BGM by ヨグ

■Beautiful Dreamer 後書き(解説と言い訳)
一年という期間を費やし、何とか「Beautiful Dreamer」完結いたしました。
最後まで読んでくれた方、本当に有り難うございます。
もし宜しければ、感想を下さい
次回作を書くことがあれば、是非参考にさせて頂きたく思いますし、なにより励みになりますので。

さて本作ですが、予定とは随分異なるエピローグなりました。
当初は、皆が一斉に目が覚めて、自分たちの見た夢について語り合い、悪夢に魘されたという瑞佳に対して、浩平が「それは夢だ」――という最後の決め台詞を言わせる……まぁ、そんな感じでした。
あと、13話の校内探索で出てきた、隣のクラスの出し物である「郷土研究」も、エピローグにて使う予定で、目を覚ました祐一が隣のクラスに行って展示資料の中から、過去の街で起きた事件・事故を調べるというシーンが有りました。
一応は書いてみたのですが、うまく流れに組み込めなかったので、丸ごと没にしました。
その替わりと言っては何ですが、茜、詩子、シュン、さらには美汐まで、本編に登場しなかったキャラを少しずつ出演させたりしてみました。

いやぁ……それにしても大変でした。
本作は、私にとって初めてのギャルゲーSSだったわけですが、元ネタは言わずと知れた、押井守の傑作、「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」(以下「BD」)です。
きっかけは単純で、暫くいろんな人のSSを読んでいたところ、何となく自分でも書きたい衝動に駆られてただけです。
(恐らくは世のSS作家さんも似たような動機で執筆を始めたと思います)
とはいえ思いつきでスラスラと書けるほど、ネタが思い浮かぶわけでも、文才があるわけでも無いので、何か適当なパロディで書いてみようと思い立ったのです。
BDを選んだのは、夢がらみの話でカノンに転用しやすそうだし、その台詞を殆ど全て空で言えるほど覚えているので、後はキャラを適当に置き換えて書いて行けば良いや――とまぁ、そんな単純な思いつきによるものです。
しかし、思いつきだけで始めたばかりに、途中で幾度も障害に当たって大変な目に遭いました。
ちなみに最初、頭の中で描いていた配役はこうでした。

  あたる/祐一
  ラム/名雪
  面堂/久瀬、佐祐理、舞(3人で面堂役なのは、刀を持って(舞)金持ちで(佐祐理)嫌な奴(久瀬)という単純な理由から)
  しのぶ/香里
  竜之介/七瀬
  さくら/郁未
  温泉/石橋or髭
  めがね/浩平
  パーマ/住井
  カクガリ/北川
  チビ/南or斉藤
  チェリー/シュン
  あたるの母/秋子
  夢邪鬼/あゆ
  バク/真琴

こんな感じで後は適当に、行き当たりばったりでGO! と進めたのです。
まず書き始めていきなり困ったのが、ヒロイン役となる名雪でした。
実は私が名雪にあまり興味が無い事が発覚したのです。
無論、良い娘だとは思いますし、他の名雪SSなどでも好きな物が多々在りますが、どうも自分で名雪をヒロインに置いて書くと筆が進まないのです。
そこで個人的な趣味――kanonヒロインで一番隙な舞を、ラム役にしようと思いました。
特殊能力も持ってるし、BDにおける「白い帽子の少女」のイメージと、「まい」のイメージが重なるし「こりゃいいや」と思いました。
しかし舞をヒロインにするとなると、当然佐祐理さんの存在が無視出来なくなるわけで……と色々書きながら悩んだあげく、祐一は既に舞・佐祐理シナリオをクリアしている状態にして、面堂役にあてようと思いました。
当初面堂役の予定だった久瀬には、温泉役として同じ嫌われキャラを演じて貰った方がしっくりきます。
となると、主人公のあたる役を入れ替えなければなりませんので、自然と浩平となります。
まぁ突拍子もない行動をとるところなどは、祐一よりもあたるに近いので、意外に合ってるかもしれません。
さて、あたる=浩平となると、当然ヒロインは浩平に関わるキャラになるわけです。
そこでONEキャラから誰にするか? を決めるわけですが、みさき先輩や澪、繭だと話が作りづらいし、サブキャラの詩子や雪見先輩、そして広瀬では不相応だし、七瀬だとどうも話のイメージにそぐわない。
となると茜か瑞佳になるわけで、茜だと詩子が関わりややこしくなりそうなので、無難な瑞佳がラム役となったのです。
しかし筆者は、カノンのSSとして作る予定だったので、瑞佳がラム役になったとしても、メインヒロインとはなりえません。
そこで、面堂の視点から見たBDを書いてみよう――という事になり、調査活動を通じて事件の本質に迫る課程を描く事にしました。
(個人的に、この試みは成功したと思っています)
スタンスが決まれば、後はカノン、ONEの設定を活かしつつ、このキャラ達がBDの世界に放り込まれたらどう動くだろう? という事を想像しながら書き続けました。
ただ、倉田家が現実に有り得ない程の金持ちになったり、郁未の持つ不可視の力が都合の良い超能力者になったり、FARGOの組織が巨大化したりと……原作とはかけ離れた設定の数々に頭を抱えましたが、自分を納得させる様に書き進めます。

最終的に配役は――
 あたる=浩平
 ラム=瑞佳
 面堂=祐一、舞、佐祐理
 しのぶ/香里?
 竜之介/七瀬&みさき
 さくら/郁未
 温泉/久瀬
 めがね/住井
 パーマ、カクガリ、チビ/北川、南
 チェリー/該当無し
 あたるの母/秋子
 夢邪鬼/あゆ
 テン/真琴
 バク/該当無し

というキャスティングになりました。


前半(1〜8話くらい)まではトントン拍子に進みましたが、中盤以降――特に出す予定が無かった演劇三人娘(みさき、雪見、澪)を出してからは、挫折の連続。
特にみさきは盲目者と言うことで扱いづらく、出した事を何度も後悔しました。
それでも終わってみれば、彼女のお陰で浩平や瑞佳の葛藤も深味が増しましたし、えいえんの世界(本作では夢の世界)の存在感も判りやすくなったので、出して正解でした。
あゆに関しては、当初から夢邪鬼役――つまり創造者として出番を与える予定でしたが、BDの様なコメディチックなキャラでは物語が締まらないので、悩んだ結果、本文の様な扱いになってしまいました。
悩んだと言えば、夢の壊し方――バクを誰にするか? という点もですね。
BDでは、夢邪鬼がバクを夢の世界をリセットする為に連れているわけですが、カノンやONE、MOON.の中でそれに値するキャラと言えば、猫のぴろくらいでしょうか?
ただ、あゆが創造主である以上、ぴろとの組み合わせには違和感を感じますし、BDのバクをそのまま出演させるのも雰囲気的に違和感を感じました。
そこで思いついたのが、真琴です。
祐一の危機に真琴が妖狐の力に目覚め、世界を壊滅させる――という展開を考え、最後までその方向で書くつもりでいました。
(18話で真琴シナリオっぽい部分を入れたのは、その為でも有りました)
しかし実際、その直前まで書いてみると、どうにもご都合主義っぽさが強く、何の伏線も無いまま強力な存在になるのも許せません。
それならばいっそバク役を排して夢の世界を破壊させてはどうか? となり、夢の主である瑞佳が目の前の世界を否定する展開を考え、悩んだ末にああいう結果に落ち着いたわけです。
ちょっと倫理的にどうかとも思いましたが、浩平にも重要な役が与えられる事となり結果オーライと言ったところでしょう。

あ、あと作中に登場したヘリックスですが、BD同様に復座型のシーハリアーにしなかったのは、あの人数を載せるには余りにも非現実的だったからです。
それに飛行機の操縦よりも、ヘリの操縦が出来る――という設定の方が、まだ説得力がありそうでしたから。
とまぁ、色々と異なる部分や、おかしな部分は有りますが、これでも元ネタと原作双方の雰囲気や設定を出来るだけ保つように心掛けています。
ですから、完結させてみて、まぁ、何とかうまく誤魔化せたかな?というのが、正直な気持ちです。

最後まで付き合ってくれた方々に感謝致します。
それでは、皆様有り難うございました。

続編(というか、同じ舞台設定)のドタバタコメディ「Beautiful7days」や「いい旅チャレンジ20000km」も、よろしければお読み下さい。


キャラクタ設定・補足
本SSのネタバレを含みます。ご注意の上ご覧下さい。
その他中途半端な説明など
作品中に出てきた固有名詞の説明が中途半端に載ってます。あと、作品内時系列もあります。ネタバレですので注意。
作品内、呼称対応表
本シリーズにおける、キャラクタ同士の呼び方をまとめてあります。主に私自身が間違えないように作ったものですが、SSを書かれる方の参考にもなる・・・かな?

SSページへ戻る>

感想等はメールでどうぞ〜