2004年9月議会
2004年9月8日定例会会議録より

学校給食とは教育であり、直営の自校方式を求めます!

山田 厚君 現在甲府市では、小学校給食の民間委託も含めてのあり方についての検討が行われています。教育委員会の具体的方針はまだ出ていませんが、今回は学校給食に絞ってのみ質問させていただきます。
 さて、小泉政権になってから、とにかく民間委託などの官から民という大合唱です。これは三位一体改革などとしながらも、結局のところ国から自治体への財政支出を減らすための政策的な誘導にほかなりません。ですから、自治体はあわてて今の流れだから、とにかく民営化をではなく、またやむを得ず民間委託できるものを探したとしても、これは民間委託はできないという政策上の原則が必要です。そして、国の政治に対しては、自治体が声をそろえて「自治体財源を保障しろ」ということに力を注ぐべきです。
 民間委託はできない。その代表的なものに小学校給食があります。甲府市の未来を担う子供たちの教育や健康から、公的責任の放棄につながる民間委託は避けるべきだからです。しかし、教育委員会のこの間の動きを見ても、とにかく民間委託の結論を出したいという担当者の焦りが強く感じられます。その焦りの典型が、学事課の「給食費コスト計算試作」です。この試作がもととなり、新聞報道でも「小学校給食は民間の中学校給食と比べ3倍の費用」と、大きく取り上げられ、外部評価委員からもむだ遣いの見直し、保護者が民間委託を嫌がるなら、給食費の値上げによる応分の負担を求めろ、という学校給食法にも抵触する誤った主張の広がりにもなりました。この試作は、調理員さんが平成14年度に全員が一斉に退職し、その総額退職金が7億1,000万円もかかったという想定の試作です。そのほかにも、学校給食会の人件費を中学校を除いて小学校だけに加算したりなど、とにかく小学校給食費のコストを実質より極めて大きくして1食当たり民間の3倍となったのです。私もそうですけど、PTAなどの多くの方が計算し直したところ、民間と比べてほぼ1.5倍ほどでした。私は平成20年度も計算したところ、わずか1.1倍ほどでした。年功給の比較的高い退職年齢の調理員さんが退職しますと、その後すべて補充しても、若い正規の調理員さんの給与だとこうなったのです。つまり、甲府市の学校給食費の人件費コストは、これからより軽くなっていくのです。
 ところで民間委託を実施した自治体のやり方を見ても、行政の責任としてそこに栄養士さんを配置しています。また今まで給食を支えてくれた調理員さんを、途中解雇することなどはできません。そうなると、甲府市の場合の民間委託のコスト効果は、新規採用の調理員さんをふやさないで済むが、その一方で栄養士さんの必要な増員と、じりじりと上がる民間委託費を抱えることとなるのです。
 前回、本会議場で私は、民間委託の目指す理由は、ただ単に直接のコスト論だけです。「学校教育の一環としての検討をしてください」との発言をいたしました。この時の私は、まだ勉強不足のようです。正しくは、「甲府市の民間委託の場合は、直接のコスト論から言っても理由にはなりません。」このように訂正したいと思います。しかし、コスト論で終始してはいけないと思います。教育の根本にかかわる大切な問題だからです。
 学校給食の歴史は、戦後、学校教育における子供の食の貧困化への対策として始まりました。戦後、子供の育成にとって学校給食は重要な役割を果たしました。子供の栄養不足を補うだけでなく、学校給食から発信して家庭や地域に広がり、戦後の日本の食の文化も大きく変えることともなりました。
 私は、今、飽食の時代とされていますが、終戦直後とは異なる新たな食の貧困化が始まったと考えるものです。子供の状態をよく見てください。子供の体力が著しく減退しています。文部科学省や中教審は、20年前の1985年当時を、今後の目標にすることを提唱しています。また、戦後伸び続けてきた子供の身長や体重などの体格も、最近の数年間は明らかに頭打ちとなり、しかもこの二、三年から小さくなる傾向も始まっているのです。さらに生活習慣病の児童や肥満児がふえています。その一方で、痩せた子、貧血児童がふえているのです。大変な事態だと思います。
 この原因は複合し合っていると考えられます。出生時の身長や体重の低下傾向が続いていること、子供の外遊びやスポーツの運動の機会が少なくなっていること、それと食生活です。食事の取り方や食事の内容、食材にも原因があると思われます。スナック菓子や清涼飲料水が当たり前となり、子供の栄養のバランスが崩れ、偏りも強まっています。調査では、保護者の多忙化の中で、家庭の食事も簡便化、単一化、外部化となっていることが指摘されています。家庭での家族団らんの食事がなくなり、朝食抜きや子供ひとりの食事も珍しくなくなっています。不況の中で市民の生活はより厳しくなり、給食費を滞納する家庭もふえています。また給食費が払いたくても払えない世帯のための就学援助世帯は10世帯に1世帯にもなっているのです。
 私は、これは化学物質の食材や遺伝子組み換え食品が広がっていること。日本の食糧自給率の低下の問題も含めて、特に子供の食の困難さが始まっていると考えるものです。だからこそ、ある意味で危機感を持って食の文化、食の教育が見直され、特に学校給食の役割が強調されているのです。学校給食への今までにない期待が寄せられています。農林中金総合研究所の調査では、子供に「朝食と学校給食と夕食の3食で、一番楽しい食事は」という問いに、60%以上の子供が「学校給食」と答えています。また、「みんなと一緒に食べられるのでうれしい」が64%、「給食時間がまちどおしい」が57%です。保護者は、「子供の健康づくりに役に立っている」が98%、「食べ物の好き嫌いが少なくなった」が46%、「他の教科と同じぐらい教育的意味があると思う」が95%にもなっていました。学校給食は、年間190食といえども大切な発育期の栄養の確保と食の教育です。また学校給食は、家庭と地域に対しての食生活改善の情報と、食文化の発信センターです。全国では、学校給食から地産地消も、食の文化の見直しも具体化され始めています。そこで必要な改善について要望と質問をいたします。
 まず栄養士さんについて質問します。食の教育の中で栄養士さんの役割がますます大きくなっています。栄養士さんが教室に入って説明すると、子供の残さいが少なくなるとの調査もあります。全国平均で2校に1名の栄養士さんが配置されています。自治体によっては1校に1名も珍しくはありません。また、全国的にも栄養士さんの配置数はふえているのです。甲府市の小学校には、県費負担の栄養士さん5名だけです。5校に1名以下では少な過ぎると思います。
 また中学校では、たとえ業者弁当方式でも給食が全校に実施されていますが、なぜこの間、中学校給食に心を配る栄養士さんが一人も配置されていないのでしょうか。業者弁当方式だからこそ責任ある栄養士さんが必要ではないでしょうか。
 プラスチック食器の更新について要望します。甲府市の給食の食器は、プラスチック食器のポリプロピレンの食器です。プラスチック食器は傷がつきやすく、古くなると材質の添加剤などが溶出しやすくなります。ですから甲府市でも、小学校給食の食器は、6年に1回新しい食器に更新しています。また甲府市は、食品衛生法に基づき毎年溶出検査を行っていますが、小中いずれの食器も基準値内とのことです。この場合、基準値内とはいえ、中学校給食の食器は小学校と比べ溶出する数値が高くなっています。これは中学校の食器の更新が小学校と違い、10年または11年間で行われるために更新期間が長いからです。更新期間はなるべく早い方が安全です。中学校もせめて小学校並みの更新期間とすべきではないでしょうか。またより安全な陶磁器や木製品を導入する自治体が徐々にですがふえています。このことも今後の検討課題としていただきたいと思います。
 給食室の合成洗剤について質問します。皮膚や内臓障害を招き、河川などを汚染するとして合成洗剤の有害性が問題にされてから40年、給食室から安全な石けんへの切り換えが各自治体で具体化され始めてから30年以上もたちました。しかし甲府市では、いまだに小学校や保育所の調理室で合成洗剤を使っています。合成洗剤の使用を少しでも改めていく方針や議論はないのでしょうか。また、中学校給食の業者の調理室では、どのような洗剤や消毒薬を使っているのでしょうか。それを甲府市はどう点検しているのでしょうか。これは常任委員会でも質問いたします。
 中学校給食の給食時間について要望します。各小学校の給食時間は、ほぼ50分間です。各中学校の給食時間は、わずか15分間です。4校時終わってすぐ給食時間としてもほぼ25分間、これでは短か過ぎます。時間設定は各学校ごとと聞いていますが、正味10分間ほどの給食時間では、教育どころか正しい食生活ともいえないのではないでしょうか。小学校のお当番による残さいの処理や歯みがきまで含めて培われてきた給食のいい習慣が、中学校に入るといきなり断ち切られてしまいます。中学校に入ったばかりの1年生は、特に困っています。中学校給食の残さいが多いのは、ここにも原因の1つがあると思われます。食も教育なら、それにふさわしい時間的な確保も考えるべきではないでしょうか。
 続きまして、統一献立の同日実施について質問します。いきなり今年度から、統一献立の同日実施が始められました。つまり1万食の食材が共同購入され、同じ献立で同じ日に給食として実施されるのです。1万食の同じ規格の食材を同じ日に準備するとなると、食材に小回りがきかなくなります。例えば2,000食なら準備できても、1万食なら無理ともなります。地産地消という地元の食材を生かす可能性も閉ざされてしまいます。食の教育の必要性が言われても献立の柔軟性がきかず、学校や栄養士さんの裁量の幅が狭められます。それにリスクが大き過ぎます。食中毒の場合、食材の中止や差し替えにも支障を来します。また甲府市は、大雪、大雨などで数年に1回ほど交通が遮断され、短時間であっても陸の孤島となることがあります。1万食の同日実施では、食材を確保したり、ストップさせたり、食材を変更させることなどの災害対策もできないではないですか。
 ちなみに旧文部省通知や文部科学省の学校給食衛生管理の基準を見ると、「市町村教育委員会は、統一献立が余りにも大規模である場合は、食品の品質管理や確実な検収を行う上で支障を来すおそれがあることを考慮し、地域ブロック別や学校種別の単位に分けることなどによる適正な規模での献立の作成を検討すること」とされています。確かに支障を来すおそれがあります。統一献立を改める必要があると思います。
 学校給食調理室について要望します。安全やおいしさの調理技術や経験は、継承させていかなければなりません。退職者による欠員は新規調理員さんの補充が必要です。また調理室の改善も必要です。調理員さんは夏場は連日40度を超える高温多湿の中で、冬場は厳しい寒さの中で働かれています。実際に調理室の視察をすれば、この働き方に敬意を表しても、楽な仕事と言える人はいないはずです。今まで小学校給食で苦情や給食事故を起こさないできたのは、調理員さんの正規職員としての誇りや雇用が安定しているという中で、いい仕事への頑張りが続いているからだと思われます。しかし、40度というのは人体にとって明らか有害な作業です。旧文部省通知や給食管理基準には、温度25度以下、湿度80%以下が望ましいとされていることからも、今後の夏場対策などの改善を行う必要があると思います。
 最後に、既に行われている民間委託について質問します。どうも一般的にはとにかく民間委託がいい。官より民だとなってしまいがちです。しかし、落ち着いて今まで民間委託したものも含めて公的責任を考えてみることも必要です。例えば業者弁当方式の中学校給食では、給食事故や苦情が何回も寄せられています。このような事故は、小学校給食ではありません。この差は、一体どこにあるのでしょうか。例えば中学校給食の1食当たりの委託費は、じりじりと値が上がる傾向があるようです。平成12年には1食170円から180円になっています。どうしてでしょうか。理由が明らかではありません。これは常任委員会で質問いたします。
 例えば小学校の給食残さ収集業務の委託です。ここでは民間業者が給食の残さいを収集して甲府市の環境センターに持っていきます。ここで業者は、甲府市の環境センターに使用料を支払います。その使用料は、甲府市が委託料として含めて業者に出したものです。何かおかしな気がします。そもそも環境センターが直接収集してくれれば、委託料や処理料は要らないはずではないでしょうか。見直しは民間に業務委託しているものも必要です。場合によっては、民ではなく官に戻すことも必要ではないでしょうか。そして今議論している課題は学校給食です。子供たちの教育や健康の今までにない切実な問題です。民間業者任せにはできない甲府市の大切な未来がかかっているのではないでしょうか。
 最後に甲府市長さんにお尋ねします。御自分の政策上の指針としてお聞きします。民間委託にはできるものとできないもの、その選択が必要と思いますが、どうでしょうか。その場合、小学校給食をどのように考えておられるのでしょうか。以上をもって初めの質問に区切りをつけます。

市長(宮島雅展君) 山田議員の御質問にお答えをします。
 小学校給食業務の運営についてであります。今、地方自治体には長引く景気の低迷による税収の落ち込みや、国と地方をめぐる税財政構造の抜本的な改革が進展する中にあって、分権型社会に対応した創造性豊かで自立した自治体運営を図ることが求められております。こうした中、市民サービスの水準を低下させることなく行政責任を果たすためには、行財政改革を進め、民間活力も導入する中で簡素で効率的な行財政運営が必要であります。
 小学校給食の調理業務の運営方法につきましては、現在、教育委員会において保護者を含む学校関係者による小学校給食調理業務検討委員会を立ち上げて検討を重ねておりますので、その検討結果を受けて判断をしてまいりたいと考えております。御理解を賜りたいと存じます。
 ほかの御質問につきましては、関係部長からお答えをさせます。

教育委員会教育部長(中澤正治君) 学校給食にかかわる数点の御質問にお答えをいたします。
 はじめに、学校栄養職員の配置についてでございますけれども、現在、給食施設を設置している学校または共同調理場に対して、県の算定に基づいた職員が各自治体に配置されております。これにより本市には、県費負担として5名の学校栄養職員が配置されております。学校栄養職員の配置につきましては、今後とも引き続き県に対して強く働きかけてまいります。
 なお、中学校への栄養職員の配置につきましては、外部委託のため、独自給食施設を持たないことから、市単独の栄養職員を配置し、対応しております。
 次に、食器の洗浄用洗剤についてでございますが、小学校給食の食器用洗剤につきましては、分解しやすく環境負荷が少ないなどの利点のある粉石けんと合成洗剤を併用し、使用しているところであります。本市で使用する合成洗剤は、植物性油脂のヤシの実を原料としており、化学物質排出把握管理促進法に義務づけられた製品安全データシートにより、環境や人体に影響を与えないことが確認されたものを使用しております。中学校給食での洗剤につきましても、給食業者が小学校給食と同様に安全性を確認した洗剤を使用しているところであります。
 なお、洗剤等の残留につきましては、食器の溶質検査や残留物検査を行うことにより一層の安全確保に努めております。
 次に、統一献立につきましては、平成14年度から学校給食会が中心となり、学校栄養職員や調理員の意見を聞く中で効率的な食材の調達と事務の簡素化を目指し、検討を重ねてまいりました。
 その結果、統一献立の同日実施については、支障なく実施可能と判断し、今年度4月より実施しており、現在地場産品の利用を含め、給食運営について支障は生じていないところであります。
 次に、中学校給食についてでございますが、中学校給食につきましては、平成10年度より多くの保護者の皆様の要望にこたえ、外部委託の弁当方式により実施してまいりました。調理にあたりましては、受託業者に衛生管理講習会や、年2回の安全衛生講習会の義務づけを行うなど、安全衛生に特段の喚起を求めてまいりました。特に髪の毛などの異物混入があった場合には、直接報告を求めるなど厳しく指導を行っております。
 次に、小学校給食の残さい処理についてでございますが、小学校給食にかかわる調理室や、児童の喫食に伴い発生する残さいにつきましては、事業系ごみとして廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、事業者の責務として処理しなければなりません。こうしたことから、現在許可業者に給食の残さい収集と環境センターでの処理料を含む搬入を委託しております。
 なお処理料につきましては、許可業者が学校での残さい収集時に給食職員立ち会いのもと残さい量を計測し、環境センターへ搬入を行っており、その実績に応じて廃棄物の減量化、資源化及び適正処理等に関する条例に規定する処理料を払っておりますので、目的別の予算執行の原則からも適正に処理されているところであります。
 以上であります。

●山田 厚君 まず、子供をめぐる行政の認識ということをぜひわかっていただきたいと思うんです。表をつくってきたのですけれども、(資料1掲示)この表は、甲府市の教育委員会のデータからでたものです。私がさっき言いましたけれど、太っている子供さん、ローレル指数で175の中学生というのは、年々確かにふえている。このことは大体社会的な常識になっている。でもその一方に痩身児やせた子供さんが、ここへ来てずっとふえてきているのですね。こういう感じで。だから、全体に子供さんは体重が低下している、それで貧血の子供さんも多いという、この事態は何なのかということなわけです。
 それからもう一つ。(資料2掲示)子供の運動能力、体力の問題なんです。学力も体力の中に入るわけですけれども、それはこの20年間文部省や中教審が言っていましたが、この20年間間断なく下がる傾向が出ている。ここでは、中学校3年生の女の子の握力測定を見てみました。これは山梨県の調査で山梨県の子供さん全体です。これを見てみると年々のように落ちてきているということですね。だんだんこういう傾向です。2.4キロが20年前と比べ握力が低下している。小学校6年生50メートル走。これもずっと8秒で走っていた子供さんが、平成になってから9秒台になっているんですよね。ですから、お父さんのときよりスピードが出なくなっている子供さんが今ふえている。20年間間断なく落ちているということなわけです。
 もう一つ(資料3掲示)こういう傾向もあると思って私ずっと調べてみたのですけれども、これの方が私はうんと心配なのです。というのは、戦後一環して「子供の体格は向上してきた」と、こう言われ続けてきたんです。でももう一方では、専門家に言わせるとここ数年間子供の体格は頭打ちになったというふうに言われている。これは小学校6年生の女の子の体重、黄色い線です。これがずっと伸びてきたんですね。でもここの平成3年、5年ぐらいになってきて、平成10年になると明らかにピークになって、あとは下り始めてきているのです。小学校の子供さん、小学校3年の男子の身長も、ずっと伸びてきたんですよ。それがこの5年ぐらいで頭打ちになって、今は下がり始めてきているんです。全国の数字も山梨県と一緒に並べてみました。やっぱり全国も子供さんの身長、体重、同じように頭打ちになり、この平成12年、14年ぐらいからは落ち始めているんです。これにはやっぱりいろんな理由があるかと思いますが、先ほど私が言いましたように、やっぱり運動とか出生時の状態、それと今の子供さんをめぐる食の状態があるんじゃないかというふうに思うわけです。ですから、本当の意味で給食というものは大事になってきているということを改めて再認識しなければいけないかなと思うのです。
 それで質問をさせてもらいますが、栄養士さんの関係ですね。これは再質問したいと思うのですが、栄養士さんは、学校現場に配置されてこそ栄養士さんなんです。小学校では、我が甲府市は県費負担の県職員の方の5名だけなんですよね。国基準で計算すると、甲府はもっとその倍以上必要になると思います。例えばよく言われる話ですが、子供数550名の学校では、最低でも1名入れろというのが本来の国の基準であったわけです。ですから甲府では、最低でも10名以上、12名ほどは必要になってくるというのは、もう教育委員会の皆さんもよく御存じだと思います。
 もう一つここで明らかにしなきゃいけないのは、県の基準というものに対して甲府市はしっかり栄養士さんが欲しいということを言っていただくと同時に、他の市町村と同じように市町村の負担、市町村の費用で栄養士さんを配置しているんですね。山梨県でも多いです。全国では最も多いです。ですから、足りなかったらば、しっかり県に言うと同時に甲府市としての配置、甲府市の費用としての配置も考えなければいけないかと思うんです。特に先ほど言いました中学校の問題です。中学校では業者弁当方式といえども完全給食です。これに施設がないからといって栄養士さんが本来いないというのはおかしいんです。先ほど部長さんが栄養士1人配置していますと言われたけれども、職員録見ても、ずっと昔から今いる栄養士さん1人というのはずっと配置されているのですね。この栄養士さんというのは、中学校現場に責任を持つというよりも、むしろ教育委員会の事務局のデスクなんですね。ですから、そういう方もいてもいいと思います。でも、もっといなきゃ困ると思うのが中学校給食に、いろいろ民間業者にお願いしているし、もっと心と目を配らなけりゃいけない中学校給食に、10校もある中学校給食に1人もいないというのは、やっぱりこれはいかがなものかと思わざるを得ないんです。ぜひこのことをお願いしたいというふうに思うんです。
 合成洗剤の話です。先ほどデータシートの問題と安全性のことを強調されましたが、いわゆるデータシートというのは何で必要なのかというと、有害物質を取り扱うからデータシートが必要なんですよね。だから、いろいろある法律もPRTR法などとの有害物質の基準というものも、合成洗剤だからその基準データシートが必要なんですよ。石けんにはこういうものは必要ないとなっている。それから水道局の水質の管理基準だって、合成洗剤は入っているけど、石けんはないでしょう。だから、安全にはより安全なものを目指すものならば、やっぱり石けんの方がいいんですよ。だからぜひ職場での話し合いをしていただき、子供さん、調理員さんにより安全な方向での議論を進めていただきたいと思います。
 それから中学校給食の問題です。これはどうしてこうなるのかというぐらい、私は非常に疑問を持っています。というのは、PTAの総会の話で、PTAの役員さんが、母親委員会でしょうね、試食をされたら、その試食の中に髪の毛が入っていた。こういう話があった。それを総会で聞きました。このような事態の中で一体どうなっているのか。お聞きしたところ、3年間でこの中学校給食の中に、お弁当の中にまつげや虫やハエや、それからホッチキスの針、さまざまなものが入ってたり、さまざまな苦情で実に3年間で53件も事故や苦情があるということなわけです。小学校ではないんですよね。この差をどういうふうに考えておられるのかということです。今、教育委員会さんの方から、「直接報告を求める」、「厳しく指導」というふうに言われましたが、もはやその段階ではないと思います。業者を呼び、注意・指導も当然でしょうけども、業者の調理現場に市の栄養士さんや調理員さんたちも含めての査察、視察を行わなければいけないと思うんです。抜本的にその原因を明らかにしていただかないと、これは当然その不安を感じざるを得ないというふうに思うところです。これは強い要望として常任委員会の方でも質問させていただきたいと思います。
 それから、給食の業者委託の残さい収集業務の関係です。確かに目的別の会計もあるでしょうけれども、そうはいっても、直接環境センターの皆さんが来てくれれば、その委託料も処理料も要らないはずですよね。やっぱりそれはそうだと思うんですよ。環境センターはまた企業会計でもないわけですから、甲府市の一環でやっているわけですから。それに特におかしいのは、小さなことですが、委託の業務料なんですね。平成10年では小さい金ですが476万円、平成14年では689万円、平成15年では712万円になっています。小さいお金でしょうが、200万円以上わずかな間でふえて50%も金額が増加しています。この間の教育センターの処理手数料は同じ金額ですよね。値上げはしていません。それから子供の数も少しずつですが減少し続けてますから、残さい量だって本来は減っていく。つまり業務量から言っても減る、委託料も減るというふうに考えなければだめなものが、どうして50%ふえるのか。私はこれは疑問でならないわけです。これは後でしっかりお聞きしたいと思いますが、民間だからといって安心しないで、管理をしっかりお願いしたいと思うのです。むしろ市民にとっての安心というのは、営利目的じゃなくて、市の職員さんで、その人たちのマンパワーでやっていただくのが一番安心なわけですから、その辺のところも含めて考えていただきたいなと思うのです。
 それから統一献立の話が出ました。これは本当に私も疑問で、理事会でも言わせてもらいましたけど、先ほど言った文部科学省の通知とか基準というのは平成15年に出ているのですよね。これの基本というのは何なのかというと、堺のO157事件の共同献立統一実施、それから共同購入の問題に端を発して、これではうまくないから、せめてブロック別にというところで始まって政府もそういうふうに考えたわけですよ。これはおかしいなと思いますね。またリスクマネジメントの感覚で言うならば、今まで「4月から9月まで別に事故ありませんよ」、こういう考えじゃだめなわけですよ。何かあったときに、支障を来すおそれがあるときに対応するという考えじゃなきゃいけないんではないでしょうか。この辺の見直しぜひお願いしたいと思います。

教育委員会教育部長(中澤正治君) 何点か再質問いただきましたけれども、中学校への栄養職員の増員という部分でお答えさせていただきます。他につきましては要望というふうに受けとめさせていただきました。
 小学校への増員配置につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、これまでにも機会あるごとに県に対して強く要請をしてまいりました。中学校につきましては、既に1名配置をし、それぞれ役割の中で栄養士として職務を行っているところであります。現行の体制をより充実するという意味においても大変重要でございますので、施設を持たない部分、いわゆる中学校でも当然そういったものの助成ができるように強く県に対してこれらについても要請をしてまいりたい、このように考えてます。

●山田 厚君 わずか1分ということですが、もうお願いをするだけに終わってしまいます。「小学校給食の民間委託を検討されて、その検討結果を見て」、市長さんはそうおっしゃいました。ですから、まだ結論は出てないということですが、私は今ある中学校給食の給食事故やなんかの問題も含めて、しっかり今の中学校給食を総括して、そして現状に今足りない学校給食の改善点、例えば栄養士さんの数、給食調理室の問題、さまざまな問題があると思います。その辺の改善をまずしてから民間委託の問題も考えなければ、前提がどこかいっちゃうんじゃないかと、そんな不安を感じます。ぜひ行政当局の皆さんにも簡単ではいかないと、給食問題では全国で裁判が4つもあるんですよね。市民から起こされています。それだけ今給食に対する関心は非常に強いんです。ぜひとも安心できる甲府市の、そして未来の子供のためにもしっかりと今の学校給食を堅持し、そして変えるべきものは中学校給食なんだという、その辺のところもぜひお願いして終わりたいと思います。
 以上ですが。