2003年9月議会
●2003年9月8日定例会会議録より

街なかの小さな学校を子どものために守るべきです!

山田厚君 甲府市にとって大きな課題の一つに、小学校の統廃合問題があります。昨年6月に小学校統廃合の教育委員会案が出されて以来大きな議論を呼び、地域のPTAの保護者からは白紙撤回の署名まで行われました。その署名数も約3万以上と言われる大きな数字であり、この教育委員会案に対する根強い抵抗があったことが明らかとなりました。教育委員会案の土台となったものは、6年前の適正配置審議会の最終答申です。
 私は、ちょうど6年前の本会議場で最終答申に強い疑問を申し上げております。この最終答申は、中心部小学校、穴切、春日、富士川、琢美、相生、東、湯田、北新、朝日、新紺屋など10校のうち3から4校の廃校と、大規模校化している東南部の小学校1、2校の新設が必要としていました。私は、「児童の教育条件と教育環境が低下している東南部の新設校は必要であり、具体化は当然」と、この時申し上げました。しかし、中心部小学校の廃校には強い疑問を持って質問をしました。それは、教育的な論証や地域に与える深刻な影響などの分析がなく、いきなり小規模校は切磋琢磨されてないと決めつけられ、人口推移の将来予測数のみを根拠にしていたからです。
 最終答申から昨年の教育委員会案が出されるまでに、数年間が過ぎました。この数年間で学校と子供をめぐる情勢は大きく変わっていました。私は、それだけに、またあの最終答申と同じ内容のものは出ないだろうと思っていました。例えば、それまでかたくなに40人学級でなければならないとしていた文部科学省が、2001年から少人数クラスへ向けて規制緩和しました。自治体が独自の判断で少人数学級へ動き始めることができるようになったのです。甲府市は従来から、40人学級の早期見直し、30人学級の要望を国と県に行ってきましたから、当然最終答申は少人数学級で見直されるものと考えていました。
 また、この間の子供自体の状態もさらに深刻になっていました。不登校の子供さんはふえ続けています。また、学校に登校しても授業に出られず、保健室で時を過ごす、いわゆる保健室登校も多くなっています。甲府市でも小学校の段階で不登校、長期病欠、保健室登校などで苦しんでおられる子供さんは、約100名もいます。中学校ではこの倍です。LD(学習障害)とか、ADHD(多動性障害)、さらには高機能自閉症などの新しい概念が明らかにされ、その公的な支援が始まったのも、この数年間です。
 子供を取り巻く環境も2年前の池田小学校事件に見られるように、単なる不審者対策にとどまらない極めて差し迫った課題となってきました。また、通学路の安全対策も切実です。子供の交通事故が増加の一途だからです。山梨県と甲府市は、交通事故多発地域です。甲府市の子供の交通事故は年々増加し続け、昨年は182件、死者3名、数年前と比べると70%も増加しています。そして、歩行者の交通事故は、たとえ歩行者が正しく歩行していても、約半分が事故に遭う状態になっているのです。
 子供を取り巻く情勢はさらに困難さを増していました。その中で、地域に密着した町の小学校の大切さはますます明らかになっていました。ベネッセ教育研究所が、2000年に行った全国の養護教諭のアンケート調査でも、大規模校の子供たちに困難な問題が多く、小規模校の子供たちには問題が少ないとしています。最終答申は、その審議過程においても、またその答申内容においても、子供の頭数だけを不正確に予想するだけで、子供をめぐる状態について触れられていませんから、激しい情勢の流れについていけなくなるのは、当然でした。
 しかし、昨年出された教育委員会案は、この最終答申よりはるかにきつくて粗い内容でした。それは、最終答申より廃校数を1校追加して提案していました。これでは10校のうち5校も廃校にされてしまいます。しかも廃校した学校の跡に新設校を建設する案ですから、この手法では実際の廃校数はもっと多くなります。10校のうち場合によっては7校も8校も廃校とされかねません。そうなってくると、春日、相生、富士川、穴切だけの問題ではなく、甲府市全体の問題となってしまいます。
 さらには、その跡地につくられるという新設小学校は、冷暖房完備、プールと体育館の一体型、ソーラーシステムというモデル校として巨費をかけて建設するという案でした。これでは、借金前提の箱物と同じではないか。公教育の場にモデル校をつくり、学校間の格差や差別をつくってどうするのだとの意見が出されるのは当然でした。実際、またこのモデル校ができたら、統廃合する前より余分な支出が甲府市に強いられることにもなりました。
 また、教育委員会案は、適正規模数を児童数330人から550人としました。これは余りにも大きな物差しです。この適正という大きな物差しでは、全国では60%、山梨では70%の小学校が不適正とされてしまいます。また、教育委員会案は、少人数学級の実施については、統廃合の後に低学年のみで行うとするなど理解に苦しむ内容でもありました。
 さらにまた、この物差しの当て方が問題でした。物差しより小さい小規模校については統廃合を求めるものの、その一方でこの物差しよりさらに大きい、つまり大きくて適正ではない大里、大国、山城小学校などの大規模校へは、当分の間推移を見守るとして、その対策が全く触れられていないのです。これではプレハブのクラス、放置され続け、ふえ続けても構わないことになってしまいます。
 さらにまた、統廃合を進めるにあたってのやり方です。最終答申でも、事務的に線引きした場合、地域の混乱は避けられない状況が想定される学区再編の成否は、地域住民の理解と協力が不可欠としていました。しかし、昨年の教育委員会案の進め方は、当初、保護者や地域への説明では、「教育委員会決定ですから、御理解を」として、意見は聞いても「この決定でいきます」といった姿勢でした。このやり方が強く反発されたことも周知の事実です。
 新市政となり、昨年の教育委員会案は、1つの案とされました。新市長さんの政治姿勢として、多くの保護者、市民からの意見をまず聞くことから始められました。また、それまで顔も知らなかった教育委員の皆さんも、対話に参加してくれています。そして、「小学校問題は重要なまちづくりの問題なのに、どうして教育委員会だけなのか」との意見に対しても、都市建設部から参加してくれています。これら一連の新市政の政治姿勢に感謝し、共感を持つのは、私ばかりではないと思います。
 そこで質問します。新市政となり、どのような新しい教育委員会案が出されるのかです。まさか多くの意見を聞くだけ聞いて同じものが出てくるとは思いませんが、検討中の主な考え方をお聞かせください。
 また、この問題をいたずらに引き延ばしてもならないと思います。これから就学させようと考えている保護者は、なくなるうわさのある小学校には子供さんを入れてくれません。今後計画されている日程をお教えください。
 それから少人数学級をどのように具体化していくのでしょうか。これは、新市長や新知事の公約でもありますが、保護者をはじめすべての教育関係者の願いです。できるだけ早く具体化を目指す必要があると思います。
 また、小学校統廃合という甲府市の今後を左右する重要な政策については、教育委員会だけでなく、都市建設部、福祉部など、市の各部署を挙げてのプロジェクトが必要なことを申し上げてきました。新施設なり、このような組織ができたと聞きましたが、どのような内容か、また、そこでの検討内容をお聞かせください。
 私には、昨年まで、教育委員会の皆さんにはどうしても中心部の児童数が減る、だから、学校の廃校は避けられないという固定観念があるように思えてならないのです。子供が少ない。だから、まちの学校をなくす。そうなると、学校もないまちは、若い家庭にとって子育てしづらい、魅力がないまちとなってしまいます。まちの子供はさらに少なくなっていくことは確実です。悪循環に悪循環を重ね加速させることは、政治ではありません。いわんや、子供のことを考える教育ではないと思います。甲府市は、今、人口が著しく減ってきています。中心部だけの問題ではありません。このままでは甲府市の未来が見えなくなってきます。まちから学校をなくし、若い人口を減らす選択ではなく、甲府市の各部署から甲府市に、そして特に中心部に人口をふやす手だてを本気になって考えていただきたい。
 そこで関連して質問します。まず、まちなか居住再生プランの現状をお聞きします。
 また、多世代同居など住宅建設資金融資制度は、どのように活用されていますか。さらに、高い人気のある新婚世帯向け家賃助成制度を市外者がどのように活用され、甲府市民となっていますか。同じく市外者からの申し込みをより可能にした昨年の新条例以降の市営団地への市外者からの申し込み状況は、どうなっていますか。そして、市営団地をまちなかにこそ建設していくプランはないのでしょうか。
 教育委員会の皆さんには、子供と甲府市の未来を守るためにも多いとは言えない甲府市の教育費を、その予算を少しでも余分に獲得していただきたい。
 また、宮島市長さんには、30人学級の早期実現と教育条件の困難な大規模校の対策、さらには市民の声を反映した小学校の適正配置を、そして本気になって甲府市の人口対策を強く期待していきたいと思います。
 以上で、最初の質問に区切りをつけたいと思います。

市長(宮島雅展君) 山田議員の質問にお答えをします。
 ただいまは、学校の統廃合問題に多くの時間を割かれましたけれども、今一生懸命に協議をしているところです。そのことについては、教育委員会の方からお答えをさせます。
 私は、新婚世帯向け家賃助成制度と市営住宅の申し込み状況についてお答えを申し上げます。
 若年層の市内定着の促進を目的に、平成6年度より設けられました新婚世帯向け家賃助成制度は、所得制限の緩和などにより年々利用者も増加傾向にあり、平成14年度、市外の方の利用者も前年度比1.6倍伸びて287世帯となっております。昨年度における新規申し込み163世帯のうち配偶者の市外からの転入が56世帯、夫婦とも市外からの転入は50世帯で、あわせて65%の世帯が新たに甲府市民となっております。
 次に、市営住宅の申し込み状況につきましては、昨年度に、市内に居住もしくは市内事業所に勤務する者の制限枠を取り外した結果、年間申し込み総数302世帯のうち30世帯、約10%が制度緩和による市外の方の申し込み者となっているところであります。新婚世帯向けの家賃助成制度とともに、本市の人口増加対策の一翼を担っておると考えております。御理解を賜りたいと存じます。
 ほかの御質問につきましては、関係部長等からお答をさせます。よろしくお願いいたします。

福祉部長(五味春雄君) 福祉部にかかわります御質問にお答えをいたします。
 多世代同居用等住宅建築資金等融資の活用についてでございますが、平成2年度から制度がスタートして以来、平成14年度までに新築236件、増改築17件の融資を行ってきたところであります。核家族が進む現在、住みなれた地域で安心した生活を望む高齢者にとって、家族と同居する家庭の果たす役割は大きいものと考えます。この制度を活用していただくことによって、高齢者とその家族の間に良好な関係が生まれ、高齢者福祉施策の推進とともに若い世代の本市への定住も図られるものと考えております。なお一層の活用を図っていただくため融資内容等の充実を行うなどして、市民への周知を図ってまいります。
 以上でございます。

都市建設部長(佐久間 勲君) 都市建設部にかかわります2点につきまして、お答えをいたします。
 まず、まちなか居住再生プランの現状についてでございますが、中心市街地は他都市と同様に車社会の進展に伴う道路網の整備や大型店の郊外立地化、また周辺町村への人口移動により、商業を中心とした都市機能の空洞化が一段と厳しい状況にあります。このように、空洞化が進行する中心部において魅力ある中心市街地としての活性化を図るため、まちなか居住の再生を新甲府市総合計画の後期基本計画に位置づけ、平成14年度から本市独自の支援制度を設け事業推進を図っております。この支援制度の内容は、事業対象区域を甲府市中心市街地活性化基本計画の計画区域である110ヘクタールを含む中心部の300ヘクタールをまちなか区域と定め、共同住宅の建設補助や再開発の支援策などを制度化し、民間活力による定住人口の増加を目的に推進しているものであります。
 平成14年度は、事業初年度として制度内容を広く周知する必要があったことから、あらゆる角度からのPR活動に重点を置く中で、建設改修補助制度の活用が2件で24戸、まちづくり研究会補助制度が1件、家賃助成制度の活用が6件の実績となっております。また、本年度の建設改修補助につきましては3件で、約190戸が協議中であり、研究会補助については相談が2件、家賃助成については5件を認定いたしました。今後におきましても、より多くの方に当制度を周知し、民間活力による建築活動や再開発事業を支援することによって、中心市街地の活性化に努めてまいります。
 次に、市営住宅の建設についてでございますが、市営住宅につきましては、既存住宅の居住水準を改善し、質的向上を図りながら居住ニーズを満たし、長期間にわたって有効活用していくための甲府市公営住宅ストック総合活用計画を策定し、推進しております。今後は既存市営住宅の建てかえ事業、住環境の向上を目的とする改善事業等の整備手法がありますので、検討してまいります。
 なお、御指摘のまちなかへの住宅の建設については、昨年度からまちなか居住再生推進室を設けて、民間活力による共同住宅建設の一部補助や家賃助成制度を立ち上げ、中心部への居住の確保を促進しております。
 以上でございます

■教育委員長(坂本初男君) 小学校の適正規模化についてお答えをいたします。
 小学校時代は、たくさんの友達と切磋琢磨することにより、学びはもとより人格の形成と社会の一員としての自覚や生きる力を養うための最も大切な時期であります。そのためには教育効果の向上や教職員の配置面からもクラスがえのできる一定の規模の学校が望ましいものであります。本年度適正規模化の推進にあたっては、保護者や自治会関係者との市長対話を通じて、市民の皆さんと議論を深め、その方向性を見出してまいりたいと考えています。これまでに、教職員と中央部10校の保護者の皆さんとの市長対話を行い、さまざまな御意見、御要望をお聞きしてまいりました。9月議会終了後には10地区の自治会や南部地域の皆さんとの市長対話を開催し、その後具体策を見出す場としての第二ステージの対話を計画をいたしております。
 近年、市内小学校間の児童数の格差は著しく、緊急に措置を要する学校もあるため、適正規模化は今年度中には一定の方向性を見出し、できるだけ早く具体化が図れるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 また、少人数学級の導入については、昨年度国の学級編成基準が緩和されたのを受け、導入する都道府県が30程度ありますが、その大半は小学校低学年からであります。学習入門期である小学校の低学年児童は、学習への意欲や関心が高く、一人ひとりの児童の願いを実現させるため、よりきめ細かな指導が必要となってまいります。そのために、教育委員会では特に1、2年生について学級の児童数に範囲が必要と考え、編成基準である40人学級を下回る30人程度の学級編成となるよう検討をいたしております。実施時期につきましては、適正規模化と並行して進めてまいりたいと考えています。
 また、適正規模化への取り組みの組織でありますが、本年度から教育委員会に適正規模化を専門に推進するためのプロジェクトチームを配置いたしました。適正規模化は、本市の大きな政策課題のうちの一つでありますので、プロジェクトチームを中心に全庁的に取り組んでまいりたいと考えています。
 以上です。

山田 厚君 一つ、根底に甲府市の人口問題というのがあると思うんですね。私も、人口問題に関しては関心がありますんで、甲府市の庁舎に入ったときは受付の「甲府市の人口」というのを見ることにしている。先日ですね、19万五千何がしというのが載っていて、「あ、19万5,000か」というふうに思ってたんですけれども、統計書を見たら、19万1,000と。もう一回その受付の方をしっかり見たら、下の方に「外国人登録人口が含まれます」ということなんですよね。そうすると、外国人登録人口というのは、お聞きしましたら5,500人以上現在いて、それで甲府市の人口は8月末で住民登録としての統計としては18万9,680人ということでした。
 (資料1掲示)これは、私の方でつくった図なんですけれども、見ていただきたいのは、平成の4年、5年ぐらいから7年ぐらいにかけてずっとすごい勢いで下がっているんです。1年間で1,000人甲府市の人口が流出していることになると思うんですね。しかも、その平成9年からは極端に減ってます。この6年ぐらいの間で、私たちが合併の対象として議論してきました中道・芦川・上九のその合併対象の人口より大きい数が、この平成9年から既に失われていることになるんです。このことに私も強い危機感を感じたところです。しっかりとした対策が、私は絶対に必要だと思いますんで、この人口の対策、人口増に関しては、市長さんの方からぜひ最後にお言葉をいただきたいと思うんです。
 というのは、出生数とか死亡数というものが自然数として増減が出ますが、これらの数は当然甲府市でも自然増になっているのです。例えば、(資料2掲示)これは、教育委員会の方で出された教育委員会の中でAブロック、穴切、富士川、相生、春日ですね。この出生数の数を見ますと、一番上が穴切です。そして、下が富士川、で、相生と。春日が一番低くて、これはかなり厳しいというのはわかりますが、穴切にしても富士川にしても相生にしても、30人、40人の子供さんが生まれているんですね。その穴切、富士川、相生にしても、甲府市と同じように、この数年間で激減しているとは思えないんですね。むしろ微増になっているところも多い。富士川に関しては25人ですから、少しずつじりっとふえている。出生数に関しても減ってはいないんです。
 ですから、ここのところを考えたときに、私は、やっぱり社会的、経済的な人口の移動、流動に一番原因があるんじゃないかというふうに思うんです。例えば、この前の国勢調査、平成12年です。これを見ますと、人口が、昼間の人口と夜の人口が全く違う。つまり、昼間になって通勤、通学に多くの人が来るけれども、居住するのは他の市町村だということが、甲府の現状なわけです。この平成12年の調査によると、毎日通勤、通学で6万人の人が甲府市に入って来ます。通勤で約5万人の人が入って来ます。大変な数だと思います。甲府市の保育園にも毎日500人の子供さんが、お父さん・お母さんに連れられて通って来ているんです。また、お膝元の甲府市の職員さんでも、その約3割が市外からの通勤だとお聞きしています。
 私は、このことをどういうふうに考えるかと思うんです。政策的に本気になって、甲府市の人口対策を考えるのならば、未来はあるんじゃないかというふうに逆に思うわけです。というのは、私たちの甲府市は中山間地帯、山奥でもないし、また大きな産業も誘致しなければ成り立たないまちでもなく、基本的には今甲府に通ってきていただいている多くの方々を、少しでも甲府に戻ってもらう、甲府の市民になってもらう、居住者になってもらうということが基本ではないかと思うわけです。
 その意味で、甲府市でも盛んに今までずっと議論されてきました中心街の活性化対策というのがあります。この資料を読みましても、やっぱり商店街対策、それから駐車場対策、客寄せのための活性化をもたらすイベント対策の範疇から出ていないと思います。やはり基本は住む人をどういうふうにしていくのか。そこがポイントではないかというふうに思うんです。都市間の競争で盛んに言われています魅力のあるまちをつくるためにはやっぱり住む人を基本にして、福祉や教育、公共料金を基本に考えていかなければならないと思うんです。確かに、福祉や教育はお金がかかるかもしれません。でも、これは言い方を変えれば先行投資と同じじゃないかというふうに、私は思うわけです。
 市の収入をふやすには、市税収入をふやすこと。市税収入をふやすには、増税ではなく市の人口をいかにふやすかが基本だというふうにいわれています。また、市町村財政においては、この人口の増減が大きく直接財政に影響するというふうに言われてます。甲府市では、市税一人当たり16万円、1世帯当たりでは40万円というふうに聞いています。つまり毎日通勤している5万人の方々が1割でも甲府に戻ってくれたらば、年間で20億円以上ですよ。例えば、甲府市の職員の皆さんが1割でも甲府に戻ってきてくれるのならば、それだけで二千数百万円の収入になるわけです。もちろん居住の自由、選択の自由はあるわけですから、そこにおいての選択肢のためにも、私たちは魅力ある甲府市を追求する必要があるんではないかというふうに思うわけです。
 それで、もう一度小学校の統廃合問題に戻ります。まちによい小学校があることは、若い世代にとっては本当に絶対必要条件なんです。そして、私も留守家庭児童会などで学んできましたが、ちょっとした教育の施設、ささやかな福祉の施設であろうとも、若い人口が子供とともに移動するんです。そのことを考えていただければ、小学校の存在は、現在空気や水と同じようにあって当たり前ですけれども、これがなくなったらまちに対する影響はどうなのかということなわけです。若い人口は、私は逃げ出すばかりじゃないかと思います。
 都市建設部の方にお聞きします。小学校がなくなったら甲府市の人口はふえるんですか、減るんですか。簡潔にお答え願いたいと思います。
 それに甲府市は、従来から教育の予算は意外と少ないんです。
 (資料3掲示)これも見ていただきたいんですけれども、これ、10年ごとにずっと昔までさかのぼってみたんです。甲府市にある決算額。これを甲府市と類似都市で比べてみました。1971年、30年も昔です。この黄色が甲府で緑色が類似都市です。1981年、やっぱり甲府は低い。さらにまた1991年、やっぱり甲府は低いんです。さらにまた2001年、これも決算で見れば、やっぱり甲府市は低いんです。教育費が。今の市長さんの問題でもない、前の市長さんの問題でもない。歴代の甲府の基本の行政の流れが、教育を余り重視していなかったのではないか、こんなふうに考えてしまわざるを得ないんです。小学校費、中学校費、まだまだ頑張っていただきたい。頑張る余地があるんだと思います。だからこそ、他の都市に負けないで、その30人学級なども今や市町村の段階でできるわけですから、そして山梨の知事さんも、少人数学級を公約にされています。甲府市が頑張ったとき、山梨県全体が動かざるを得ないと思います。ぜひその辺のところの考えを、これは要望として強く、強く申し上げたいと思います。
 じゃ、一言再質問の方よろしくお願いします。

市長(宮島雅展君) 山田議員の再質問にお答えをいたします。
 まず、人口をふやせと。それにはどういうようなことを考えているのかという、質問を何というか単純化しましてね、お答えをしていきたいと思います。
 甲府から多くの人口が流れていった。これは事実でありますね。そういう方々、例えば5万人が昼間人口として来ているではないか。そういう人たちをこの地域に戻せ。確かにおっしゃるとおりでありましてね。私も、その市長の立場に立ってから、まず、土地を安く売れということを土地開発公社に指示をしました。今までどうしても、例えば区画整理事業をしたときに、バブルの時代を通っていますのでどうしても高いですよね、高値で売り出している。それを今抱えちゃって非常に困ることになっているんだけれども、それも時価で売るようにしたらどうだということで、つい最近広告を打たせました。まあどういう効果が上がっているかまだ報告がありませんけれども、前に買った人に苦情を言われると困るというのがあったんですね、その売らない理由の一つに。だけど、時代の流れの中で土地というのは動いてますね。今うんと安くなってるわけですよ。だから、安い値段でも売り出さないとまず買ってくれないし、仮に前に買った人にいろいろ苦情を持ち込まれたり、甚だしいときは裁判に訴えられるわけですがね。それも説明をしながら受けて立っていくよりほかはないなというふうに思って、金利の負担をずっとこれから将来にわたってするよりも、今買ってくださる値段で出すことの方が肝要だというふうに考えて、そんなことの指示はしてみましたけれども、今の景気の中でどのようになっているんでしょうかね。もう少したつと報告がくると思います。
 それからあと一つは、やはりまち自身が、先ほど議員が申されていたとおり、その甲府自身が、みんなが来たいと思うようなまち、つまり教育や医療や福祉に関して、山梨県内のそのほかのまちをリードするような立場に立つということでしょうね。そして、その立場に立つということをいろんな面で広報するんですね。今、現に、そういう立場で誇るべきと言えるような施策展開を結構してはいるんですね。そのことがわかってもらえるようなことをしていかねばなというふうに思ってます。
 人口をふやすということは大変なことではありますけれども、整理しますと、保有している土地を時価でもって手放して、若い人たちに甲府に住んでもらえるようにする。それからよそから流入している人たちに対しても、このまちはこんなふうに魅力的なまちなんだなと思っていただけるようなまちづくりに一生懸命に取り組んでいくと、そういうことを果たしていくのみかなというふうに思うんですけれども、お知恵を拝借をしながら頑張っていきたいと思います。
 なお、教育費が先ほど低いということをおっしゃられましたけれども、その年度、その年度においていろいろな施策展開を図っていますので、どういう指標でお比べになるのかということは、また後で詳しく聞かせてもらいたなあと、そんなふうに思っています。
 後は関係部長から答弁をさせたいと思います。

都市建設部長(佐久間 勲君) 小学校がなくなったために直接人口が減少するのかという御質問でございますけれども、これにつきましては、小学校の減少に直接その人口減というのは結びつかない面があるかと思います。まず、中心市街地の人口が減少するという原因には、幾つかあろうかと思いますけれども、まず一つには、よく言われております郊外ショッピングの関係、あるいは周辺の住宅密度の薄さの問題等々によりまして、中心街からの人口が流出をしていると、こういうことになってくるかと思います。したがいまして、これらの状況に対応しまして、まちなか再生事業ということで5つのそれぞれの支援事業を創設しまして、これによって中心街の人口を増加させていきたいというふうに考えております。
 以上です。

山田 厚君 あと1分ほどだと思いますので。
 最後に、これ、私の意見と要望ですけれども、私たちの新紺屋小学校に100周年記念誌というのが、30年前のがあったんです。それを見たら、新紺屋地区はもう完全に焼け野原で、小学校も焼けていた。戦後焼け野原のときに、終戦直後に、甲府市は新紺屋の跡地にバラックの住宅を建てようと材木を入れたというんですよね。それを見た当時の保護者は大変怒って、そのバラックの材木を撤去させて、自分たちでつるはしを振るって、そのバラックの校舎をつくって、それから大急ぎでまたもう一つ校舎をつくったという話があるんです。焼け野原で住むものもなくて、食べるものもないとこで、甲府市の復興は、日本もそうでしょうけれども、やっぱり小学校から始まったんですよね。
 このことを頭に入れていただいて、人口対策、まちづくりは、小学校を核にしてやっていく、居住者を中心にやっていく、その考えもぜひ改めて持っていただきたいと思います。
 以上で終わります。