2005年9月議会
2005年9月20日定例会会議録より

国保料の減免制度における部長答弁には問題があります。
もっと担当者は暖かい手を差し伸べてください!


●山田 厚君 9月16日の小越議員の国保の減免制度における質問における向山市民生活部長の答弁について関連質問させていただきます。
 小越議員が、国保の減免制度あるが、昨年はどうして4件しかないのか。それは周知が足りないのか、それとも要件が厳し過ぎるのか、ただあるだけというのでは減免制度は生かされないのではないかとの質問に、向山部長さんは、災害に遭った、あるいは病気になったということで、ただそれに該当するから減免制度の対象になるということではないとして、その災害に遭った、あるいは病気になった方々が、生活がそれによって立ち行かない、保険料などが納められないといった場合に限って、つまり最後の手段といいましょうか、最後の手段として減免制度の対象となるわけです、と答弁されました。
 この答弁を整理すると、部長さんは減免制度において新たな要件をつけ加えたことになるんじゃないかというふうに思うわけです。つまり、減免事由に該当しても対象になるとは限らないのであり、それは、それによって本当に生活が立ち行かないといった、最後の最後の手段として減免制度の対象となる、この要件が新たにつけ加えられたことになるんじゃないかというふうに危惧するわけであります。これはどういうことでしょうか。
 例えば、火災による全焼や半焼は、水害による床上浸水の場合は、罹災証明以外に何か、本当に生活が立ち行かないという何か新たな証明が要るのでしょうか。病気や怪我で失業した場合、診断書と退職証明書など、それ以外に最後の最後の手段を証明するといった何か新たなものが要るんでしょうか。他世帯の子供の収入を調べるとか、世帯の貯金額を調べるのでしょうか。今議論をしているのは、減免制度というのは、生活保護の申請の問題を議論しているのではありません。このような部長さんの御答弁の裏づけとなる新たな根拠はどこにあるのか、あるんなら教えていただきたいと思います。
 さらに大きな問題として、この減免制度における従来の運営協議会や、委員会での当局の答弁と、その姿勢から著しく今回相違していることを感じるわけです。向山部長さんは、他の制度のようにそれに該当したらとりあえず申請をして、よければそれに金銭的な利益を得ようと、そういうための制度ではございません、とした上でこうも答弁されました。「この減免制度の周知は、これはこちらの方で宣伝して、『ありますよ、どうぞこれに申し込んでください。これもありますから、どうぞ納めないでください』というふうに宣伝するものではございません」としたのです。これは明らかに今までの当局の答弁と当局の姿勢、方向から著しく相違していると私は思います。今までの部長さんや課長さん、制度として減免はあるのだから、PR宣伝に努めたいと盛んにこのことを答弁していただいています。それは本当にそうだと思うのです。甲府市の国保の減免制度、制度があってもだんだん機能しなくなっているからです。この理由は私にもよくわかりません。
 減免となっている件数をちょっと見てみましょう。平成11年度は26件ありました。それが平成12年度では13件、13年度では9件、14年度は5件、15年は4件、16年度は4件です。ちなみにこの16年度からは全国的な制度傾向の中で、甲府市も倒産やリストラによる減免制度を新たに制度として導入した年です。当時の標課長は、これによって100件ほどの減免が見込まれるのではないかとも発言をしていたのです。それが平成16年度でわずかに4件、この数年間で減免が可能になった件数は6分1、7分の1に減少しているのです。この間御存じのように国保の加入者は増大しています。数年間で7,300人が国保会計に入っています。世帯会計では5,200件平成11年度と比べて増加をしているのです。ですから、世帯数では甲府市の54%、加入人口では41%となる最大の保険制度なわけです。そしてこの数年間、台風も大水も何回もありました。リストラもありました。それで減免数が減少するのはなぜなのか、このことについて考えるというのは当然ではないかと私は思うわけです。
 平成16年度、例えば台風や集中豪雨があった年です。床上浸水では94件、火災では16件もありました。110件がこれらの対象となっているわけです。しかし減免数では、この災害においてはわずか3件なんです。せっかくの制度が使われない。何か問題があるのではないか。このことを考えるのは当然なことだと思います。私も国保運営協議会で何回もこの問題を質問させていただきました。課長さん、部長さんからの答弁もいただいてます。昨年2月当時の標課長は、「うちの方でも周知、PRを決して怠っているわけではありません。4月、8月の国保からのお知らせにも載せてあります」。同じく当時の平井部長さんは、「こういうことで納めていただける方がやっぱりたくさんおられるということで、今後ともPRを徹底していきたい、よりよい健全な運営をしていきたい」、さらに7月の現在の河西課長は、「当然制度としてつくってあるということでございますので、いろんな媒体を使ってですね、宣伝に努めていかなければならないというふうに考えております」と、御答弁いただいてます。
 減免制度というのは、お金をもらう制度ではないわけです。今まで毎月毎月丁寧に滞納なく納めていただいた方々を、あるとき突然の災害、リストラに対して緊急的にも支援していくというのが制度なわけです。ですから、保険料の中でも全額でもなく所得割の一部です。しかもその所得割の中での10分の10あるけれども、10分の7も10分の5もあるわけです。ですから、ずっと今後とも滞納しないで納めていただくための制度が減免制度、そういうことなわけです。だから、私はこの当時の平井部長さんの「納めていただける方」ということでこの減免制度を言ったということは間違いないと思うのです。ですから、その意味で部長さんに質問しますが、1つは、減免制度に本当に生活が立ち行かないという新たな要件が必要とされているのか否か、その新たな要件の根拠というのは一体どこにあるのでしょうか、お教えしていただきたいと思います。
 2つは、「減免制度は他の制度と異なり、どうぞ申し込んでくださいと宣伝するものではない」という新たな部長答弁と、今までの当局の姿勢、その相違についての違いを説明していただきたいと思うわけであります。


市民生活部長(向山 隆君) 説明の仕方で誤解があるようですから、改めて説明をさせていただきますが、この制度は災害、それからリストラといういわゆる予測できないような出来事があった場合について、通常の生活が続けられないという方に限って適用になる制度でございます。
 最初の御質問の新たな要件ができたのかということですけれども、そのようなことはございません。この制度は、甲府市国民健康保険料減免要綱というものに基づいて、これは53年の4月1日に施行されておりますけれども運用されております。その中の条件は、火災とか風水害、以下住んでいる家屋の売却とかありますけれども、それに加えて「なおかつ保険料の納付が著しく困難であると認められるときは、別表の範囲内で支給することができる」というふうにあるわけです。つまりこの要綱に従った制度ですから、この要綱に明記されている「保険料の納付が著しく困難である方」に限らなければ、この適用にならないわけでございます。
 この運用方法はどうするのか。先ほどちょっと新たな証明できるような書類があるのかないのかということですけれども、そういうことでもございません。これは納税相談というのでしょうか、納料相談というのでしょうか、私どもの方に来て保険証をくださいとか、あるいは私どもが徴収員が回ってお話するときに、つぶさにその方の納入状況、それから生活費の状況、お支払い状況を調べさせていただきますから、ことしの3月大変混み合ったときでも、1件について10分なり30分なりは相談をさせていただいているわけです。それで収入の状況、支出の状況をそこでつぶさにお聞きした上で、もしこの制度の該当になるならば、その時点でそれは無条件に該当いたしますので、免除、減額をさせていただいております。
 したがいまして、その根拠と申しますのは、まず要綱にはっきり明記されているということ。それから証明書というのは、それはただあれば結構ですけれども、なくても担当者が聞き取りをすれば、その時点で判断ができれば、それにかわるものとして当然免除の対象になるということが2つ目でございます。
 それから私の説明で、「経済的な利益を目的として」ということがおかしいんじゃないかということですけれども、甲府市の制度は幾つかございます。例えばその中に経済的な利益を目的としているものがあるんです。それは例えばマンションの建設費補助、1棟50万円、総額2,000万円というふうなもの。それから産業振興部でいきますと設備資金ですね、中小企業の方。それから運用資金のようなもの。これはその制度を利用していただいて、経済的な利益を目的とする。これは一人でも多くの方に少しでも多くの金額を借りていただいて、そして経済的な効果を上げていく。そして産業振興に寄与していくということがその制度の目的になっているわけです。ですからその制度の場合には金額が少ない、件数が少ないということになれば、制度の目的に反しているわけです。これは何らかの対策が必要でしょう。
 しかし、この国保この制度は、私はそういう性格のものではないということを先日御答弁したわけです。それがちょっと違っておるというところでございます。
 リストラ、台風で何回もあったけれども、どうしてそれが少ないのかという御質問でした。リストラの場合は、例えば3か月以上就職しないとか、6か月以上就職しないというふうな制限があります。それからその間、例えば失業保険なんかが出てしまいますと、それは収入の道が80%とか保障されてしまうわけですから、先ほど申し上げましたような「著しく生活が困難」ということに該当しなくなる、ということで件数が少なくなってしまいます。
 それから災害でも以下同文でございまして、ただ数値が少ないのではないかという再三御指摘をいただいておりますけれども、これにつきまして私どもは、例えば床上浸水があった地域には特別にチラシをお配りしています。その中で減免制度がありますから御相談くださいということを申し上げております。また昨年に限ってですけれども、床上浸水された方で、まだ申請とか相談のない方には、電話でこちらで連絡を取ったというふうなこともあるようですけれども、いずれにしましても、災害があったけれども、その制度を知らないという方は、ごくごく少ないのではないかと私ども考えているということでございます。
 以上でしょうか。それから、もし、ちょっとあれですけど、もし漏れがありましたらまた御指摘をいただきたいと思います。一応以上でございます。

●山田 厚君  残念ながら今の御答弁ではちょっと納得しかねるところがあると思います。宣伝するものではないという、これは今までの当局の姿勢と全然違うんじゃないですか、ということをお尋ねしたんですけど、それについてはお答えがありませんでした。「しっかり電話なんかしてます」という御答弁ですから、それは従来に戻っているという御答弁ですからね。私は最後に要望といたします。

 例えば甲府の国保料は、全国的に言っても年間で1万円ぐらい高いんですよね、一人当たり。なおかつ250万円とか300万円世帯というのはかなりきつい金額なんです。この減免制度、例えば床上浸水があったとします。9月にあったと。それで減額の金額をお聞きしたら、今まで3万4,000円ぐらいの例えば250万円で4人家族。こういった高額ではない厳しい御家庭でも、3万4,000円の国保のお金をいただいておいて、床上浸水になっちゃったと。そのときに減免はわずか1万1,000円ぐらいのお金が年度末までいくわけですよ。私もはっきり言って国保滞納したことあるんですよ。今度の議会議員になったばかりのとき。現金で納めていたらついつい忘れてた。2か月ですよ。介護保険まで入れたら10万円になるでしょう。これは、3か月入れたら大変な決意が要るんですよ。あわてて銀行振込にしましたけどね。この3万4,000円ぐらい、250万円世帯で厳しい思いで床上になっちゃった、災害に遭っちゃった。ここで1万1,000円ぐらいの減額があって、しっかり納めていただくためにも2万3,000円か2万4,000円にするということは、甲府市として該当する事由なら当然だと思うんですよ。もっと部長さんの段階なんかでも、温かく市民の災害や状況を見ていただきたいと思います。何でその、言葉が走ったのかもしれないけれども、最後の最後の手段だとか、本当に生活が成り立たないのかとか、そういう言葉を強調されるのか、はっきり言って私は疑問です。甲府市は、だからね、はっきり言ってよそより減免の件数も申請も足りなくなっているんじゃないか、そういう危惧するところです。滞納しないで払い続けていただくためにも、手を差し伸べる、そのことは当然じゃないでしょうか。ちなみに甲府の国保険料は高いです。部長さんの1,000万円の所得で見ると、部長さんと4分の1もの世帯の人は同じ健康保険料ですよ。だから、もっともっと担当者として温かい目と手を差し伸べていただきたいと要望して終わります。