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DIYでサンルーム付きウッドデッキ
作り方の詳細

(こちらもどうぞ→初代:屋根付きウッドデッキ。 三代目:収納と階段を兼ねたウッドデッキ。 息子宅のウッドデッキ


十数年前に手作りした初代屋根つきウッドデッキが古くなったので、DIYで作り直した。
今度はサンルームつきウッドデッキ。素人流の作り方紹介
(2006年)

次はどんなのにしようか

十数年経過した手作りの初代デッキは、雨に濡れる周囲の土台部分が朽ちてきたので、作り変えねばならなくなった。
マメに防腐塗料を塗ったのだが、普通の建築用ツーバイフォー材を使ったので持ちが悪い。

さて次はどうしようか。
屋根の無いウッドデッキはスカッと開放的で簡単に作れるが、使い勝手が悪く、大体は飾り物にしかならない。
カミさんは「デッキは蚊に食われるので、実際には使えないことが多い。なんとかならないか」と難しいことを言う。
ウッドデッキに屋根と網戸をつけたら、普通の部屋になっちゃうじゃないか。
あれこれ欲張るから、なかなか答えが出ない。

そんなある日、フラリと立ち寄ったジョイフル本田のエクステリアセンターで、東洋エクステリアのフィリアUという面白いサンルームを見つけた。

カタログ写真
天井も壁面も素通しのサンルームだが、周囲は全部が折り戸なので、完全にフルオープン出来る。
フルオープンにすれば、今までの屋根つきウッドデッキと全く同じ構造になる。
ありがたいことに、オプション網戸まで用意されている。

冬季は風が強い日でも、折り戸を閉め切れば日向ぼっこが出来る。
夏はフルオープンの「屋根つきウッドデッキ」を基本として、必要な場面では網戸にすれば良い。
両側面を網戸にすれば、ルーム内は風が通り抜ける。
蚊に悩まされることなく、夕涼みも出来る。

サンルームの外まで連続してデッキ材を張り、屋根の無いデッキスペースを設ければ、開放感も確保出来るし使い勝手も良さそうだ。
雨が吹き込んでも腐らないデッキ材をサンルーム内に貼れば、初夏〜初秋はフルオープンのまま放置して構わないから管理も楽である。
欲しいのは出幅一間、横幅二間。
値段もまあまあ手頃である。
その場で見積もり依頼をした。




サンルーム部分が完成

業者に作業依頼したサンルーム工事(金属部分の工事だけ)が完成した。
折り戸の高さが235センチもあり、天井はもっと高いので、予想以上に開放感がある。
雨対策として、サンルーム下の地面は庭よりも高めにした。
サンルームの屋根に降った雨は雨樋に集まり、左右の柱の中を通って、地面付近から流れ出てくるようになっている。
ここに水溜りが出来ないように、水の出口付近に深い穴を掘り、中に砂を1〜2袋埋め込む。
これは一種の地下タンクの役割を果たしてくれるので、大雨が降っても水溜りが出来ないし、家の床下方向へ流れるのを防ぐことが出来る。



いよいよ本番のウッドデッキ作り


用 語 の 説 明
専門用語が登場するので、余分かもしれないけどちょっと解説
根太(ねだ) 床板を載せる角材のこと。
束(つか) 地面に立てて、デッキを下から支える柱のこと。
束柱の下に設置する石は束石(つかいし)と言う。
2×4材 ツーバイフォー工法に使う「2インチ×4インチ」規格の木材。2×6はもっと幅広。
なぜかプレナー(カンナ)加工前の寸法で呼ぶ慣わしなので、現物の寸法はもっと小さい。今回使った床材は2×6材で、実寸38ミリ×140ミリ。
レッドシダー  耐水性のあるデッキ材には、ソフトウッドとハードウッドがある。レッドシダーは加工性の良いソフトウッドだが、ヒノキと似た樹脂成分に防腐性がある。防腐剤を塗らない雨ざらしでも10年持つと言われるが、これは木材の品質や環境によって異なるので信じないほうが良い。ハードウッドは高耐久だが、堅木だから加工しにくく、下穴を開けないとネジも打てない。比重が1を超えるのもあり、丸鋸を使うと切れずに煙が出ることもある。
浸透性防腐塗料  今回の工事には浸透性塗料(キシラデコール)を使った。浸透性防腐塗料は木材に浸み込むだけで、表面に塗膜が出来ない。雨が降れば木材は吸水するが、浸み込んだ塗料の成分に腐敗防止効果がある。
普通のペンキは塗膜が出来て防水性があるものの、いったん水が浸み込めば内部が蒸れるから腐りやすい。
コーススレッド デッキ材を止める木ネジ。首下部分にネジが切っていないので、上材と下材を引き寄せてくれる。長さ65ミリを使った。
国産のネジは品質が良いので、鉄にメッキしたネジでも十分に長持ちする。十数年間、雨ざらしで黒ずんだものでも、ドライバーでちゃんと抜くことが出来た。しかし今回は美観に配慮せよとの注文がついていたので、高価なステンレスのコーススレッドを使った。
インパクトドライバー  電動ドライバーの一種。普通のドライバーはモーターの回転を、歯車を介してビットに伝えているが、インパクト方式はモーターとビットが繋がっておらず、ビットの軸を回転方向に打撃することで回す。トルクが大きいので重作業向きだが、細かい仕事には不向き。DIYには普通のドリルドライバーの方が便利だが、ウッドデッキのような重作業では能率が良い。
なお家庭用は使用頻度が低いので、充電式よりもコード式がお勧めだ。



サンルーム内のウッドデッキ工事

ホームセンターで根太用に2×4、床板用には2×6材のレッドシダー材を買い、駐車場に並べて浸透性の防腐塗料を塗った。
メーカーの標準仕様だと、折り戸のレールが床よりも高いから、外デッキに出るには跨がねばならない。
これを同じ高さにしたいので、アルミの根太の上に2×4材を載せた。
木に下穴を開けてから、先端にドリル刃のついたネジ・・・セルフドリリングスクリュー(写真中央)をねじ込みアルミ材に接合する。

根太が出来上がったらインパクトドライバーで、塗装しておいた2×6材を貼る。
屋根はあるが、折り戸を開けっ放しにするつもりなので雨が入る。念のためステンレスのコースレッド(写真右)を使った。
ルーム内の床はスキマ無く貼る。
スキマがあるとドリルのビットが床下に転げ落ちるなど、工作室として使いにくくなる。
屋根があるのだから排水性はあまり考えなくて構わない。

床の高さを標準仕様より高くしたので、網戸の取り付け金具類が使えなくなってしまい、工夫と材料探しと工作に時間がかかった。
網戸の施工説明書を精読して「高床用の金具」があることを後で知ったのだが、オプション網戸は発売されたばかりなので、施工業者も知らなかった。



テーブル作成とブラインド取り付け
休日ごとに雨が降り、屋外の仕事が出来ないので、サンルーム内でやれる仕事をした。

まずは、十数年前にツーバイフォー材で作った古テーブルの再生作業。
ホームセンターで売っているこの種のテーブルは薄っぺらだが、ツーバイフォー材は38ミリの厚さがあるので重厚で、作業台や踏み台にもなる頑丈さだ 。
ウッドデッキにも良く似合う。

照明とブラインドも取り付けた。
ブラインドを下ろして照明をつけ、家の中から眺めるとなかなか良い雰囲気である。




サンルーム外のウッドデッキ工事

簡単な裏技

普通は束石を置いて束柱を立て、その上に根太(床板を載せる柱)を取り付ける。
下から積み上げて行くのが常識的なのだが、実はこれが難しい。
図面通りの位置に正確に束柱を立てるのは、素人には不可能に近い。

そこで今回は、自己流の根太ユニット工法(?)を採った。
写真のように、束柱の位置も根太の水平も気にしないで、まず地べたで幾つかのパートに分けた根太ユニットを作ってしまう。
たまたま雨で地面が濡れたため、ブロックを置いた上で作業せざるを得なかった。


上を先に作る

組みあがった根太ユニットを持ち上げて、水平器を使って水平にしながら、仮の支え柱にネジどめする。
ユニットどうしをコーススレッドや金具を使って接合する。
高さの微調整は車のジャッキを使っても良い。
ユニットを仮柱で持ち上げて、根太ユニットの高さや水平や位置を決めるのである。

普通の手順であれば、 下から順に「束石→束柱→根太」と積み上げるのだが、正確な位置に束柱を立てることは難しい。
根太ユニットの空中位置が決まってから、束石を置き、正式の束柱を立て、根太をネジ止めする。
普通とは反対に、上を作ってから下を作るのだから、裏技みたいなものである。
大引き(根太を下から支える柱)を使わないので、低コストでもある。


後で下を作る

仮柱で根太ユニットの空中位置が定まったら、下を掘ってコンクリを入れて束石を設置する。
束石に束柱を載せてみながら、微妙な位置決めをすることが出来る。
コンクリが固まったら正式の束柱を立てて根太パネルに固定する。


束柱にはレッドシダーの2×4を使い、コーナー部分は2枚の合わせ柱にした。
束柱にはたっぷりと防腐塗料を浸透させる。



デッキの下にネコが入り込まないように金網を張る。これをやっておかないと、厄介なことになる。
ネコが入るだけなら構わないのだが、床下で排泄するためにデッキが悪臭に包まれる。
初めてデッキを作った人は、大体この災難に見舞われるようだ。

サンルーム下は金網で囲い、外デッキの下には金網を敷き詰めた。
網の類を敷くと、ネコは歩くのを嫌がるし、トイレにしない。



完成した根太パネルの上に2×6床材を並べ、インパクトドライバーでコーススレッドをねじ込む。
床材は乾燥すると木表のほうに反って、雨水が溜まってしまうので、必ず木裏(木の芯に近い側)を上面にして貼る。
この表裏は木口(切断面)の年輪を見ればわかる。

外デッキは雨ざらしなので、排水と通気のために3ミリのスキマをあけた。
写真のように、3ミリ合板の切れ端に、落下防止の釘を打ち、これを挟んで作業した。
ネジ打ちは、出来れば下穴を開けてからがお薦め。下穴を開けずに打つと、後日に板割れが生じやすい。



床材の端面の不揃いは、サンルーム側にアルミのL型チャンネルを入れて隠す。
これはサンルーム内の施工でも同様にした。

写真で分かるが、外デッキはレールよりも一段低くなっている。
これは折り戸が外側へ折りたたまれる時に、折り戸の足がレールの切れ目から外に出てくるのを邪魔しないためである。



ネジ打ちの位置を揃えるために、チョークラインを使った。
チョークラインは、墨つぼの墨代わりにチョークの粉を入れたもので、この白線は拭けば簡単に消せる。

出来れば先に下穴を開ける方が良い。下穴無しでネジを打つと、後になってひび割れが生じやすい。
ネジ頭を沈ませすぎると、水が溜まって浸透し、黒ずみの原因になる。表面より僅かに沈む程度にする。



床板が終わったら、周囲に2×6材を化粧板として張る。
デッキの木口(切断面)は腐りやすいので、防腐塗料をたっぷり吸い込ませておく。

庭の事情から、外デッキの形は変則になったので、ジグソーで曲線切りしたら面白かったかもしれない。
ただし、その場合は化粧板が貼れなくなる。



外デッキの下には大型の脚立を収納出来るよう、予め束柱の位置を考慮しておいた。
塩ビの波板を床下に入れて、その上を滑らせると出し入れがカンタン。
またサンルーム下は雨が入らないので、同じ方法で材木類の収納に利用した。

写真の左上隅に小さく写っているのが、デッキ材の残りで作ったステップ。
どんな材料がどれだけ残るか予想できなかったので、これは最後に設計した。
きちんと束柱を立てたので、グラつかず安定している。


日除け

天井にはワイヤーを張り、日よけシートを取り付けた。スライド式だから、簡単に開閉できる。
後日、日よけシートの上にアルミシートを重ねたので、輻射熱を効率良く反射し、サンルームが夏でも使えるようになった。
日除けを閉じて、窓全部を網戸にすれば、木陰のような涼しさになる。網戸だから蚊に刺されることもない。

横からの日射は、ブラインドで防いでいる。


二代目ウッドデッキの使用感(6月の記)

晴れた日中
日中はフルオープンにしている。
今の時期、両側面の網戸はつけたまま開けている。
東南向きなので朝は日光が斜めから射すものの、それ以降は天井の日除けで日陰になる。

前のデッキは屋根しかなかったので、風が吹けばブラインドが下ろせなかった。
サンルームは前面の折り戸を閉めれば、風が強くてもブラインドを下ろすことが出来るので、朝の日光も遮ることが出来るようになった。

今までは土足で使ったので床が汚かった。今度はデッキ材を明るく塗装し、スリッパにしたので清潔感がある。素足やスリッパのまま外デッキに出るのは気分が良い。
ただ、デッキが準室内化して清潔になったため、汚れ作業は出来なくなった。


夕方〜夜間
サンルームと言うが、夏場は夕涼みルームと呼んでもよさそうだ。
雨続きのせいか蚊が出始め、夕方から夜間は活発に飛んでくる。今までのデッキだと、蚊を追いながらの夕涼みとなり、長く居ることは出来なかったが、今度は快適にずっと過ごせる。
サンルームが居間と続き部屋になっているのも都合が良い。

サンルームは暖まりやすく、冷えやすい。
閉め切って日射を受ければ暑くなるが、夕方以降は家の中よりも涼しい。
両側面の網戸は合計4枚で、高さは235センチもあるから風が良く通る。
両側面の庭には樹木があって、外の視線は気にしなくて良いから、前面のブラインドを下ろせば明かりをつけても、気楽に過ごすことが出来る。
我が家はあまりテレビを見ないから、ここで過ごす時間が増えそうだ。

今のところ、昼間はフルオープンしているのでウッドデッキ、夜間は閉めているので一部屋増築、という感じである。
折り戸式サンルームは、変幻自在で面白い。




二代目ウッドデッキ使用感(3月の記)

冬はサンルーム本来の良さを体感できた。
天井の日除けを開いて、ルーム一杯に日光を取り入れる。
真冬でも8時半から日が当たり始め、9時半にはシャツ一枚で居られる快適な気温になり、太陽が隣家の向こうに隠れる午後2時まではポカポカ。お昼前後は通気調節しないと暑すぎるほどになる。

日除けシートとブラインドのおかげで直接日射を浴びないで済むし、温度調節も簡単である。
天井材はポリカーネートの曇りガラス仕様で紫外線を通さないが、これも良い選択だった。
サンルームはスキマが多く床はデッキ材一枚なのに、全くムラのない穏やかな暖かさで、床暖房に似ている。日光が部屋を丸ごと暖めるからだろう。風邪をひいても、ここに居るだけで治ってしまいそうだ。
冬季間はあまりにも居心地が良いので、カミさんは絨毯を敷き、ここで日中を過ごしている。昼寝には格好の場所である。

花が咲き始めた3月末の撮影。絨毯が敷いてある。
           

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