ROAD TO BLUES Chicago

リンカーンパークにて。植物園、動物園がある(無料)。

 映画「アンタッチャブル」のラストシーンに出てくるあの階段を上がると、シカゴだった。

 シカゴでは3週間の滞在で、余裕があれば、もう1ヶ月滞在するつもりでいたんだ。帰りの便は変更できるのにしたからね。だからシカゴではいろんなところに行けた。郊外にもけっこう行ったな。ニューヨーク、ボストンと並ぶアメリカ3大美術館のシカゴ美術館にも行ったし(ちょっとよくて2回行った)、水族館、動物園、植物園、プラネタリウム、図書館、もろもろの博物館といったミュージアムめぐり、ヘミングウェイゆかりの土地、建築家で有名なフランク・ロイド・ライトの建築物、日々の日常行動となっているレコードショップ、楽器屋、雑貨屋めぐり以外にも、さまざまな余裕が出来たんだな。

 さすがに旅慣れて、いい情報がどこにあるか、わりとすぐかぎ分けられたな。もうずいぶんと図太いしね。困ったことになると、ほんの些細なことでも、とりあえず「英語で聞いてみる」度胸もあったな。BLUE CHICAGO。ブルースクラブ。一人旅ゆえか。

 そんなことなので、いろいろとあるのだけど、いろいろと書き連ねても、しょうがないので、やっぱりギターショップめぐりを中心に、ちょっとしたエピソードにしよう。

 ここシカゴには、クラークst、リンカーンstという、北に向かって伸びる通りがある(途中で交差する)んだけど、僕が住んでいたLOOP地区から、列車とかバスとかでその交差する繁華街に行くんだ(お金がなくてほとんど歩いたけど)。大体北のほうに楽器屋は集中していたな。古着屋もたくさんあって、とても楽しかった。

 たくさんあったんだけど、その中に、あるギターショップがあった。そのギターショップには何度も足を運んだ。なんてったって、「これだ!」というギターがあったんだ。でも僕の予算を2倍もオーバーするものだった。

B.L.U.E.S。ブルースクラブ。 それ以来ここシカゴに来てからも食パンの日々がスタートしたんだ。約2ヶ月の旅の一ヶ月半以上が食パンだ。一日の食に1$以上かけてたまるか。スーパーの特売で長い食パンが50¢(日本円で約60円)だ。7泊9日ぐらいに来たときはいいもの食べよう。(ただ、南部にいた僕は、いろいろな思いはあったんだよ)。それでも一応「名物料理」は食べたけどね。ちょっとは楽しまないと。

 そしてついに買ってしまった。GibsonES-125。最高の宝物だ。僕は、ギターは最初に買ったギターでさえ、未だに弾きこなせないんだけど、ホントに単純に、その時買ったギターって、例えば洋服好きな人は洋服なんかのように、絵を描くひとならその時のスケッチブックのように、その時季なり時期なり、歳なりの自分の証だったりするよね。楽曲もそうで、不滅の曲もあるし、今になってやっと唄えたりする曲もあるし、1回作りきっちゃって満足してしまうものもあるし、それがいつか演れる曲を感じてたり、まだ置き去りだったりするのもあるんだな。シカゴ美術館前にて

 とにもかくにも、いわゆる可能性ってやつなんだな。コイツを手に入れたからにゃ、コラボレーションだってな勢いで向き合ったりするのが面白いんだな。

 そこの店員と再三にわたる値段交渉をして、修理とケースをつけてもらった。帰りは電車で帰ってきた。もう、ドキドキだった。何かとてつもなく悪いことをしているような気分だったんだ。

 

 

シカゴ、LOOP地区。ここに住んでいたんだな。 そんなような日々が続いていった。僕が宿泊していた安宿は禁酒だったんだけど、隠れて飲んだなぁ。まるで屋上階段でたばこを吸う高校生のように。

 電車の中、街上の路地裏でハングリーな黒人に相変わらず「ジャパニーズ」な僕はたかられながら、でも一人旅でもいろんな人と交流したな。ホセというアメリカンフットボール好きのメキシコ人、ベニーというテロの後のニューヨークから職探しに来ている舌足らずな黒人、名前は忘れたけど、彼女と一ヶ月前に別れた作家のタイ人、昔京都で歌舞伎を見たというバイク好きな帽子屋の雇われ老人、スパゲティをはじめてみたというコリアン、毎晩夢にうなされる出張中のいかれた白人…etc。

 

大晦日、コインランドリーにて。汚れを落とすんだ。 丁度シカゴの街はすっかりジングルベルに包まれていて、マグニフィセントマイル(魅惑の1マイル)は買い物袋を下げた人達で活気立っていた。バスに乗れば、降りるときは「Happy X'mas!!」だ。
 ストリートチルドレンが朝っぱらからアフリカンビートをメインストリートに響き渡らせていた。そして僕はニューヨークのスラム街を走る絶望の地下鉄と同じように、ここシカゴでレッドラインと呼ばれる犯罪多発列車の中で、居眠りをするほどになっていた。

 

 

 

 

エピソード2 CHICAGO Night Life

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