作成:2004年01月25日
1年遅れではありますが02年ベスト20選.夏フェスにバイアスされているようだが,夏フェスにそんな良いバンドが出演した年でもあったわけです.
天下無双.佳作の多かった02年だが,その中でも一際,他作品を引き離す魅力に溢れた本作が文句なくベスト.7月のフジもまさしく彼らのために3日間の日程が組まれたようなもの.アルバム1曲目のタイトル・トラックのイントロに02年のほとんどすべてがある.暖かく,心を包むかのような逸品.80年代は比較的楽しいバンドという印象を放っていたが,ここ数作の奥深さは年輪なのか.人生において2000枚程度のアルバムを聴いてきたが,その中でも5枚か10枚の中に入る1枚.
02年現れた数多の新人の中でも特筆すべきだった彼らの待たされた挙句のデビュー盤.既にe.p.やライヴ(7月のフジのマーキー2日目満員札止めのライヴは伝説でしょう).PRIMAL SCREAM,THE STONE ROSESが引き合いに出され,散々ハイプされていた彼らだが,楽曲自体が素晴らしいというあたりまえのことが出来ていたことがあの加熱振りのすべてではないか.19や20歳という年齢でここまで来てしまった彼らの今後が心配だったり.いや,こんなバンドが出てきたら元スターなオヤジ達はさっさと引退しなさい.
かなり反則気味だが,02年リリースのライヴ・ヴィデオからの先行リリースとなるアルバム.ライヴ盤とアウトテイクス集という2枚組.RADIOHEAD meets METALLICA !!!な彼ら.ロック・トルネードって,ライヴを見ないとわからないな.ギター持ってくるくる回る,っていう."In Your World"や"Muscle Museum"などドラマティックでありつつメロディアス,そしてブルータル.背反する形容を受容する懐の深い楽曲・パフォーマンスが見事に閉じ込められている.7月のフジとほぼ同じ感覚を抱かせる力作.
4作目.いろいろとレコ社と拗れていたわけですが,無事にリリース.変わらぬちょっとナードなポップなのだけど,壊れてしまいそうな弱さは後退.8月のサマソニでのオーディエンスの支持の厚さを感じること仕切り.MP3プレイヤーに入れて一番愛聴した1枚.
RADIOHEADのフォロワーなイメージがあるが,これだけ力のあるアルバムを出してこられれば,そんな言葉は妬みにしか聞こえない.2作目にあたる本作収録の"In My Place"を聴くと崩れ去ってしまう.暖かく包む逸品.
こちらはサマソニ出演の新人バンド.ミクスチャー通過後のラウドなポップ・ロック.1曲目収録の"Crawling In The Dark"や"Running Away"など,バブリング・アンダーな状態にいるもどかしさと熱意の交差具合が魅力.
まさかこの歳にしてVAGRANTのバンドを愛聴するようになるとは予想しなかったわけだが,MP3に入れて度々聴いた本作には熱いキッズ時代に感じた感情が呼び起こさせるような楽曲揃いで,十二分に楽しませられた.
5作目.90年代からシーンを引っ張ってきたこのバンドもvox.のジョナサン・デイヴィスの毛髪と同じように少しづつその勢いを失いつつあるかのようだったが,今回は強烈.アルバムをスタートする"Here To Stay"や"Hollow Life"で放つパワーは壮絶.王者健在を周囲に示す力作.
エモのバンドがUKから出てくるとはかなり意外.1stと本作をリリース直後にフジ参戦.ひたすら熱いステージを繰り広げ,土曜昼のマーキーの見せ場の一つ(この後,THE MUSIC,THE WHITE STRIPESとこの日のマーキーはかなり充実)となった.1枚目ということでそれまでに作ってきた楽曲の充実度は比較的高い.それだけに次作は勝負盤に.
で,このユニットが続く.ギターとドラムだけというインストルメンツにストリップ・ダウンした楽曲とまさしくコアだけで攻め立ててくる所には80年代のヘアメタルや90年代のオルタナと言いつつもメインストリームだったシーンを更に一歩突き進んだ感がある.この後,この手の音楽がムーヴメントとなった所からも00年代の本流となるのか.
奇跡の再結成.金が引き金なのかもしれないが,先行シングルの"People Like Me"でのマイケル・モンローとアンディ・マッコイが一つのスタンド・マイクに向かい「自分は疲れ果て,夢は潰え...愛したし,憎んだし,フラストレーションを感じたし...」と歌うその姿には,成功と挫折と長い停滞期を知るだけに感慨深い.アルバムとしては勝負曲と捨て曲の落差が激しくこの位置.
卓録クン,日本盤のリリース先を東芝に移しての第1弾.おまけはグラストンベリーでのライヴ盤というお得用仕様."Born Again"や"All Possibilities"など佳曲が揃い,自室で引き篭もって聴くと心に染み入る.暖かいアルバム.
またもフジ.こちらはマーキーの深夜枠として登場.バンド名にうたう通り,映画のサントラを彷彿させる楽曲は奥行きが深いジャズ.ステージでも映画風の映像を使っていたのが印象的.しかし,ステージ上で歌うシンガーは白地に赤のジャージでさながら全日本ヴァレーボール...9月のNinja Tuneのイベントの大阪公演@Mother Hallはガラガラだったことも追記しておきたい.良いと思うのだけど,需要無いのかも.
SKID ROW meets W.A.S.P. by the member of SLIPKNOT.こういうサイド・プロジェクトが出来るくらい成功したSLIPKNOT(STATIC-Xのメンバーも参加).80年代風B級ホラー映画テイストとSKID ROW風の楽曲とヘタッピな演奏.8月のサマソにて来日.ひたすら熱いステージでうだるような暑さを更にヒート・アップした."Slit My Wrist"や"Twist My Sister","She Was A Teenage Zombie"などまじめに聴くものではないが,そこが魅力.
デイヴ・グロール先生がドラムとして参加.この点が最大のセールス・ポイントではあったわけで,フジ日曜の昼,グリーンのドラム・キットの後方には彼が座っていた.オーディエンスは僕も含めてグロール見たさではあったものの途中から楽曲に引き摺り込まれていく.この業界での経験が生きている.ねちっこく,わかる人にはわかるという玄人好みの楽曲は決して万人向けではないのだけど.
こちらはニュージーランドからの新人でサマソ出演.このバンド名でも日産は何も言って来ないのかな?"MF From Hell"や,"Harmonic Generator","In Love"など男汁臭さ炸裂.一連のオセアニア・シーンのムーヴメントに乗れたこのバンド.次作が楽しみ.
毎回カヴァー曲が楽しみなドイツのメロコア・バンド.今回は"海へと".更にロリータ18号をゲストに迎えて(本作のリリース前のツアーを一緒に回った経緯からか)の"Saloon"などかなり日本市場向け."Voxxy Lady"や"Belly Up"など良い曲もあるのだけど,前作よりかは落ちるのが残念.
ヒップホップまで自分の音楽の幅が広がるとは想像もしていなかったのだけど,ここまで味わい深いものとは.個人的には新しいジャンルへのドアとなった.ロック・シーンとしてはINCUBUSあたりと競演してるのでそちらからも.
スウェーデンのガレージ系バンドによるPoptones向けコンピ盤となる本作には代表曲である"a.k.a. I-D-I-O-T"など爆走していく姿が余すところなく収録されている.サマソ来日も出演時間の関係で逃してしまったのが甚だ残念.
珠玉の名曲"Stop Crying Your Heart Out"収録の本作がギリギリこの位置に."Little By Little"など挙げ出すと他にもピックアップできるのだけど.すっかりヴェテランと呼べる彼らの余裕か.
02年は新人が充実していたと感じる.The Music,
The White Stripes, Hundred Reasonsなどのフジ参戦組.The
Datsuns, The Hivesなどのサマソ参戦組.夏の野外フェスの定着によって,新人バンドのプロモーションが行いやすくなったことも一因として考えることが出来るのではないだろうか.商業的に作り込んだようなものよりかは地味なものを重視するようにシフトしてきているのは2001年からの流れに沿っていると言えるだろう.
数ある新人バンドの中でもThe Musicは大きく抜きん出た存在であった.ティーンエイジャーがここまで独創性に優れたサウンドで現れたことは意義深い.彼らが若い世代の代表として化石のようなミュージシャンを駆逐してくれることを切に願う.
一方,ヴェテラン勢も充実したアルバムを引っさげて最前線に復帰してきた.01年はキャリア組はどこもこけてしまいがちだっただけにRed
Hot Chili PeppersやKornと言ったバンドが存在意義を示してきたのは頼もしい.
この年から出身地も様様となり,北欧はもとよりオセアニアからも新しいバンドが登場するなど,地理的な広がりも感じられるようになってきたことが,陰りが見える音楽業界に一石を投じることが出来ればと願う.
いやいや,ちょっと待って待って.「こんな名作を忘れてる」,「なんでこの名作が駄番扱いなの?」とおっしゃる方,こちらの板にカキコしてくださいね.
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昨年(01年)のベストも参照してくださいね.