2006年6月議会
2006年6月9日定例会会議録より

民間委託のみでは公的責任は守れません。
中学校給食ノロウイルス食中毒問題での教育委員会の責任は重い!

山田 厚君 はじめに、第五次甲府市総合計画についてお聞きします。
 この基本構想と従来の総合計画との整合性についてです。
 例えば今回は、人口減少時代として総人口減で推計を出しています。確かに人口は減少していますから、実情に合わせての推計は間違いではありません。しかし、甲府市の総人口は、昭和の60年、61年ごろをピークに、20年間も一貫して減少し続けています。なぜ従来の総合計画では、人口増の目標推計を描き続けてきたのでしょうか。市の財政の大もとは市税です。市税の増減は、市の総人口の増減にかかっています。そして市の総人口の総推計数は、総合計画の基本です。それなのになぜ、今までの総合計画では、人口の推計数が大きく実態とかけ離れてしまったのか、その意味で過去幾つもの総合計画には基本的欠陥があったといわざるを得ません。新総合計画との整合性をつけるためにも、今までの反省なり総括が必要です。
 また、日本全体の総人口は減少傾向であっても、各自治体における人口減少傾向は、均等ではありません。逆に、人口がふえる自治体もあるとされています。さらには地域間での過疎、過密のあしき傾向も強まると思われます。甲府市は、計画目標として少子化対策をはじめ、福祉、教育、環境対策を重視して、どう人口を減らさない手だてを進めるのか、過疎でも過密でもなく、働きやすいまち、育てやすいまち、安心して暮らせるまちの政策をどう強め、どう市民をふやしていくのか、その行動が問われています。そういった総合的な判断が今回の新総合計画の総人口減の推計数に活かされているのでしょうか、お聞きします。
 今回の新総合計画では、基本構想の冒頭に「市民と行政の役割分担の明確化」が新たに掲げられ、それによると、市民サービスについて受益と負担、権利と義務などを明らかにする中で市民と行政の役割の明確化を図り、限りある財源を有効に活用とされています。多分この内容は、財政上から行政サービスの守備範囲を明らかにして市民負担をしっかり求めるということでしょうか。それにしても財源上の問題で権利を取り上げるのは極めて疑問です。
 例えばこの論法からでは、自治体に財源があるときとないときでは、市民の権利はその都度異なることになってしまいます。そのときの悪い政権によって、自治体への生活関連財源を次々にカットするとなると、市民の生活関連の権利が縮小し、義務が増加することになります。またその中にあっても立派な知事さんや、市長さんがいて、議会に理解があり、「うちの自治体では障害福祉は頑張って維持します」となれば、そこの自治体の障害者の権利は維持され、よその自治体の市民と比べ義務が小さくなることになります。
 要するにこの論法では、市民の権利がその時々の行政の財源の都合や、政策上の優先判断ですべて振り回されることになり、極めて軽いものになるのではないでしょうか。新総合計画で新たに掲げられた市民と行政の役割の明確化とは、市民負担をしっかり求めるための方針だとしても、そこに権利の概念まで含めるとなると、極めて問題があると思われます。
 また新総合計画では、行政の責任を再認識しながらも、行政で行うものを縮小し、民間委託化を進めるとしています。この間特に小泉政権になってからの数年間、政府の財政誘導で自治体の公的業務の民間委託化が急激に進みました。民間委託、民間委託、何かいいことでもあるかのように強調され、自治体の財政改善に向けた特効薬のように進められてきました。しかし、私は現在、安易にそして急いで進められてきたこの間の民間委託を振り返り、しっかり見直すときに来ていることを強調するものです。民間委託に伴う正規雇用の削減は、雇用と労働条件の不安定化を進めていますが、このことを度外視しても、安易な民間委託は公的業務の安心と安全、信頼を奪い始めています。
 一連の県内報道を見てください。「県発注工事で、甲州市内の橋脚工事で鉄筋不足」「旧中道町内の治山工事での石混入」「身延町内のコンクリートダムの手抜き」「都留市内の県道斜面補強工事での鉄筋の手抜き」「自動車納税通知書の支障」など、民間委託の危険性、リスクの高さが次々に明らかにされています。これは業者への丸投げ状態という、行政がしっかり責任を持って委託業者に検査、調査、監督、指導を行っていなかったことの結果であり、また公共性、安全性よりも、利潤性、効率性を求めざるを得ない民間委託先の現状でもあると思います。
 この5月に、山中湖村の観光振興公社の「紅富士の湯」では、塩素の基準値を下げていたり、レジオネラ菌の発生を隠していた不祥事が明らかとなりました。この場合の委託先は、村長が社長の公社ですから、直営に近い委託と思われますが、それでもこの施設の判断は、公共性、安全性よりも利潤性、効率性を優先していたと思われます。
 また業者との契約方法も、原則である一般競争入札ではなく、特定業者のみを継続していくという契約方法の例外であるはずの随意契約が、今や当たり前となっていることも問題です。山梨県に限らず、全国で民間委託に伴うさまざまな事故や不祥事が生じています。
 同じくこの5月に、横浜市保育所民営化取り消し訴訟で、横浜地裁は、早急な保育所の民営化を正当化せず、その違法性を認め、横浜市に保護者への慰謝料の支払いを命じました。不安や不信、混乱や事故を招かないためにも、今までの何でも民間委託ありきの手法や、例外であるはずの随意契約が、今や当たり前との認識を、今見直し、今再検討するときに来ています。甲府市においても、今回の中学校給食、食中毒問題をしっかり教訓とすべきではないでしょうか。
 さて、障害福祉では、この4月に自立支援法が施行され、新たな時代を迎えました。これは各種の障害福祉サービスを原則1割負担とするものであり、障害者とその家族の暮らしにとって新たな時代とは、過酷な時代ともなっています。全国の各自治体では、県も市町村も障害者家庭の負担軽減に向けて独自の援助をさまざまに検討し始めています。甲府市としては、この援助を具体的にどのように考えておられますか。また県の役割も重要です。県都甲府市は、県内市町村のリーダーです。障害者と関係者の皆さんの声と、市町村の要望をまとめ、リーダーとして山梨県に県としての負担軽減策を強く求める必要があります。この取り組みをどう行われますか、お聞きします。
 続きまして4月20日、甲府市立3中学校で起きた六百数十名ものノロウイルス集団食中毒事故について質問します。
 今回の県内で最大であり、全国でも極めて大きな規模である学校給食でのノロウイルス集団食中毒は、事故を招いた特定の弁当業者の問題にとどめず、甲府市教育委員会としての責任をしっかり見つめ、再発を防止していく必要があります。
 まず、今回の大きな給食事故は、偶然にいきなり起きたものではありません。それ以前からも小さな給食事故がたくさんあり、それに対する業者と教育委員会の対応が極めて不十分だったことを指摘せざるを得ません。国際的にも確立されている災害ピラミッドという安全衛生上の原則があります。その内容は、1件の大きな事故には、その底辺に幾つもの小さな事故や、多くの事故にならないニアミス災害が先駆けてあり、この幾つもの小さな事故やニアミス災害を放置すると、大きな事故を発生させることになるとしています。したがって、頂点となる1件の大きな事故を未然に防ぐためにも、底辺の小さな事故や、ニアミス災害と真剣に向き合い、対策と改善を図らねばなりません。
 今回の大きな事故を起こした業者も、その底辺に異物混入など、小さな事故が幾つも先駆けてありました。昨年の資料によると、「レタスに青虫が入っていた」「かき揚げの揚げ方が不十分」「サラダ内にザルの破片が入っていた」「魚の裏側にハエがついていた」などの小さな事故が幾つもあったことが明らかとなっています。
 また注意すべきは、これらの小さな事故を起こしていた弁当業者は、今回の特定1社だけでなく、すべての甲府市の中学校給食の弁当業者が起こしていたことです。平成13年度25件、平成14年度15件、平成15年度15件、平成16年度18件、平成17年度19件、この5年間で92件。パンの不良事故の11件を除いても平成15年は全校で欠品があったので、実質5年間で91件の給食事故となります。
 そして極めて問題なのは、これらの小さな給食事故に対しての甲府市教育委員会の今までの対応です。事故が起きても、「業者を呼び出し指導」「会合時に指導」のみで済ませていました。これらの異物混入の事故が起きた中学校に足を運んで調査してないばかりか、事故を起こした業者の調理場での調査点検がなされていませんでした。
 また、事故後のそれぞれの業者が義務として提出すべき報告書も、平成17年度で初めて報告書がそろいますが、それまで報告書はほとんど提出されていませんでした。例えば平成16年度では18件中わずかに4件のみの提出です。しかも報告書の扱いは、業者間の協同組合にゆだね、教育委員会としてこれらの報告書を見ての改善指導を行っていませんでした。
 業者、調理場への衛生検査は、業者の協同組合と食品衛生協会が行っています。この検査での指摘事項を見ても、現在の小学校給食の直営自校方式と比べ、かなり衛生管理がおくれていることがわかります。しかし、教育委員会では、この検査結果をもとにした速やかな改善指導を行っていませんでした。
 また、委託に伴う契約書が、実際に運用されていないことも問題です。給食弁当業者の協同組合代表と、甲府市教育委員会角田教育長とで、法令に基づく業務委託契約書が毎年結ばれています。この契約書に付随して指示事項や委託仕様書、確認書などの文書もあります。これらの契約書類は、他都市と比較しても遜色のないものと言えるでしょうが、問題はいかに運用されてきたのかです。
 契約書には、「実施調査をし、もしくは検査することができる」としており、業務指示には、「必要に応じ市教委で調理施設へ立ち入ることができる」としています。しかし、何回も異物混入の事故が起きたときにも、教育委員会は立ち入り調査を行っていませんでした。
 また事故を起こした弁当業者の保菌者は、当日出勤して調理業務を行っていたが、体調が悪いので途中で帰ったとのことです。この保菌者が無理をして出勤し、ノロウイルスを広げてしまったのでしょう。この労働者にとって休みづらい労働環境、労働条件の問題ですが、同時に契約書の運用の問題でもあります。業務指示には「調理従事者の健康状態には常に注意を払い、下痢、発熱、腹痛、嘔吐をしている場合や、腕や顔に化膿性疾患がある場合は、調理業務に従事することを禁止、直ちに医師の精密検査を受けさせ、その指示を励行させること」となっていますが、このことが日常的に全く守られていなかったと思われます。
 契約条件に関する不備もあります。契約先には、調理場の建物の面積、トイレの位置、釜やワゴンの設備と備品の数と仕様など、具体的な衛生基準や給食要綱の遵守を求める契約条件とすべきでした。栄養士の配置など必要な人的確保、無理のない労働条件も契約条件に入れるべきでした。またこれらが確保されていないままで、今までどおりの随意契約では、危険な状態を野放しにしていることと同じです。
 事故後にわかったことですが、食中毒を起こした特定業者では、栄養士も置かれていなかったとのことです。甲府市には、中学校給食に責任を持つ栄養士さんが実質的にはいない状態でした。今いる中学校給食担当とされている栄養士さんは、平成3年の15年前から教育委員会の保健給食係の栄養士として配属されていました。現在も異動なく、同じ部署でそのまま保健給食係です。つまり、甲府市の中学校給食は、平成10年からですから、新たな中学校給食の導入に伴って新たに中学校給食担当として配属されたわけではないのです。従来の仕事を行いながら、中学校給食の担当とされても、実質的には動けず、手抜きの状態が続いていたのではないでしょうか。これは個人の手抜きというより教育委員会のシステム上の手抜きです。今回、甲府市の対応がおくれてノロウイルスの二次感染をも広げてしまいました。このことについても、私は危機管理対策室の問題というより、まずは学校給食や食中毒に関する知識のある専門担当、現場の学校給食と業者の調理に責任を持つ栄養士の問題としてその必要性を痛感するばかりです。
 またノロウイルスという食中毒ということが明らかにされても、それ以降、委託業者の1名の調理員が保菌者だったという報道があっただけで、食中毒の原因がいまだに明らかにされていません。保健所の分析待ちとのことですが、甲府市の教育委員会としても分析することがたくさんあるのではないでしょうか。大きな事故とは、原因が1つではなく、原因がさまざまに複合しているからこそ大きな事故となります。このさまざまな原因を分析し、今までのシステム上の欠陥を明らかにして、今後はシステムとして再発防止を図るべきです。
 以上、今までの対応の不備を幾つか指摘いたしましたが、改めて今回の食中毒事故における認識と、当面の課題についてお聞きします。
 なお、今後の中学校給食の方針としてですが、給食におけるリスク管理や、食育と地産地消の推進からも中学校給食の統一献立同日実施をやめるべきです。より自校献立へ近づける努力を始めてください。そして汁物などをはじめ給食内容の改善も必要です。契約にあたって、随意契約を見直し、施設、設備、労働環境も契約条件に入れるべきです。法令を遵守してもらうためにも、業者の施設、設備にも当面甲府市として公的な財政補助を検討すべきです。民間委託調理場においても、必要な指導とコストをかけていくしかありません。そして今後の方向としては、中学校給食でも、弁当ではなく、学校に給食調理場を置く、直営の自校方式を目指していくしかないと思います。
 関連して小学校給食について質問します。
 教育委員会は2年前、給食現場や市PTA連合会の反対の声を横に置いて、いわば強引に小学校給食の民間委託化の方向を明らかにしました。しかも大規模校以外は、小学校に今ある給食調理場を廃止して共同調理場方式にするという方向を掲げました。その根拠は、教育ではなくコスト論にありましたが、そのコストも明確に示せないままに、この方針が決められたことに不安と憤りを感じます。全国の幾つかの学校給食では、20年も、30年も前から共同調理場方式を採用してきていますが、現在では逆に共同調理場方式からそれぞれの学校に給食調理場を置く自校方式へと移り始めています。平成16年度では、1年間で自校方式の学校は88校増加しています。その反面、共同調理場方式の学校は208校も少なくなっています。平成17年度、18年度は、さらに共同調理場方式は減っていくでしょう。これは今日、共同調理場のコストが高くなっており、採算が合わなくなっていることと、改めて学校給食を教育として位置づけた食育基本法の影響もあります。そして共同調理場方式より自校方式を掲げる国の食育推進計画も示されました。したがって、全国では今後ともこの傾向は強まっていきます。甲府市の小学校から給食室を廃止して、業者の共同調理場方式とするという方針は、全国の学校給食を大切にする流れと逆行しています。今回の事故を教訓として再検討をすべきです。
 なお、現状の小学校給食の改善も必要です。現在の大規模な2ブロック献立制を、より細かく自校献立制に近づける努力を行うべきです。また衛生管理は、栄養士や調理員の個人的な努力だけで確立するものではありません。老朽化した調理室の改善も早急に行ってください。
 また給食調理員の人員が、極めて不足しています。大里小学校での自校方式が、来年1月から始まります。ここでの人員はどうなりますか。来年は調理員の退職者も少なくありません。ここでの人員不足はどうしますか。平成18年度からは、臨時での穴埋め採用にも限界が来ているではありませんか。平成19年度はどうなるのでしょうか。無理な施設や、ゆとりがない労働環境が続くと、調理員さんの努力にも限界が生じます。無理が続けば、今回の食中毒事故の二の舞ともなりかねません。また食品衛生に従事する者は、無理をしてはいけないのです。例えば「おなかのぐあいが悪いけど無理して出勤した」では、危険行為となるのです。でも、簡単に調理員さんが休めるための代替の人員はいるのでしょうか。このままでは小学校給食でも食中毒などの可能性も生じることになります。栄養士も調理員も、新たに採用することが安全上からも教育上からも必要となっています。このことを強くお願いして、はじめの質問に区切りをつけます。

市長(宮島雅展君) 山田議員の御質問にお答えをします。
 2番目の構想推進の考え方についてであります。
 高度経済成長以降、行政サービスに対する住民要望はふえ続け、行政は、その守備範囲を拡大しながら可能な限り住民の要望にこたえるよう努力をしてまいりました。しかしながら、近年の行政を取り巻く社会環境は、少子高齢化の進展、人口減少社会の到来、長引く景気の低迷による税財源の減少などにより、大変厳しい状況下にありまして、これまでと同様な行政運営には、限界が生じてきています。
 こうしたことから、今般策定する総合計画は、自治の精神である自助、互助、公助にいま一度立ち返り、行政の責任を再確認した上で行政で実施すべきもの、市民との協働で実施するもの、民間に移行すべきものなどについて十分検討する中で、将来にわたり安定した市民サービスの提供を構想推進の考え方の基調の一つとしてまちづくりに取り組むこととしたところであります。御理解を賜りたいと存じます。
 他の御質問につきましては、関係部長等からお答えをさせます。

企画部長(山本 治君) 第五次甲府市総合計画における人口の推計についてでありますが、本市が今般策定する総合計画では、将来人口推計を、平成12年の国勢調査確定値をもとに出生と死亡の自然動態、転入と転出の社会的移動の社会動態を人口変化の要因とした地域人口の推計に多く用いられている手法により、約19万1,700人と見込んだところでございます。
 地域社会が、活力を持って発展していくためには、一定の人口の確保は重要な課題と認識をしておりますが、国全体の人口が減少する中で、地方都市である本市が、人口減少傾向に歯どめをかけるには、大変困難が伴うことが予想されます。
 しかしながら、その傾向が可能な限り緩やかになるよう下支えする施策の展開は不可欠であるとの考え方から、総合計画の実施計画が目指すものとして地域再生への対応、少子化への対応、安全安心への対応など、今日的な課題である9項目を施策推進の視点からとらえ、これらの項目を横断的に取り入れた各種施策の展開を図っていく所存であります。

福祉部長(清水克樹君) 障害者自立支援法における利用者負担の軽減についてお答えいたします。
 障害者自立支援法における利用者負担につきましては、障害福祉制度の継続性、安定性を確保するため、増大する障害福祉サービス費用を皆で負担し、支え合うという趣旨のもと、利用したサービスの原則1割を負担していただくこととなりましたが、負担軽減措置として、利用者本人の収入状況に応じた月額負担上限が設定されています。
 また、低所得者層につきましては、国で定めた収入基準や預貯金等を下回っていれば、利用する障害福祉サービス等によって個別減免や、社会福祉法人減免などが受けられ、月額負担の上限がさらに低く設定されており、負担が過重とならないよう配慮がされております。
 なお、更生医療等の自立支援医療においても、入院時の食事標準負担が全額自己負担となり、これにあわせ、山梨県では本年7月から重度心身障害者医療費助成制度において自己負担分の補助を廃止することとなりましたが、本市独自の負担軽減措置を講じたところであります。
 今後、利用者負担の実態などを検証する中で、市長会等を通じて国、県に対し新たな減免制度を創設するよう要望してまいりたいと考えております。
 以上です。

教育長(角田智重君) 学校給食についての御質問にお答えをいたします。
 はじめに、中学校給食における食中毒に対する認識と、当面の課題についてであります。
 今回の食中毒は、一委託業者の問題としてだけではなく、児童生徒の健全な育成を図るために、安全で栄養バランスのとれた給食を提供する責任ある立場の教育委員会といたしまして、重く受けとめているところでございます。
 給食調理業務につきましては、これまでも教育委員会といたしまして、委託先である山梨県学校給食協同組合に対して、委託契約書に基づき学校給食衛生管理の基準の遵守を強く求めるとともに、折に触れ衛生管理に関する指導を行ってまいりましたが、食中毒を起こしてしまったという事実は、給食調理業者の衛生管理体制の不備とともに、教育委員会の指導にも不十分な点があったということであり、その見直しの必要性を強く感じているところであります。
 次に、当面の課題といたしましては、衛生管理の徹底と、補償に関する問題であると考えます。衛生管理の徹底のうち、組合には衛生管理講習会の開催回数をふやすとともに、衛生管理の責任者による衛生会議や、直接調理に携わる調理員の会議を定期的に開催するなど、学校給食の意義を再認識する中で、従業員の衛生管理意識を高めるための指導強化を重ねて要求してまいります。
 教育委員会におきましては、中学校給食担当の栄養士を1名から2名に増員し、教育委員会の衛生管理指導体制の充実を図り、直接調理場へ立ち入って行う指導回数をふやし、調理業者の栄養士や、調理責任者等との意見交換を頻繁に行うとともに、給食への異物混入や設備の不備など、指導が必要な場合にも、現場の状況を的確に把握する中で従業員の健康管理をはじめとする衛生管理指導の一層の徹底が図られるよう人員強化をしてまいります。
 医療費等の補償に関しましては、食中毒並びにその二次感染等により体調を崩されたり、仕事や学校を休まれた方に対し、現在、学校を通じて症状に関する調査を行っているところであり、今後症状調査の内容を精査するとともに、調理業務委託契約に基づき、山梨県学校給食協同組合での補償について、誠意ある対応を求めてまいります。
 次に、小学校給食の運営方針についてであります。
 小学校給食の運営につきましては、先ほど保坂議員にお答えしましたとおり、平成16年度末に今後の給食調理業務について、当面は自校直営方式を維持するものの、第三者に委託することを前提として学校規模や地域性に配慮したブロック化の推進を図るとともに、ドライシステムによる共同調理場の整備を基本とする運営方針を決定し、その運営方針に基づき、具体的な課題について検討を進めてまいりました。
 こうした中、本年3月、食育基本法に基づき策定された国の食育推進基本計画において、食育の総合的な促進に関する事項として「学校給食の充実」が位置づけられましたので、この法律の趣旨を十分踏まえるとともに、このたびの食中毒により生じた新たな課題の検証や、それへの対応策、委託業務のあり方など、全般にわたって整理した上で、安全性を確保できる委託方法等について改めて検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

山田 厚君 総合計画についてですけれども、私が「整合性がない」というふうに意見を言わせて質問をさせていただいたことは、過去のそれぞれの計画に対する総括、反省がなさ過ぎるんじゃないかと思うんです。それは、今回の総合計画だけじゃないんですけど、過去大きな計画が5つあったわけですけど、どれもすべて肝心の基本であるところの推計数が2万人近くから6万人も違っています。それが毎回毎回繰り返されている。しかも丁寧に見てみると、計画の期間の年度というのがあるのにもかかわらず、年度途中で総括がないままに新しい計画に移っているんですよね、それはどういうことなのか。つまり前の計画が破綻したんでしょうか。破綻したとするなら破綻したというその総括がなければよくないなと、行政の継続性から言ってどうなんでしょうか。
 今回の新総合計画についても、さきの計画は平成18年度までの期間だったのが、19年度じゃなくて18年度から始めていますよね。やっぱり1年前倒しで始めているわけです。そこについての総括というものがなければ、非常に新しい計画も今後社会的な変動期であるがゆえにもっともっと粗雑なものになりかねないんじゃないか、そういう気がするわけです。これは強く要望して今後の精査をお願いしたいところです。
 それから自立支援法です。甲府市としてその負担軽減措置の医療の食事負担をしていただく、これは大変ありがたいことだと思います。でも、これだけなのかな、これでおしまいだよということにはならないと思うんですよね。もっともっと研究していただいて、さらには障害者の生の声を聞いていただいて、方針をしっかり策定をしていただきたいと思います。特に厚生労働省の中央官僚の人というものは、障害者の日常の生活、暮らしぶりの大変さということに全くむとんちゃくじゃないかと私は思うんですね。
 私自身しっかり勉強してないわけですけど、この前お伺いした補装具の見直しということで、現物支給じゃなくて、どういうふうにするのかというと、まずはとにかくお金を出しなさいと。それから後で負担金、償還払いになってくる。こうなると、障害者の方が車いすを買う。本当に生活が貧しくても30万円の障害者の方の車いすなら30万円まず出さなきゃ戻ってこない。こんなことはないですよね。医療保険でも委任払いとかいろんな制度があるわけですから、こういうこともちゃんと自治体が考えていくことだと。甲府市は県に働きかけてしっかりやってもらいたいとともに、県がだめなら、まずは県都の甲府市からそのお手本を示していただきたいと思います。
 それから、今回障害者の負担になっているということは、負担金だけじゃなくて、今度の制度によって、例えば制度が次々変わってサービスを知らなきゃいけない。そのサービスを知っても申請に行かなきゃいけない。さらには減免を受けるにも申請だと。こっちの負担も大変だと思うんですね。その意味でしっかりした相談窓口、そういう意味での負担軽減策もぜひ検討をしていただきたい。
 それから中学校給食の問題です。私はこの中学校給食の問題をしっかり受けとめてもらいたいと思うんです。たかが下痢だとか吐き気ということじゃなくて、二次感染したお母さんに聞くと、初めての体験だと。つわり以上の苦しみだったと、そんなふうに言われています。熱、吐き気、下痢、おなかがグルグルしてとにかく気持ちが悪かった。半分のコップの水を飲んでしまっても吐いてしまった。そういう子供さんの話も聞いています。いまだに事故後の精神的な後遺症がある生徒さんもいます。もう1か月以上も、おにぎりをつくって給食の補食にしているわけです。こういった状態は、やっぱり食中毒は天災ではなく人災なんだと、重く受けとめていただきたいというふうに思うところです。
 それに私は、この間業者弁当のさまざまな異物混入事故のことを本会議でも、民生文教委員会でも何回も何回も「危ないぞ」ということは主張させていただきました。これはさっきも言いましたけど、災害上の原則だから、こういうのは必ず大きな事故が起こるということです。(資料1掲示)これを見てもらいたいんですけど、異物混入というのであれば、大体この軽い事故に当たるわけですよね。だから大きな今回みたいな事故があるには、その軽い事故、さらには事故にならない事故というものを事前にちゃんとつくって、その事故と向き合って改善をしないと、やがては必ず大きな事故をつくり出す。これは国際的な衛生管理上の原則になっているわけです。私はそのつもりでこのことを何度も言ったけれども、教育委員会の方は「しっかり指導します、しっかり指導します」としか言ってこられなかった。このことが非常に残念なわけです。
 例えば、こういうふうにも言ってますよね。平成16年の9月の委員会では、「もう呼びつけて指導するだけじゃなくて、業者の調理現場へ直接甲府市の栄養士さんや調理員さんたちと専門家と一緒に、部長さん、課長さん先頭に査察をするような時期じゃないんですか」、こういうふうに言いました。「教育の一環として、子供の給食現場にこういうものが入るというのは、まずは心構えとしてただごとではないよというふうに思っていただきたい」、このことも言いました。そして「余りにも反復する業者だったら、次の年は指定をとめるぐらい、ストップするぐらいしっかりした対応が必要だと思うんです。どうですか」と言いました。このときも、何回も何回も言うたびに教育委員会の御答弁は「指導を十分に行っていきます」、それだけだったじゃないですか。私はね、今調理場にもしっかり行きますということもしっかりやっていただきたい。でも、もっともっと前にやる必要があったんじゃないかということを主張しているんです。
 今回、私ども市民クラブで、2か所の業者の調理場に視察に行かせていただきました。私自身がPTAで見学させていただいたときよりも、業者の調理場は改善されてはいます。でも、私自身が見ても、随分これは問題だなと思うところが幾つかあるんです。
 例えばさっき教育長が言われた衛生基準のことにしっかり書かれてあることが、余りにも粗雑になっていたことが幾つもありました。例えば60センチ以上ある置き台、ワゴンなどの高さが低かったこと。ペーパータオルというものが主張されているにもかかわらず、いまだにタオルが部分的にも使用されていたこと。温度計と湿度計が見やすいところにかけていなかったこと、業者によっては湿度計もなかったこと。調理場に発泡スチロールの箱が施設内に持ち込まれてきたこと。水道のカランが、手指で触れねばならないものになっていたこと。それにさらに私自身が気がついたことは、業者の大きいところの調理場でも、かなり実態的には狭いなという感じがしたんです。
 (資料2掲示)それで直接文部科学省が、学校給食施設補助交付要綱というのを見てみました。これは、児童数例えば2,100食以上には補助金をする場合には、これはみんな共同調理場方式ですが、炊飯と一緒に基準面積はこれこれだというふうに書かれているわけです。しかし、特定業者つまり今回の食中毒を起こされた業者の面積は、この基準より半分以下だった。ほかにも今活動されている業者の中でも基準面積より非常に狭いところもあります。これは倉庫も事務所も入っているんですよ、実際は調理場だけの面積だけれども。だから非常に狭隘の中で仕事をするというのは、衛生上からも極めて難しいことになるんです。しかも釜が5つしかなかった。私ども小さい新紺屋小学校や、その辺の小学校でも釜は5つぐらいありますよ。こんな何千食もつくっているところで釜は5つ、これではやっぱり大変な状態になっているんじゃないか。そんなことを感じたところです。
 ですから、業者との契約にあたっては、これは質問です。単にコストの問題、随意契約でそのままということじゃなくて、公共工事で言われている品質確保法などの技術と品質を含めた総合評価方式ということが言われていますが、これらのことを学びながら、次の契約に生かすということはできないでしょうか。またILOなどに主張されている無理な状態で働かさないためにも、契約先で働く労働者の賃金などの保障、公契約法、こんなことも参考に入れる必要があるんじゃないでしょうか、そのこともお聞きします。
 それから、再発防止についてですが、先ほどの御答弁では、中学校給食食中毒事故調査委員会、こういったものをつくられるわけですね。そういうふうに承ってよろしいでしょうか。そのところもはっきりしていただきたいと思います。
 最後に、これも質問といたしますが、食育推進計画の中で、全般的にわたって学校給食が高く評価されているということをおっしゃいましたが、学校給食を教育として高く、食育推進計画も食育法も言っているということだけじゃなくて、ここには「単独調理方式による教育上の効果などについて周知、普及を図る」と、明確に各学校に給食調理場が必要だと、このことについての周知、普及を図りなさいというふうに国の推進計画で書かれているわけですよ。このことをしっかり、もう一回整理するというなら、再検討の立場で小学校にある学校給食室を廃止するのか、廃止しないのか、そこも含めてしっかりとした御答弁をいただきたいと思います。

教育長(角田智重君) 山田議員の中学校給食を中心にした御質問でございますが、私の方で十分お答えがちょっとできないような感じも申しわけございませんが、多岐にわたっておりますから、もしそういう点がございましたら御指摘いただけますか。
 まず最初に、中学校給食における今回の重大性をしっかり受けとめよ、ということについては全くそのとおりでございまして、私どももそのことをいたく責任を感じている次第でございます。したがいまして、異物混入等の危険性を重ね重ね注意してきたにもかかわらず、結果としてこういう重大事故につながるようなものになったんでないかという御指摘についても、重く受けとめる次第でございます。
 したがいまして、今回まさに食中毒は人災であることは間違いございませんから、人災を防ぐためにどうしたらいいかということについては、一つの方法として人員の強化を挙げました。このことについては、中学校の給食が、約一日5,000食をつくっていくということがございますから、それで人的に十分かどうかということは、今後の課題でもございますから、十分検討してまいります。
 ただ、業者委託という形の中における栄養士という問題の御指摘がございましたが、私どもとして契約としては、内容的に業者の契約内容としては業務責任者を調理師資格等の一定の条件の中から選任をしなさいとか、それから食品衛生責任者をきちっと選任しなさい等がありますが、栄養士については、触れてございませんでした。他の業者については栄養士がございますから、今後もこのことは御指摘として検討してまいりたいと思います。
 したがいまして、幾つかまだまだ検討すべきことがございますが、最後のお話にございました再発防止のことから委員会の構成はどういう名称にするか別として、原因究明については保坂議員さんにもお答えしたとおり、これは十分やっていく必要がある、できるだけ早くやっていくと、そういうつもりでございます。
 それから食育推進計画に基づく学校給食の充実について、単独調理方式の利点といいますか、効用性について周知を図れということについては、私の知る限り、今般初めて文部科学省がこれを出してきたものでございますから、私の知る限りは、やや文部科学省の方針について今までと違った方針が出てきたと、こう思っております。それは食育基本法の関係が根っこにありましたことから、そういうことが出てきたことでございますから、これについても対応すべき検討が出てきたものではないかと、そういう思いは持っております。したがって、これも検討課題になりましょう。
 それから、コスト論だけでなくて、この随意契約について不備があるんじゃないかということについては、部長からお答えをさせていただきますが、よろしくひとつお願いします。

教育委員会教育部長(海瀬正樹君) 委託業者の選定等についてお答えをさせていただきます。
 中学校給食の業者選定につきましては、平成9年の中学校給食の試行の時点から、それまで山梨県レベルの行事に、保健所等による衛生指導を受けながら食材の確保や調理、配送等を背負い、弁当を供給してきました山梨県学校給食協同組合を、契約の相手方として選定をしてまいりました。その理由といたしましては、1つ目には、これまでの実績から学校給食に対する理解がある。2つ目といたしましては、個々の業者ではなく、組合による食材の一括購入により品質の保障とか均一化が図られる。また3つ目といたしましては、事故等が起こった場合、組合内の他の業者へ振り替えができ、学校への影響を最小限に抑えることができる、これらの理由によりましてコストの削減ということばかりではなく、委託条件を総合的に勘案する中で業者の選定をしてまいりました。
 しかし、このたび事故が起きてしまったということは事実でありますので、これらを真摯に受けとめまして、今後はこのたびの事故検討委員会等で十分に調査し、それらの結果、仕様書等の内容を改めまして、大変安全確保のための厳しい基準等を加えるなどして、今後の契約にあたっていきたいと考えております。

山田 厚君 栄養士のことは契約書に書いてなかったと言われていたこと、そのこと自体が契約書の不備なんですよね。あって当然で、ほかの業者はあったと。特定業者だけ、この業者になかったということは、そもそもあって当然だというふうに思っていたんじゃないですかね、こちらの方も。契約書というのをちゃんと見直すということは本当に必要じゃないかと思います。
 それから人員の強化というものは、中学校における栄養士さんの方の配置の問題もありますが、小学校の栄養士さん、それから調理員さんの配置も必要です。人数はどんどん減っていますよね、退職者出ていますから。そして、人件費で言っても16、17、18ということを大体山にして、どんどん人件費下がっていますね。あと、7年か8年ぐらい、いただいた数値で見るとほぼ人件費は半分ぐらいになるんじゃないですか。こういうことを含めてもっと技術の継承も含めて調理員さんの新補充ということを考えないといけない時期に来ているなと、私は思いますね。甲府市は特に類似都市の比較、こういったことを見ても甲府市は教育費まだまだ低い、これから頑張るところなんですよ。人件費これも低いですよ。だから、そういうふうにもっともっと頑張る余地があるということを考えながら、この給食の改善をしてもらいたい。
 それから、食育推進計画の問題で、これは文部科学省から初めて聞いたみたいなお話ですけど、共同調理場方式の見直しというのは、もう数年前から言われていることじゃないですか。大体全国で200校も共同調理場が減って、100校近くも単独校の調理場がふえているというのは、ほかの自治体ではそういうことを感じ取っているんじゃないでしょうかね。甲府市で出された方針は、わずか2年前といっているけど、実質は1年半前ですよ。これらの情報も入っていたじゃないですか。だからこの問題についてしっかり再検討、再見直しをしなきゃだめだということですよ。整理だけじゃなくて、やっぱり学校の給食室を大切にしながら食育を進める、そこのことを明らかにしていただきたいと思います。時間はあと1分ほどあると思うんです。ぜひ市長の意見を聞きたいと思いますが。

市長(宮島雅展君) いろいろと御提言をありがとうございました。しっかり踏まえて多くの意見を聞きながら判断をしてまいりたいと思います。
 以上です。