月4日「長寿」か「後期」か?混乱の中で「後期高齢者医療が出発?

3月
●3月24日現代版「姥捨て山」の後期高齢者医療制度に同意できません

2月
●2月18日「給食費などを援助する就学援助制度の現状はどうなっているのか?」
●2月16日「学校給食は『食事サービス』ではなくて教育であり教育の中身です」
●2月14日「給食未納問題を解決する最善の方法は給食費の無料化です」
●2月12日「『給食費滞納の児童を名指し』これでは教育ではありません」
●2月1日中国産の冷凍餃子食中毒問題で考えたこと」

1月
●1月16日「新成人おめでとう!将来の希望を棄てないで頑張りましょう!」
●1月9日「奨学金制度は重要『お金がないならあきらめろ』は是正すべき」
●1月4日「今のバラエティー番組は暴力やいじめ、そして危険を笑いにしている」
●1月1日「新年明けましておめでとうございます。今年は生活防衛の年です!」

2008年11月10日(月)

 増加する子どもの無医療保険問題を野放しにしてはなりません

10月30日の厚生労働省の調査は、国保保険料(税)を払えない家庭から保険証を取り上げ、「保険証がないという資格」である「資格証明書」の発行数は33万世帯と大変な数になっていることを明らかにしました。そして保険証がない子どもも3万3000人という大変な数になっていることが分かりました。

●「資格証明書」が発行されると、医療費の患者負担は全額となります。
 また保険が使えるように市町村の窓口に行って保険証を再発行してもらうにしても、それまでの滞納分が分割であっても請求されることになります。保険料の場合は2年、保険税の場合は5年で時効ですから、資格証明書の発行までには、最低1年以上の滞納ですからこの分の滞納保険料の支払いが求められますその支払いはほとんど不可能になってしまいます。

●したがって資格証明書が発行されると、

・ほとんど正規の保険証の復帰できない
・必要な医療にかかれない
・そして重篤にしてしまい命も落とすこともある

 甲府市の場合では、2006年度で資格証明書を発行された約400名のうち、医療を受けた人はわずか8人でした。また、資格証明書が発行されると社会から突き放されるようです。治療もされないでそのうち2名の人が亡くなっています。

●学校に行く子どもの場合は、教育上からも、心身に計り知れない影響を与えます。林間学校や修学旅行、スポーツ少年団、部活動の宿泊などでは保険証のコピーの提出が子どもに求められます。学校の健康診断では虫歯の治療などの結果を学校からも求めます。
 したがって資格証明書の子どもの状態は、保護者の問題にとどまらず、子どもの社会の問題にもなってしまいます。

●この事態は、憲法の生存権の問題であり、教育上からも是正すべき社会問題です。また児童福祉法にあるように、国と自治体における責任がはたされていないことになります。


児童福祉法

第1条 すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。
 すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。

第2条 国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。 

第3条 前2条に規定するところは、児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施行にあたつて、常に尊重されなければならない。


●今回の厚生労働省の調査で明らかになったことは

@多くの自治体における「資格証明書発行前の滞納者との接触」は、かなり不充分でありこれでは、文書による『催告』もない中で、機械的に保険証が取られていることです。
極めて乱暴な事態が明らかになっています。
Aまた、「資格証明書
発行後の滞納者との接触」については、調査もなく、放置置されているのではないか!ということ(甲府市もそうでした。死亡している人もわからない状態でした)。 これは、今後、しっかり各市町村国保で追及しなければなりません。

Bマスコミ報道にもあるように自治体間での格差が大きいことです。保険者が市町村ですからの対応に格差があることです。

・保険料(税)の金額がそもそも格差があります。

 市町村の一般会計からの繰入金の格差もあります。
・相談や減免制度の格差 差し押さえでの格差=機械的に資格証明書を発行する自治体とそうでないところの格差があります。

 つまり、市民生活のための自治体としての機能が果たされていないところがかなりあり、この資格証明書の発行件数も、その市町村自治体の
機能上の物差しになります。

C子どもの医療費助成制度の水準における格差もおおきいものがあります。
 そこでこの医療費助成の水準が子どもの資格証明書の発行数に格差もつけます。例えば、甲府市では小学生まで医療費助成制度を行っていますので、小学生のいる世帯までは資格証明書は発行していないで、短期の保険証を発行しています。
 このような対応をしている自治体は多いのです。

Dこの医療費助成の水準の関係は調査からも見て取れます。

  ・乳幼児の資格証明書発行率は 
0.4
  ・小学生の資格証明書発行率は 1.1
  ・中学生の資格証明書発行率は 1.5

 中学生の資格証明書の発行率(つまり無保険率)が一番多いことは、多くの自治体で
はまだ、子どもの医療費助成制度が中学生まで対応できていないことを表しています。したがって、多感な中学生から保険証のない子が多くなるのです。

Eこの状態は、医療という重要な制度において、日本の子どもは、極めて不均等な対応が強められていることがあきらかとなっています。

 国の医療制度の構造改革とまた企業社会優先の弊害が元凶です

●今回の厚生労働省の調査では、市町村の機械的で乱暴な取り扱いを明らかにしましたが、しかしこの事態の根本にはこの間の国の政策・指導の誤りがあります。

@ 自治体の国保会計に何の財政的援助もないばかりか、
老人保険制度を解体して、医療費のかかる75歳未満の高齢者を国保に押しつけて、国保会計の医療費の支出を増大させました。これも後期高齢者医療制度に連動しています。

A さまざまな制度「改正」はその都度国保会計を極めて逼迫させています。例えば、その都度、国保のコンピューターのソフトも改修も数千万から億の単位の財政がかかります。


B そして、市町村国保は、一般会計からの繰入金もきつくなり、そのつけを被保険者の保険料
()大幅引き上げに求めてきました。これは極めて高い保険料となり・・・そして、払いたくても払えない滞納世帯を生んでいます。

※甲府では、国保と共済健保の保険料はほぼ4倍になっている

C また、国保の加入年齢層もこの間の雇用も含めての構造改革で大きく変化しました。

 従来は、個人経営者・農林業者・退職者であったものが
           ↓
 現在では 退職者と非正規労働者及び社会保険に加入させてもらえない中小企業の正規労働者(これは違法です。パートでも政管健保に加入させなければならない使用者側の義務があります)となっています。

 したがって、若年者の滞納率はどこでも極めて高くなっています

 ※ これは監督行政であるもう一つの社会保険庁の大きな責任問題です。甲府市では20代から30代の保険料滞納比率は50%にもなっています。

D高い保険料は、滞納を増やし、そしてさらに高い保険料となる。この間は悪循環が繰り返されてきました。

E 
1997年の国保法「改正」で資格証明書の発行を自治体の「義務」化しました。また、国は差し押さえも含めて、取立て厳正化、収納率の向上のみをこの間強調してきました。(『国保新聞』などに山盛りにあります)
機械的に国の指導に従っている市町村国保が機械的に資格証明書の発行をしているのです

F 特に問題なのは、

 国の水準以上に独自に医療費の助成
(子ども及び高齢者)を行っている自治体には、国からの交付金を減額するペナルテイ措置があることです。
 また、収納率が悪いと同じく交付金を減額するペナルテイ措置があります。これは極めて大きな金額です。

 甲府市では5年間で福祉医療制度で9億5千万円減額収納率の未達成で4億3300万円減額

 ※ このことの是正を全国市長会では、毎回要望・意見として出してまでいます
                      
 このことによって自治体国保はさらに厳しくなりますので、多くの自治体では、今なりふりかまわずに、「どこでも収納率の向上!」となっています。

G 当然、資格証明書の発行は多くなり、子どもへの配慮もなく収納率の向上だけが目的とされてきたのです。市町村自治体の責任というより国の責任はおおきいものがあります。

 ※ 千葉の習志野市が独自に中学生までこどもには個別に保険証を発行しています。これがたぶん一番早いのではないでしょうか。

 当面の政策として甲府市の国保に次の要請をしてきます

●10月30日 厚生労働省は調査にもとづいて「被保険者資格証明書の交付に際しての留意点について」という国保の運用における通知を出しました。その内容は、資格証明書の発行については機械的に行うことなく、予防的対応、福祉的対応、救急的対応をおこなうこと、特に子どもに対する配慮を求めたものです。

 これは、当然です。しかし、国自らの反省が全くなく、また市町村国保に対しての財政的援助もないままに、その責任を市町村に丸投げして是正と配慮を求めるのは、中央官僚らしいやり方です。

●でも、ようやくはじまった無保険状態への是正と配慮は、市町村段階から具体的につよめていかなければなりません。私は、甲府市で以下のことを求めています。

@ かつての老人保険制度(世帯が滞納していても高齢者には保険証を本人に出していた)にあったように、滞納世帯であっても その世帯、または百歩譲って、子どもだけでも早急に保険証を出すべきです。※このことを自治体でもおこなうところが増えています。

A 資格証明書の発行を抑制・ストップすることを前提に、資格証明書の発行前と発行後の「接触」の状態の調査をもとめます。特に発行後の

・医療を受けた人数の点検、
・死亡者の点検 
・子ども数の調査内容の把握

・本来の保険証に復帰した者の数

の調査を行い、事態の把握と今後の改善要求につとめることとします

B 最も低い要求ですが、すぐにも子どもの資格証明書をやめさせ、「短期証明書」に切り替えさせることを要請します。

C この際、こどもの医療費助成制度の対象年齢の引き上げももとめます。

D 今後とも、子どものいる世帯への「差し押さえ」の保留・配慮を求めます。

E また「子ども」(児童福祉法の「児童」とは=18歳に達するまでとしている)の年齢を高校生までの考えを求めます

F 差し押さえ件数の多い自治体では―また保険料の高い自治体では、減免制度の充実・分納相談の充実をもとめます。

G また一般会計からの繰入金(法定内と法定外)をもとめる。今の保険料は高すぎますから、保険料の引き下げも含めて、法定外の一般会計からの繰入の増額を求めます

H 滞納問題では、市民税の収納との一体化が強調されているが、市民税と社会保障の保険料(税)とでは、性格が異なることを強調しよう。つまり、連携はあっても、「同じように差し押さえなどをしてはならない」とします。

I 国に関しては、

・労働者の国保ではなく社会保険加入の健康保険の義務化を法に基づいて徹底させること。

・国からの、国保会計への財政補填(特にこの間の
75歳未満の国保加入による財政負担の軽減措置が必要)。甲府なら35億円ほどにもなります。

・国保制度の収納率と自治体独自の医療福祉に交付金を減額するペナルテイ措置は直ぐにも止めること。

 これらについては、全国市長会の要望・意見としてもはじまっていますが、さらに強めることを甲府市に要請していきます。

●甲府市では、今中学生では2名の方が、無保険状態となっています。まず、すぐにもこの状態を改善しなければなりません。

2008年10月31日(金)

 さすが笛南中の給食です。事故米関連食材が使われていません

10月31日は、笛南中学校の組合立の定例議会の日でした。笛南中学校は中央市と甲府市との組合立の学校で、組合の議会も行われているのです。私も、この組合議会の議員になっています。せっかくの定例議会ですので、私は、毎回質問することにしています。

今回の質問内容は、以下の3点でした。

@ 学校給食における三笠フーズなどによる事故関連食材の問題と安全性について

A 当面の学校施設の耐震化対策についてー日々の点検と修繕について

B 平成22年度末に学校組合立解散と生徒・保護者への説明と配慮について

※内容はこの山田厚のホームページに掲載していますので、ご覧下さい。


 笛南中学校以外の学校給食にも事故関連食材が使われていました

●質問の@は、発がん性のあるカビ毒や農薬に汚染された三笠フーズなどの事故米問題に関連して質問したものです。残念ながら甲府市の小中学校の学校給食では、事故関連食材が入り込みました。当局の9月25日の報告によると次の通りです。

 ・2006年 1月 小学校26校(市立全校)手作り厚焼き玉子1回(約1万個)

 ・2006年 2月 中学校10校(市立全校)五目厚焼き玉子1回(4.600個)

 ・2007年11月 小学校26校(市立全校)五目厚焼き玉子1回(4.600個)

 成長期の子どもの口に、汚染された食材が入ったことは極めて深刻な問題です。

●この責任は,汚染米を不正転売した三笠フーズなどの悪質業者にありますが、それと不正をここまで見逃してきた「感度が悪すぎる!」といわれている
農水省の「監督不行き届き」の責任も明らかです。

 また背景として、自民党政府の農業政策に大きな原因があります。汚染米の80%は輸入米ですが、そもそも米は日本でも自給できるのにわざわざ輸入米を入れてきたことが不可解です。ーこれは工業製品の輸出大国である日本にアメリカなどが強硬に米市場の開放(=米の輸入)を求めました。その結果、政府は対米公約的に必要のない輸入米を義務として増やしてきました。

 そして「輸入米の中でも用途が限られ、引取り手のない“厄介もの”を引き取ってくれる汚染米業者は、農水省にとって好都合な存在だったのだろう。三笠フーズだけで過去五年間に百回近くおこなった立ち入り検査も、事前に日程を伝えるなど形骸化していたことに、得意先への遠慮がうかがえないか」「安全より在庫減らし優先」(山梨日日新聞 9月17日)。これでは、しっかりした監督はのぞめません。

●さらに1995年に米の流通規制の強かった旧食管法が廃止され、そして2004年の小泉政権の時に、さらに食糧法が大幅「改正」されたことも原因です。それまで米の流通ルートが管理されていたものが、米の取扱い業者の規制緩和を行い
米の流通の自由化がほぼ行われたことによって悪質な取引・不正流通が野放しになったーことも汚染米不正の拡大につながったことが指摘されています。(参考『朝日新聞』9月28日)

●ところで、農水省は
米の流通の規制緩和を見直し、規制強化の食糧法の改正を行うことを決めました。この改正は当然ですが、それにしても政府の「失政」(政治のあやまり・悪い政治)はここでも明らかとなりました。

●「風が吹くと、桶(おけ)屋がもうかる」という言葉がありますが、政府の食料政策の「失政」は、コメ流通の規制緩和となり、それによって汚染食材が流通し、そこから学校給食で甲府市の子どもの口に入ったのです。

 笛南中学校の学校給食は、おいしいだけではなく安全でもあるのです

●なお、今回改めて考えることがもう一つありました。それは甲府市立小中学校の学校給食では、事故関連食品が食材に入ったのに、甲府市中道地区の笛南中学校では、一切使われていませんでした。

※このことは10月31日の笛南中学校の組合立の定例議会で、私の質問の答弁で教育長が公的に明らかにしました。

●なぜか? それは、笛南中学校の学校給食がりっぱだからです。直営自校方式で学校には専門の栄養士さんが配置され、独自の学校献立、地産地消も積極的にすすめています。そして食器はせとものの強化磁器です。「おいしい」と生徒さんからも極めて好評です。今回の汚染食材の問題では「おいしい」にプラスして「安全」も明らかになったようです。

 甲府市の学校給食は、笛南中学校の学校給食をお手本にしなければなりません。2010年の3月末で組合立の笛南中学校はなくなり、甲府市立の笛南中学校となります。いいものを残すのは当然です。

 しかし、甲府市立になったら笛南中学校の学校給食を廃止し、甲府市立の中学生からも「おいしくない」と言われている業者弁当方式にするのでしょうか? そうなると今度は、甲府市の「失政」となってしまいます。

2008年10月7日(火)

  投票所問題からも市立小中学校のバリアフリー化をお願いしました

●私は、下記の文章で、甲府市に市立小中学校のバリアフリー化をお願いしました。

    

 投票所でもある甲府市立小中学校の

バリアフリー化への調査と具体的改善へのお願い


 甲府市建築営繕課様

 9月に行われた甲府市議会の決算委員会で「投票所の入り口に段差があり、しかも仮設の簡易スロープも設営できない施設がある」ことが明らかとなりました。甲府市選挙管理委員会に問い合わせたところ。現在のところ9箇所あり、そのうち、5箇所が甲府市立小中学校でした。
 社会的にバリアフリーが求められているときに、こういった施設の状態を放置していてはならないと考えます。高齢者や障害者の人権と投票権を守るためにも、投票所のバリアフリー化は必要です。特に小中学校の施設は、地域の避難所であり、高齢者や障害者のための福祉避難室も開設しなければならない施設です。また、増加傾向にある障害児の教育権を保障するためにも教育施設の改善が問われています。

 つきましては、以下の甲府市立小学校・中学校施設の段差の状態を早急に調査されバリアフリー化へ向けての具体的な改善への検討をお願いいたします。

・甲府市立富士川小学校

・甲府市立相川小学校

・甲府市立千塚小学校

・甲府市立北新小学校

・甲府市立南西中学校

 なお、お忙しいとは思いますが、その調査結果と具体的な検討結果をお知らせ下さい。

2008年10月7日         甲府市議会議員   山田 厚

●まもなく、衆議院選挙もはじまるようです。この機会にも防災や教育のための改善は必要だと思いました。

2008年9月30日(火)


 議場のバリアフリーから、投票所の段差問題を考えました


●決算委員会もあって長い9月議会が今日閉会となりました。同じ会派の中込市会議員が、今回議長に就任したことで、会派代表者会議や広域議会など様々やることが増え私にとって大変忙しい議会でした。

●九月議会の特徴は中込議長となったことで、様々な小さな改善がはかられました。

・議長主催の議員学習会( 救急法や財政健全化法など)の学習会がはじまった。

・障害者に配慮された本会議場になりはじめた。

 ・車イスの傍聴席が三席設けられた。

・聴覚障害者のための手話通訳+要約筆記者の支援がはじめて傍聴席でおこなわれた。

・本会議場の議員の演壇が対面式になった。

  これは一問一答方式にも活用でき、また車イスからの質問もできるようになった。

・予算委員会や決算委員会の会議録が甲府市のホームページに掲載されるようになった。

●これらの改善は私自身の意見でもあったわけですから、小さくても改善ができことに喜んでいます。

特にありがたかったことは、本会議場の傍聴席の改善もあったことで私の代表質問にたくさんの障害者の方々が傍聴に来ていただいたことです。そして傍聴席で、車イススペースや手話通訳者・要約筆記などを活用していただいたことです。これはバリアフリーを目指す今後の議会運営の改善にとって具体的なお手本となりました。パイオニア的な行動をしていただいたみなさんに本当に感謝しています。




 投票所の段差解消も遅れています

●また、バリアフリーをめざすことは、単なる市議会のイベントに終わらせないで、今後、市政のさまざまな施設と運営にも活かさねばなりません。

 例えば、車イスの問題だけでも、楽に使えるスロープは、まだまだ整備されていません。甲府市の小中学校にはエレベーターが一箇所もないだけでなく、スロープも完全には整備されていません。

●私は、決算委員会で甲府市の選挙管理委員会に甲府市の投票所の段差問題で質問しました。これは私の前にも質問した議員さんもいましたが、私は重要なことだと思い重ねて質問しました。当局の回答によると、「投票所の10箇所が仮設のスロープもつくれない段差がある箇所」とのことでした。

 つまり、甲府市内の選挙投票所のうち「バリアありの投票所」が10箇所も残っていたのです。もちろんこれらの箇所では人的な介助をしているとのことですが、施設面の改善は急ぐ必要があります。

 そのうちの6箇所は防災上の避難所である小中学校の施設です。避難所はそれぞれ、障害者や足の弱い高齢者などの要援護者のための福祉避難所にもなっています。また、小中学校には、障害児の方の通学も年々多くなっています。

※ 甲府市の特別支援学級の在籍児童数は2003年度84名と比べ2008年度は118名となり34名増えて40%増となっています。そのうち肢体不自由も1名から7名となっています。

●こうなると、投票する権利の問題だけでなく、福祉や防災そして教育の視点からも、段差の解消は重要な課題となります。私は、このことを選挙管理委員会だけでなく、甲府市の建築営繕課・及び教育委員会、福祉部にも強く要望していきます。

2008年9月27日(土)

  東京の上野公園の変わりようで、ホームレス問題を考えました

●地元の文化協会史跡部の東京上野公園の史跡研修に丸一日参加しました。私は上野公園が好きで、何回となく行っています。特にそばの三ノ輪で宿直の学生バイトを一年近くしたときは、宿直明けの午前9時頃から1時間ぐらいはいつも公園を散策していました。週に2度くらいだったと思います。ほとんど人のいない平日の上野の東照宮や彰義隊の墓はなんか趣があって気持ちが落ち着きました。それに国立博物館もお気に入りでした。

●その後も、何回も上野公園にはいきましたが、今回のようにほぼ丸一日いることはありませんでした。そうなると
35年ほど前の学生時代の上野公園と現在との比較となります。

●私は、昔と今との違いを強く感じました。

 @ 人が多いことです。平日の午前中からまるでイベント会場のようにごった返していて、緑の中を散策するといった趣はまるでありません。かつての東照宮などではほとんど人はいないで重厚なイメージがあったのですが、いまでは単なる人ごみの名所でした。東京は人口が多くなっているのでしょう。調べてみると当時より120万人ほど人口が増えているとことですが、それにしても・・・といった感じでした。
 A 気がつくと公園内にはモニュメントと柵が多くなっていました。それはそれで意味があることなのでしょうが、緑が多いだけの自然な感じは確かにしなくなって、なんか落ちつきませんでした。

 B 一番強い印象は、ホームレス風の人がたくさんいたことです。こっちにも、あっちにもベンチや木陰にホームレス風の人が横になっていました。またブルーシートの囲いもかなりありました。こうなると「趣」とか「落ちつく」といった感じではなくなってしまいます。「どうゆう暮らしをしているのだろうか?」「身体はどこであらっているのだろうか?」「食べものは?」いろいろ考えてしまいます


時代の流れを感じさせられました。それも残念で寂しいといったイメージです。また自分も随分歳とったなーとか、この世の中は心配だなーとか様々な思いともなりました。

●この日は金曜日なのでホームレスの人は特に多いとも聞きしました。丁度、見ることができたのですが、国立博物館のそばの林には5百人ほどの人が集まっていて、宗教団体と思われるボランティアの方からの週一回金曜日の食事(炊き出し支援)を受けていました。私は、確か何年か前にもこの場所で同じ光景を偶然見たことがありますが、数が倍以上に増えていました。今回は、時間があったので少したたずんであれこれ考えていました。

 ホームレスの人たちはほとんど中年の男性で、整然と静かに順番を待っています。同じ場所でこの団体の方は頭を刈る床屋さんのボランティア活動もしていました。ここでも静かな順番待ちの列がありました。「この5百人ほどの人には、それぞれの家庭もありそれまでの人生もあり、まじめに働いてもリストラされた人も少なくないのでは」「これからどうなるのだろう」「冬はどうなるのだろう」「病院は?」「東京都や台東区の行政はどのような対応をしているのだろうか?」等と考えていました。


●上野公園に詳しい方の話では、「ホームレスの人は街中や駅の側にいると酔っぱらいのサラリーマンから暴力を受けるが、上野公園は乱暴する人がいないので集まってくる」とのことでした。ホームレス襲撃事件も後を絶たないとのことです。

●「いやな世の中になっているなー」と思いました。親代々の豊かな人は力をもって威張りかえり、日々の生活と労働に追われるものは、その苦しさのはけ口を自分より力のないものをさげすみ虐めたがる・・・。

●厚生労働省の2007年の調査によると、全国のホームレス数は18,564人で大都市に集中しています。年齢層は50歳代が43%、生活場所は公園と河川敷が68%でした。

そして「路上生活にいたった理由」

・「仕事が減った」31.%

・「倒産・失業」27%
・「病気・けが・高齢で仕事ができなくなった」21%


 つまり働けなくなったことの理由がほとんどです。リストラなどを許さない雇用の安定と医療保障の充実は重要です。

また、「今後どのような生活を望むか?」では

・「きちんと就職して働きたい」という者36%

・「今のままでいい」という者18.%

 まともに働き生活したと思う人以外に、自暴自棄なっている人やアキラメきった人も少なくないということでしょうか?

●厚生労働省の調査では、ネットカフェ難民といわれる住所不定の若者などの調査を入れていませんから実際はもっと多くの数になります。ちなみに、政府統計ではネットカフェ難民は5400人ですから両方をたすと2万4000人ほどです。

●甲府市でもホームレスの人が増えています。実は先週の決算委員会でホームレス問題の質問をしたところ、1年前の調査では甲府市は31名(山梨県全体で42名)とのことですが、駅北口の陸橋下を見てもブルーシートの囲いはいくつもあり、実際はもっと多いと思われます。

ホームレスの人は住所がないだけに、社会から非合法状態となり生活保護以前の人たちとなってしまいます。社会の安定のためにも雇用(労働基準法・雇用保険・労災保険)・医療・福祉の最低限のセーフティネットの対策が問われます。これは大きな社会問題です。親代々の大金持ちの人を除いて、普通の市民とって、いまの世の中では、「いつ何時、自分がホームレスになるかもしれない」からです。決して人事ではすまされません。

●上野公園で、こんなことを漠然と考えていましたが、心安らぐ緑や史跡の公園の趣など、どこかにいってしまいました。

2008年8月20日(水)


  地球温暖化防止と新庁舎の駐車場設置をどう考えるか

●甲府市民のT。Oさんから、甲府市議会議員全員に出された「新庁舎になる市役所には、地球温暖化防止対策から駐車場をつくらない」という真剣な提起を、私は私なりにこの間考えてきました。

T.Oさんのご提起を要約しますと以下のようになるかと思います。

・地球温暖化は最早先送りはできない。クルマ依存率の高い甲府市民もCO2の削減へ一人一人が真剣に考える時期である。

・市役所の駐車場スペースを自然公園風にして二酸化炭素を吸収する樹木との共生を選択する。

・ガソリンという危険物持つ車を満車にしてしまう駐車場を防災拠点の新庁舎の側に置かない。

・多くの市民は本庁者まで行かなくとも市内10カ所ある窓口のセンターでほとんどの用が果たせる。

・パークアンドライド(シャトルバス・バス代の市の負担)などさまざまな整備を行い、バス路線廃止になってしまわないうちにバス会社と共存共栄で交通手段の確保をはかる。

―こうして『地球は未来からの借り物です。もう、これ以上汚すことは止めようではありませんか、車一辺倒の生活スタイルを考え直そう』と言う、メッセージをこの甲府から全国に発信しましょう。それにはまず、駐車場(身障者用は確保)を持たない甲府市役所から。


という要旨でした。

●これは貴重な提起だと思います。私自身もしっかりお答えしなければと思い、また、この際、自分自身の見解も整理すべきだと考え、ほぼ一ヶ月以上も調査もして検討してきました。

 その要約は以下の通りです。

この問題での私の見解のまとめ

 地球温暖化防止は、
大口の大企業CO2排出総量を削減しなければ実効性がありません。そのため、大口の大企業の排出量削減にむけた社会的な圧力として市民の身近な取り組みも必要です。市民のクルマ使用の抑制は排出総量からみて大きなものではありませんが、喫緊な課題でなくとも身近な取り組みの1つとしての意義があります。

 甲府市の新庁舎にともなう駐車場の廃止は、クルマ社会から脱却するさまざまな社会的な条件整備による結果として徐々にできるものです。その社会的な条件整備がない中で駐車場の廃止だけを先行して実施するとさまざまな弊害を生む原因にもなります。現状では、弊害をさける現実的な対処として新庁舎にともなう駐車場は、障害者用駐車場も含めて今までの駐車場より広く確保しなければなりません。
現在、クルマ社会の弊害は明らかであり、経済的にクルマをもてない市民も増える傾向があります。いまこそ政策的に公共バスの再生も含めてさまざまな社会的な条件整備を行い、今後、温暖化防止の社会のお手本として広いスペースではじめた新庁舎の駐車場の削減を徐々に具体化し常緑樹と芝による緑化をすすめていく方針を持つべきです

●その内容はこのホームページの
「私の学習レポート」に全文掲載してあります。ぜひ、関心のある方はご覧下さい。

●私は、これまで、地球環境問題については必要な知識ありませんでしたが、今回の勉強する機会が与えられ大変よかったと思います。やはり、地球温暖化防止に向けては、市民の一人一人の努力とともに、CO2排出の大企業が努力しなければ実行効果はありません。

 例えば、昨年、東京電力のCO2排出量がまた増えたそうですが、そうなる日本全体のCO2の排出量も確実に増えたそうです。こうなると市民運動です。自らの家庭のCO2排出量を減らす努力とともに、それは、大量排出大企業への社会的な要請・圧力とすべきです。このことがないと具体的な排出量の削減の効果は生まれないと思いました。

●また、T.Oさんの提起のように車社会の問題も真剣に考えるべきと思いました。

 皆さんからのご意見をお待ちしています。




2008年7月20日(日)


これはいけません!甲府市の国保保険料がまた引き上げに!

                そのB 企業社会の責任とは

●国保会計の構造的財政困難になった重要な原因の1つに、企業社会が正規社員から非正規社員化へ雇用の構造を大きく変えたことにあります。
 かつての定年退職までの雇用から、企業にとって必要な時だけ低賃金で雇用するという企業にとってあまりにも都合のいい人事管理は、今の日本社会に大きな混乱を生み出しています。 はたらく者の所得の低下、ニート・フリーターなどの実質的な失業の増大、貧困化、貧富の格差拡大、虐待・いじめ・メンタルヘルス不全・通り魔的な傷害事件の増加などさまざまな悪影響をまん延させています。
 リストラ・倒産の影響で、健康保険などの被用者保険から国保に移動している人も多くなっています。ニート・フリーターなどの若者、アルバイト・パートの非正規労働者のほとんどは国保にしか入れません。失業者と不安定雇用者の増大が、「医療保険制度の最後の砦」である国保が受け皿となって国保の加入者を増やしてきたのです。

●これは国保の被保険者(加入者)の職業構成の大きな変化をみるとよくわかります。かつては農林水産業・自営業者、年金生活者の保険が、今では、ニート・フリーターなどの失業者・非正規社員と年金生活者が中心となっています。厚生労働省も「現在の国保は年金受給者と非正規雇用者の保険になっている」(『国保新聞』2007年11月1日)と言っています。


国保の職業構成の変化(厚生労働省資料による)
1965年 1990年 2004年
農林水産業 42.1 10.0 4.7
自営業者 25.4% 27.9 16.0
被用者 19.5 23.3 24.1%
無職 6.6 35.4 52.4

●これらの国保の被保険者は、いままでより所得も低く生活が安定しない中で高い保険料となります。そして高い保険料ですから、保険料を払いたくても払えない状態となっています。当然、国保会計自体の収入も苦しくなってきます。

 甲府市の国保の場合、2006年度では、200万円以下の所得者が全体の滞納件数の81%を占め、100万円以下の低所得者が滞納件数の59%にもなっています。

 健康保険に入れないで高い保険料の国保にきている労働者も多いはず

●ところで、雇用が不安定となると、企業内では「嫌ならやめろ」の常態がまん延し、労働者の職場における立場は極めて弱くなります。本来、保障されるべき権利もなく「黙って働く」ことが「常識」とされかねません。そうなると労働者が入るべき健康保険に入れないで、しかたなく高い保険料の国保に入っていることも少なくないと思われます。このことも考える必要があります。

日本の医療保険は、新しくできた後期高齢者医療制度を別にすると、大きく分けて2つです。1つは企業ではたらくサラリーマンの被用者保険(健康保険・公務員の共済組合・大企業の健康保険組合など)と、もう1つは、本来、地域住民や自営業者を対象とする国民健康保険(国保)です。
 日本は、国民皆保険体制として全ての国民がいずれかの医療保険に加入することになっていますが、どれでも選択の自由ということではありません。サラリーマンなどの労働者は、国保ではなく、健康保険などの被用者保険でなければなりません。


●本来、健康保険は、労働者ならだれでも自動的に加入されなければなりません。
 
手元にある甲府市の『はたらく若者のサポートガイド』(労働者の権利・社会保障の入門パンフ)をみると

適用事業所
 1人でも常時雇用している法人事業所、5人以上を常時雇用している個人事業所は加入しなければならない。また、これ以外の事業所でも、従業員の1/2以上の同意があれば、事業主が社会保険事務所長などの許可を受けて加入することができる」

被保険者
 上記の事業所に雇用されている労働者(日々雇用されている労働者などの一部を除く)は自動的に被保険者になる」としています。

健康保険法に明記されていますが、法人の事業所で1人だけの労働者であっても、またパートでも通常の労働者の労働日数・労働時間がおおむね3/4以上であるパートも、さらには外国人労働者も、すべて加入者となります。これは当事者の判断ではなく、加入させることが雇用主の義務です。
 健康保険などの被用者保険に加入すると保険料は国保よりかなり軽減されます。被用者保険は、保険料の半額を雇用主が負担し、残りの半額を労働者本人が負担すれば、いいことになっています。国保の保険料はこの10年間で何回も引き上げられていますから、被用者保険と比べて3倍から4倍近くもの保険料負担です。労働者にとって国保より健康保険に加入した方が有利なのは当然です。

●しかし、企業によっては
雇用主側の保険料負担から逃れるために、加入させなければならない労働者を、不当にも加入させないこともかなりあります。今日の労働者は、雇用不安の中で、今までになく弱い立場ですから、使用者になかなかものが言えなくなっています。不当で不法な状態は野放しのままにされています。

 この保険料の雇用者側負担を逃れている雇用主を罰則も含めて取り締まるのは、社会保険事務所であり社会保険庁ですが、私の知る限りでは、実態の調査も含めてほとんどまったく行政としての責任を果たしていなません。社会保険庁のいい加減さは年金だけでなく健康保険にもあるのです。
 低賃金と不安定な雇用、そして高い国保保険料の中で、また国保の滞納傾向が強まることになります。

●保険料滞納の問題でいえば、年金生活の高齢者ではなく、働く現役世代の滞納が極めて多くなっています。
 甲府市の国保でみると、25歳から54歳までの国保加入者の年齢層内20%から25%もの人が滞納傾向にあります。滞納件数では、30歳から64歳までの年齢層が全体の滞納件数の60%を占めています。

●このように国保会計の財政難と保険料の高さは、国の医療政策だけでなく今日の企業社会にも大きな原因があるのです。
 しかし、だからと言って甲府市の国保の、保険者である甲府市の行政に責任がないということではありません。次回は甲府市の問題について考えていきます。

2008年7月5日(土)


 これはいけません!甲府市の国保保険料がまた引き上げに!

                   そのA 国の責任とは

●甲府市の国保保険料の負担の過酷さと連続した保険料の引き上げの原因を考えて生きたいと思います。いくつかあるのですが、その根本的・基本的な原因は、国の医療政策にあります。

●国は、「医療費がかかりすぎる」として、特に小泉政権の時に「医療構造改革」を本格的にはじめました。要は、国からの医療費にむけての公的支出を以下に削減するかに目標がおかれています。その医療政策の誤りが、あらゆるところに現れています。

 ・医師・看護師不足 

・それによる公立病院の産科、小児科など休診

 ・診療報酬の「改正」などによる公立病院などの「赤字」化

 ・介護療養病床の廃止、医療療養病床の15万病床への削減

 ・「医療費適正化計画」「地域保健医療計画」などによる病床数の削減

 ・「公立病院改革ガイドライン」による公立病院の民間化などのスクラップ化

 特に

 ・後期高齢者医療制度の発足

 ・後期高齢者医療制度の発足に伴う、健康保険などの保険料の引き上げ

 ・70歳以上からの老人保健制度の解体

   70歳から74歳は国保制度へのおしつけ、75歳以上は、個々人を引き離し後期高齢者医療制度へ

 ・国の医療制度「大改正」の波及して全国の自治体独自の高齢者医療制度の大幅な後退

●つまり、国の医療構造改革とは、国の持つ公的資金を医療費にかけたくない、大削減をしたいだけのことです。ですから、

・保険料をできるだけ多く取り立てる

・患者負担をできるたけ重くする

・国民から医療・病院を遠ざける そのためには、患者負担を重くするだけでなく

  →医療スタッフ 特に医師を減らす

  →入院期間を短縮させる

  →病院を減らす、病床数を減らす

・高齢者から病院を遠ざけ、後期高齢者からは「健診の手抜き」「安上がり医療」と「高い保険料」を行うことが方針


  国の後期高齢者医療制度などの医療制度大改正で国保が財政難に

●国保については、市町村自治体任せにして、国からの支出をできる限り減らそうとしてきました。

 この5〜6年間でみるなら 国の70歳からの老人保健制度の解体と後期高齢者医療制度の発足が、国保会計にもっとも大きな打撃をあたえました。それまで70歳以上の高齢は老人保険制度で対応していましたが、2003年度から70歳から74歳までの高齢者を5年間かけて国保会計に押しけました。

2003年度は70歳までを、国保会計に入れ

2004年度は71歳までを、国保会計に入れ

2005年度は72歳までを、国保会計に入れ

2006年度は73歳までを、国保会計に入れ

2007年度は74歳までを、国保会計に入れ

―国保会計に全ての医療費の負担を押し付けてきました。そして残りの75歳以上は後期高齢者医療制度にいれ、いままでの老人保険制度を解体させたのです。

●高齢者は、若い人より医療費がかかって当然です。だからいままで70歳以上は老人保健制度で医療費は対応してきたのです。それを国保会計に70歳から74歳まで押し込めると、国保会計の主な支出であるその医療費は激増します。 そこで、市町村の国保会計は、どこも極めて苦しいものになっています。

●甲府市の国保会計の場合、特にこの5年間で会計は極めて悪化しました。

高齢者の医療費支出が激増したからです。以下は70歳以上の医療費の増です

 ・2003年度 前年度差5億5200万円増

 ・2004年度 前年度差7億4200万円増

 ・2005年度 前年度差7億8200万円増

 ・2006年度 前年度差5億1800万円増

 ・2007年度 前年度差8億5500万円増

 70歳から74歳までの医療費の支出は2007年度では単年度でも35億円にもなりました。総額の医療費支出の27%にまでなっています。

※老人保健拠出金が減額になったことや70歳から74歳までの保険料が入って相殺されても、簡単な単純計算でも5年間で、老人保健拠出金は5億5600万の支出の減です。また国保保険料は全体を値上げしても5年間で11億1800万円の収入増としかなっていません。したがって、どう考えても構造的に「赤字」になるしかありません。

●甲府市の場合、一般会計からの援助が1億5000万円と少なく、しかも3年前からはじまったばかりですから、構造的な「赤字」の傾向はすぐ現れました。積み立ててきた65000万円ほどの国保の基金は、この5年間で全てなくなりました。昨年度では、翌年度分に食い込む繰上げ充用という9100万円の前借を行い、さらに今年度予算でも5億1100万円の繰上げ充用であり連続の前借りとなりました。そして、そのしわ寄せは被保険者である市民にむかいます。重い保険料は、さらに重くされました。

●後期高齢者医療費の発足は、市町村の行政当局に「これで財政が楽になるのではないか」との期待をもたせました。しかし70歳から74歳までの高齢者を国保会計に押しつけられたこと自体が、大きな会計上の困難さをまねきました。甲府市の場合、直接の支出においても、国保会計として後期高齢者医療制度に対応するためのシステムの改修で1億2,000万円かかり、そのうち国庫補助はわずかに560万円でした。そのほか、特定健診や特定保健指導が義務づけられ国保の予算では補助金と相殺しても4200万円ほどの支出増が強いられています。
 国保会計自体に責任のない支出が国の医療制度「改正」で強いられ、国はこのことに対してほとんど財政補償していないのです。


 国は、市町村国保にさまざまなペナルティをかけ財政難にしている

●いままでも国は、市町村の国保会計に大変な財政上の締め付けをしてきました。この締め付けの典型は、国から国保会計に下ろす交付金を減らすペナルティです。


@ 保険料の収納率が低いと普通調整交付金が減額されるペナルティを国保会計が受けます。甲府市の国保は5年間で4億3300万円も削減されました。
 収納率を改善したいとしても、かつての国保の被保険者と現在の被保険者の構造が違います。倒産やリストラされた人、非正規雇用の若者などどうしても滞納傾向が強くなっています。それにかつてより保険料そのものが高くなっています。したがって収納率はなかなか改善されないばかりか滞納傾向も強くなっています。しかし国は収納率が悪くなると、さらに減額率を厳しくして交付金を削減するのです。

A 自治体独自で医療福祉を向上させると普通調整交付金を削減するというさらに不当なペナルティがあります。甲府市の国保は、独自の老人医療費助成制度や乳幼児医療費助成制度があることによって、5年間で9億5000万円も削減されました。
 このペナルティの理由は、「この独自の医療福祉によって受診が増加し医療費が増額する。そのまま交付金を出すと他の市町村との公平性を欠く」とのこと。本来、国は自治体の頑張っている自主的な努力を応援することを基本とすべきなのに、逆に交付金を削減することは極めて不当だと思います。

B さらに官僚が勝手に決めた特定健診実施などの目標数値が達成できないと新たなペナルティを受けることになります。後期高齢者医療制度への支援金を、2008年度から国保会計から入れるわけですが、5年後の2013年度からその繰り入れる支援金にペナルティあります。
 2008年度から2012年度の比較で国保の目標値が設定され

   ・特定健診実施率 65%
   ・保健指導実施率 45%
   ・メタボ減少率  10%


 この実施率・減少率の達成状況で繰り入れる支援金額の±10%もの加算・減額あります。これも大変な過酷な課題です。例えば甲府市の場合、達成率が低く10%の加算ペナルティを受けるとなると2013年度では約2億4000万円の支援金加算となり、それだけ国保会計からの支出増となるからです。
 国は、無理な目標値を設定し、国保からの搾り取りを行おうとしているようです。

●これらのペナルティは、国保会計をさらに財政困難にしています。すぐにもやめさせ
る必要があります。全国市長会では、毎年政府に「国保のペナルティをやめて」と以下のように要望しています。

国民健康保険制度及び後期高齢者医療制度に関する要望

10)国保保険料()の収納率による普通調整交付金の減額措置を廃止すること。
11)各種医療費助成制度等市町村単独事業の実施に伴う療養給付費負担金及び普通調整交付金の減額措置を廃止すること。

                      平成20年度 全国市長会要望

 これは@とAのペナルティについてですが、これからはBについても当然要望し、すべてのペナルティを辞めさせる必要があります。


 日本の「公的医療費はかかりすぎ」ではなく、より力を注ぐべきです

●国は「医療費がかかる」から「医療構造改革」で医療費の大幅削減といいますが、諸外国と比べても公的.医療費は、大騒ぎをするほどの支出をしているわけではありません。

 最近
OECD(経済協力開発機構、先進国の30カ国が加盟)の医療保険関係のデーターが次々と発表され(例えば『図表でみる世界の保健医療』明石書店)、関係者の間では「日本では医者も看護士も絶対数が足りない」「一人当たりの保健医療支出も日本はかなり低い」(19位)「一人当たり実質保健医療支出年平均増加率もかなり低い」(26位・ワースト5位)ということが常識とされています。OECDで日本が高いのは、自殺の死亡率の高さ(ワースト3位)くらいでしょうか? また「健康状態が良い」と回答した成人の割合が極めて低く(ワースト2位)、これも公的医療費の削減どころではない日本の状態を示しています。

2008年7月4日(金)


これはいけません!甲府市の国保保険料がまた引き上げに!

          その@ 今回の保険料の引き上げ額とは


●昨日の国保運営協議会で国保保険料が、昨年に続いて今年も、行政当局の提案どおりに引き上げの方針が決まりました。本当にいけないことです。甲府市の国保保険料は平均よりかなり高いだけに、「引き下げ」て当然なものが、連続して引き上げるのですから、極めてよくない政策判断です。

●甲府市の国保保険料の引き上げ額は、以下のとおりです。

2008年度の国保保険料引き上げ方針
2007年度
年間保険料


2008年度
年間保険料
保険料年間
引き上げ額
1人世帯40歳〜64歳)
所得150万
   200万
   250万
   300万
214.200円
280.900円
347.600円
414.300円



223.610円
292.810円
362.010円
431.210円
9.410円
11.910円
14.410円
16.910円
2人世帯40歳〜64歳)
所得150万
   200万
   250万
   300万
249.140
315.840円
382.540円
449.240円



259.940
329.140円
398.340円
467.540円
10.800
13.300円
15.800円
18.300円
4人世帯40歳〜64歳)
所得150万
   200万
   250万
   300万
303.420
370.120円
436.820円
503.520円



317.000
386.200円
455.400円
524.600円
13.580
16.080円
18.580円
21.080円
※ この保険料は介護保険分と後期高齢者医療費への支援金分との合計金額です。

●今年の8月からの保険料から引き上げがはじまりますが、大変な負担額です。例えば、4人世帯で所得250万円(収入では370万円程)の家庭では、45万5400円もの保険料となり、全所得の18.2%が国保保険料に取られることになります。最も多い甲府市の国保世帯は2人世帯で所得150万円ですが、この家庭の保険料は25万9940円となり、全所得の17.3%にもなります。

※ご自分の家庭の保険料を詳しく知りたい方は、甲府市の国保年金課(237-1161)に問い合わせて下さい。
●今、市民の生活は大変な状態になっています。相次ぐ物価値上げや所得の大幅な低下傾向があります。甲府市の国保被保険者の家庭は、甲府市の全世帯数の40%以上、市民数で30%以上にもなっていますが、この世帯の年所得額は昨年と比べて4万5071円も下がり、年額111万円です。普通の市民の生活は非常に苦しくなっています。そんな時に、もっとも過酷な国保保険料が、さらにまた引き上げとは、絶対やってはいけないことです

●なぜ、国保保険料がこんなに高いのか? しかも、どうして連続した引き上げになるのか? その原因はどこにあるのか? ここでは、結論として、まず
の医療制度政策に基本的・根本的な問題があり、さらには、非正規社員化をすすめ、健康保険の加入と関係ないとする企業の雇用管理にも責任があります。最後に、他の自治体と比較しても高い保険料のままにしている甲府市の姿勢の弱さにもかなり問題があります。このことを、次の機会から準じ検討していきたいと思います。

●とにかく多くの市民生活が本当に厳しくなるのですから、私は、「国保保険料の引き下げ」と「減免制度の拡充」「保険証の取り上げの停止」などをしっかり求めて行動していくつもりです。

2008年7月1日(火)


「小中学生にも医療費助成急増」と国のひどさを考える


●「乳幼児医療費助成、小中学生にも 拡充の自治体急増」(『朝日新聞』6月26日)の新聞記事が目に入りました。「最近数少ないいい政治傾向だけど・・・」と思いつつ、新聞をよく読んでみました。

 「乳幼児医療費の助成対象を小学生以上に引き上げる自治体が急増していることが、朝日新聞の全国調査でわかった。都道府県は4年前、神奈川のみだったのが、現在は9都府県。市区町村では通院費助成だけみても4倍以上の338に上っており、医療サービスをめぐる自治体格差が広がっている実態が浮かんだ」(同上)とのことでした。

■小学生以上に医療費の助成対象を広げている自治体(08年4月現在)
都道
府県
助成対象の上限
入院   通院
栃木 小3 小3
群馬 中3 未就
東京 中3 中3
神奈川 中3 2歳
新潟 小6 2歳
愛知 中3 未就
京都 小6 未就
兵庫 小3 小3
徳島 6歳 6歳
※未就は小学校入学直前まで

●この乳幼児・児童・生徒までの助成の拡大は、今後とも続いていくようです。「「群馬は通院についても09年度に中学卒業まで広げ、北海道は10月から入院助成を小学卒業まで拡充する方針」(同上)。

●市町村段階でも、子どものための助成は拡大しています。 「市区町村(全国1811)のうち都道府県の助成に独自に上乗せし、中学卒業まで助成しているのは入院が201、通院が173で、04年度(入院52、通院43)から激増。小学卒業までの助成も入院163、通院165と、それぞれ3倍以上伸びた」 (同上)。

●さて、この自治体段階での子どもの医療費助成制度の良い政治傾向の中ですが、それでも、私には気がかりなことが、2つあります。

 1つは従来からの高齢者医療費助成制度がどうなっているのか? 子どもの医療助成制度の拡大を掲げその一方で高齢者の医療費助成制度が後退していないか? −と言うことです。後期高齢者医療制度の発足にみられるように、国の医療制度のさまざまな「改正」によって各自治体では医療福祉の見直しが強いられています。残念ながら甲府市の65歳からの医療費助成制度も低所得者のみの助成に後退がしました。自治体独自の高齢者医療費助成制度は全国的に後退始まっています。そのなかで、各自治体は市民の医療費助成を後退するばかりではマイナスイメージだけとなってしまうので、市民感情への配慮としてこどもの医療費助成を拡大しているとも思われます。高齢者にかかる医療費は、子どもにかかる医療費とくらべ5倍も6倍もかかるといわれていますから、この方針をとる自治体の傾向は強まっているのです。

●もうひとつの私の気がかりは、子どもの医療費助成拡大にともない国からの市町村にたいするペナルティです。国は、自治体が独自に医療福祉を市民のために向上させると、その自治体を励まし応援するのではなく、逆に、「出過ぎた医療福祉は、全体の医療費に波及して迷惑をかける」として市町村国保の交付金を減額するのです。とんでもなくひどい論法です。

●甲府市の場合、甲府市の国保会計では、甲府市の老人医療費助成と子どもの医療費助成(小学校児童まで)を行っていることによって国保会計への交付金が5年間で実質7億4364万円(実質というのはこの医療費助成で県からの補助金を相殺した実質の金額です)減額ペナルティを受けています。これは大変な金額が削減されています。この削減がなければ、甲府市の国保会計でも赤字にはなりませんでした。


 医療福祉の向上による甲府市国保会計への交付金減額

2003年度 2億 210万円減額  実質14542万円減額    2004年度 2億 636万円減額  実質15048万円減額    2005年度 1億8585万円減額  実質1億3766万円減額    2006年度 1億8057万円減額  実質1億4799万円減額    2007年度 17830万円減額  実質16210万円減額 

   5年間で実質合計  7億4364万円減額 

                                           

また、医療福祉の向上に努力している全国の市町村のその国保会計に減額ペナルティを受けているのですから、こんな不当なことをすぐにも辞めさせなければなりません。でなければ、ますます国保保険料の負担増につながってしまいます。しわ寄せはいつも普通の市民では本当に困ります。

●こどものための医療費助成を、全ての自治体で拡大させ、そうすることによって国の制度にしていくこと。また、高齢者医療費助成については後期高齢者医療制度を廃止し従来の老人医療に戻し改善して、自治体の努力に対して援助していかねばなりません。それには、国の医療制度における基本的な考え方の変更が必要です。

2008年6月30日(月)


議会での「市町村議3割が質問ゼロ」を考える

●山梨の「市町村議3割が質問ゼロ」(『山梨日日新聞』520)の見出しを憶えていました。そこで今日、改めて自分の新聞スクラップ帳を出してこの記事を探しました。この記事によると「山梨県内の全市町村議のうち2007年度に1度も代表質問や一般質問をしなかった議員」は31.2%、「1回だけという人」は29.7%というものでした。そして「質問が認められた時間の7割が放棄されており、重要な議員活動である本会議場での質問が十分に行われていない状況が浮き彫りになった」というものでした。

●私は、漠然と「なんか嫌だなー・・・」と思いました。1つは、マスコミの論調です。「議員よ!もっとしっかりしろ!」ということでしょうが、何か表面的過ぎます。28市町村の自治体議会といっても、自治体の規模も、議会の資質もそれぞれ異なります。また議会内でもそれぞれの会派の目指す政策と性格もそれぞれ異なります。また自治体議員もそれぞれのタイプの違いがあります。そもそも議会内では様々な見解と見解、賛成もあれば反対もある、その違いがなければ、まともな議会とはいえません。それを単純に足し算と割り算をして「県内では3割が質問ゼロ」では、単純平均であっても全体の状況を把握することはできません。ましてや個々の議会や個々の議員の活動の状況を評価する資料にはならないと思われます。

●それに、本会議の議論は、代表質問と一般質問だけではありません。代表質問と一般質問にもそれぞれに再質問、再々質問がありますが、それ以外にも、反対討論、賛成討論、関連質問もあります。また、議会の討論で重要な場は委員会です。常任委員会、予算委員会、決算委員会さらには特別委員会などですが、この委員会での議論こそ議会の活動と個々の議員の活動の状況を示すものです。

●そのことを前提にしながらも、甲府市議会の本会議の現状を調べてもらいました。

@ 平成19年度定例会(07年6・9・12月、08年3月)質問議員数

質問回数

議員数

質問回数

議員数

0回

4人

3回

0人

1回

16人

4回

1人

2回

11人

                 質問回数合計 42回

A 平均質問回数  1.3回

B 質問議員率     88%

C 年間質問持ち時間  2120分  年間質問時間合計  1894分

消化質問時間率  89%

●甲府市議会の現状としては、活動力はあるほうだと考えます。甲府市議会では4名の議員さんが一年間本会議場で質問をしていませんが、この4名の内、3名は議長・副議長・監査委員であり、甲府市議会ではこの3役は質問しない慣例になっています。実質的には1名の議員さんだけが質問しなかっただけです。

●私の場合はどうか? かなり真面目にやっていると思います。「4回の1名」というのは私です。これは、同じ会派の中込議員が監査委員のために、この年度は全て私が代表質問をしたからです。これ以外に本会議場では後期高齢者医療制度に関しての反対討論を1回やっていますから実質的には2007年度は5回となります。通常の年度でも関連質問も入れて毎年3回は質問していると思います。

●私は本会議場での質問ももちろん重視していますが、むしろ議員の資質や調査の努力や真剣さが問われるのは
委員会だと思っています。委員会での「ノー原稿」の一問一答方式で質問を繰り返すことは議員にとっても大変な気力と体力がいります。

 私の場合は、連日で1週間以上かかる予算委員会や決算委員会の場合には、お相撲さんと同じで「場所中」(委員会開催期間中のことです)は、これだけに力を集中します。資料を「あつめ」、資料や議案を「しらべ」、メモを「つくり」、委員会に望みますが、委員会の審議中にも行政当局の説明・答弁を「聞き」ながら、再度メモを「つくり」なおし、自分の「質問」を組み立て、そして「質問」を行います。昼の休憩中でも議員の控え室でおにぎりをかじりながら、ギリギリまで「あつめ」「しらべ」「つくり」を繰り返します。予算委員会や決算委員会が終わると、かなり疲れます。それでも無理をして調査し考え、質問をしますから、委員会が終わると市政の状態について自分なりの見解と主張が整理され深めることできてきたと感じています。

●私自身もそうでありたいと努力していますが、真面目な自治体議員もかなりいると思います。マスコミの方は、簡単なアンケート調査をして「単純平均」で議員や議会の状態を判断するだけでなく、もっと本会議をはじめ委員会の中にも入ってどのような議論がされているのかを把握してもらいたいと思います。

 甲府市で見た限りですが、最近の記者の方は予算委員会・決算委員会の討論を落ちついて聞いていることはほとんどなくなっています。本会議でも討論をしっかりきいていることはかなり少ないと思います。ですから、記事をみても「当局の広報板的」なものと議会の「揉め事」「混乱ごと」「トピックス的なもの」と言う−その場で興味を引く内容がおおくなっています。しっかりした取材にもとづく自治体の政策課題でのコラムがなくなっています。

 これは、記者の人が労働強化か、またはマスコミ全体が自治体の議会を軽視しているのではないかと思います。

●随分、ぶつぶつとマスコミに文句を言ってしまいましたが、それでも、私が次に「なんか嫌だなー・・・」と思うのは、たとえ「単純平均」であろうとも、もし議会と議員が活発でない傾向があるとするなら…、「確かに良くない」と思うからです。その意味でマスコミの特集記事についても軽視してはいけないと感じるからです。

 今の社会の政治は議会制民主主義を基本においていますから、議会で賛成や反対も含めてさまざまな議論が丁寧にそして活発に行われないと普通の市民の立場からの政策はおろそかにされます。官僚任せ・行政当局任せの議会では、チェック機能も働かないで、特に力のある団体や大企業のための政治、有力者のための政治に流されてしまいます。自治体であろうとも議会がしっかり機能しないと、また個々の議員がしっかり活動しないと、必ず市民の生活は守れなくなります。

●たとえ「単純平均」であっても山梨の市町村議会や議員の機能が落ちている傾向があるとすると、それは必ず市民生活が乱暴に扱われることになります。この危険な傾向があるとするのなら、私は、私のできることとして、自分の持ち場の甲府市の議会でさらにしっかり頑張ることだと考えます。

2008年6月23日(月)

おかしい!どうして保育所の耐震補強化をいわないのか?


●四川大地震や岩手・宮城内陸地震では、地震の恐ろしさを強く感じさせました。特に子どもが通う学校施設の耐震化は「まったなし」で早急にすすめなければなりません。公立小中学校の調査結果では震度6強以上の地震で倒壊する恐れのある校舎や体育館が1万棟もあるとのことです。全体の一割近い学校施設が危険ということになります。

●子どもが日々生活し、地域の避難場所である小中学校の施設だからこそ早急な対策が必要です。国会でも与野党が一致して公立小中学校の耐震工事を進めるための国庫補助率を上げる法改正が実現しました。耐震補強工事では1/2の補助率が2/3に、改築は1/3が1/2に、さらに交付税措置もおこなって市町村自治体の負担を抑えて、すこしでも早めに学校耐震化を進めたいという対応です。これはいいことです。

●山梨県内の小中学校の1001棟のうち258棟で安全性が確保されておらず、そのうち50棟ほどで倒壊の危険性が高いとされています。
 甲府市の公立小中学校の校舎と体育館の耐震化率は2007年度末では67.3%ですから、まだまだ遅れています。しかし今年度中には79.9%とし、2011年度までには100%達成とする整備計画です。また6月議会の当局答弁では、国の補助率の改正を受けて「児童生徒の安全確保は最優先で」「可能な限りの整備計画の前倒しが出来るよう急ぎ協議を進めているところです」としています。これも当然ですがその努力を評価すべきです。

●しかし、マスコミも、議会も、行政当局も「子どもの安全最優先」「待ったなしで耐震化を」と主張してくれていますが、
どうして幼稚園や保育園の施設の耐震化をいわれないのか実に不思議です。
 特に、保育所は朝早くから遅くまで、平日だけでなく土曜も小さな子どもさんを預かっています。しかも保育所は夏休み・冬休み・春休みもなくゼロ歳児からの子どもさんを預かっています。ですから、保育所施設の耐震化は小中学校市施設と同じように、またはそれ以上に急がなければなりません。それが、どうして保育所の早期耐震化の方針がないのでしょうか? 実に不可解です。

●ところで保育所は、安全でしょか? かなり危険です。厚生労働省の20074月の調査では、耐震診断の実施も認可保育所は31.8%で公立小中学校では89.4%です。つまり保育所の耐震化は極めて遅れているし危険なのです。

 甲府市の保育所の耐震化を調べてもらいました。甲府市の保育所も極めて遅れています。

  
 甲府市内保育所の耐震化状況 (19年4月現在)

・危険性が高いとされる1981年以前の施設は26棟

・その26棟の内 耐震診断を実施した施設は8棟のみ

・耐震診断を実施し 診断結果が×となった施設は4棟のみ

・耐震改修を今年度までに実施済みまたは実施予定の施設は2棟のみ

            
●これでは、耐震改修を必要としているほとんどの施設が今のところ何も耐震化がされていない状態です。お膝もとの甲府市立中央保育所でも耐震診断をしたところ、結果は×で改修の必要性ありとされていますが、その改修の予定がまったくありません。これはよくありません。

●私は、議会の委員会のたびに「保育所の乳幼児が、小中学校の生徒より地震に強いということはまったくない。早急な保育所施設の耐震化を」と主張してきました。また、このたび甲府市立保育所保護者協議会でも、保育所施設の早期耐震化をもとめています。

 まだまだ声が小さいのかもしれません。今回の四川と岩手・宮城の地震からしっかり学び、もっともっと声を大きくして全ての保育所と学校施設と全ての児童館などの子どもの施設の耐震化を早期に実現させねばなりません。

2008年6月12日(木)


後期高齢者医療の滞納問題で具体的な詰めができていません


悪名高い「資格証明書」の交付とは

6月議会の準備で調べながら気がついたことをありました。例えば、国保と後期高齢者医療の「資格証明書」の問題です。

●高い甲府市の国保保険料は、払えたくても払えないという滞納状況を作り出しています。滞納が続くと、保険証が取り上げられ、保険証がないという証明である悪名高い「資格証明書」の交付になります。
 甲府市でも「資格証明書」が増えています。甲府市の「資格証明書」は5年ほど前は100世帯ほどでしたが、現在では443世帯548人の方に「資格証明書」が交付されています。つまりこれらの方々には保険証ないのです。そして、その方々は病気になっても診療所や病院に実質的にいけないのです。

●甲府市に問い合わせましたが、昨年度「資格証明書」が交付された人、435名のうち、医療施設に行った人は、わずか(短期保険証の切れた方も含めて)7人、また頑張って保険証を再び得られた人は、わずか2人のみでした。
 つまり国保でも、「資格証明書」が交付されたら、実質的は無保険・無医療のままとなります。だから「資格証明書」の交付は出来るだけストップししっかり抑制しなければ市民の健康と生命は守れないのです。

●特にこの「資格証明書」が75歳以上の後期高齢者に機械的に乱発されたら大変です。国保よりひどいことになります。ほとんど「資格証明書」を交付された75歳以上の高齢者は「病院にもいかないで自宅で死ぬこと」となってしまいます。

後期高齢者医療制度は現場に相談と対応の権限がない

●ところで甲府市の国保でも、「資格証明書」を機械的に交付しているわけでもありません。担当者が滞納されている方との相談の中で、「この金額を払ってもらってあとは分納で」とか、場合によっては「この場合は減免が適用されます」とかのケースに応じての対応を行っています。これは、国保は市町村が実施主体だから現場の担当者にその相談と対応ができるのです。

●しかし、今のままの後期高齢者医療制度では、市町村で責任ある相談と対応ができないのです。市町村では、保険料の徴収の業務はまかされていますが、後期高齢者医療制度の実施主体は広域連合であり、市町村で判断し処理していく権限がありません。これは大変な後期高齢者制度の制度上の欠陥だと思います。
 資格証明書」の交付を機械的しないために、「資格証明書」の発行に至る前にやるべきことは、かなりあり、やらなければならないのですが、このままではやるべきことができません。

●そこで私は、甲府市の福祉部に強くお願いしました。甲府市から山梨県後期高齢者医療の広域連合に申し入れ、「市町村の滞納相談における対応上の権限」を明らかにする実務上のつめが必要だと考えたからです。
 甲府市の高齢者福祉課でもこのことを心配していて、申し入れをすぐに行ってくれるとのことでした。

●後期高齢者医療制度は時間がたてばたつほど様々な問題が出てきます。やはり廃案にして老人医療制度と国保の改善からはじめるのが正しいと思います。

2008年5月29日(木)


障害者問題で「わかったフリ」は間違いのもとだと思いました

●一人一人のそして一つ一つの家族の生活実態における苦しさや不安は、そこに身を置く人でないとなかなかわかりません。今回、私は障害児者の問題では「特にそうだな」と考えさせられました。

●甲府市には地域生活体験事業と言う障害福祉の事業があります。これは「障害者がグループホームなどで自立的な生活を営むことができるよう、地域生活を体験できる住居(体験寮)を提供して、自活能力と自立意欲を高める支援を行うことにより、在宅の障害者等の社会的な自立を促進する」(甲府市)というものです。

 家庭で親とともに暮らしている障害者には親離れ子離れの機会をつかむのは極めてむつかしい。親もやがては年取り体が動けなくなり、そして子どもだけが残る時がきます。障害者の家庭でこの不安を強く持っていることは当然です。そこで、親が元気なうちに子どもの障害者の「親離れ子離れ」「家庭から地域へ」の体験訓練を行う地域生活体験事業は、その家族にとって安心と希望を与える大切な事業です。

●私にも、ここまでは言葉的には理解できました。ですから、施設に訪問し訓練を視察したり、地域生活体験事業の利用者負担の軽減を何回も取り上げ、負担軽減の具体化に協力してきました。そこで、私は甲府市議会ではもっとも「かかわりの強く取組んできた」議員と思っていました。

地域生活体験事業の負担軽減 

・一 泊    3.000円 →  1.700

・一週間    15.000円 → 10.000

・一ヶ月    60.000円 → 40.000



●ところで、
2008年度からいままでこの事業を担ってきた委託事業者が、新年度からは継続できないとしてきました。
 この事業は、大切な事業ですから、利用状況も確実に伸びてきました。

      地域生活体験事業のべ利用宿泊数と伸び率

  2004年度   39   100%

  2005年度  310   795%(前年度より795%増)

  2006年度  769  1971%(前年度より248%増)

  2007年度  945  2423%(前年度より123%増)


 数字の上でも事業としては大きな成功を示していますが、肝心な委託事業者が継続できないのでは困ります。要因としては、やはり経営がなりたたない、採算が合わないことが大きいようです。行政としても「大切な事業として」継続に向け委託業者を探しています。しかし、どうも簡単に「泊まれる替わりの委託事業所をいくつか探す」ぐらいに考えていたようですし、しかも「この際だから支出も削減したい…」との思惑?もあったようで予算も1000万円から586万円に大幅ダウンとしています。

 この事態に対して、「かかわりが強く取組んできた」はずの私自身も「成果のある事業はとにかく継続すべき」「この予算の大幅削減は問題だ」とは考えていましたが、それ以上の気迫はもっていませんでした。

ゆっくりだけど、ささやかだけど、大きな成果があった福祉事業

●今までこの事業を利用していた障害児者の家族の方から話を聞く機会があり、また障害福祉課の課長・室長と利用者家族との懇談会、そして市長対話にも参加して、自分自身の認識が不充分だったことがわかりました。

・「体験することで知的障害の子どもがいろんなことができるようになりました。家にいると甘えてしまってできなかったが、食器を洗ったり、フトンをたたんでくれたり、プラスの部分がいっぱい出てきました。人との交わりでできるようになってきたのです。この事業がとまってしまって、本当に残念」

・「ダウンで何もできないだけでなく、自傷行為で頭を床にぶっけることまでしていました。トイレのあと始末も食事も、何一つできないで、テレビを親と視て寝るだけの生活。しかし体験事業のスタッフと皆さんとの交流のおかげで、フトンを片づけたり、一人でお風呂に入ることなど、『アー、こんなこともできるようになったんだ』とゆっくりだけど親が驚くくらいに成長が目に見えてわかるようになりました。家にいてはできない成長ができています。これは皆さんとの交流とケアのおかげ。その成長がここ2ヶ月体験事業が止まることによって、またもとに戻るのではないかと心配です」


・「障害者は、健常者にわかる以上に感受性が鋭い。雰囲気が暖かくないと自分で壁を閉ざしてしまいます。また、タオル1枚のたたむことも、親が言うと手をひいてしまってやらない。暖かい雰囲気の中で他人がやると、覚えてやっていきます。ゆっくりと子どもが成長してきたことがわかります。『どこでも泊まる場所があればいい』ということではありません。この大事な事業をぜひ続けて欲しい」

・「今まで全て親がやってきました。この事業のおかげで『シャンプーは自分でやる』となってきました。おかげで夫婦喧嘩しなくなってきました。お父さんの顔色もよく、子どもの成長をみて夫婦も変わってきました。子どももこの体験を喜んでいます。出かける時は、声をかけなくてもカバンをもって立っているほどです。親離れ子離れをする大切な事業です。ぜひ、再開してほしい」。

●甲府市の生活体験事業は、ゆっくりだけど、ささやかかもしれないけど、実は障害児者の家族にとっては、大きな成長を保障した本当に大切な事業でした。私もこの声を直接お聞きして、この事業の大きな意義をようやく感じ取ることができました。私としても、この事業の継続と発展を強く、強く求めて生きますが、甲府市の障害福祉課の方にもこの声がようやく届きはじめたと思います。

●私は、今回この問題で改めて考えさせられたことは、「一人一人のそして一つ一つの家族の生活実態における苦しさや不安は、そこに身を置く人でないとなかなか分からない」ということです。だからこそ、しっかりその傍に寄って声と状況をつかむ努力をしなければならないということです。特に障害児者の問題はそうでした。

 保護者のあるお母さんは「もっと人間としてみて欲しい。数字ではなくて」と障害福祉課の方々に話されました。私自身「数字で知ったかぶりをしていてはいけない。もっともっと生活に近づかなければ」と考えされられました。

2008年4月30日(水)


「公的医療と健康・いのちを守る請願署名」行動をします

●今の日本の医療制度は、後期高齢者医療制度の発足にみられるように、様々な混乱の中で、公的な医療制度そのものがつぶされてきています。それは、後期高齢者医療制度の発足に連動して様々な弊害からはじまっています。

@例外を除きほとんどの後期高齢者世帯の保険料は増額となっています。

A国保や各健康保険の保険料が引き上げられはじめています。

B公立病院の「公立」の責任をあいまいにする経営形態の合理化が政府の指導ではじまっています。それによって、不採算部の産科・小児科・救急医療などが廃止や休止となっています。ベット数の削減も行われはじめています。

C医療内容に年齢と貧富の格差がはじまっています。特に保険料滞納者には保険証取り上げという無医療状態が強いられています。

D政府の考えていることは、後期高齢者医療制度による75歳以上の「姥捨て山」化に限らず、医療にかかる公費削減のための公的な医療制度の破壊です。たぶん、公的医療制度のないアメリカ型を目指すのでしょう。

Eそのため政府の方針は、まず安上がりな医療を目指して「自己責任」を求める「在宅介護」から「在宅看護」さらには「在宅死亡」を考えています。

●したがって、全ての国民の公的な医療と健康・いのちを守るためにも、後期高齢者医療制度の廃止と各健康保険の保険料の値上げを認めず、公立病院の「医療の公立性」を堅持しなければ成りません。

●これは、生存権を守る立場からの護憲運動だと思います。
 そこで「医療と健康・いのちを守る請願署名」(PDF)をつくりましたので、5月3日の憲法記念日からはじめていきます。ぜひご協力ください。 

2008年4月21日(月)


 高齢者の不安と怒りが後期高齢者医療制度で高まっています


●後期高齢者医療制度、政府はネーミングをよくするために「長寿医療制度」と通称で言い換えていますが、問題は中身です。高齢者泣かせの大変な混乱がはじまっています。

●甲府市の後期高齢者福祉課に現状を問い合わせました。報告は次の内容です。


    甲府市高齢者福祉課における後期高齢者医療制度の状況報告

 @問い合わせ (3月21日から4月18日現在まで)

  ・電話の問い合わせ 2,270件

  ・市役所窓口で     847件  計3,117件
 
 ※主な内容は、「保険証が届かない」「保険料の徴収方法と保険料額」「保険制度の内容」など


 A戻ってきた保険証 

   ・212件

B保険証の再交付件数(4月17日現在)

  ・152件

 C市役所に戻っている保険証の数(4月17日現在)

  ・112件

D甲府市の対応としては

  ・窓口対応職員を1名増員して高齢者福祉課20名で対応

  ・来庁者の待合スペースを広げた


  ・介護保険課及び福祉総務課でも電話を受ける体制を整えている


●かなりの不安と混乱です。もちろん市の高齢者福祉課の職員の皆さんも、日々この対応にのみ追われ続け大変な状況だと思いますが、本当に大変なのは後期高齢者とされたみなさん達です。

 今の市民生活は大変ですから、国保の保険料が値上げや市民税の増税などがあると、市民からの問い合わせが市役所の窓口や電話に殺到します。しかし、その中でも今回の後期高齢者医療制度に伴う問い合わせ件数の大きさは群を抜いています。

市民の問い合わせ状態を比較してみました

12007年6月の市民税(税源移譲と定率減税廃止時)では

   納付書を発送した普通徴収の対象者は、42614件 

 電話683件 窓口111件 計794件(63日から15日まで)

 問い合わせ率 1.9

220078月甲府市国保保険料の値上げでは

  納付書の発送数 43000

  
電話381件 窓口498件 計879件(816から31日まで

   問い合わせ率 2.0

 32008年3月から4月後期高齢者医療制度では

  保険料対象者数 24400

  電話2270件 窓口847件 計3117件(321日から415日)

   問い合わせ率 128

●こうしてみると、今回の後期高齢者医療制度での問い合わせの数と率が極めて高いことがわかります。これは、私の知っている限りではもっとも高い状態です。つまり対象者の不安や苦情の強さ・深刻さがわかります。

 特に被保険者(保険の対象者)が高齢者だからこそ行政はしっかり配慮しなければいけませんが、実際は、高齢者への丁寧な対応はできていません。逆に今まで「世帯単位」の保険だったものから新に「高齢者個人単位」の保険に引き離したことからも様々な混乱を招いています。当然、保険料や医療内容などこれからも様々な問題を引き起こしていくことが考えられます。

421日の『朝日新聞』の世論調査では、内閣支持率は25%に急落、後期高齢者医療制度を「評価しない」が71%、ガソリン税の再議決による「暫定税率の復活反対」が63%でした。やはり国民は生活苦を招く政治に不満と不安を強く抱いていることは確実です。

2008年4月4日(金)


 「長寿」か?「後期」か?混乱の中で後期高齢者医療が出発?

●後期高齢者医療制度が、強引にこの4月からスタートしました。市町村の自治体はこの後期高齢者医療制度でテンテコ舞いの忙しさです。その上さらに、4月1日の閣僚懇談会で「ネーミングが良くない」と福田首相が発言。それによって
「長寿医療制度」か「後期高齢者医療制度」か?と名称問題でのドタバタの混乱もはじまったのです。

●私も問い合わせて調べてみました。このネーミングをめぐって厚生労働省から都道府県広域連合に事務連絡が4月2日におりていました。それによると「身近で親しみやすい『通称』として、この制度を『長寿医療制度』と呼ぶこととします」「文書においては、この制度について、『長寿医療制度(後期高齢者医療制度)』との記述にしていただきたい」しています。また政府内に「長寿医療制度実施本部」の名称で本部が開催されるとのことです。

 これでは、「『通称』が『長寿」です」としているものの、実質的には「後期」から「長寿」へのネーミングの変更です。


●この名称でのドタバタも、政府が真剣に高齢者の医療を考えていなかったことの現れであり、またこの制度が具体化すればするほど「後期高齢者医療制度」への国民からの風当たりが強く、少しでも目先を変えようという狙いだと考えられます。

 ネーミングを変えても実質はかわりません。問題は高齢者への医療内容と保険料の負担額がどうなるのかです。甲府市では年間の保険料が平均一人当たり7万1154円です。75歳以上のご夫婦の場合、平均では一世帯で年間14万2308円です。これは大変な負担額です。

●この4月に、75歳以上の個々の主な年金後期高齢者の方に保険料額の通知が郵送されます。甲府市では4月8日(火)発送とのことですから
4月9日(水)に届きます。ぜひ、ごらんになってください。

●そして、この4月15日の年金支給日には、
4月分と5月分の保険料が天引きされます。

 甲府市では2ヶ月間の保険料は平均して一人1万1859円が天引きされます。介護保険料分もいれると一人
平均1万9460円にもなります。

●その上、さらに75歳以上からは年齢と言うことで、保険がきかない検査や治療がはじまります(これは高齢者への差別医療と言えます)。やはり、この医療制度は、安心できる長寿のためにも廃止が一番いいと考えられます。

2008年3月24日(月)

  現代版「姥捨て山」の後期高齢者医療制度に同意できません

●3月の甲府市議会は大変長く、私自身でみると2月21日の国保運営協議会から始まり、市議会本会議と予算委員会と続き、3月23日の笛南中学校組合議会で終わります。しかし、おもな審議は3月21日の本会議終了で山をこえました。
 今回の議案と審議の内容は、後日紹介しますが、私自身は大変疲れました。体重は2キロほどもやせました。ズボンのベルトの穴が1つ分お腹もへこみました。すぐ「メタボ対策にいいじゃないか」なんて言われそうですが、こういうのは健康にはよくないそうです。

●予算委員会と本会議の最終日では、今回、後期高齢者医療制度発足に伴うものに、反対する立場から討論をおこないした。ここでは、後期高齢者医療制度の問題点について報告します。

   全国で500以上の自治体議会から、改善、見直しの意見が出されています

●この後期高齢者医療制度は極めて問題です。その内容が具体的に明らかになるにつれて医療関係者はもとより、全国から切実な反対の声や批判が大きくなっています。自治体の議会でも制度の見直しをもとめる意見書や請願が相次いでいます。今現在で350自治体議会と聞いています。甲府市議会でも満場一致で 改善を求める意見書が今回採択されています。国会でも野党4党で政党の立場を超えて廃止の動きが強まっています。

●政府は、当面、反対の声をそらそうと「凍結」を試みていますが、「凍結」では、冷蔵庫にしまっておいて、様子を見て都合のいい時に引き出して食べることと同じであり、ごまかしにすぎません。

  75歳以上の高齢者の負担がいきなり重くなります

●まず問題なのは、後期高齢者医療制度の発足により、75歳以上の高齢者の負担がいきなり重くなります。甲府市の場合を調べてみました。

@甲府市の新たな被保険者数は、2万4413人ですが、年間で一人当たり 平均7万1154円の負担にもなります。
 しかも、その8割の人が年金から天引きされます。

※ 年金は月15000円以上の人は天引きです。これは面倒がないようにも見えますが、生活費のヤリクリをしながら保険料を支払うことができないだけに、ヤリクリはもっと大変になり、保険料の支払いもキツクなります。

Aいままで子どもさんや家族と暮らしていて、保険料負担がなかった高齢者も75歳以
上を理由に、これからは個人として年間平均7万1154円を超える保険料が年金か新らたな重い負担がはじまります。これらの方は、甲府市では3630人にもなります。

B甲府市の場合の負担は


後期高齢者医療制度の保険料が年平均7万1154円

介護保険の保険料      年平均4万5561円 もいれると

合計した保険料は    一人平均年11万6715円 となり

一人平均 月9730円の負担 にもなります


Cしかもこの保険料は、2年ごとに見直しがされます。
 今後、高齢者数が増えれば保険料は見直しで増額します。また、今後、医療費が増えれば保険料は見直しで増額します。したがって今後の保険料負担は、さらに重くなることは確実です

Dまた、一年間滞納すると 保険証が取り上げ(「資格証明書」という保険証がないという証明が出されます)られ、診療所や病院での支払いは全額自己負担とされます。これもいままでなかった乱暴なやり方です。

※さまざまな年金低所得者用の保険料の軽減措置がありますが、まだ、実態は私もつかめていません。わかり次第この場で報告します。
 
   重くなる負担は75歳以上だけではありません

●重くなる保険料負担は、75歳以上の高齢者に限りません。現役の勤労者世代や75歳未満の年金世代にとっても、負担を重くします。各医療保険の保険料は、これからは3本立てとなります。いままでの「医療費分」と「介護保険分」さらにこれからは後期高齢者医療制度を支援するための「支援金分」が新たにとられます。
  
●なお、70歳から74歳の一般の患者負担も1割から2割に引きあげられます。しかも入院や通院における月の患者負担の限度額も引き上げられます。

 
通院の限度額月1万2000円が→月1万4600円となり負担増に

入院の限度額月4万4400円が→月6万2100円となり負担増に


 例えば、入院で月6万5000円の窓口負担をした人は、いままでは、2万600円が戻されますが、これからは、わずか2900円しか戻されないのです。
 入院などの困ったときにこそ、冷たくされ負担が重くなるのです。
 この患者負担については「凍結」後の2009年4月1日からはじまります。

●私の家庭には、今年92歳になる母がいます。今回の新医療制度発足にともなって今までの国保保険料が「支援金分」で増額します。そして母の後期高齢者医療制度による新たな保険料負担がはじまります。我が家では、合計して年間約10万円の負担増となります。

これは、我が家だけではありません。甲府市ではこれまで保険料の負担がなかった方 3,630人に新たに重い負担がはじまり、我が家と同じような状況となるのです。


   75歳以上からは根拠のない治療や検査の制限が

●さらに、今後の医療内容についても極めて問題があります。病院・診療所においても患者さんの75歳以上という年齢によって診療報酬に格差がつけられるからです。 つまり、患者さんの75歳以上という年齢によって「いずれ死を迎えるから」「治療が長引くから」と、治療や検査が制限され必要な医療が保険で受けられなくなる危険性があるのです。
 これは、医学的にも科学的にまったく根拠のない高齢者差別ともいえます。これでは保険証を取り上げられた高齢者ばかりでなく、75歳以上の年齢の方は、結局のところ「病院にくるな」「自宅で死ね」というのと同じこととなってしまいます。

   国の狙いは医療費のコストを下げたいだけ

●個々の高齢者を家族の保険から引き離し、個々に重い保険料を押しつけ、払えなければ保険証を取り上げます。このことを政府は「持続可能な国民皆保険制度」といいます。
 75歳という年齢で「保健医療の差別」おこない、「在宅死」に押し込めることを政府は「高齢者の暮らしに配慮した治療」といいます。
 これらは、単に医療費のコストを下げるための方便でしかありません。

   自治体におけるさまざまな困難さと、そのしわ寄せも高齢者に

●自治体においても、後期高齢者医療制度をはじめとする新たな医療制度はいくつもの困難さを招いています。
 様々な自治体の業務量の増大と財政支出の増大がはじまっています。甲府市の場合調べてもらいましたが、老人保健事業と比べ、また国や県からの交付金と相殺しても約2億3500万円ほどが実質の支出増となるそうです。そして、保険料の徴収・保険証の取り上げなどの苦しいことの矢面はすべて市町村自治体です。

●とくに国の後期高齢者医療制度をはじめとする今回の高齢者医療制度の大きな後退は、それまでおこなわれてきた自治体独自の高齢者への医療費助成制度の維持を、財政上、極めて困難にしました。残念ながら甲府市の65歳以上医療費助成制度もそうですが、全国の自治体で、今、独自の高齢者医療の助成制度が後退しています。ここでも、そのしわ寄せは、高齢者とその家庭です。

   高齢者を大切にしない社会には健全な未来はない

●3万人を超える自殺大国である、ストレス社会の日本は、これまで働き盛りの人を自殺に追い込んできました。今、75歳以上の高齢者の自殺も増えてきました。この後期高齢者医療制度が、このままの状態で具体化すれば、今後必ず、生活苦と病苦から75歳以上の高齢者の自殺を増やすことは確実です。

●これまで社会を担ってこられた高齢者を、尊敬しない政治は悪政となります。高齢者を大切にしない社会は、人の心を大切にしない社会となり、社会の健全な発展と未来を奪うものとなります。

●新年度より本格化する現代版の「姥捨て山」を許したくはありません。後期高齢者医療制度は、凍結や部分的な是正ではなく、抜本的な見直し、つまり廃止が当然だと思います。

2008年2月18日(月)


給食費などを援助する就学援助制度の現状はどうなっているのか?

給食費未納問題を考える そのC

●学校給食費の未納問題で、まず公的に考えたいのは就学援助制度の現状です。就学援助制度とは、保護者が生活に困り、子どもの義務教育を受けさせるのに困った場合、給食費・学用品・修学旅行費などの費用を公的に援助する制度です。

●結論から先に言いますと、本来、国の事業である就学援助制度を、国は財政も含めて自治体に全て押し付けている中で、就学援助制度が充分に機能していない事態があることです。つまり困難な家庭に対して給食費援助など必要な援助が充分になされていない傾向があるということです。ここでも財政上の問題も含めて国の責任は大きく、むしろ「国のモラル」が問われているのです。

●さて就学援助制度は、現在、義務教育にとって極めて重要な制度となってきています。
 この間の子どもの保護者の生活苦の中で受給者率が非常に高くなってきています。甲府市は、1999年は7.25%でしたが、2007年1月現在で9..42%で市内の小中学生の1400人以上が受給者となっています
図@。
甲府市などはまだいい方で自治体のよっては30%を超えているところもあります。

●この就学援助制度の予算はどうなっているのかです。この就学援助制度の事業は、本来国の事業ですから、国が全額見るべきですが、国の補助金は原則2分の1=50%とされています。しかし、降りてくる補助金の実態は35%ほどのものですから残りは市町村自治体でした。しかも、小泉改革の中で大幅な削減が続きました。そして2005年度からは実質的に補助金が全額カットされました。甲府市の場合も図Aのように補助金がカットされ国の補助率は実質的にはゼロの状態です。

●国は「補助金はカットするがその分は地方交付税に算定してある」としますが、地方交付税そのものが大幅に削減されていますから、実質的には補助金カットは、そのまま市町村の財政負担になるばかりです。

市町村自治体の財政は大変です。この間の社会的な貧困化の中で就学援助の受給者は増え続け、補助金はカットされるのですから、財政上の負担は増すばかりです。図Bは甲府市の補助金を差し引いた就学援助にかかった金額です。10年ほど前には5000万円ほどの予算が現在では1億円をこえています。

●こうなると、市町村自治体はどのような財政上の対策をはかるかです。「予算を増やさないために、受給者数を多くしたくない」「受給者数をしぼりたい」と考えるのが普通です。これはもちろん財政上の対策であって子どものための教育上の対策ではありません。

●残念ながら、甲府市もその対策をとってきました。甲府市は2006年度から「就学援助申請書」を変え「家族状況調査」の記入を求めています。つまり申請があっても認定を厳しくして受給者数をしぼるやり方です。私がこのことに気がついたのは、昨年の決算委員会でした。社会的な貧困化傾向の中で、当然2006年度も増えるはずの受給者率がなぜか2006年度から減ったことに疑問を持ったからです。図@の2006年と2007年を見てください。受給率が減りはじめているのです。

●決算委員会で質問したところ、「基準以上の所得のある同居の人がいると認定されない」とのことで、その場合、「血縁関係には全く関係なく考えている」とのことでした。これについて、私はその場で「その子どもさんの扶養の義務がない人たちと同居していても、同居しているからそれはダメというのはおかしい」と指摘しました。
私は、甲府市の就学援助の「同居人」問題は、今後の大きな課題として是正に向けて取り組んでいくことにしています。なぜなら子どもを義務教育に就学させる義務(=就学義務)は保護者(子どもの親権者または後見人)が負うものであり「同居人」ではありません。また同居しているからといってさまざまなケースがあり家計の同一性が必ずあるとは限らないからです。いずれにしてもこの受給者をしぼるやりかたは子どもの教育から考えると好ましくありません。

●さて、こういった就学援助制度の現状は全国の市町村自治体にあり、受給者をしぼるやり方も甲府市だけではないと思われます。そして給食費の未納問題に戻りますが、就学援助制度が充実しているのなら、未納問題も起こらないはずです。例えば、私は問題があるとした文部科学省の給食費未納調査でも、その未納原因として「保護者の経済的な問題」は約33%ありました。どう考えてもこの約33%は就学援助の対象です。教育行政はこの約33%はすぐにも未納対策として就学援助を具体化すべきです。

●私は学校給食費未納問題で「モラルのない保護者」を強調する前に、国が、財政も運営も自治体任せにしている就学援助制度の現状をみると
「モラルのない政府・教育行政」と言わざるを得ません。

2008年2月16日(土)

学校給食は『食事サービス』では なく教育であり教育の中身です
給食費未納問題を考える そのB

●なんか学校給食未納問題で「親の身勝手は許されないモラルの問題だ!給食の中止も!」と憤る人は、何か勘違いしているのではないでしょうか? たぶんマスコミ関係者も含めて学校給食を「食事サービス」と思い込んでいます。

●インターネットでこの問題での新聞社説もすべて読みましたが、この問題の調査研究が足りないようです。特にひどかったのは、青森県の『東奥日報』でした「学校給食法では、給食費は保護者負担としており、無償で配布される教科書などとは扱いが違う。給食のための施設費や人件費は自治体負担としており、給食費は児童生徒が実際に食べる食材費だけだ。自分の子どもたちが食べるものを親が支払うのは当然の務めだ」(社説1月30日)。jと「親のモラルのなさ」を強調していますが、今の社会的な貧困という背景を無視していますし、それに明らかに法令上の間違いや不充分さがあります。

●間違いや不充分さは4つあります。
 
1つは「給食費は教科書代と扱いが違う」のではなく正しくは「教科書代と同様」です。したがって「教科書の無償」と同じく、「給食の無償」も当然なことです。先に紹介した北海道の三笠市では小学校給食を無償にしているではありませんか。
 
2つは「給食費は実際に食べる食材費だけ」ではありません。もちろん本来の原則は「食材費だけ」にすべきですが、「食材費等」とされているので自治体によっては残念ながら食材費以外に光熱費や学校給食会費用なども入れるところもかなりあります。法令関係は『学校給食関係法規資料集』『学校給食必携』を見ていただきたいと思います。
 
3つは、学校給食をその子どもと保護者に対する「食事サービス」だと思い込んでいることです。学校給食は単なる「食事サービス」ではありません。「給食は教育の一環」という言い方もいい意味でしますが、本当は正確ではありません。正しくは「給食は教育」であり学校教育そのものです。このことは学校教育法・学校給食法・学習指導要領・指導書にも明記されています。教育基本法の改正によってこれから学校給食法も改正されますのでこれからはどうなるか分かりませんが、でも、とにかく学校給食は単なる「食事サービス」ではないことは変わりようがないはずです。
 
4つは、給食費未納問題で「モラルのない親」に憤るのなら、そのまえに「モラルのない政府・教育行政」にも憤るべきです。その典型は、国の責任である就学援助制度の現状はどうなっているのかです。この就学援助制度の現状に目を向けないのは、極めて不充分です。

●さて、この滞納問題を取り上げたマスコミの主張は、1月の文部科学省の、学校給食費未納調査と「保護者の責任感や規範意識の問題」という分析に基づいています。やれやれ残念だなーと思ってしまいます。もっと地域生活に密着した記事にしないと、行政の発表だけが「報道のもと」(=ニュースソース)では、情けないと思います。現在の社会経済情勢は、ますます生活苦と格差化が進んでいます。もし保護者の誠意の問題とかモラルの低下があるならば、この生活苦と格差化がモラルを低下させていると思います。そして、誠意もモラルもありながら「払いたくても払えない」家庭も多くあるはずです。マスコミ関係者はもっともっと普通の市民からの取材に力を入れるべきです。

●沖縄の新聞社は、給食費未納問題で沖縄県が最も「全国最悪」として、県教育長の「単に給食だけの問題ではない。沖縄の大人の意識、モラルにかかわる問題だ」との発言も掲載しています。しかし、沖縄の失業率などの雇用問題、県民所得、最低賃金などいずれも「全国最悪」です。簡単に県民の意識やモラルの問題にしないで、県土の多くがいまだに米軍基地に占有され続け普通の経済活動も阻害されて
結論から言いますと、本来、国の事業である就学援助制度を、国は財政も含めて自治体に全て押し付けている中で、就学援助制度が充分に機能していない事態があることです。つまり困難な家庭に対して給食費援助など必要な援助が充分になされていない傾向があるということです。ここでも財政上の問題も含めて国の責任は大きく、むしろ「国のモラル」が問われています。

2008年2月14日(木)

給食未納問題を解決する最善の方法は給食費の無料です。
給食費未納問題を考える そのA

●ところで、学校給食費の未納問題で最善の対策は給食費を無料にすることです。給食費は無料にしても全く問題はないのです。学校給食は、単なる「食事サービス」ではありません。教育です。この教育である学校給食の給食費の位置づけは、学校給食は、教科書代と同様の性格をもつものと解せられる」(昭和32・12文部省管理局長)とされています。 給食費の保護者負担の問題では、学校給食法第6条第2項の規定がよく言われますが、この内容は保護者負担の範囲を示したもので、「保護者に公法上の負担義務を課したものではない」(昭和33・4文部省管理局長)。
 したがって、教科書代と同じですから無償にむけて努力していいのです。
 また、自治体段階でも給食費無償をおこなってもなんら差し支えはないのです。「保護者の負担を軽減するために、設置者が学校給食費を予算に計上し、保護者に補助することを禁止した趣旨のものではない」(昭和33・4文部省管理局長)とされています。

現に小学校給食の無料化をはじめている自治体もあります

●現に、北海道の三笠市は「少子化対策の一環」として2006年度より小学校給食を無料にしています。三笠市は「限られた財源の中で、地域全体で子どもを育てると言う考えから、4月から小学生全員の給食の無料化を実施しました。・・略・・今後は給食費の無料化を市の一般財源だけでなく、国や北海道にもはたらきかけ、少子化対策の財源援助を強く要請していきます」としています。この政策は大変立派だと思います。そして松戸市のような問題は三笠市では絶対に起きないと思います。

  甲府市の給食の未納は少なく、地域間の格差もあります

●ちなみに、この文部科学省の調査では。
 
山梨県の学校給食費未納家庭の児童数は、612人で児童数の0.8%。未納額の総額は500万円で給食費総額の0.4%でした。
 甲府市の学校給食未納家庭の児童数は9人で児童数の0.1%のみした。未納者がいた学校数も2校のみでした。未納額の総額も約20万円弱に過ぎませんでした。

●私たちの甲府市では大変少ない現状で、保護者や学校関係者の努力もあったと思います。同時に、山梨県内でも自治体間の格差があると思います。例えば、一番給食の未納が多いのは沖縄県ですが、県民の所得や雇用状況がもっとも困難な県は沖縄です。給食費の未納問題と社会的な低所得や雇用問題は密接に関連していると思います。

●この給食費未納問題では、そもそもの
学校給食の目的就学援助制度(行政が給食費・教材費・修学旅行費などの費用援助)ついても次回検討しなければなりません。

2008年2月12日(火)


 「給食費滞納の児童を名指し」これでは教育ではありません
給食費未納問題を考える その@

●2月9日の『中日新聞』には次のような憤りを感じるつらい記事がありました。
 「水戸市立小学校の低学年クラスで今月、担任の30代女性教諭が児童全員を前に、1人の児童を名指しし『(給食費や教材費に)未払いがあり1万円あまりになる』と発言していたことが分かった。別の児童の保護者が学校側に連絡して発覚し、教諭は児童に謝罪。市教育委員会は「本人の心を傷つける配慮に欠けた発言」として再発防止を指示した。
 市教委によると、発言があったのは5日午後の『帰りの会』で、教諭は学校からの連絡事項を児童に書き取らせていた。市教委は給食費などの滞納については通常、督促文書を保護者に封書で届け、児童には分からないようにしているという」。

●この、女性教師は大変心無いことをしたと思います。教育の現場でこのようなことは許されません。育てなければならない小さな子どもの心に傷をつけたのではないか心配です。これは子どもの教育権の侵害でもあります。
 しかし、この問題には、背景に水戸市の教育委員会の方針があるのです。この女性教師が「滞納家庭の児童を名指しする」ような教育行政が強められていたのです。この問題の直前の2月7日『朝日新聞』の報道を見てみましょう。

 水戸市教育委員会の給食費滞納への強行策がこの問題をまねいた

●「給食費の滞納を防ぐため、水戸市教育委員会は08年度から、保護者に支払いを約束させる『確約書』の導入を決め、市内の全小中学校に配布した。経済的な理由以外での給食費滞納を減らすための『対抗策』だ。保護者から今年度中に回収する予定だ。…確約書は教育長と学校長の連名で、学校給食費を『遅れずに納入』『遅れた場合は、誠意を持って未納金を納入』と明記。改善がみられない場合、『水戸市が学校給食の提供を中止することについて異議ありません』とし、保護者に署名を求めている」。

●この水戸市教育委員会の強硬な滞納対策が、今回の女性教師のクラス全員の前で名指ししたことの誘因であり背景になっています。

文部科学省の未納調査と保護者の責任重視の方針はおかしい

●しかし、調べると水戸市のような方針を持ちはじめた教育委員会は市川市・山武市・宇都宮市・笛吹市などいくつか現れています。今後さらに増える可能性があります。それは、全国的に給食費を滞納する家庭が多くなっていることと、それに対して文部科学省の給食費未納への取組強化の方針があるからです。
●1月24日文部科学省は、
学校給食費未納についての初めての調査を発表し、県教育委員会に納付の対応強化についての通知を出しました。この調査によると全国の国公私立の小中学校で2005年度の給食費未納は、全児童生徒の1%にあたる約9万9000人。未納の給食費は総額約22億3000万円ほど。未納者のうち60%について、学校側は「保護者の責任感や規範意識の問題」と認識、「経済的な問題」とみている33%を大きく上回ったとしています。そして、 文科省は「経済的問題がないのに納付しない保護者も多いようだ。教職員が督促に労力を割かなくてもいいよう納付義務についての周知徹底が重要」と指摘。同日、都道府県教育長らに対応強化を求める通知を出したとのことです。

●さて、こうしてみると、今回の問題は水戸市小学校の若い女性教師の個人的対応の問題とはいえないことがよくわかります。水戸市教育委員会に要因があり、さらにまた文部科学省の方針に大きな要因があるのです。

子どもの教育を考え、教育的な配慮と環境を目指すはずの教育委員会と文部科学省が学校給食の未納を主に収納強化対策に求めていくようでは、公教育の破壊につながります。水戸市教育委員会は「児童にはわからないようにする」などといっても、給食の時間に未納家庭の子どもにだけ「給食の中止」「家庭から弁当をもってこい」などとしたら「児童にはわからないようにする」というようなことは絶対に不可能です。

●もちろん、保護者の中にはいい加減な人もいるはずです。立派な車や遊びにお金を出しても子どもの給食費は払わないという親も増えていると思います。しかし、もっともっと増えているのはまじめに働いても生活が苦しくなるばかりの家庭です。

●この文部科学省の調査では「未納が生じる主な原因は何だと学校側は認識していますか」との問いに

    
@「保護者の責任感や規範意識の問題」が60%
       A「経済的な問題」が33%
       B「その他」が6.9%

 このことに基づいて「未納原因の多くはお金の問題ではない。保護者の責任感・モラルの問題だから厳しい対応を!」となっています。しかし、この調査は極めて一方的です。私は調査用紙も調べてみましたが設問はこの@からBまでしかなく、いわば二者選択的であり、学校側の主観的な認識をたずねているだけのものです。つまり、経済状態の客観的な調査・分析による判断ではありません。

●今日では表面上の装いとは異なり、実際、生活に苦しんでいる家庭は多くあります。また、
生活苦があるからこそ、若い親によっては学校と子どもに対してもモラルにかける状態になることも多いと思います。

●もし保護者が経済的理由ではなく本当に「モラルのない保護者」なら、その対策は「給食の中止」などといった子どもへの対策ではなく、その問題ある親への対策をすべきです。
 極端な話ですが、例えば、親が犯罪者であったとして、その子にはまったく罪はありません。むしろ、そのような劣悪な家庭環境にある子どもこそ社会と公教育は守らなければならないはずです。もし、本当にお金があるにもかかわらず、子どもの給食費を払わないで当然とする「モラルのない保護者」がいるとするなら、実質的には給食費未納にとどまらず家庭内でも子どもを育てる義務をさまざまに放棄していることがあり、それは子どもへの虐待の可能性もあります。それなのに子どもへの「給食を中止する」ことを未納対策として掲げるのでは、教育行政が「モラルのない保護者」と一緒になってその子どもを虐待することと同じになってしまいます。
 給食費の未納金の徴収も、まず子どもの教育の立場から考えていく必要があると思います。そうでないと「モラルのない教育行政」になってしまいます

2008年2月1日(金)


 中国産の冷凍ギョーザ食中毒問題で考えたこと

●1月30日、中国産の冷凍ギョーザによる食中毒が明らかになりました。私はTVではなく、翌日の新聞で知りました。この30日夕以降、「ギョーザを食べて体調を崩した」という訴えが各地で相次ぎすでに400件近くなっています。各保健所や警察などでは31日から因果関係の調査を始め、政府も中国政府と協力して原因を究明する方針といいます。輸入したジェイティフーズや加ト吉・味の素は・江崎グリコは、その中国食品会社の製品の自主回収をしはじめました。

この事件は、30日に起きたのではなく一ヶ月前に最初の被害が発生していました。つまり行政や警察が発表し、商品の発売企業も自主回収に乗りだしたのは、その1カ月遅れということです。ここでも早い時点での対応がなかったことが、結果的に被害を拡大しました。

指摘されている今回の食中毒問題とは、日本の食糧問題でもある

●この食中毒事件の内容の究明はこれからですが、すでに指摘されていることを整理すると次のようになります。
@ 中国製の食品の安全面での問題
A 日本政府の輸入食品が国内にはいる時の検査・監視体制の不十分さ
B 日本の輸入企業の責任。食材の安全と現地工場の衛生管理についてのチェックと指導の不充分さ
C 重大な被害が起きてから1ヶ月もたってから情報公開し対応をはじめるという行政・警察・輸入企業などの対策の遅れ
D 日本の食糧自給率が40%も切っているという食料外国依存の危険性

●私は、特に日本の輸入企業・商社の責任は大きいと思います。消費者は、よくよくその商品を見ないとどこの食材か加工や包装はどこでやっているのかわかりません。また、よく見てもわからないこともほとんどです。その商品は、日本企業名で売られているのですから、その企業がしっかりした現地での指導責任がなければなりません。

  輸入企業の責任と、類似している行政の民間委託における責任

●仕事は海外に注文してやらせて売る時は日本企業名では、ことわざにある「羊頭狗肉」(「ようとうくにく」看板には羊の肉としながら、実際は犬の肉を売る)と同じです。日本の企業名で商品を売るのなら、本来は日本の食材で、日本で加工して日本で包装すべきです。それができないのは、とにかくコストダウンを目指すからです。

●でも、よく考えるとこのやり方は、今の行政の「民間委託化」と同じです。行政の名前でさまざまな事業をしても、実際の事業は、「安上がり」とのことで民間企業に委託しています。しかし、「安上がり」は、「安かろう!悪かろう!」になりかねません。しっかりした公的な監視、チェック体制がないと必ず、問題が生じます。また、放置すると「安上がり」のはずが「実は高止まり」にもなっていきます。

2006年の甲府市中学校給食600人ものノロウィルス食中毒事件も民間委託での問題でした。このときも事故後の対応の遅れと民間業者に対する甲府市の現場での指導・監督責任の不充分さが指摘されました。やはり、本来は公的責任がしっかり確保される甲府市の直営自校方式が望ましいのです。

  食料自給率を高めなければ日本の食の安全は守れません

●それに今回の事件からも日本の食料自給率の向上は、本当に重要だと思いました。食料自給率の向上は、安全な食を目指す国の基本でなければなりません。これ以上、政府の国外からの冷凍食品などに頼る「食の国外依存症」政策を改める必要があります。

国内食料自給率をホームページによると、日本の食品の自給率は毎年下がり、2006年には40%を割り込んだといいます。

例えば、国内自給率は、食パン1%・中華めん3%・そば21%・小麦粉7%・醤油0%、たけのこ8%・しょうが15%・ベーコン5%・ビール5%・焼酎13%・豚肉5%・鶏肉7% など(「食料自給率データーマップ」より)思った以上に国外に依存しています。

●いやはや、こんな状態では、日本の食の安全、つまり生活といのちは守れません。国民の日々の安全を確保するには防衛力の増強で膨大な防衛予算を使うより、まずは食料の外国依存政策を転換すべきだと思います。

2008年1月16日(水)


新成人おめでとう! 将来の希望を棄てないで頑張りましょう!

1月は、お正月など何かとおめでたいことが多い月ですが、成人の日もめでたいものです。でも、現状はあまりめでたくない状態です。今年の新成人は135万人だそうで、過去最低数とのことです。少子化傾向はもう何年も続いているのですが、もっと問題なのは新成人を取り巻く社会的な環境がまったくめでたくない状態なのです。学業、就職、生活、結婚、子育てどれも今までになく厳しい状態だと思います。

●東京の結婚情報サービス会社「オーネット」の新成人の意識調査(山梨日日新聞 113)によると

 ・「親の世代の暮らしぶりとの比較では−悪くなる」が43%

 ・「自分たちの子供の世代では生活はさらに悪くなる」が44%

 ・「フリーターになるかもしれない」が26%

●確かに青年の今と未来には、暗雲がおおっています。ニート、フリーターそしてネットカフェ難民などの言葉は以前にはありませんでした。それがここ10年間、特に数年間で激増しています。(フリー百科事典『ウィキペディア』の資料より)

15〜35歳までの労働力人口とフリーターの推移(単位:万人)

年\定義

労働力人口

内閣府定義

厚労省定義

1991

2,109

182

62

1993

2,171

215

79

1995

2,213

248

94

1997

2,271

313

119

1999

2,272

385

143

2001

2,275

417

159

2003

2,200

-

217

資料出所:内閣府・国民生活白書/厚生労働省・労働白書

●最も働く力のある何百万人もの青年を、まともな就職をさせないことや働かせないことは、今の社会の病的な現象です。特に正規社員の雇用構造を破壊した大企業や、それを進めた政治に原因があります。また受験競争と公教育費の負担増を強め「お金の心配なく学業に専念したいができない」ことや「お金で大学をあきらめざるを得ない」状況も同じところに原因があります。

●また、正規社員となっている青年も、
親の世代より激しい仕事優先で心身ともに疲れて遊びどころではなくなっています。私の事務所前にレオパレス21という若い人向けのアパートがありますが、今の若い人は実に静かに暮らしています。昔の若者と違って、友達も遊びに来ないしマージャンも音楽もドアの開け閉めの音も聞こえません。なんか仕事とメールと睡眠だけの生活ではないのかと思ってしまいます。本来持っている青年のたくましさや行動力が抑えられ、静かに暮らしている状態をみると、なんか可哀そうに感じてしまいます。

●今の若い人は「結婚をしない」「子どもをつくらない困ったものだ」とよく言われます。しかしこのことも今の青年の意識の問題だけではなく、今の就職や仕事の状況と収入の問題が根底にあります。この表を見ても、そのことはよくわかります。

配偶者および子供がいる者の割合(%)

所得\年齢

20〜24歳

25〜29歳

30〜34歳

35〜39歳

99万円

0.7

0.6

10.8

12.8

100〜199万円

2.3

7.9

19.1

30.0

200〜299万円

4.2

11.4

25.2

37.9

300〜499万円

7.8

18.9

37.8

51.1

500〜699万円

8.2

28.9

50.5

62.4

700万円〜

10.3

27.1

52.0

70.7

資料出所:2006年版 中小企業白書中小企業庁

●つまり改善の方向は、それぞれの青年の意識の問題ではありません。就職や学業の不安も含めて今の政治経済社会に問題があるのです。したがって今の政治の方向を少しでも変えていくことが改善につながるのです。 

青年の未来は暗いのではなく、青年の立ち向かう願いと行動力が、必ず未来を明るくしていきます。青年の明るい未来と私たちの安心できる老後にむけて先輩の私たちも一緒に頑張るつもりです。

2008年1月9日(水)

奨学金制度は重要!「お金がないならあきらめろ」は是正すべき

●大学の奨学金や高校授業料免除制度、そして義務教育の就学援助制度は、本当に大切な制度だと思います。「お金がないので学校に行けない」「大学で勉強したいがあきらめるしかない」といった状態を少しでも克服し教育の機会均等を進めるためには必要な制度です。
 しかし、この制度もこのところ不充分であり揺らぎはじめています。

●ここでは、大学の教育について検討していきますが、最近、大学にはお金がないと入れない状態が強まってきました。
 例えば、大学授業料が大幅に値上げされ続けてきました。1975〜2005年度の30年間では、国立大学学費は15倍、私立大学学費は4.4倍にもなりました。家計消費はその間約2倍といいますから、大学教育の負担が政策的に押し上げられてきたことがわかります。

奨学金はどうなっているのでしょうか? 以前の日本育英会は独立行政法人の日本学生支援機構とされ、貸与条件は高校の成績で無利子の枠が狭められています。流れは有利子(上限は3%)の奨学金です。
 今春の大学受験生からも無利子奨学金の希望者が殺到しました。13万人が高校から無利子奨学金の学校推薦があり貸与基準を満たしていましたが、そのうちわずか3万人分しか割り当てがありませんでした。つまり10万人が締め出されたのです。
 もっと無利子奨学金の枠を広げなければ日本の大学教育の機会は家庭の収入によってなくなってしまいます。

  実は私も奨学金制度に大変お世話になった一人です

●実は私こそ、昔の奨学金制度、しかも特別奨学金に支援されて大学にいった一人です。
 私の育った家庭は本当に普通の家庭でした。父は仕事人間で全くマイホーム型ではありませんでした。小学校まで長屋の借家に住んでいました。その借家が甲府を直撃した1959年の7号台風で傾いてしまったので、ようやく、その7号台風の被災者救援の公的資金を借りて同じ場所にマイホームを建設しました。母は「台風が来なかったら自分の家を建てられなかったのではないか?」と言うくらい、父はマイホーム型の人間ではありませんでした。テレビも近所では、一番最後まで山田家には入りませんでした。

●父はフコク生命の支社長をしていましたので、そんなに貧乏ではなかったのですが、そのころは55歳定年退職です。私が中学生の時にすでに父は年金生活となりました。退職金もそこそこあったそうですが、仲間の事業に退職金を投資して失敗したとのことです。結局それからの山田家の家計は年金と保険の代理店の収入によって支えられていました。父は若い時から代理店を長いことやってきたので年金額もたいしたことなかったのですが、それでも40年以上前の
年金制度は55歳からの支給ですから、今よりはるかに立派な制度でした。
 私の高校時代までは、母もヤリクリに頑張ってくれていましたから子ども心にも貧乏という感じはしなかったのです。

●問題は1971年、大学に入ってからです。よくある
かなり貧乏な学生になりました。父は昔から「大人になったら自分のことは自分でしろ」的なタイプでしたから、「無理して大学なんか行かなくてもいいが、自分のことは自分で考えろ」の雰囲気でした。私は兄弟3人の三男ですから家計の状態に合わせて、家からの仕送りは段々少なくなり、三番目が一番少なかったと思います。埼玉に暮らして月1万円の仕送りでしたが、普通の学生は当時3万円ほどだったのではないでしょうか? でももちろん、年金生活の中で大学まで行かしてくれたのですから父と母には感謝しています。
 さて、学生生活をするにはお金がかからないように、必要なものは全て甲府から運びました。当時は宅急便などの便利な配達はありません。郵便の小荷物以外は駅留めで運ぶぐらいです。ほとんど自分でしょって甲府から埼玉の熊谷まで運ぶのです。あるとき甲府から、コタツのダンボール箱とおにぎりなんかも入れてもらったカバンを両手にかかえて秋葉原の駅で乗り換えていた時です、段ボール箱からコタツの足が3本ほどころがり落ちてあわてて拾いました。同じ年頃の若い人に笑われてすこしはずかしかった思い出もあります。
 とにかく日々の生活では、アルバイトとイスタントラーメンで維持されていました。私のような学生は「インテリゲンチャどころではなくルンペンプロレタリアに近いなぁー」などと感じていました。

かなり貧乏な学生は特別奨学金のおかげで普通の貧乏学生に

●実は、いいたいことはこれからなのです。このかなり貧乏学生は、あることでいきなり普通の貧乏学生なみの生活ができるようになったのです。それは、奨学金が学生1年目の冬頃から支給されはじめたからです。しかも、特別奨学金でしたから、なんと毎月1万5000円もの奨学金が4年間入ってきたのです。

●この特別奨学金はすごいことに、卒業したらこの月1万5000円のうち、学校の先生になったら全額返還しないでいいし、それ以外でも、なんと5000円だけ、つまり3分の1をかえせばそれでいいというものでした。もちろん利息もつきません。また、早めに返せば割引もあったような記憶もあります。とにかく奨学金の返還にはほとんど苦労しないですみました。

●この特別奨学金は、世帯収入が高くないことと高校3年の時の成績表がかなりいい生徒でないともらえませんでした。
 しかし、私は、高校3年の時だけの成績表はかなり良かったのです。
 
それも私の実力ではありません。当時も南高校は、文科系・理科系などと3年生になるとクラスを分けましたので、にがてな理科系の科目が減って相対的に成績表は良くなったのです。しかも文科系の生徒も3年になるとみんな大学受験モードですから、受験に必要のない科目に力を入れるような要領の悪い生徒はいません。しかし当時の私はなぜか不思議でしたが受検モードでは全くないために、余分な勉強もしていましたから、ここでも相対的に全体の科目の成績表が上がったのです。おかげでめでたく特別奨学金をもらえたのです。

●奨学金をもらえた、
このときの感激はわすれません。4月からの分もまとめて支給されましたので、いきなり「お金持ち」になりました。母からの借金(学生になってから着る物のお金がなく母から2万円ほど借りていた)も返済し、木製の机とイスそして立派な本箱も買いました。残りは買いたかった本に使うことができました。

●それからも甲府からの運び屋やバイトもインスタントラーメンも続きましたが、借金もしないしバイトも季節ごとにやるだけですから、ほとんど普通の学生となりました。これも当時の奨学金制度のおかげです。
 大学に入ってから自分でも不思議ですが人が変わったように(つまりようやく遅れながらも子どもから大人になったのでしょう)「大変な勉強家?」になり本を読みふけりました。この時から好きなことは読書と文章を書くこととなり、コレクションは本となりました。これも当時の奨学金制度がなければ、こんな「贅沢なこと」はできなかったと思います。

●今でも、読んだり書いたりすることは、自分の主な持ち味であり基本的なスタンスとして続いています。当時の奨学金は大人として成長していく自分自身の過程にとって
極めて大切な役割を果たしてくれたのです。
 今の奨学金制度をみても、今の政治と社会は、「普通の貧乏な家庭」を大切にしていません。でも、この「普通の貧乏な家庭」こそ、この社会で最も多い家庭で、この社会を支えている基礎的部分です。ここをもっともっと大切にすべきではないでしょうか!

●私は、自分を支援してくれた奨学金のありがたみを忘れたことは」ありません。だから、今の奨学金制度の現状には憤りも感じています。そして甲府市の制度である「大学への入学準備金融資制度」などの充実を今後とも目指していきます。

2008年1月4日(金)


   今のバラエティー番組は暴力やいじめ、そして危険を笑いにしている


●私の新年はーというと極めておとなしくしています。昨年の選挙疲れとパソコンの打ちすぎによって頸肩腕障害などの体調不良となってしまいましたので、大事をとってほとんど事務所でおとなしくしていることにしました。13年前から毎年松の内は新年の挨拶まわりで、新年こそ多忙な時期はないのですが、今年は事務所に引きこもってたまっていた書類整理、新聞のスクラップの整理を黙々としています。

 今のバラエティー番組は暴力やいじめから笑いをとっているのではないか

●そして家では、洗濯と食事づくり(信じられないでしょうが、山田家では家事の主力は要員は私です)をした後、何年ぶりかで新春のテレビを視ました。テレビはあまり好きではありません。特にワイドショーとお笑い系の番組みは好きにはなれませんが、また「嫌だなー」との思いが強くなりました。
私は今のバラエティー番組は、暴力やいじめから笑いを取るよくない傾向があると思います。すぐ相手をたたいたり、ついたりします。できないことや恥ずかしいことを無理やりやらせて、その失敗や「間抜けな」対応をみんなで冷やかしたり馬鹿にして笑いを取っています。
●それにタレントさんに
明らかに危険なことをやらせています。高いところから飛び降りたり、落とし穴や水そうに落としたりして、「怖がる表情」「痛がるしぐさ」「無残な水浸し」をみんなで笑いものにしていることも、私は良くないことだと思います。ウチの子どもも含めて全国の子ども達もこのテレビを視ていて笑うのですから、これは大変困ったものです。これでは暴力や虐めそしてパワハラのお手本をテレビで垂れ流ししているようなものです。大人にも子どもにも精神的・文化的な悪影響を与えています。
●また、タレントさんや裏方さんの
業務上の労災事故も心身の健康不全も多発しているのではないでうようか? 以前、芸能関係者の労働災害が多いことが伝えられたことがありましたが、今どうなっているのでしょうか? 
 芸能関係者に対する安全衛生上の配慮は絶対に必要です。EUやILO(国際労働機構)では、いじめやからかいも含めて「職場暴力」であるとして安全衛生上の課題としています。またILO第155号条約には「重大な危険をもたらすと信じる合理的な理由のある作業状態から」退避する権利が労働者に認められています。また日本の労働安全衛生法令(昭和47・基発602)でも危険に対しては退避する権利があるそしています。つまり仕事を命じられても、明らかに危険な仕事は拒否する権利があるのです。
 しかし、仕事がなければ生活できない競争社会の芸能関係者が、普通はやれと言われた仕事を拒否することなどはなかなかできません。これには野球選手と同じように全国的な「芸能人組合」のような組織がない限り効果は期待できません。まず、そのためにも「仕事を命じる側」の責任として「使用者側に安全配慮義務」があり安全は全てに優先することを行政指導するしかありません。

「かくし芸大会」のチェンソーは明らかに危険で行うべきではない

●ところで、元旦のフジテレビの「かくし芸大会」を久々にみることができました。芸能人・タレントの方の才能と努力はたいしたものだと思いながら視ていました。しかし最後の中尾ミエさんと青木さやかさんのチェンソーを使ってのかくし芸は極めて危険でした。青木さんともう一人の人が向かい合って口で一本の鉛筆をくわえ、その真ん中を中尾さんがチェンソーで切断するのです。さらに半分に短くなった鉛筆を中尾さんともう一人の人が向かい合って口でくわえ、それを青木さんがチェンソーで切断するというものです。
 これは、大変危険です。しかもチェンソーが少し横に触れただけで中尾さんや青木さんの顔はズタズタになりタレント生命も終わりになりかねません。
●このチェンソーは危険性があり振動障害の原因ともなるものです。安全衛生法令では、取扱いが指定されている振動工具です。なれない芸能人がバラエティー番組などで安易に使ってはいけないものです。その取扱いは
『チェンソー取扱い作業指針』によって定められていますが、耳せん・防振手袋・作業服が必要なこと1日の操作時間が2時間以下・連続作業は長くとも10分以内であることとされています。これらは、かくし芸大会ではいずれも守られていませんでした。中尾さんや青木さんは、耳せんや手袋もなく、しかも和服のはかま姿でした。練習時間はどうだったのでしょうか? 1日2時間以下・連続10分以内は守られていたのでしょうか?
 しかも『女性労働基準規則』では妊産婦のチェンソーは就業規制(禁止)されています。もとより女性の筋骨格は男性より頑丈でないだけに妊産婦に限らず成人女性のチェンソー作業も好ましくありません。

危険なことはやめてください! テレビは社会的な責任があります

●かくし芸大会では、結果として何もなく終わりましたが、「何もなかったのだからいいじゃないか」とはなりません。危険なことをやらせること自体が問題なのです。途中に画面で「本来、手袋などをすべきです・・・」といったテロップが流れましたが、これも、おかしなことです。つまりチェンソーの危険性や予防の必要性は知っていた。しかし知っていながらそのまま予防対応もしないで、やらせてテレビにも流したということですから、内容的にはさらに悪質になると思います。
 テレビで行うことは、個人的なことではなく社会的なことでありそして絶えず公的な責任があります。暴力的なこと危険なことは何より防止すべきであり、そのための自主的な安全倫理を視聴率より優先して行うべきではないでしょうか。
  私は、今年は暇な引きこもりのお正月でしたから、生まれてテレビ局に安全優先を求めてメールを送りました。

2008年1月1日(火)


新年明けましておめでとうございます。今年は生活防衛の年です!

●新年明けましておめでとうございます。昨年は漢字一字では「偽」(ぎ)という「いつわり」の年でした。食品の表示偽装や高齢者への詐欺商法や霊感商法、そして年金問題の公約から防衛利権のわいろ問題までさまざまな「いつわり」がありました。
●でも、この「いつわり」の傾向は新年になっても続くような嫌な感じがします。また2008年の新年は、灯油ガソリンからはじまって小麦など全てが物価値上げの年となります。物価でも「いつわり」があったら本当に困ります。いままでも物価値上げの情勢の時には、「便乗値上げ」や「バクチ打ちのような投機」によって、さらに
「いつわりの値上げ」が横行しかねません。
●しかも社会的な情勢が値上げを招きかねないこともあります。例えば「今まで低価格でガマンしてきたから、この際ウチも値上げしてもいいか」といった
「リバウンド的値上げ」の心理もあるかと思います。だからといって基本の消費者の購買力が増すわけではありませんから、市場は混乱するばかりです。しっかりした監視と抑制が必要です。

●さて学校給食の食材費(給食物資費用)の値上がりが心配でしたから、年末に市教育委員会にお聞きしたところ、やはり食材費の値上げがありました。

  すでに値上げされている物資

   ・マヨネーズ 1k    70円の値上げ
   ・カレールー1k     60円の値上げ
   ・マカロニ 1k     40円の値上げ

今年1月から値上げされる物資

   ・米 油  1缶    870円の値上げ 
   ・うどん  1k     10円の値上げ
   ・ほうとう 1k            20円の値上げ
   ・むしめん 1k     20円の値上げ
   ・タンメン 1k    20円の値上げ

●値上げはこれだけに、とどまりません。例えば小麦です。国際価格の高騰によって4月からは小麦の価格(政府の売り渡し価格)は再値上げします。値上げ幅は昨年の10月に10%の値上げでしたが、今年の4月からさらに30%超える値上げになるとされています。小麦が値上げとなるとパンやめん類などの値上げとなります。
 私は市の教育委員会には給食費の値上げにならないように献立もふくめてしっかり対応するようにお願いしました。教育委員会でも「献立の工夫等をするなかで、給食費の値上げをしないように努力します」との姿勢をしめしてくれましたが、とにかく家計も教育も心配な新年になりそうです。

●また、つくづく思いますが、どうしてこんな時に政府は消費税増税を準備しているのか全くわけがわりません。今、物価は上がりはじめています。そしてさらに上がることが確実です。そして市民の所得である賃金と年金はますます下げられています。社会保障も後退し公共料金も引き上げられています。
 こんな時に、消費税を引き上げれば、生活は極めて厳しくなります。普通の消費者は、節約とガマンを重ねて「買わない努力」を徹底するしかありません。景気はすそ野から力を失い経済は失速し、さらに市民生活に困窮をもたらします。悪循環を加速させる最悪の選択である消費税増税は、ぜひともストップさせなければなりません。

新年は、しっかり便乗値上げと消費税増税を許さない生活防衛の年にしていきましょう!